傷病手当金申請書 医師記入欄(第4面)の書き方

傷病手当金支給申請書は4面構成で、医療機関が記入するのは最後の第4面「療養担当者記入用」だけです。ここでは、患者から申請書を持ち込まれたクリニック側が判断に迷う点を、協会けんぽの現行様式と法令の条文に沿って整理します。

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目次
  1. 申請書の4面構成と、医師が書く範囲
  2. 第4面の記入項目
  3. 「労務不能と認めた期間」はどう決めるのか
  4. 診察していない期間を証明できるか
  5. 記入日より先の日付を証明できるか
  6. 文書料は自費か、保険で算定するか
  7. 差し戻しの典型パターン
  8. 協会けんぽと健康保険組合で様式が違う
  9. よくある質問
  10. 参考

申請書の4面構成と、医師が書く範囲

協会けんぽの様式は次の4面に分かれています。

記入者 主な内容
第1面 被保険者 氏名・住所・振込先口座
第2面 被保険者 申請期間、仕事の内容、傷病名、発病年月日、傷病の原因
第3面 事業主 勤務状況、報酬の支払い状況
第4面 療養担当者(医師・歯科医師) 労務不能と認めた期間、傷病名、初診日、症状経過

医療機関が触るのは第4面だけです。第1〜3面の内容を医療機関が代わりに埋める必要はありません。

第2面には「療養担当者記入欄(4ページ)に記入されている傷病による申請である場合は、左記にレを入れてください」というチェック欄があります。第4面に書いた傷病名と、患者が第2面に書いた傷病名が別のものであれば、その傷病について別途もう1通の証明が必要になります。

転院や主治医の交代で1つの申請期間を複数の医療機関がまたぐ場合は、それぞれの医療機関で証明を受ける扱いです。協会けんぽの記入例にも、第4面が複数に分かれる場合は申請書を分けて申請するよう注記されています。

第4面の記入項目

現行の協会けんぽ様式(2026年6月改訂)で、第4面に並ぶ欄は次のとおりです。

記入内容
患者氏名(カタカナ) 姓と名の間は1マス空ける。濁点・半濁点は1字
労務不能と認めた期間 勤務先での従前の労務に服することができない期間。開始日と終了日
傷病名 労務不能と認めた傷病
初診日 療養の給付の開始年月日
発病または負傷の原因
発病または負傷の年月日
労務不能と認めた期間に診療した日がありましたか はい/いいえ
上記期間中における「主たる症状及び経過」等 症状の経過に加え、治療内容・所見・療養指導も書く自由記載欄
証明日 「上記のとおり相違ないことを証明します」の日付
医療機関の所在地・名称・医師の氏名・電話番号

この構成は様式の都合ではなく、法令が求める記載事項をそのまま欄にしたものです。健康保険法施行規則第84条第2項第1号は、申請書に添付する意見書の内容を「被保険者の疾病又は負傷の発生した年月日、原因、主症状、経過の概要及び労務に服することができなかった期間に関する医師又は歯科医師の意見書」と定めています。歯科医師が証明者になれることも、この条文が根拠です。

訂正方法は様式ごとに指定があります。協会けんぽの様式は「訂正箇所を読み取りができないように塗り潰し、欄外に正しい内容を記入」で、修正液で消して上書きする方法ではありません。

「労務不能と認めた期間」はどう決めるのか

判断の枠組みは、厚生労働省が示している次の考え方です。

必ずしも医学的基準によらず、その被保険者の従事する業務の種別を考え、その本来の業務に堪えうるか否かを標準として社会通念に基づき認定する

つまり基準は「働けるか」一般ではなく、「その人の従前の仕事に就けるか」です。同じ状態でも、デスクワークと重量物を扱う仕事では結論が変わります。第2面の「被保険者の仕事の内容」を患者に確認してから期間を決めると、判断がぶれません。

最終的に支給を決めるのは保険者です。医療機関は医学的な意見を書く立場であって、受給の可否そのものを判定する立場ではありません。

なお、企業内診療所で当該被保険者を実際に診療している産業医であれば、産業医が意見書を作成しても差し支えないとされています。主治医と産業医で意見が食い違った場合は、保険者が双方を参酌して判断します。

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診察していない期間を証明できるか

第4面に「労務不能と認めた期間に診療した日がありましたか」という欄がある以上、診療日のない期間を含む証明そのものは想定されています。ただし「いいえ」と答えた期間は、保険者が判断材料を持たない状態になります。

健康保険組合の様式には、この点を補うための欄が用意されていることがあります。たとえば「労務不能と認めた期間に診療がない場合、証明期間前後の直近診療日をご記入ください」「初診日以前から労務不能と認めた場合はその判断理由をご記入ください」といった欄です。

実務上の落としどころは次の2つです。

  • 診療実績のない期間を広く含めない。患者から「先月分もまとめて」と頼まれても、実際に診ていない期間まで自動的に伸ばさない
  • 診療日のない期間を含めるなら、症状経過欄に判断の根拠を書く。前回受診時の所見、次回受診時の状態、療養指導の内容を残す

初診日より前の日から労務不能と認めるケースも、根拠を書けば成り立ちます。逆に、根拠の記載がないまま初診日より前から期間が始まっていると、初診日との矛盾として照会が来ます。

記入日より先の日付を証明できるか

できません。健康保険法施行規則第84条第3項は、意見書には証明する医師・歯科医師が「診断年月日」を記載しなければならないと定めています。診断していない将来の日について診断年月日は立ちません。

そのため、証明日は労務不能と認めた期間が経過した後の日付になります。「今月末まで休養を要する見込み」という書き方の診断書は、実際に労務不能だった事実の確認ができないため、第4面の証明の代わりにはなりません。

患者が期間の途中に来院して「今日中に月末までの分をください」と求めてきた場合の対応は、期間の終了日を来院日までに区切って証明し、残りは期間経過後に改めて証明する形になります。申請は1か月分ずつまとめて行うのが一般的で、期間を分けても患者の不利にはなりません。

文書料は自費か、保険で算定するか

ここは誤解が多い部分です。保険医療機関及び保険医療養担当規則第6条は、保険給付を受けるために必要な証明書・意見書は無償で交付しなければならないと定めたうえで、傷病手当金に係る意見書をその例外としています。つまり無償ではありません。

一方で、自費で文書料を徴収するものでもありません。診療報酬に「傷病手当金意見書交付料 100点」が設けられており、保険請求するのが原則です。3割負担の患者であれば窓口負担は300円になります。

算定の取扱いは厚生労働省の通知で次のように整理されています。

  • 医師・歯科医師が労務不能と認め証明した期間ごとに、それぞれ算定できる。毎月証明すれば毎月算定できる
  • 請求先は、交付の時点でその被保険者に療養の給付を行うべき保険者
  • 被保険者が死亡し遺族が交付を求めた場合は、遺族に対する療養の給付として請求し、レセプトの摘要欄に「(相続)」と表示する
  • 患者が意見書を紛失して再交付した場合、算定できるのは最初の1回のみ。2度目の交付費用は患者の負担

自費になるのは、この再交付のケースや、傷病手当金の意見書ではない独自書式の診断書を別途求められたケースです。傷病手当金の第4面そのものに対して数千円の文書料を自費で徴収している運用があれば、算定区分を確認したほうがよいでしょう。

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差し戻しの典型パターン

差し戻しの内容 起きる原因 防ぎ方
期間の重複 前回証明した期間の末日と今回の初日が重なる 前回の控えを見てから初日を決める
期間の空白 転院前後で証明期間がつながらない 前医の証明終了日を患者に確認する
初診日との矛盾 初診日より前から労務不能期間が始まっている 判断理由を症状経過欄に書く
傷病名の不一致 第2面の傷病名と第4面の傷病名が違う 別傷病なら別の意見書を出す
発病年月日の不一致 第2面と第4面で年月日がずれている 患者の申告と診療録の記載を見比べる
証明日が期間末日より前 期間の途中で証明している 期間経過後に証明する
記載者の不備 医師以外が医師欄を記入した 医師本人が記入・署名する
訂正方法の不備 修正液を使った、訂正印がない 様式の注記どおりに訂正する

医師欄を医師以外が記入する行為は、健康保険組合が私文書偽造にあたるとして注意喚起しており、給付制限や法的措置の対象になり得ます。代筆の依頼は受けない運用にしておくのが安全です。

協会けんぽと健康保険組合で様式が違う

健康保険組合は独自様式を使うため、欄の構成が協会けんぽと一致しません。よくある差は次のとおりです。

項目 協会けんぽの現行様式 健康保険組合の様式に多い形
診療実日数 欄なし。「診療した日がありましたか」のはい/いいえ 実日数を数字で記入。診療日・入院日をカレンダーで丸囲み
診療日がない期間 専用欄なし 証明期間前後の直近診療日を記入する欄
初診日前からの労務不能 専用欄なし 判断理由を書く欄
訂正方法 塗り潰して欄外に正しい内容 二重線で抹消し、証明者の氏名を記入

協会けんぽの記入例で覚えた手順をそのまま組合様式に当てると、実日数が空欄のまま、カレンダーに丸を付けないままで差し戻されます。受け取った申請書の注記をその都度読むのが結局は早い対応です。なお、傷病手当金意見書交付料は健康保険法第99条第1項の傷病手当金に係る意見書であれば対象になるため、様式が組合独自であっても算定の考え方は変わりません。

よくある質問

歯科医師でも証明できますか

できます。健康保険法施行規則第84条第2項第1号は「医師又は歯科医師の意見書」と定めています。

診断書で代用できますか

できません。第4面が求める項目をすべて満たしておらず、証明日と期間の関係も成立しないためです。患者には申請書の第4面を持参してもらいます。

退職後の申請でも第4面を書きますか

書きます。資格喪失後の継続給付でも、労務不能であったことの証明は必要です。

療養費で受診している場合はどうなりますか

療養の給付ではなく療養費の支給を受ける場合は、意見書の添付が不要とされています(健康保険法施行規則第84条第4項)。この場合は申請書にその旨を記載する扱いです。

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参考

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対象規模

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提供形態

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診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、