爪甲除去の算定要件|麻酔の有無で分かれる処置と手術の区分、令和8年度の点数、併算定とレセプト

爪甲除去は、麻酔を要するかどうかで区分が変わります。麻酔を要しない程度なら処置の「J001-7 爪甲除去(麻酔を要しないもの)」、麻酔をかけて爪甲を除去したら手術の「K089 爪甲除去術」です。点数は10倍近く違うため、どちらで請求するかの根拠をカルテに残しておくことが、査定を避けるいちばんの近道になります。

この記事では、令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)後の点数表と留意事項通知に沿って、2つの区分の分かれ目、併算定の制限、傷病名とレセプトの書き方を整理します。陥入爪の爪母処理や形成を伴う手術(K091 陥入爪手術)は別の区分なので、境界として触れるだけにとどめます。

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目次
  1. 爪甲除去の点数(令和8年度)
  2. 爪甲除去の算定要件は「麻酔を要するか」で分かれる
  3. 爪甲除去術で使う局所麻酔の算定
  4. 爪甲除去術は指ごとに算定できる
  5. 爪甲除去と同時に算定できない処置・管理料
  6. 爪甲除去の傷病名とレセプトで確認される点
  7. 爪甲除去の算定前チェックリスト
  8. よくある質問
    1. 爪甲除去(麻酔を要しないもの)は月2回算定できるか
    2. 巻き爪の爪切り(爪甲の切りそろえ)は爪甲除去に当たるか
    3. 爪下血腫で爪甲を開窓して血を抜いた場合も爪甲除去か
  9. まとめ
  10. 参考

爪甲除去の点数(令和8年度)

区分 点数 算定できる患者
J001-7 爪甲除去(麻酔を要しないもの) 80点 入院中の患者以外
K089 爪甲除去術 770点 入院・外来とも

J001-7は令和6年度の70点から80点に上がりました。改定前のマスタのまま請求していないか、レセコンの点数を一度確かめておくと安心です。

爪甲除去の算定要件は「麻酔を要するか」で分かれる

K089の留意事項通知には、次の一文があります。

爪甲白せん又は爪床間に「とげ」等が刺さった場合の爪甲除去で、麻酔を要しない程度のものは「J001-7」爪甲除去(麻酔を要しないもの)により算定する。

つまり、爪白癬で浮いた爪甲を取る、爪の下に刺さったとげを爪甲ごと除くといった、麻酔なしで済む処置はJ001-7です。麻酔が必要な状態で爪甲を除去した場合にK089となります。

場面 区分
爪白癬で浮いた爪甲を麻酔なしで除去 J001-7(80点)
爪床間のとげを爪甲ごと麻酔なしで除去 J001-7(80点)
指ブロック等の局所麻酔をして爪甲を除去 K089(770点)
陥入爪で、爪母の処理や爪床・爪母の形成を伴う K091 陥入爪手術(1 簡単なもの 1,400点/2 爪床爪母の形成を伴う複雑なもの 2,490点)

K089で請求するなら、麻酔を行ったこと(使った薬剤と量)がカルテで読み取れる必要があります。麻酔の記録がないままK089を請求すると、J001-7への減点につながりやすくなります。

爪甲除去術で使う局所麻酔の算定

指ブロックや浸潤麻酔の手技料は、別に算定できません。麻酔の部の通則で、第1節に掲げられていない表面麻酔・浸潤麻酔・簡単な伝達麻酔は、薬剤を使ったときに限り薬剤料だけを算定すると定められているためです。

「L005 上・下肢伝達麻酔」は、上肢なら腕神経叢、下肢なら少なくとも坐骨神経と大腿神経の麻酔を行った場合の区分です。指趾の根元で行う麻酔はこれに当たらないため、K089の770点に局所麻酔剤の薬剤料を加える形になります。

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爪甲除去術は指ごとに算定できる

K089は、留意事項通知で「第1指から第5指までのそれぞれを同一手術野とする手術」に挙げられています。指ごとに別の手術野として扱われるため、右第1趾と右第2趾の2本で爪甲除去術を行った場合は、770点を2回算定できます。

処置のJ001-7には、手術のような指ごとの規定は置かれていません。同じ日に複数の爪を処置したときの扱いは地域の審査で判断が分かれることがあるため、自院の返戻・査定の実績を見て運用を決めておくのが無難です。

爪甲除去と同時に算定できない処置・管理料

J001-7は、次の処置や管理料と同じ部位・同じ患者で重なると別に算定できません。

同時に行った処置/算定している管理料 J001-7の扱い
J000-2 下肢創傷処置(同一部位) 併せて算定できない
J001 熱傷処置 併せて算定できない
J001-4 重度褥瘡処置 併せて算定できない
C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料 費用は算定できない
C112 在宅気管切開患者指導管理料、C112-2 在宅喉頭摘出患者指導管理料 費用は算定できない
在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料を算定している月 所定点数に含まれ、別に算定できない

在宅で訪問診療をしている患者の爪甲除去(麻酔を要しないもの)は、在宅時医学総合管理料の月は請求できない点に注意が必要です。

処置・手術を行った日は、再診料の外来管理加算(52点)も算定できません。外来管理加算は、処置や手術などを行わずに計画的な医学管理を行った場合の加算だからです。

糖尿病合併症管理料(170点)は、専任の医師または看護師が、爪甲切除(陥入爪・肥厚爪・爪白癬等に対して麻酔を要しないで行うもの)や角質除去、足浴などを必要な場合に行い、フットケアの指導をした場合に算定する管理料です。管理料の中で行った爪甲切除を、別にJ001-7として重ねて請求するのは避けたほうが安全です。

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爪甲除去の傷病名とレセプトで確認される点

爪甲除去に対応する傷病名としては、爪白癬、陥入爪、爪甲剥離症、爪下血腫、爪下異物(とげ等)、爪囲炎などが挙げられます。処置の理由が傷病名から読み取れないと、返戻や査定の対象になりやすくなります。

診療報酬請求書等の記載要領には、J001-7やK089に固有の摘要欄記載の定めは見当たりません。ただ、審査で見られるのは次の点です。

  • 傷病名と部位(どの指・趾か)が処置内容と対応しているか
  • K089なら、局所麻酔剤の薬剤料が同じ日に請求されているか
  • K089を複数回請求するなら、指が別であることが分かるか(摘要欄に「右第1趾、右第2趾」のように書いておくと伝わりやすい)
  • 下肢創傷処置や在宅の管理料と重なっていないか

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爪甲除去の算定前チェックリスト

  • 麻酔なしならJ001-7(80点、外来のみ)、麻酔ありならK089(770点)
  • K089は麻酔の実施と薬剤がカルテに残っている
  • 局所麻酔の手技料は別に取らず、薬剤料だけを算定する
  • K089を複数の指で行ったら、指ごとに算定し部位を明記する
  • 爪母の処理や形成を伴うならK091陥入爪手術を検討する
  • 下肢創傷処置・熱傷処置・重度褥瘡処置と同じ部位で重ねていない
  • 在宅時医学総合管理料や在宅寝たきり患者処置指導管理料の患者ではない
  • 処置・手術の日に外来管理加算を算定していない

よくある質問

爪甲除去(麻酔を要しないもの)は月2回算定できるか

点数表と留意事項通知には、J001-7の回数制限は定められていません。算定のたびに爪甲を除去した事実と医学的な必要性が問われるので、短い間隔で繰り返す場合は、その理由をカルテに書いておきます。

巻き爪の爪切り(爪甲の切りそろえ)は爪甲除去に当たるか

爪甲除去は爪甲を取り除く処置です。伸びた爪を切りそろえるだけなら爪甲除去には当たらず、処置として請求できるものではありません。

爪下血腫で爪甲を開窓して血を抜いた場合も爪甲除去か

爪甲を取り除いていなければ爪甲除去には当たりません。行った処置の内容に合わせて区分を選びます。

まとめ

爪甲除去の算定要件は、麻酔を要するかどうかで決まります。麻酔なしならJ001-7(80点)、局所麻酔をして除去したらK089爪甲除去術(770点)で、K089は指ごとに算定できます。局所麻酔は薬剤料のみで、下肢創傷処置や在宅の管理料とは重ねられません。

麻酔の有無、部位、傷病名の3つを電子カルテに残しておくと、区分の選択とレセプト点検が同じ記録で済みます。

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参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
  • 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732127.pdf
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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、