労災の受診の流れ|「仕事中のけが」で来院した患者に受付がすること、様式第5号・第16号の3・第7号の扱い、健康保険からの切り替え

患者が「仕事中にけがをした」「通勤の途中で転んだ」と言ったら、その受診には健康保険を使いません。労災保険で治療を受けるのが原則です。受付がすることは、業務中か通勤中かを聞き分け、自院が労災指定医療機関かどうかに合わせて、受け取る様式と会計の扱いを決めることです。

この記事では、受付で聞き取る項目から、様式第5号・第16号の3の受け取り、指定外の医療機関で受診したときの様式第7号、健康保険で受診してしまった後の切り替えまでを、流れの順にまとめます。

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目次
  1. 労災の受診の流れを受付目線で整理
  2. 労災の患者が来たときの受付での聞き取り
  3. 仕事中・通勤中のけがで健康保険証を使わない理由
  4. 労災指定医療機関なら様式第5号・第16号の3を受け取る
    1. 途中から別の医療機関に移るとき
  5. 労災指定でない医療機関の受診の流れと様式第7号
  6. 健康保険で受診した後に労災へ切り替える流れ
  7. 労災の患者に渡す案内文
    1. 労災指定医療機関の場合
    2. 労災指定でない医療機関の場合
  8. よくある質問
    1. 勤務先が労災と認めてくれず、様式に証明をもらえない場合はどうなりますか。
    2. 健康保険から労災への切り替えを、全額を払わずに済ませる方法はありますか。
    3. 労災の様式はどこで手に入りますか。
  9. まとめ
  10. 参考

労災の受診の流れを受付目線で整理

全体の流れは、自院が労災指定医療機関かどうかで2つに分かれます。

段階 労災指定医療機関の場合 指定外の医療機関の場合
1 受付 業務中か通勤中かを聞き、労災で受診する旨を記録する 同じ
2 会計 療養の給付なので、窓口では原則として費用を受け取らない 医療費の全額をいったん患者から受け取る
3 様式 業務災害は様式第5号、通勤災害は様式第16号の3を患者から受け取る 患者が様式第7号(通勤災害は第16号の5)を用意し、医療機関は証明欄を記入する
4 請求 医療機関が様式を労働基準監督署へ送り、診療費を労災保険に請求する 患者が労働基準監督署へ請求し、立て替えた費用の支給を受ける

指定医療機関なら、患者は窓口で費用を払わずに治療を受けられます。指定外なら、患者がいったん全額を払い、後から労災保険に請求します。自院がどちらに当たるかは、受付の全員が答えられるようにしておきます。

労災の患者が来たときの受付での聞き取り

問診票や受付で「仕事中」「通勤中」という言葉が出たら、保険証を受け取る前に次を聞きます。

  1. けがをした(発症した)日時と場所
  2. 業務中か、通勤の途中か
  3. 勤務先の事業所名と所在地
  4. 勤務先に、けがのことを伝えているか
  5. 労災の請求書(様式第5号または第16号の3)を持っているか
  6. ほかの医療機関ですでに受診したか

3の所在地を聞くのは、請求書の提出先が事業場の所在地を管轄する労働基準監督署になるためです。6は、別の医療機関で労災として受診済みの場合に、転医の届が要るかどうかを判断するのに使います。

様式をその場で持っていない患者は珍しくありません。勤務先が用意することが多いため、「勤務先に労災で受診したことを伝え、様式第5号(通勤中なら第16号の3)をもらってきてください」と案内します。様式は厚生労働省のサイトからも入手できます。様式が届くまでの会計の扱いは、院内で決めておきます。

仕事中・通勤中のけがで健康保険証を使わない理由

健康保険法第1条は、健康保険の目的を「業務災害以外の疾病、負傷」などへの給付としています。仕事中のけがは、はじめから健康保険の対象ではありません。

通勤中のけがは業務災害ではありませんが、健康保険法第55条により、労災保険から同じ給付を受けられる場合は健康保険の給付は行われません。通勤災害も、労災保険の療養給付を使うことになります。

厚生労働省のリーフレットも、労働災害で健康保険を使うと、後で治療費の全額を一時的に自己負担することになると注意しています。受付で「今日は保険証でいいです」と言われても、仕事中や通勤中のけがと分かった時点で労災の扱いに切り替えるのが、患者の手間を減らすことにつながります。

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労災指定医療機関なら様式第5号・第16号の3を受け取る

労災指定医療機関では、患者が提出する請求書を受け取ります。様式は業務災害か通勤災害かで違います。

災害の種類 受け取る様式 正式名称
業務災害・複数業務要因災害 様式第5号 療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書
通勤災害 様式第16号の3 療養給付たる療養の給付請求書

請求書には、事業主が災害の発生状況などを証明する欄があります。受け取ったら、事業主の証明欄、災害発生の日時、負傷の部位が書かれているかを確認します。請求書は、療養を受けている指定医療機関を経由して労働基準監督署長に提出される仕組みです。

途中から別の医療機関に移るとき

すでに別の指定医療機関で労災として受診していた患者が転医してきた場合、最初の様式第5号は前の医療機関に出ています。転医先では、業務災害なら様式第6号、通勤災害なら様式第16号の4の「指定病院等(変更)届」を受け取ります。聞き取りの6番目は、この判断のための質問です。

労災指定でない医療機関の受診の流れと様式第7号

労災指定医療機関ではないクリニックでも、労災の患者は診療できます。違いは会計と請求の流れです。

  1. 窓口で医療費の全額を患者から受け取る(健康保険の負担割合ではなく10割)
  2. 患者が様式第7号(通勤災害は様式第16号の5)を用意する
  3. 医療機関が、様式の診療内容と費用を証明する欄を記入する
  4. 患者が、事業場を管轄する労働基準監督署へ請求する
  5. 労働基準監督署から患者へ、立て替えた費用が支給される

様式第7号には、受診先の種類ごとに枝番があります。医療機関で受診した場合は様式第7号(1)です。通勤災害では様式第16号の5(1)になります。医療機関が記入する欄の書き方は、労災の様式7号とは|様式5号との違いと医療機関が書く欄で詳しく整理しています。

近くに労災指定医療機関がある場合は、継続して通院するならそちらを勧める選択肢もあります。指定医療機関なら窓口での立て替えが要らないためです。指定医療機関は、厚生労働省の労災保険指定医療機関検索で探せます。

患者に選ばれるための動線

初診の予約から受付までのどこで離脱が起きているか。集患のために整えておきたい点をまとめました。

集患の資料を見る

健康保険で受診した後に労災へ切り替える流れ

保険証で受診した後に「実は仕事中のけがだった」と分かることがあります。厚生労働省のリーフレットでは、まず受診した医療機関で健康保険から労災保険へ切り替えられるかを確認するとしています。

医療機関で切り替えられるか 流れ
切り替えられる 患者が様式第5号(通勤災害は第16号の3)を医療機関に提出する。医療機関は労災として請求し直し、窓口で受け取った一部負担金を患者に返す
切り替えられない 患者が健康保険の保険者に労働災害であることを申し出る。保険者から届く返還通知で、保険者が負担した分(7割など)を返す。そのうえで様式第7号(通勤災害は第16号の5)に、返還額の領収書と窓口で払った一部負担金の領収書を添えて、労働基準監督署へ請求する

切り替えられるかどうかは、医療機関側の請求の状況によります。すでに健康保険へ請求した後だと、医療機関での切り替えが難しくなることがあります。受付で切り替えを頼まれたら、レセプトを出す前か後かを請求担当に確認してから答えます。

切り替えられない場合、患者はいったん医療費の10割を負担した状態になってから、労災保険に請求することになります。リーフレットでは、保険者から返還の通知が届くまでに時間がかかることがあるとしています。医療機関から保険者にレセプトが届くまで、2〜3か月ほどかかるためです。

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労災の患者に渡す案内文

受付で口頭で伝えた内容は、紙で渡すと患者が勤務先に説明しやすくなります。次の文面は、指定医療機関と指定外の医療機関で2通りに分けた例です。

労災指定医療機関の場合

仕事中・通勤中のけがは、健康保険ではなく労災保険で治療を受けます。
当院は労災指定医療機関です。次の書類を受付に提出していただくと、窓口でのお支払いなしで治療を受けられます。
・仕事中のけが:様式第5号
・通勤中のけが:様式第16号の3
書類は勤務先に用意してもらってください。勤務先が記入する欄(事業主の証明)があります。
ほかの医療機関から移ってきた場合は、様式第6号(通勤中は第16号の4)が必要です。

労災指定でない医療機関の場合

仕事中・通勤中のけがは、健康保険ではなく労災保険で治療を受けます。
当院は労災指定医療機関ではないため、本日の医療費はいったん全額をお支払いいただきます。
後日、次の書類で労働基準監督署へ請求すると、お支払いいただいた費用が支給されます。
・仕事中のけが:様式第7号(1)
・通勤中のけが:様式第16号の5(1)
書類のうち医療機関が書く欄は当院で記入します。受付にお持ちください。
労災指定医療機関は、厚生労働省の労災保険指定医療機関検索(https://rousai-kensaku.mhlw.go.jp/)で探せます。

よくある質問

勤務先が労災と認めてくれず、様式に証明をもらえない場合はどうなりますか。

事業主の証明がなくても、患者は労働基準監督署に請求できます。労災に当たるかどうかを決めるのは労働基準監督署です。受付では、労働基準監督署に相談するよう案内します。

健康保険から労災への切り替えを、全額を払わずに済ませる方法はありますか。

厚生労働省のリーフレットでは、すでに労災の認定を受けていて、全額の自己負担が難しい場合には、労働基準監督署へ申し出ると、全額を自己負担せずに請求する方法があるとしています。該当しそうな患者には、労働基準監督署への相談を勧めます。

労災の様式はどこで手に入りますか。

勤務先が用意することが多いほか、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」から入手できます。

まとめ

仕事中・通勤中のけがと分かったら、保険証ではなく労災で受け付けます。自院が労災指定医療機関なら様式第5号か第16号の3を受け取って窓口負担なしで診療し、指定外なら全額を受け取って様式第7号(1)か第16号の5(1)の証明欄を記入します。保険証で受診済みの場合は、レセプトを出す前か後かを確かめてから切り替えを案内します。

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詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

参考

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無床クリニック向け 在宅向け

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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、