通所リハビリテーションを併設するかの判断基準

通所リハビリテーション(デイケア)を自院に併設するかどうかは、「リハビリのニーズがあるか」だけでは決まりません。決め手になるのは、医療保険のリハビリテーション料の届出を持っているか、3平方メートル×利用定員の専用スペースを確保できるか、理学療法士などを常勤で採用できるか、という3つの事実です。

この記事では、通所介護(デイサービス)との制度上の違いを整理したうえで、併設に踏み切る条件・連携で足りる条件・まだ早い条件を分けて示します。

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目次
  1. 通所リハビリテーションと通所介護は制度上どこが違うか
    1. 医師が計画の起点になるかどうか
    2. 法人格が要るかどうか
  2. クリニックが併設する場合の要件
    1. 人員基準
    2. 設備基準
    3. みなし指定の扱い
  3. 併設する・連携で足りる・まだ早いの3つの境界線
    1. 併設に踏み切る条件
    2. 連携で足りる条件
    3. まだ早い条件
  4. 介護報酬の基本報酬とおもな加算
    1. 基本報酬
    2. おもな加算
    3. 令和8年度の期中改定で動いた部分
  5. 指定申請と届出の流れ
  6. よくある質問
  7. 参考

通所リハビリテーションと通所介護は制度上どこが違うか

同じ「通い」のサービスですが、根拠となる基準が別で、開設できる主体も違います。

項目 通所リハビリテーション 通所介護
医師の配置 必須(専任の医師1人以上) 不要
リハビリ専門職 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置が必要 機能訓練指導員1人以上(資格の範囲が広い)
計画の根拠 事業所の医師の診療に基づき通所リハビリテーション計画を作成 通所介護計画(医師の診療は要件ではない)
開設できる主体 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院 法人格が必要(個人開設では不可)
指定 保険医療機関はみなし指定を受けている 新規に指定申請が必要
必要な部屋 専用の部屋等(3平方メートル×利用定員以上) 食堂・機能訓練室のほか相談室、静養室、事務室

医師が計画の起点になるかどうか

通所リハビリテーションでは、通所リハビリテーション計画を事業所の医師の診療に基づいて作成します。医師はリハビリテーションの目的に加えて、開始前・実施中の留意事項、中止基準、負荷量のいずれか1つ以上を指示する必要があり、この詳細な指示は基本報酬の算定要件に含まれます。

通所介護にはこの仕組みがありません。日常生活上の世話と機能訓練が中心で、医師の関与は要件になっていません。既にカルテで患者の経過を持っている医療機関にとって、この差は参入障壁ではなく優位性として働きます。

法人格が要るかどうか

介護保険の事業者指定は、原則として法人であることが前提です。ただし病院・診療所が行う訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導などは例外とされ、個人開設の診療所でも実施できます。

通所介護にはこの例外がありません。個人開設のクリニックがデイサービスを始めるには、まず法人を作るところから逆算します。

クリニックが併設する場合の要件

人員基準

診療所が通所リハビリテーションを行う場合の配置は次のとおりです。

医師

  • 同時に利用する人数が10人を超える場合:専任の常勤医師1人以上
  • 同時に利用する人数が10人以下の場合:専任の医師1人。ただし利用者数は1日48人以内

専任であって専従ではないため、外来を担当している医師が兼ねることができます。通所リハビリテーションのために医師を新たに雇う必要はありません。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・介護職員

  • 提供時間帯を通じて専従で、利用者10人以下は1人以上、10人を超える場合は利用者数を10で除した数以上
  • そのうちリハビリテーションを提供する時間帯に、診療所の場合は専従の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士または経験を有する看護師が常勤換算0.1以上

診療所は病院と基準が分かれており、リハビリ専門職の要件が常勤換算0.1以上と低く設定されています。ここが小規模で始められる根拠です。なお「経験を有する看護師」とは、脳血管疾患等リハビリテーション料や運動器リハビリテーション料の施設基準の届出を行った保険医療機関などで1年以上従事した看護師を指します。

設備基準

  • 専用の部屋等:利用定員に3平方メートルを乗じて得た面積以上
  • サービスの提供に必要な専用の機械および器具

利用定員10人なら30平方メートル、20人なら60平方メートルです。

ここに重要な例外があります。脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料のいずれかの届出を行っている保険医療機関が、1時間以上2時間未満の通所リハビリテーションと介護予防通所リハビリテーションを実施する場合に限り、医療保険のリハビリテーションを受けている患者と同一のスペースで行うことが認められています。この場合に必要な面積は、医療保険の患者数にかかわらず、常時3平方メートル×通所リハビリテーション利用者数以上です。

つまり既にリハビリ室を持っている整形外科や脳神経外科は、増床せずに短時間型から始められます。逆にリハビリ室を持たない内科では、スペースの新規確保が最初の関門になります。

みなし指定の扱い

介護保険法第71条第1項により、健康保険法に基づく保険医療機関の指定があったときは、その指定の時に、当該病院等の開設者について居宅サービスの指定があったものとみなされます。保険医療機関でみなし指定の対象になるのは、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導、短期入所療養介護(療養病床を有する場合)です。介護予防サービスも含みます。

誤解しやすいのは、みなし指定は「基準を満たしているとみなす」制度ではないという点です。みなされるのは指定だけで、人員基準・設備基準・運営基準は自院で満たす必要があります。加えて、介護給付費算定に係る体制等に関する届出を都道府県などに提出しなければ報酬を請求できません。届出の期限は適用したい月の前月15日までが一般的です。

なお、みなし指定を望まない場合は、別段の申出をすることでみなし指定の対象から外れることができます。

併設する・連携で足りる・まだ早いの3つの境界線

判断 向いている条件
併設する 脳血管疾患等・運動器・呼吸器リハビリテーション料のいずれかを届出済みで、リハビリ室が空いている時間帯がある。理学療法士または作業療法士を常勤で雇用済み、または採用の目処が立っている。要介護認定を受けた通院患者が月20人以上いる(同時利用10人以下の枠を週2回転で埋める場合の目安)
連携で足りる リハビリ専門職が非常勤のみ、または未採用。3平方メートル×定員の専用スペースを新たに確保できない。要介護の通院患者はいるが、通いの受け皿として近隣に既存の事業所がある
まだ早い 外来のレセプト業務が回り切っていない。医師が1人で、利用者10人以下・1日48人以内の枠でも外来と両立する見通しが立たない。開業から日が浅く、要介護認定を受けた患者の母数がまだ見えていない

併設に踏み切る条件

判断を分けるのは「いま持っているものを転用できるか」です。リハビリテーション料の届出とリハビリ室が既にあれば、1時間以上2時間未満の短時間型は同一スペースで実施できるため、設備投資はほぼ発生しません。医師も兼務で足ります。残るコストは理学療法士などの人件費で、これが実質的な唯一の固定費です。

利用者数の目安を持つなら、要介護認定を受けた通院患者のうち通いのリハビリが必要な人が何人いるかを、直近3か月のカルテから数えるのが確実です。介護保険の給付は利用者の区分支給限度基準額の中で他サービスと取り合いになるため、ケアマネジャーの計画に入る枠を実際に取れるかが読めなければ、机上の人数は当てになりません。

連携で足りる条件

理学療法士を常勤で雇えない段階では、既存の通所リハビリテーション事業所や訪問リハビリテーション事業所と連携するほうが無理がありません。自院は主治医として診療情報提供と医学的管理を担い、通いの部分を外に出す形です。

令和6年度の改定では、入院中にリハビリテーションを受けていた利用者について、退院後に通所リハビリテーション計画を作成する際、医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書等を入手し内容を把握することが義務づけられました。連携する側の医療機関にとっては、書類を出す役割が明確になったということです。事業所を持たなくても、地域のリハビリの流れに位置を取ることはできます。

まだ早い条件

併設を見送るべきなのは、介護保険の請求体制がゼロから立ち上がる場合です。医療保険のレセプトとは請求先も様式も別で、加算ごとに体制届が要り、業務継続計画の策定や高齢者虐待防止措置など運営基準上の義務も加わります。外来の事務が既に手一杯なら、通所リハビリテーションの併設は事務負荷の追加であって収益の追加にはなりません。

医師が1人体制の診療所も慎重に見るべきです。利用者10人以下・1日48人以内の枠は小規模で始めるには十分ですが、提供時間帯に医師が院内にいることが前提になります。外来の予約枠との重なりを先に引いてみて、両立しないなら時期を待つ判断が妥当です。

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介護報酬の基本報酬とおもな加算

基本報酬

令和6年6月施行の単位数です。通常規模型で病院または診療所が行う場合、1日につき次の単位を算定します。

所要時間 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
1時間以上2時間未満 369 398 429 458 491
2時間以上3時間未満 383 439 498 555 612
3時間以上4時間未満 486 565 643 743 842
4時間以上5時間未満 553 642 730 844 957
5時間以上6時間未満 622 738 852 987 1,120
6時間以上7時間未満 715 850 981 1,137 1,290
7時間以上8時間未満 762 903 1,046 1,215 1,379

介護予防通所リハビリテーションは1か月あたりの包括で、要支援1が2,268単位、要支援2が4,228単位です。

事業所の規模区分は、前年度の1か月あたりの平均利用延人員数で分かれます。令和6年度改定で通常規模型・大規模型(Ⅰ)・大規模型(Ⅱ)の3段階が通常規模型・大規模型の2段階に統合され、750人が境目になりました。大規模型であっても、リハビリテーションマネジメント加算の算定率が利用者全体の80%以上、かつリハビリテーション専門職の配置が10対1以上であれば、通常規模型と同等の評価を受けられます。クリニック併設の規模なら通常規模型に収まります。

おもな加算

加算 単位
リハビリテーションマネジメント加算(イ) 同意日の属する月から6か月以内560単位/月、6か月超240単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(ロ) 同6か月以内593単位/月、6か月超273単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(ハ) 同6か月以内793単位/月、6か月超473単位/月
医師が利用者または家族に説明し同意を得た場合 上記に加えて270単位/月
リハビリテーション提供体制加算 1日につき12〜28単位(所要時間により変動)
短期集中個別リハビリテーション実施加算 110単位/日
入浴介助加算(Ⅰ) 40単位/日
入浴介助加算(Ⅱ) 60単位/日
中重度者ケア体制加算 20単位/日
移行支援加算 12単位/日
退院時共同指導加算 600単位/回

令和6年度改定で新設されたリハビリテーションマネジメント加算(ハ)は、リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に評価する区分です。管理栄養士を事業所の従業者としてまたは外部との連携により1名以上配置し、多職種が共同して栄養アセスメントと口腔の健康状態の評価を行うことが要件になります。従来の加算(B)は廃止され、医師が利用者または家族に説明して同意を得る部分は270単位の別建ての加算に組み替えられました。

減算側も確認します。送迎を行わない場合は片道につき47単位の減算、事業所と同一建物に居住する利用者などには1日94単位の減算があります。送迎の有無で採算が変わるため、車両と運転手をどう手当てするかは併設の設計段階で決めます。

令和8年度の期中改定で動いた部分

令和9年度の定例改定を待たず、令和8年度に期中改定が行われました。改定率は+2.03%で、内訳は処遇改善分+1.95%と基準費用額(食費)の引上げ分+0.09%です。処遇改善に関する見直しは令和8年6月施行、食費の基準費用額の見直しは令和8年8月施行です。

通所リハビリテーションの基本報酬と上記の加算は据え置きで、変わったのは介護職員等処遇改善加算の率と区分です。令和8年6月施行後は次のようになります。

区分 所定単位数に対する率
介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ 1000分の103
介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)ロ 1000分の111
介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)イ 1000分の100
介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)ロ 1000分の108
介護職員等処遇改善加算(Ⅲ) 1000分の83
介護職員等処遇改善加算(Ⅳ) 1000分の70

(Ⅰ)と(Ⅱ)にロの区分が新設され、生産性向上や協働化に取り組む事業所が上乗せを受けられる形になりました。併設を検討する段階では、この加算を取れるかどうかで人件費の回収見込みが変わります。処遇改善計画書の提出が前提になるため、開始前に様式と期限を確認してください。

指定申請と届出の流れ

保険医療機関の場合、通所リハビリテーションの新規指定申請そのものは不要です。手順は次のようになります。

  1. 人員基準・設備基準・運営基準を満たす体制を整える
  2. 運営規程、通所リハビリテーション計画の様式、業務継続計画、虐待防止のための指針などを整備する
  3. 介護給付費算定に係る体制等に関する届出を、適用したい月の前月15日までに都道府県または市町村へ提出する
  4. 算定する加算がある場合は、加算ごとの体制届をあわせて提出する
  5. 国保連合会への請求に必要な手続きを済ませる

体制届では、高齢者虐待防止措置実施の有無、業務継続計画策定の有無、身体拘束廃止実施の有無、人員・設備に関する事項などを届け出ます。届出の様式や提出先、受付期限は自治体ごとに運用が異なるため、所在地の都道府県・政令市・中核市の指定申請の手引きを必ず確認してください。

通所介護を選ぶ場合は、法人格の取得から新規指定申請まで手順が増えます。申請の受付は月単位で締め切られ、指定までに1か月以上かかるのが通常です。

よくある質問

Q. 通所リハビリテーションと通所介護を同じクリニックで両方やることはできますか

制度上は可能ですが、通所介護には法人格が必要です。また設備基準を満たすスペースを事業ごとに区分して確保します。併設の医療機関のスペースと合わせて設置することは認められますが、事業ごとに区分し、それぞれが面積基準を満たしていることが条件です。

Q. みなし指定を受けているなら、届出なしで報酬を請求できますか

できません。みなされるのは指定だけです。介護給付費算定に係る体制等に関する届出を提出していなければ請求できません。

Q. 医療保険のリハビリテーションと同じ部屋で実施できるのはどの場合ですか

脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料のいずれかを算定する届出を行っている保険医療機関が、1時間以上2時間未満の通所リハビリテーションと介護予防通所リハビリテーションを実施する場合に限られます。3時間以上の類型では認められません。

Q. 利用定員に上限はありますか

一律の上限はありませんが、診療所で同時に利用する人数が10人以下の類型を選ぶ場合は、1日の利用者数が48人以内という制限があります。同時に10人を超える場合は専任の常勤医師1人以上が必要になります。

Q. 介護報酬はいつ改定されますか

介護報酬は3年ごとに改定されます。基本報酬の水準を決めた直近の定例改定は令和6年度改定で、通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションの基本報酬は令和6年6月1日施行でした。その後、令和9年度の定例改定を待たずに令和8年度の期中改定が行われ、介護職員等処遇改善加算と食費の基準費用額が見直されています。通所リハビリテーションの基本報酬の単位数自体は令和6年6月施行の水準のままです。

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参考

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対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、