公費負担医療制度の法別番号一覧|受給者証で確認すること、レセコンへの入れ方、保険優先と公費優先の見分け方

公費の受給者証を受け取ったら、まず公費負担者番号の先頭2桁を見ます。この2桁が法別番号で、どの制度の公費なのかを示しています。制度が分かれば、保険と一緒に使うのか、公費だけで請求するのか、ほかの公費と重なったときにどちらを先に書くのかが決まります。

この記事では、厚生労働省の「診療報酬請求書等の記載要領等について」に載っている法別番号の一覧を、令和8年6月1日から適用されている版で整理します。あわせて、受付で受給者証を見て確認することと、レセコンに登録するときの順番をまとめます。

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目次
  1. 法別番号は公費負担者番号の先頭2桁
  2. 公費負担医療制度の法別番号一覧表
  3. 保険優先と公費優先を受給者証から見分ける
  4. 受付で公費の受給者証を見て確認すること
  5. レセコンに公費を登録する手順
  6. 公費が2つ以上あるときの第1公費・第2公費の順番
  7. 法別番号一覧に無い番号は自治体の医療費助成
  8. よくある質問
    1. 法別番号の一覧は改定で変わりますか。
    2. 受給者証を忘れた患者は、公費を使えますか。
    3. 生活保護の患者が健康保険にも入っている場合はどうなりますか。
  9. まとめ
  10. 参考

法別番号は公費負担者番号の先頭2桁

公費負担者番号は8桁の数字です。記載要領の「保険者番号等の設定要領」では、次の組み合わせと決められています。

桁 中身
1〜2桁目 法別番号(制度の種類)
3〜4桁目 都道府県番号
5〜7桁目 実施機関番号
8桁目 検証番号

たとえば「54」で始まる番号なら難病法の特定医療、「21」なら障害者総合支援法の精神通院医療です。受給者番号は別に7桁(受給者区分6桁と検証番号1桁)で振られています。

健康保険の保険者番号も同じ8桁の形で、先頭2桁が法別番号です。協会けんぽは01、組合健保は06、後期高齢者医療は39となります。国民健康保険だけは法別番号を持たない6桁です。受付で8桁の番号を見たら、先頭2桁で「保険の番号か、公費の番号か」を見分けられます。

公費負担医療制度の法別番号一覧表

記載要領の別表1「法別番号及び制度の略称表」のうち、公費負担医療制度の部分です。表の並びは通知のままにしています。この並びは、公費が2つ以上重なったときの順番(第1公費・第2公費)の基準にもなるので、入れ替えずに見てください。

「保険との関係」の列は、根拠法の条文から読み取れるものだけを書いています。「保険優先」は、まず健康保険などで給付し、残る自己負担分を公費がみる制度です。「全額公費」は、医療費の全額を公費が負担する制度です。空欄の制度は、受給者証や実施機関の案内で確認してください。

法別番号 制度 根拠法 主な対象 保険との関係
13 療養の給付 戦傷病者特別援護法 第10条 公務上の傷病と認定された戦傷病者 全額公費
14 更生医療 戦傷病者特別援護法 第20条 公務上の傷病で障害がある戦傷病者 全額公費
18 認定疾病医療 原子爆弾被爆者援護法 第10条 原爆症と認定された傷病 全額公費
29 新感染症の患者の入院、新感染症外出自粛対象者の医療 感染症法 第37条・第50条の3 新感染症の患者 全額公費(入院)
30 医療の給付 医療観察法 第81条 医療観察法の入院・通院決定を受けた人 全額公費
10 結核患者の適正医療 感染症法 第37条の2 結核の通院医療 保険優先(医療費の95%までを公費)
11 結核患者の入院 感染症法 第37条 結核で入院勧告・措置を受けた人 保険優先
20 措置入院 精神保健福祉法 第29条 措置入院の患者
21 精神通院医療 障害者総合支援法 第5条 精神疾患で継続的に通院する人 保険優先
15 更生医療 障害者総合支援法 第5条 18歳以上の身体障害者 保険優先
16 育成医療 障害者総合支援法 第5条 18歳未満の障害児 保険優先
24 療養介護医療・基準該当療養介護医療 障害者総合支援法 第70条・第71条 療養介護を受ける人 保険優先
22 入院措置 麻薬及び向精神薬取締法 第58条の8 麻薬中毒者の措置入院
28 一類感染症等の患者の入院、新型インフルエンザ等感染症外出自粛対象者の医療 感染症法 第37条・第44条の3の2 一類・二類感染症などの入院患者 保険優先(入院)
17 療育の給付 児童福祉法 第20条 結核で長期療養する児童
79 肢体不自由児通所医療・障害児入所医療 児童福祉法 第21条の5の29・第24条の20 障害児通所・入所施設の児童 保険優先
19 一般疾病医療費 原子爆弾被爆者援護法 第18条 被爆者健康手帳を持つ人の認定疾病以外の傷病 保険優先
23 養育医療 母子保健法 第20条 入院が必要な未熟児
52 小児慢性特定疾病医療支援 児童福祉法 第19条の2 小児慢性特定疾病の児童 保険優先
54 特定医療 難病法 第5条 指定難病の患者 保険優先
51 特定疾患治療費、先天性血液凝固因子障害等治療費など 国庫補助の事業 スモン、血友病などの対象疾患
38 肝炎治療特別促進事業、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業 国庫補助の事業 B型・C型肝炎の抗ウイルス療法など
53 児童福祉法の措置等に係る医療の給付 児童福祉法 措置により施設に入所している児童など
66 医療費の支給 石綿健康被害救済法 第4条 石綿による中皮腫・肺がんなどの認定患者
62 定期検査費・母子感染症防止医療費 特定B型肝炎ウイルス感染症給付費等特別措置法 第12条・第13条 特定B型肝炎ウイルスの感染者
25 医療支援給付 中国残留邦人等支援法 第14条 支援給付を受ける中国残留邦人等
12 医療扶助 生活保護法 第15条 生活保護の受給者 ほかの法律の給付を先に使う(生活保護法 第4条)

受付でよく見るのは、21(精神通院)、54(難病)、52(小児慢性)、15・16(更生・育成医療)、10(結核)、12(生活保護)、19(被爆者の一般疾病)あたりです。全額公費の13・14・18・29・30は、診療科によってはほとんど見かけません。

保険優先と公費優先を受給者証から見分ける

保険を先に使うかどうかは、根拠法に「健康保険法などの給付を受けられるときは、その限度で公費の支給を行わない」という調整の規定があるかで分かれます。難病法第12条、障害者総合支援法第7条、児童福祉法第19条の7、感染症法第39条、原爆被爆者援護法第18条ただし書などがこの規定です。反対に、戦傷病者特別援護法の療養の給付、原爆の認定疾病医療、医療観察法の医療にはこの規定がなく、国が医療費の全額を負担します。感染症法第39条も、新感染症の患者は保険優先の対象から外しています。

受付での判定は、次の境界線で考えると迷いません。

受付で見た状況 請求の形 当てはまる制度の例
保険証(資格確認)と公費の受給者証の両方がある。公費が保険優先の制度 保険と公費の併用。保険で給付し、自己負担分を公費がみる 21・54・52・15・16・10・19
公費の受給者証(医療券)があり、その公費が全額公費の制度 公費単独で請求する 13・14・18・30
生活保護の医療券だけがあり、健康保険の資格がない 生活保護の単独で請求する 12
生活保護の医療券と、ほかの公費の受給者証がある ほかの公費を先に、生活保護を後に並べる 54と12、21と12など
公費の受給者証はあるが、今日の診療が対象の疾病ではない その日の診療は公費を使わず保険だけで請求する 21・54・52など疾病が決まっている制度

最後の行は取りこぼしやすいところです。精神通院医療や特定医療は、受給者証に書かれた疾病の治療にしか使えません。同じ患者でも、かぜで受診した日は公費の対象外になります。

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受付で公費の受給者証を見て確認すること

受給者証を受け取ったら、次の6点を順に見ます。

  1. 公費負担者番号(8桁)と受給者番号(7桁)
  2. 先頭2桁の法別番号と、それが表のどの制度か
  3. 有効期間。開始日より前の受診や、期限が切れた証では使えない
  4. 指定医療機関の欄。精神通院医療・特定医療・小児慢性などは、受給者証に書かれた医療機関でしか使えない。自院の名前があるかを見る
  5. 対象の疾病(傷病名)
  6. 自己負担の上限額と、上限額を管理する書類があるか

4の指定医療機関の欄に自院が無い場合は、その日の診療に公費は使えません。患者には、受給者証を発行した自治体の窓口で医療機関の追加や変更の手続きをしてもらうよう案内します。

6の上限額は、月ごとの負担を合計して管理する制度があります。上限額の管理票を持っている患者には、会計のたびに提示してもらい、その日の負担額を記入します。記入を忘れると、ほかの医療機関や薬局で負担を取りすぎたり、取らなさすぎたりする原因になります。

レセコンに公費を登録する手順

レセコンの画面は製品ごとに違いますが、登録の順番はどれも同じです。

  1. 保険(保険者番号・記号番号・負担割合)を先に登録する
  2. 公費を追加し、公費負担者番号8桁と受給者番号7桁を入れる
  3. 有効期間の開始日と終了日を入れる
  4. 自己負担の上限額がある制度は、上限額を入れる
  5. 公費が2つ以上あるときは、優先順位(第1公費・第2公費)を設定する
  6. 疾病が決まっている制度は、対象の病名と公費を結びつける

入力の後は、先頭2桁が制度に合っているか、8桁目の検証番号でエラーが出ていないかを見ます。検証番号は、ほかの7桁から計算で決まる数字です。1桁でも打ち間違えるとレセコンがエラーを返すことが多いので、エラーが出たら受給者証を見直してください。

6を抜かすと、公費の対象外の診療まで公費で請求してしまいます。その結果、返戻や査定につながります。

公費が2つ以上あるときの第1公費・第2公費の順番

記載要領では、医療保険に2種の公費を併用する場合、別表1に示す順番で先の制度を「第1公費」、後の制度を「第2公費」とします。上の一覧表の上にある制度ほど先順位です。

よくある組み合わせは次のとおりです。

組み合わせ 第1公費 第2公費
精神通院医療と生活保護 21 12
特定医療(難病)と生活保護 54 12
結核の適正医療と精神通院医療 10 21
小児慢性特定疾病と、自治体の子どもの医療費助成 52 自治体の助成

生活保護(12)は一覧の最後にあるので、ほかの公費と重なれば必ず後の順番になります。生活保護法第4条が、ほかの法律による扶助を保護より先に行うと定めているためです。

公費が3つになった場合は、3つ目を「第3公費」として摘要欄に記載します。

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法別番号一覧に無い番号は自治体の医療費助成

受給者証の先頭2桁が別表1のどれにも当たらない場合、その多くは都道府県や市区町村が独自に行う医療費助成です。子ども、ひとり親家庭、重度心身障害者などの医療費助成がこれにあたります。

記載要領は、審査支払機関に医療費を請求する自治体の助成も公費負担医療として扱うとしています。ただし、法別番号の振り方や国の公費との順番は、自治体ごとに決められています。自院のある都道府県の国保連合会や自治体の案内で、番号と請求の方法を確認してください。自治体によっては、窓口で負担を受け取り、患者が後から申請する償還払いの形をとる助成もあります。

よくある質問

法別番号の一覧は改定で変わりますか。

変わります。令和8年6月1日から適用されている記載要領の別表1では、28番と29番に外出自粛対象者の医療が、38番に肝がん・重度肝硬変の事業が含まれています。制度ができたり名前が変わったりすると表も改められるので、診療報酬の改定のたびに、厚生労働省の改定ページで記載要領を確認してください。

受給者証を忘れた患者は、公費を使えますか。

その日の受給者証の内容を確認できなければ、公費として請求できません。いったん保険の負担割合で会計し、後日受給者証を持ってきてもらったときに精算するかどうかは、院内でルールを決めておくと受付の対応がそろいます。

生活保護の患者が健康保険にも入っている場合はどうなりますか。

生活保護法第4条により、健康保険などほかの制度が先に使われます。健康保険の資格があれば保険と生活保護の併用になり、資格がなければ生活保護の単独で請求します。月ごとに福祉事務所が発行する医療券の内容で確認してください。

まとめ

法別番号は公費負担者番号の先頭2桁で、制度の種類を示しています。受付では、番号から制度を特定し、有効期間・指定医療機関・対象疾病・上限額を確認します。レセコンには保険、公費、優先順位、病名との結びつけの順に登録し、公費が重なったら別表1の並びで第1公費と第2公費を決めます。

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