看護師が語る、医療機関における「禁句」あるある

看護師として働くうち、タブーとされる言葉がさまざまにあることに気づくでしょう。

たまたまその言葉を口にしただけで、先輩看護師から睨まれるなんてことも経験した人はいるかと思います。医療業界の中でも特に医師や看護師は、「あるある」という禁句は多いのです。

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目次
  1. 「今日は落ち着いていますね」は看護師の間では禁句
  2. 「暇ですね」はタブー中のタブー
  3. 忙しさを引き付ける人がいる
  4. 「忙しい」と口にしてしまう人
  5. 「・・・だと思います」
  6. 「頑張って」は相手を追い込む言葉
  7. 看護師界の「何で、何で」

「今日は落ち着いていますね」は看護師の間では禁句

医療関係者でない人は、「何で?」と思うことでしょう。

「今日は落ち着いていますね」はいいことではないのかと思う人もいるでしょう。

しかし、看護師の間ではこの言葉はタブーとされているのです。

なぜか、「今日は落ち着いていますね」と言ったとたん、緊急入院の連絡がきたり、患者が急変したり、ナースコールの嵐になったりするからです。

この言葉を発したからと言って、誰かがそれを聞き、わざと忙しくさせているわけではありません。

すべて偶然なのです。

ですが、不思議なことですがなぜかそうなるのです。

わたしも経験があります。

救急病棟で働いていたころ、働いていたことがあり

その言葉がタブーだと知らなかったわたしが、「落ち着いていますね」と言ったことがあります。

そうしたら先輩看護師に「それ言っちゃダメ」と怒られました。

最初は「なぜ?」と思っていましたが、若手だった自分は先輩に聞くことはできず「すません」と謝りました。

その直後のことです。

救急要請が立て続けに3件入っていたのです。

その3件が落ち着くと、狙っていたかのようにまた同時に3件要請があったのです。

これが夜間ずっと続いていたのです。

たいして人口の多い地域ではありません。

なのに、何件もきたのです。

一段落すると先輩看護師に「落ち着いていますね。なんて言うから忙しくなっちゃったじゃない」と言われてしました。

しかし、これはあくまでも偶然だと思っていました。

ところが、また別の日、日勤業務でも落ち着いていたので、定時の30分ほど前に「今日は落ち着いていましたね」と話すと先輩に「コラ。言うな」とまた怒られました。

その3分後に入院の連絡が来たのです。

わたしは、言った責任をもってその患者の入院を担当しました。

定時にあがれる予定が、2時間残業となってしまったのです。

これが1回や2回ではなく何回もあるのです。

先輩も同じ経験をして知っているのか、例え落ち着いていたとしてもこの言葉は絶対に口にはしません。

今では、わたし自身もたくさん経験したので口にすることはありません。

言うとしても、業務が終わり、帰宅するときに言うようにしています。

しかし、それを聞いた夜勤の怖い先輩に睨みつけられることもあるかもしれませんので、言うときは相手を選んだほうが良いかもしれません。

「暇ですね」はタブー中のタブー

看護師として働いていると、暇なことなんて滅多にありません。

たまには暇な日があってもいいのではないかと思うぐらい看護師は忙しく働いています。

強いていうなら、病棟だと年末年始ぐらいではないでしょうか。

今はコロナウイルスの関係で外出や外泊、面会などができないため、患者さんは年末年始を病棟で過ごされています。

しかし、コロナウイルスが流行する以前は、年末になると患者さんによっては外泊許可を取っていました。

このときだけは患者さんが激減するので、病棟も暇にはなります。

しかし、そんな落ち着いた年末年始ですら、「暇ですね」と口にした瞬間に忙しくなったりするのです。

私は3年連続で年末年始に夜勤したことがあります。

その3年間とも入院患者がきたのです。

年末年始には、飲み会や初日の出のための登頂などイベントが目白押しです。

そのため、急性アルコール中毒や転倒による骨折で運ばれてくる人もいるのです。

さすがに、年末年始に運ばれて来る人は少ないだろうと高を括っていたため、夜勤者と「さすがに暇だな」と口にしていました。もう1人の夜勤者も「暇ですね」と話していたら、遠くから救急車の音が聞こえ、病院に止まったのです。

これも偶然と言ったら偶然ですが、入院が3年間続いた翌年は、入院患者は来なかったのです。

私が3年間「暇だな」と言ってしまっていたことは、病棟にも知れ渡っていました。

そのため翌年には言わないよう注意していたそうです。

今では笑い話ではありますが、そのときの入院対応は本当に大変で、もう言わないとわたし自身も強く思いました。

忙しさを引き付ける人がいる

仕事をしていると、「なぜかこの人と一緒のときは忙しい」といった経験がないでしょうか。

特にその人が悪いことをしているわけではありませんが、ジョーカーを引きやすいのです。

わたしも過去に1人だけそういう人と働いた経験があいrます

日勤のときはそうでもないのに、夜勤になると急変した患者が出たりや入院患者が来たりするのです。

他の人ではそういったことがありません。

その人だけなのです。

わたし以外の人がその人とペアになった場合もそうでした。

これはもう素質としか言いようがありません。

そのため、その人とペアになると荒れるから辛いとよく言われていました。

「その人」と言うのが病棟師長だったため、「師長だけに、患者は良く来てくれますね」と言われていました。

「忙しい」と口にしてしまう人

医療従事者の中でも医師、看護師は忙しい職種になります。

超過勤務も日常的に多いのも確かです。

しかし、「忙しい」とはあまり口にしな方がいいのです。

もちろん患者に何かを言われ「忙しいから」なんてことは口が避けても言ってはいけないことです。

これは、患者だけではなく、看護師同士、他のスタッフに対してもです。

忙しく動いている人というのは、意外にも「忙しい」とは口にしません。

「忙しい」と感じている暇がないほど忙しいからです。

しかし、「忙しい」と口にする人は、忙しいと感じられるほど暇や余裕があるのです。

そして忙しいアピールをして、自分に仕事が周ってこないようにしているのです。

わたしが一緒に働いている人の中にも、口癖のように「忙しい」と言う人がいます。

ですが、一歩下がって見てみると、話している時間もあれば、座っている時間もあり、どうしても忙しいように見えないのです。

人によって忙しさを感じる度合いというのは違うので仕方がないことかもしれませんが、実際のところその人より忙しい人はたくさんいますし、もっといえばみんな忙しいのです。

忙しいことを口に出し過ぎると逆に放っておかれて、相手にもされなくなってきますので、注意は必要になってくるでしょう。

「・・・だと思います」

患者さんや仲間から質問されたとき、「だと思います」と答えを返すことも、ある意味、タブーとされています。

患者さんの質問に対して、「だと思います」は不安を仰ぐだけになります。

一番良くないのが、看護師間の「だと思います」になります。

看護師は普段から根拠を求めて仕事をしています。

そのため「だと思います」だと、理解をしていない、把握していないと思われますし、実際に理解できておらず間違っていた場合、事故にもつながりかねません。

仮に「だと思います」と答えれば「確認してください」と返されるので、答えが曖昧だったり自信がなかったりする場合は「確認します」「確認してきます」という言葉を使うべきだとされています。

これは看護師の間では知られていることなので、「だと思います」も禁句だといってもよいでしょう。

「頑張って」は相手を追い込む言葉

これは意外かと思われるかもしれません。

患者さんに対しても「頑張ってください」と思わず口にしてしまうこともあるかもしれませんが、患者さんはすでに頑張っている状態です。

そのため、人によっては「今以上、何を頑張れっていうの。具体的に教えてよ」と言ってくる患者さんもいます。

こちらとしては悪気があって言ったわけではないにしても、病気によっては精神的苦痛を与えています。

安易に「頑張って」と口にするのには注意が必要です。

また、看護師間でも同じです。

若い看護師がミスをしたときや勉強不足だったりしたときに、「もっと頑張りなさい」と言われることも少なからずあります。

しかし、実際に何を頑張ったらよいのかわからないのです。

それに、若い看護師だって頑張っています。

「これ以上、何を頑張れというのか」と思う若い看護師もしるかもそれません。

わたしも新人のときにはミスするたびに「頑張りなさい」と言われていました。

しかし、ミスをしないよう、毎日振り返し勉強もしていました。

それでもミスは起きるのです。

「頑張りなさい」は相手を励ましているようで、追い込んでいる言葉でもあるので、場面、場面であった「頑張りなさい」を使い分ける必要があるでしょう。

看護師界の「何で、何で」

これは看護師であれば、誰しもが言われたことがある言葉でしょう。

先輩看護師に報告すると

  • 「それは何で」
  • 「何でそう思ったの」
  • 「何でそのケアをおこなうの」
  • 「何でそれをやる必要があるの」
  • 「何でその観察が必要だと思ったの」

とにかく「何で、何で」の連続です。

この「何で」に精神的に追い込まれる人も多いでしょう。

看護師は患者を見ていくなかで、必ず理由とそれに沿った根拠を求められます。

そのためにこの「何で」が生まれてくるのです。

確かに理由もなしにおこなうことは危険なこともあります。

それが間違っているかもしれません。

そのために「何で」と聞くことも必要なときはありますが、何度も何度もこれでもかと言うぐらい聞いてくることがあるのです。

特に新人時代は勉強の一環としてありがちですが、とても辛いのです。

問いただされるようになるのは、専門学生時代からです。

わたしが一番辛かったのは小児実習です。

実習では行動計画というものがあり、指導者の前で毎日発表します。

1つの項目を発表するたびに「何で」と聞かれるのです。

指導者に聞かれ答えるだけでも、1人1時間ぐらいかかっていました。

行動計画の発表だけで午前中の実習が終わるという、まさに地獄。

実習以外でも、テストや演習といったときにも問われるので、専門学校や大学に通う3~4年間はずっと追い込まれ続けるのです。これが嫌で看護師を辞める人もいます。

タブーまではいかないにしても、聞き過ぎは良くないことは確かです。

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ベル

執筆 男性看護師ライター | ベル

看護師歴14年目。救急、ICU、外科、内科を経験トラブルも多い看護の世界でいろいろいあってもこの仕事が好きな男性看護師。 現在、管理職として働きながらブログなどでも経験を活かしたノウハウを執筆しています。


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