連携強化診療情報提供料(B011)は、紹介でつながった医療機関どうしが患者を一緒に診ていくときに、診療の状況を文書で伝えた側が算定する150点の点数です。令和8年度診療報酬改定で評価の仕組みが見直され、診療所が特定機能病院などへ情報を返す場合にも算定できる形になりました。
クリニックで迷うのは、「どの医療機関へ情報を送ったときに算定できるのか」と、「診療情報提供料(Ⅰ)とどちらを算定するのか」の2つです。どちらも、相手の医療機関の種類と、紹介の向き、送る文書の目的で決まります。
この記事は、紹介状や返書を扱う医療事務の方と院長に向けて、令和8年度改定後の連携強化診療情報提供料の算定要件を、診療所の立場から整理したものです。紹介状(診療情報提供書)を書くときの料金の基本は「診療情報提供料の算定要件は?」で扱っています。
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連携強化診療情報提供料の点数と算定要件の骨格
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点数 | 150点 |
| 対象の患者 | 他の医療機関から紹介された患者、または他の医療機関へ紹介した患者 |
| 算定できる場面 | 相手の医療機関からの求めに応じて、または相手の医療機関と共同して治療管理を続ける合意に基づいて、患者の同意を得て診療状況を示す文書を提供したとき |
| 回数 | 提供する医療機関ごとに、患者1人につき3月に1回 |
| 算定できない日 | 初診料を算定する日(ただし、次回受診日の予約をした場合は算定できる) |
| 併算定の制限 | 同じ患者について、同じ医療機関あての紹介で診療情報提供料(Ⅰ)を算定した月は算定できない |
| 算定できない相手 | 自院と特別の関係にある医療機関 |
| 届出 | 不要(施設基準を満たしていればよい) |
注1・注4で算定する場合は、自院が施設基準を満たす必要があり、そこには健康増進法などの関係法令に基づく受動喫煙対策が含まれます。注3・注5は、施設基準を満たす必要があるのは提供先の医療機関の側です。届出はどの場合も要りません。
令和8年度改定で連携強化診療情報提供料はどう変わったか
厚生労働省の改定の概要では、病院の専門医とかかりつけ医が共同で継続して治療管理をする取り組みを進めるため、次の3点を見直したと説明されています。
| 見直しの内容 | クリニックへの影響 |
|---|---|
| 算定できる医療機関を、特定機能病院等と、200床未満の病院・診療所等に広げ、紹介元・紹介先のどちらの情報提供でも算定できるようにした | 診療所から特定機能病院などへ情報を返す場合も算定の対象になった |
| 相手からの求めに応じた場合に加え、共同で治療管理を続けるための情報提供でも算定できるようにした | 相手から依頼がなくても、共同で診ていく合意があれば算定できる |
| 算定できる回数を、一律に患者1人につき3月に1回にした | 区分によって違っていた回数が、すべて3月に1回にそろった |
特定機能病院などの側では、連携強化診療情報提供料を算定している患者を、以前から逆紹介の実績に含められます。令和8年度改定では、こうした病院の逆紹介割合の基準が引き上げられ、外来診療料の減算の対象に「直近1年以内に12回以上再診した患者」が加わりました(連携強化診療情報提供料を算定している患者は除く)。病院から「定期的に状況を返してほしい」と頼まれる場面は、今後増えると考えられます。
診療所が連携強化診療情報提供料を算定できる組み合わせの判定表
告示は、算定できる医療機関と情報の提供先の組み合わせを、注1から注5に分けて定めています。診療所の立場で読むと、次のようになります。
| 注 | 情報の提供先 | 対象の患者 | 診療所に求められること |
|---|---|---|---|
| 注1 | 特定機能病院、地域医療支援病院、外来機能報告対象病院等(紹介受診重点医療機関)、許可病床400床以上の病院(いずれも一般病床200床未満のものを除く) | 病気を問わない | 受動喫煙対策 |
| 注3 | 難病診療連携拠点病院・難病診療分野別拠点病院、てんかん支援拠点病院 | 指定難病の患者、てんかんの患者(いずれも疑いを含む) | なし(施設基準がかかるのは提供先の拠点病院) |
| 注4 | 他の医療機関 | 妊娠中の患者 | 自院が産科・産婦人科を標榜し、妊娠中の患者を診る体制があり、受動喫煙対策をしている |
| 注5 | 産科・産婦人科を標榜し、妊娠中の患者を診る体制がある医療機関 | 妊娠中の患者 | なし(施設基準がかかるのは提供先の産科の医療機関) |
| 算定できない | 上のどれにも当たらない診療所どうし、200床未満の病院との間(病気を問わない場合) | — | 診療情報提供料(Ⅰ)など別の点数を検討する |
注2は、難病やてんかんの拠点病院が自ら情報を提供する場合の区分です。診療所が使うのは主に注1と注3です。
判定で最初に確かめるのは、相手の病院がどの種類に当たるかです。地域医療支援病院や紹介受診重点医療機関かどうかは、都道府県が公表している一覧で確かめられます。地域の近い病院でも、一般病床が200床未満なら注1の相手にはなりません。
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連携強化診療情報提供料の「3月に1回」と、算定できない日の数え方
回数は「提供する医療機関ごとに、患者1人につき3月に1回」です。同じ患者でも、情報の提供先が2つの病院なら、それぞれについて3月に1回ずつ算定できます。
初診料を算定する日は、原則として算定できません。ただし、その日に次回受診日の予約をした場合は算定できます。この場合は次回受診日を診療録に書きます。予約診療をしていないクリニックでは、次回受診日を決めて診療録に書いておけば足ります。初診の日に予約をして連携強化診療情報提供料を算定したときは、次回の受診で予約に基づく診察の特別の料金は受け取れません。
疑義解釈では、予約した次回受診日に患者が来なかった場合や、予約日を変えた場合でも算定できるとされています(令和2年3月31日 その1 問88。当時の名称は診療情報提供料(Ⅲ))。
連携強化診療情報提供料と診療情報提供料(Ⅰ)の使い分け
紹介状を書いて患者を送るときは診療情報提供料(Ⅰ)、紹介でつながった相手と一緒に診ていく中で状況を伝えるときは連携強化診療情報提供料、と目的で分かれます。
| 場面 | 算定する点数 |
|---|---|
| 専門的な検査や治療のため、患者を特定機能病院へ紹介する | 診療情報提供料(Ⅰ) |
| 紹介した病院から「日ごろの診療の状況を教えてほしい」と頼まれ、検査結果や投薬内容をまとめて送る | 連携強化診療情報提供料 |
| 病院から逆紹介された患者の、その後の経過と治療方針を病院へ定期的に伝える(共同で診ていく合意がある) | 連携強化診療情報提供料 |
| 病院を受診したことだけを伝える | どちらも算定できない |
同じ病院あてに、同じ月に診療情報提供料(Ⅰ)を算定した場合、その月は連携強化診療情報提供料を算定できません。月が違えば、それぞれの要件を満たす限り算定できます。
疑義解釈では、紹介元の医療機関に、単に受診した旨だけを書いた文書を送った場合は算定できないとされています(令和2年3月31日 その1 問86。当時の名称は診療情報提供料(Ⅲ))。
紹介状のやり取りを電子で完結させる
電子カルテ情報共有サービスを使うと、診療情報提供書のやり取りが院内で完結します。導入までの手順をまとめた資料です。
連携強化診療情報提供料でカルテと文書に残すこと
算定の根拠は、カルテと、相手に渡した文書の写しで示します。
- [ ] 文書に、患者の氏名・生年月日・連絡先を書いた
- [ ] 文書に、情報の提供先の医療機関名を書いた
- [ ] 文書に、診療の方針、患者への指導内容、検査結果、投薬内容など診療の状況を書いた
- [ ] 文書に、情報を提供する医療機関名と担当医師名を書いた
- [ ] 文書を患者または提供先の医療機関に渡し、写しをカルテに添付した
- [ ] 相手からの求めがあったこと、または共同で治療管理を続ける合意に基づくことを確かめ、カルテに書いた(文書で受けた場合は、その文書を添付すればよい)
- [ ] 患者の同意を得たことをカルテに残した
- [ ] 初診の日に算定する場合は、次回受診日をカルテに書いた
相手からの求めは、必ずしも文書で受ける必要はありません。電話などで依頼を受けたときも、求めがあったことを確かめた記録をカルテに残せば足ります(令和4年3月31日 その1 問166)。
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連携強化診療情報提供料のレセプトで確かめること
| 点検する項目 | 見るところ |
|---|---|
| 回数 | 同じ提供先あてに、3月以内に算定していないか |
| 診療情報提供料(Ⅰ)との重なり | 同じ月・同じ提供先あてに診療情報提供料(Ⅰ)を算定していないか |
| 初診日 | 初診料を算定した日なら、次回受診日の予約があるか |
| 相手の種類 | 提供先が注1・注3・注5の相手に当たるか(自院が産科で妊娠中の患者なら注4) |
摘要欄に書く事項は、令和8年度改定後の記載要領の別表Ⅰ(摘要欄への記載事項等一覧)で確かめてください。決まった記載事項がない場合でも、審査で提供先と区分が分かるよう、提供先の医療機関名を摘要欄に短く添えておくと、回数の点検もしやすくなります。
よくある質問
相手の病院から依頼がない場合でも算定できますか
令和8年度改定で、相手からの求めがなくても、相手と共同して治療管理を続ける合意に基づいて情報を提供した場合は算定できるようになりました。合意があることは、カルテに残しておきます。
地域の200床未満の病院へ情報を返す場合は算定できますか
病気を問わない注1の相手は、特定機能病院や地域医療支援病院など、一般病床200床以上の大きな病院に限られます。200床未満の病院へは、相手が難病・てんかんの拠点病院や、妊娠中の患者を診る産科の医療機関に当たる場合と、自院が産科・産婦人科として妊娠中の患者について提供する場合(注4。この場合は提供先を問わない)を除いて、連携強化診療情報提供料は算定できません。
届出は要りますか
要りません。注1・注4で算定する場合は、受動喫煙対策など自院の施設基準を満たしていれば算定できます。
まとめ
- 連携強化診療情報提供料は150点。紹介でつながった医療機関に、求めや共同で診る合意に基づいて診療状況を文書で伝えたときに算定する
- 令和8年度改定で、診療所から特定機能病院などへ情報を返す場合も対象になり、回数は一律に3月に1回になった
- 診療所が算定できる主な相手は、特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関・400床以上の病院(いずれも一般病床200床以上)と、難病・てんかんの拠点病院
- 同じ月・同じ提供先で診療情報提供料(Ⅰ)を算定したら、連携強化診療情報提供料は算定できない
- 文書の写し、相手からの求めや合意の確認、患者の同意をカルテに残す。届出は不要
大きな病院から逆紹介された患者がいるクリニックでは、病院とのあいだで「どのくらいの間隔で状況を返すか」を決めておくと、3月に1回の算定を取りこぼさずに済みます。
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参考
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2026年10月時点の情報を元に作成しています。
