皮膚欠損用創傷被覆材は、真皮以上の深さの皮膚欠損に対して、創傷治癒の促進、創面の保護、疼痛の軽減を目的に使う特定保険医療材料です。定義通知で一般的名称が「局所管理フォーム状創傷被覆・保護材」「局所管理ハイドロゲル創傷被覆・保護材」「局所管理親水性ゲル化創傷被覆・保護材」などとされているものが該当し、手技料とは別に材料価格を請求できます。
ただし、同じ被覆材でも、創の深さ、使った期間、外来の処置か在宅での支給かによって、算定できるかどうかが変わります。この記事では、令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)後の材料価格基準と留意事項通知に沿って、その条件を整理します。
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皮膚欠損用創傷被覆材の区分と材料価格
材料価格基準(令和8年厚生労働省告示第73号)では、次の4区分に分かれています。外来の処置で使う場合(別表Ⅱ-101)、在宅療養指導管理料に併せて支給する場合(別表Ⅰ-008)、保険薬局が処方箋で支給する場合(別表Ⅷ-012)のいずれも、価格は同じです。
| 機能区分 | 材料価格 | レセプトで使える略称 |
|---|---|---|
| 真皮に至る創傷用 | 1㎠当たり6円 | 被覆材・真皮用 |
| 皮下組織に至る創傷用・標準型 | 1㎠当たり10円 | 被覆材・皮下組織用(標準) |
| 皮下組織に至る創傷用・異形型 | 1g当たり35円 | 被覆材・皮下組織用(異形) |
| 筋・骨に至る創傷用 | 1㎠当たり25円 | 被覆材・筋骨用 |
点数は材料価格を10円で除し、端数を四捨五入して求めます。たとえば皮下組織に至る創傷用・標準型を100㎠使った場合は1,000円で100点、異形型を3g使った場合は105円で11点です。
「標準型」はシート、ロープ、リボン状などの標準形状のもの、「異形型」は顆粒状、ペースト状、ジェル状などの標準形状以外のものを指します。どの区分に当たるかは製品ごとに決まっているので、請求時は製品の保険適用区分を確認します。
創の深さと算定区分の判定表
留意事項通知では、各区分を、その区分が想定する深さの創傷または熱傷以外に使った場合は算定できないとしています。創の深さと使った製品の区分が合っているかが、最初の判定になります。
| 創の状態 | 算定できる区分 | 算定できない例 |
|---|---|---|
| 真皮に至る創傷 | 真皮に至る創傷用 | 皮下組織用・筋骨用の製品を使った |
| 皮下組織に至る創傷 | 皮下組織に至る創傷用(標準型・異形型) | 筋骨用の製品を使った |
| 筋・骨に至る創傷 | 筋・骨に至る創傷用 | — |
| 熱傷 | いずれの区分も可 | — |
| 手術縫合創 | 算定できない | 深さにかかわらず算定不可 |
| 創面保護だけが目的 | 算定できない(手技料に含まれる) | 点滴の穿刺部や軽微な擦過傷を覆っただけ |
深さの判断は、カルテの創の記載と一致している必要があります。褥瘡であればDESIGN-R分類の深さ(D3、D4、D5など)を記録しておくと、区分との対応を後から確認できます。
算定期間は2週間標準・3週間限度
算定できる期間は、外来の処置で使う場合と在宅で支給する場合で書き方が違います。
| 使い方 | 期間 | 期間を超える場合 |
|---|---|---|
| 外来の処置で使用(別表Ⅱ-101) | 2週間を標準とし、特に必要と認められる場合は3週間を限度 | 3週間を超える算定の規定はない |
| 在宅療養指導管理料に併せて支給(在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の患者以外) | 原則として3週間を限度 | 算定が必要な場合は、レセプト摘要欄に詳細な理由を記載 |
| 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料を算定している患者に在宅で支給 | 在宅支給の3週間の限度の定めは適用されない | — |
外来の処置では、3週間を超えて被覆材を使い続けても、超えた分の材料価格は算定できません。その後は、被覆材の費用は医療機関の負担となり、創傷処置の手技料のみを算定する形になります。期間の起点が曖昧だと、どこまで算定できるかを確認できないため、使い始めた日をカルテに残しておきます。
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被覆材の費用を算定できない4つの場合
留意事項通知で、皮膚欠損用創傷被覆材は次の場合には算定できないとされています。
- 手術縫合創に対して使用した場合
- 真皮に至る創傷用を、真皮に至る創傷または熱傷以外に使用した場合
- 皮下組織に至る創傷用(標準型・異形型)を、皮下組織に至る創傷または熱傷以外に使用した場合
- 筋・骨に至る創傷用を、筋・骨に至る創傷または熱傷以外に使用した場合
このほかにも、算定上の制限があります。
- 主として創面保護を目的とする被覆材の費用は、使用する手技料の所定点数に含まれ、別に算定できない
- 同一部位に複数の創傷被覆材を用いた場合は、主たるもののみを算定する
- 薬事承認または認証された使用目的以外に用いた場合は算定できない
同一部位に2種類を重ねて使った場合、たとえば異形型を充填し、その上から標準型で覆った場合でも、算定できるのは主たるものの1つだけです。
在宅で支給する場合の要件
患者や家族が在宅で交換する分を医療機関が支給する場合は、次のどちらかに当たることが必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 褥瘡の患者 | いずれかの在宅療養指導管理料を算定していて、在宅で療養している通院困難な患者のうち、皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。DESIGN-R分類のD3、D4、D5)を有する患者の当該褥瘡に使用する場合 |
| 在宅難治性皮膚疾患の患者 | C114在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料(1,000点)を算定している患者に使用する場合。対象は表皮水疱症または水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症で、難治性の皮膚病変に特殊な処置が必要な患者 |
通院している患者の褥瘡や、褥瘡以外の皮膚潰瘍に使う分を持ち帰らせても、この要件には当たりません。また「いずれかの在宅療養指導管理料」なので、C109在宅寝たきり患者処置指導管理料(1,050点)に限らず、在宅酸素療法指導管理料などを算定している通院困難な患者でも、D3以上の褥瘡があれば対象になります。
院外処方箋で保険薬局から支給することもでき、この場合も同じ要件が適用されます。
処置料と併せて算定するときの注意
外来で被覆材を使う主な処置と、併せて確認しておく点は次のとおりです。
| 処置 | 点数(令和8年度) | 注意点 |
|---|---|---|
| J000 創傷処置 | 100㎠未満52点、100㎠以上500㎠未満60点ほか | 軟膏の塗布や湿布の貼付のみの処置では算定できない |
| J001-4 重度褥瘡処置 | 100㎠未満90点、100㎠以上500㎠未満98点ほか | 初回の処置から2月を経過するまで。以降は創傷処置の例により算定 |
| J001 熱傷処置 | 100㎠未満135点ほか | 初回の処置から2月を経過するまで。第1度熱傷の「1」は基本診療料に含まれる |
在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く)については、創傷処置などの費用は、薬剤と特定保険医療材料の費用を含めて算定できません。往診や訪問診療の際に医師が被覆材を交換した場合でも、その処置と材料の費用は請求できない点に注意が必要です。一方、上記の在宅で支給する要件を満たす場合は、患者宅で使う分の支給として算定できます。
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創傷被覆材を算定したときのレセプト摘要欄の書き方
| 場面 | 記載する欄と事項 |
|---|---|
| 外来の処置で使用 | 「処置」欄。摘要欄に処置名と点数、続けて特定保険医療材料として商品名、(告示名または略称)、規格・サイズ、材料価格、使用量 |
| 在宅療養指導管理料に併せて支給(在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料を除く) | 「在宅」欄の「薬剤」の項に総点数。摘要欄に特定保険医療材料の総点数、名称、セット数 |
| 在宅で3週間を超えて算定する場合 | 摘要欄に「3週間を超えて算定する詳細な理由」(記載要領別表Ⅳ) |
外来の処置での記載例は次のとおりです。
創傷処置 1 100平方センチメートル未満 52×1
特定保険医療材料〔商品名〕○○○○
(被覆材・皮下組織用(標準)1㎠当たり10円) 100㎠
100×1
電子レセプトでは、3週間を超える理由の記載にレセプト電算処理システム用コードが割り当てられています。令和8年6月1日適用と表示されたコードは、令和8年10月診療分以降に選択すればよいとされています。
よくある質問
外来の処置で3週間を超えたら、理由を書けば算定できるか
外来の処置で使う場合(別表Ⅱ-101)は、2週間を標準とし、特に必要と認められる場合に3週間を限度として算定できると定められており、超えた場合に理由を書いて算定する規定はありません。理由の記載で3週間を超えて算定できるのは、在宅で支給する場合です。
褥瘡ではない下腿潰瘍に使う分を、在宅用に支給できるか
在宅での支給が認められるのは、通院困難な患者のD3以上の褥瘡と、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の患者に限られます。褥瘡以外の潰瘍に使う分を在宅用に支給しても、材料の費用は算定できません。外来で処置する際に使う分は、処置の特定保険医療材料として算定できます。
手術後の創に使った場合は算定できるか
手術縫合創に使った場合は算定できません。手術創が離開して皮下組織に至る創傷になっている場合などは、実際の創の深さに応じて判断することになるため、創の状態をカルテに記載しておきます。
まとめ
皮膚欠損用創傷被覆材は、真皮用6円、皮下組織用・標準型10円、異形型35円(1g当たり)、筋骨用25円の4区分で、創の深さ(または熱傷)と区分が合っている場合に算定できます。手術縫合創と、創面保護だけが目的の使用は算定できず、同一部位に複数使った場合は主たるものだけを算定します。
期間は、外来の処置では2週間を標準、3週間が限度です。在宅での支給は、通院困難な患者のD3以上の褥瘡か在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の患者に限られ、原則3週間を超える場合は摘要欄に理由を記載します。在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者では、処置と材料の費用が算定できない点も押さえておきます。
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参考
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第73号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665200.pdf
- 厚生労働省「特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について」(令和8年3月5日保医発0305第1号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686844.pdf
- 厚生労働省「特定保険医療材料の定義について」(令和8年3月5日保医発0305第4号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707258.pdf
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
- 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732127.pdf
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