吸入指導加算の算定要件|診療所は算定できない薬局の加算。医科で取れる喘息治療管理料2との境界と令和8年度の変更点

「吸入指導加算」で調べて算定要件を探している診療所の方へ、先に結論です。吸入指導加算は保険薬局が算定する加算で、診療所の医科点数表には同じ名前の加算はありません。 正式名は「吸入薬指導加算」で、調剤報酬の服薬管理指導料に上乗せされます。

診療所がかかわるのは2か所です。1つは、薬局に吸入指導を「求める」側として。もう1つは、薬局から届く吸入指導の報告書を受け取る側としてです。医科側で吸入指導に近い点数を取りたいなら、喘息治療管理料2(400点)が該当します。

この記事では、喘息・COPDの患者に吸入薬を処方している診療所の院長と、算定を担当する医療事務の方に向けて、薬局の加算と医科の点数の境界、令和8年度改定で変わった点、算定できない典型例を整理します。内容は令和8年6月1日施行の告示・留意事項通知と、令和8年9月25日の疑義解釈(その13)までで確かめたものです。吸入手技の指導内容や薬剤の選び方は扱いません。

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目次
  1. 吸入指導加算の算定要件は薬局側のもので、診療所は算定できない
  2. 吸入指導加算の算定に診療所がかかわる2つの場面
    1. 薬局に吸入指導を「求める」か「了解」する
    2. 薬局から届く吸入指導の報告書を受け取る
  3. 診療所が算定できる喘息治療管理料2の算定要件
    1. 喘息治療管理料1とのちがい
    2. 特定疾患療養管理料との関係
  4. 令和8年度改定で吸入薬指導加算と喘息の管理料が変わった点
  5. 喘息治療管理料のカルテ記載とレセプト摘要
  6. 吸入指導まわりで算定できない典型例
  7. よくある質問
    1. 診療所で吸入手技を指導しても、吸入指導加算は算定できませんか
    2. 薬局から吸入指導の報告書が届いたら、何か算定できますか
    3. 薬局に吸入指導を依頼するのに決まった様式はありますか
  8. まとめ
  9. 参考

吸入指導加算の算定要件は薬局側のもので、診療所は算定できない

吸入薬指導加算は、調剤報酬点数表の「服薬管理指導料」の注12に定められています。算定するのは保険薬局で、医科の初診料・再診料や医学管理料に付けることはできません。

項目 内容(令和8年6月1日以降)
算定する側 保険薬局(服薬管理指導料への加算)
点数 30点
回数 6月に1回まで。ただし別の吸入薬が処方され、改めて吸入指導をしたときは6月以内でも算定できる
対象患者 喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、インフルエンザウイルス感染症に対して吸入薬を使う患者
指導の中身 喘息・COPDは、文書と練習用吸入器などを使った吸入手技の指導と確認。インフルエンザは、薬剤師の看視の下で吸入させる
医療機関への情報提供 吸入指導の結果などを、文書またはお薬手帳で処方元の医療機関に提供する
指導のきっかけ 医療機関からの求め、または患者・家族の求めなどで必要性があり、医師の了解を得たとき(いずれも患者の同意が必要)
同時に算定できないもの 服薬情報等提供料(同じ情報提供について)

「吸入指導加算」という呼び方は、この吸入薬指導加算の略として使われていることがほとんどです。診療所のレセプトにこの名称の項目は立てられません。

吸入指導加算の算定に診療所がかかわる2つの場面

薬局が吸入薬指導加算を算定するには、医療機関側の関与が必要です。診療所が意識しておくのは次の2つです。

薬局に吸入指導を「求める」か「了解」する

留意事項通知は、薬局が吸入指導を行うきっかけを2つに限っています。

きっかけ 診療所がすること
ア 保険医療機関からの求めがあった場合 処方医が薬局に吸入指導を依頼する
イ 患者・家族の求めなどで吸入指導の必要性が認められ、医師の了解を得たとき 薬局から「吸入指導をしてよいか」と照会が来たら、了解するかを答える

どちらの場合も、薬局は患者の同意を得て指導します。

依頼の書式は告示・通知では決まっていません。処方箋の備考欄への記載や、地域の薬剤師会・医師会で作った依頼書を使う運用があります。院内で「どの患者に、どの方法で依頼するか」を決めておくと、外来ごとに判断が揺れません。

イの場合、了解を得ないまま指導した薬局は加算を算定できません。薬局から電話やFAXで照会が来たときに、誰が受けて医師に回すかを決めておくと、受付で止まりません。

薬局から届く吸入指導の報告書を受け取る

薬局は吸入指導の結果を、文書かお薬手帳で処方元に提供します。内容は、指導の中身と患者の吸入手技の理解度などです。患者の吸入薬の使い方に疑問があるときは、薬局から処方医への照会も行われます。

報告書を受け取っても、診療所側で算定できる点数はありません。 ただし、手技が身についていない患者を見つける材料になります。届いた報告書はカルテに取り込み、次の診察で医師が目を通せる場所に置くのが現実的です。

診療所が算定できる喘息治療管理料2の算定要件

吸入指導に近い内容を医科で評価しているのが、喘息治療管理料2(B001の16のロ)です。対象は、吸入補助器具(スペーサーなど)を使って吸入ステロイド薬を使う必要がある、6歳未満か65歳以上の喘息患者です。

確認すること 要件
点数 400点
対象患者 入院中以外の喘息患者で、6歳未満または65歳以上
対象の状態 吸入ステロイド薬を使う際に吸入補助器具が必要
すること 吸入補助器具を患者に提供し、使用方法などを文書を用いて説明し、服薬指導などを行う
回数 初回に限り
費用 吸入補助器具の費用は所定点数に含まれる(別に請求しない)
カルテ 指導内容の要点を記載する
設備 酸素吸入設備、気管挿管又は気管切開の器具、レスピレーター、気道内分泌物吸引装置、動脈血ガス分析装置、スパイロメトリー用装置、胸部エックス線撮影装置を備える

設備の要件は診療所にとって重く見えますが、これらを備えた別の医療機関と常時連携していて、その旨を患者に文書で説明する場合は、自院に備えるのはスパイロメトリー用装置と胸部エックス線撮影装置で足ります。

喘息治療管理料1とのちがい

同じ区分の喘息治療管理料1は、ピークフローメーターとピークフロー測定日記を患者に渡し、計画的な治療管理を行った場合に月1回算定します。点数は1月目が75点、2月目以降が25点です。

区分 何を評価するか 点数 回数
喘息治療管理料1 ピークフローメーターを使った計画的な治療管理 1月目75点、2月目以降25点 月1回
喘息治療管理料2 吸入補助器具を使った服薬指導(6歳未満・65歳以上) 400点 初回のみ
重度喘息患者治療管理加算(1の注2) 20歳以上の重度喘息患者に、一秒量等計測器も使って週1回以上報告させる管理 1月目2,525点、2〜6月目1,975点 月1回(連続6か月)、施設基準の届出が必要

特定疾患療養管理料との関係

喘息、肺気腫、その他の慢性閉塞性肺疾患は、特定疾患療養管理料の対象疾患(別表第一)に入っています。喘息やCOPDを主病とする患者に治療計画に基づいた療養上の管理を行えば、診療所は225点を月2回まで算定できます。

令和8年度改定で、特定疾患療養管理料には「28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋の交付に対応できることを院内に掲示する」という施設基準が付きました。届出は不要ですが、掲示がないと算定の前提を満たしません。掲示の詳細は「調剤報酬改定2026(令和8年度)をクリニック目線で解説」でも触れています。

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令和8年度改定で吸入薬指導加算と喘息の管理料が変わった点

中医協の個別改定項目(令和8年2月13日答申)で、薬局側と医科側にそれぞれ変更がありました。

対象 令和6年度 令和8年度(2026年6月〜)
吸入薬指導加算の対象患者 喘息またはCOPDの患者 吸入薬の投薬が行われている患者(喘息・COPD・インフルエンザウイルス感染症)
吸入薬指導加算の回数 3月に1回 6月に1回(別の吸入薬が処方されたときは6月以内でも可)
吸入薬指導加算の点数 30点 30点(据え置き)
生活習慣病管理料(Ⅱ)と喘息治療管理料 生活習慣病管理料(Ⅱ)に含まれ、別に算定できない 別に算定できる

診療所の運用に影響するのは2点です。

1つめは、薬局からの吸入指導の報告が、同じ患者について届く間隔が延びることです。3か月ごとに届いていた報告が6か月ごとになるので、その間の手技の確認は診察の中で拾う必要が出てきます。インフルエンザの吸入薬を処方した患者についても、薬局から報告が届くようになります。

2つめは、高血圧・脂質異常症・糖尿病で生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定している喘息患者でも、喘息治療管理料を別に算定できるようになったことです。令和6年度は包括されていたため、算定していなかった患者がいないか見直す価値があります。

喘息治療管理料1・2の点数と算定要件そのものは、令和8年度改定の個別改定項目に入っていません。

算定を間違えないカルテの選び方

算定や記録の抜け漏れは、カルテ側で必要な情報が見えるかどうかで変わります。選ぶときに何を見ればよいかを整理した資料です。

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喘息治療管理料のカルテ記載とレセプト摘要

カルテとレセプトで押さえることは次のとおりです。根拠は留意事項通知と「診療報酬請求書等の記載要領」(令和8年3月27日保医発0327第2号)です。

項目 カルテ レセプト
喘息治療管理料1 計画的な治療管理の内容 「医学管理」欄に略称「喘息1」
喘息治療管理料2 指導内容の要点(吸入補助器具の使用方法などを文書で説明したこと) 「医学管理」欄に略称「喘息2」
重度喘息患者治療管理加算 治療計画と、文書で交付した指導内容 摘要欄に、当該加算に係る第1回目の治療管理を行った年月日

喘息治療管理料2は初回に限るため、過去に算定したかをカルテ上で追えるようにしておくと、転医してきた患者や久しぶりに受診した患者で迷いません。

薬局の吸入薬指導加算については、診療所のカルテやレセプトに書くことはありません。届いた報告書を診療録に保存するかどうかは院内の決まりで足ります。

吸入指導まわりで算定できない典型例

典型例 算定できない理由
診療所で吸入指導をしたので「吸入指導加算」を請求した 医科点数表に該当する加算がない。吸入薬指導加算は薬局の加算
40代の喘息患者にスペーサーを渡して喘息治療管理料2を算定した 対象は6歳未満または65歳以上に限られる
吸入補助器具を新しく替えたので、喘息治療管理料2を2回目として算定した 初回に限り算定する
吸入補助器具の代金を、喘息治療管理料2とは別に患者に請求した 器具の費用は所定点数に含まれる
ピークフローメーターを渡していない患者に喘息治療管理料1を算定した ピークフローメーターとピークフロー測定日記の提供が要件
喘息を主病としていない患者に、喘息の管理で特定疾患療養管理料を算定した 主病(全身的な医学管理の中心となっている疾患)であることが要件

薬局の側では、医師の了解を取らずに指導した場合や、同じ情報提供で服薬情報等提供料を合わせて請求した場合が算定できない例になります。令和6年度の地方厚生局の個別指導では、当時の対象だった喘息・COPD以外の患者での算定や、患者の同意を得ていない例が指摘されています。

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よくある質問

診療所で吸入手技を指導しても、吸入指導加算は算定できませんか

できません。医科点数表には吸入指導そのものを評価する加算はありません。6歳未満か65歳以上の喘息患者に、吸入補助器具を提供して文書で使い方を説明した場合は、喘息治療管理料2(400点・初回のみ)が算定できます。

薬局から吸入指導の報告書が届いたら、何か算定できますか

診療所側で算定できる点数はありません。報告書は、吸入手技が身についていない患者を見つける材料として、カルテに取り込んで次の診察で使います。

薬局に吸入指導を依頼するのに決まった様式はありますか

告示・通知に定められた様式はありません。処方箋の備考欄に書く方法や、地域の薬剤師会・医師会が作った依頼書を使う方法があります。依頼か了解のどちらかがないと、薬局は加算を算定できません。

まとめ

吸入指導加算(吸入薬指導加算)は薬局が算定する加算で、診療所は依頼・了解と報告書の受け取りでかかわります。医科で算定できるのは喘息治療管理料2(6歳未満・65歳以上、初回のみ)と喘息治療管理料1です。令和8年度からは生活習慣病管理料(Ⅱ)と喘息治療管理料を併せて算定できるので、まずは生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定している喘息患者を洗い出し、喘息治療管理料を算定していない患者がいないかを確かめてください。

参考

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特徴

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対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、