クリニックの事務長の年収設定はいくらが妥当?院長・理事長にアンケート

クリニックの経営において、院長・理事長が診療から経営・雇用・広報の全てを担っている医療機関も少なくはないでしょう。しかし、医師にとって不慣れな業務も多く、事業拡大の際や月末・期末にはその仕事量が抱えきれないほど膨れ上がり、破綻をきたしてしまうことも少なくありません。そのような時に、クリニックにとって心強い存在となるのが「事務長」です。

事務長の業務範囲は多岐にわたり、クリニック経営の影の立役者とも言えます。ある程度の経営スキルを持つ人材を雇用できれば、院長の経営面での業務権限の一部を事務長に任せることもでき、事務長と上手に役割分担することで、院長自身の業務改善にもつながるでしょう。

本記事では、クリニック運営において事務長に任せる業務の例、年収設定や採用方法などをいくつかご紹介します。また、事務長を雇用しているクリニックの院長計7名から伺った、事務長の業務内容、年収を決定した経緯なども合わせて掲載しています。自院で事務長を雇用する際にぜひご参考ください。

目次
  1. クリニック経営で事務長が担う役割
    1. 人事・労務管理
    2. 入出金や備品などの経理・総務面の管理
    3. 役所や国・自治体への対応
    4. 事務長の仕事は多岐にわたる
  2. 事務長に適した人材について考える
  3. 事務長を雇用する際の年収設定は?
    1. 事務長の年収はどうやって決めるのか
  4. クリニック事務長を採用するための方法
  5. 年収設定や業務内容、スキルなどを考慮して、自院に合った事務長を

クリニック経営で事務長が担う役割

実際に、クリニックの事務長が担当している主な業務内容としては「人事・労務管理」「経理」「所属団体や公的機関との対応」などが挙げられました。そのほかにも「設備・資材の管理発注」「スタッフのメンタルヘルスサポート」「業務改善」といった回答も見られました。クリニックによって、事務長の職掌範囲は異なっています。

人事・労務管理

事務長が担当する代表的な業務が、人事・労務管理です。スタッフの採用や履歴書管理、勤怠管理、スタッフのメンタルヘルスサポートなど、事務長を雇用しているクリニックでは事務長が人事労務管理の責任者を務めているケースが多いです。スタッフの給料・ボーナスの査定、院長のスケジュール管理を事務長が担うこともあり、円滑にクリニックを運用するための重要な役割を担っています。

入出金や備品などの経理・総務面の管理

安定した経営をするにあたり消耗品や備品の発注などの在庫・設備管理といった経理・総務の業務、また、資金繰りや予算案などを取りまとめる経営管理は大変重要であり、事務長にこれらを任せている場合もあります。

役所や国・自治体への対応

役所・自治体への届け出は、年間を通して随時発生する大切な業務です。特に、2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大に関連した申請が発生し、補助金やワクチン接種関連の交付金を受けるためにも、こうした公的機関への手続きは欠かせません。そのほか、クリニックが所属する団体との打ち合わせを事務長が担当するケースもあります。

事務長の仕事は多岐にわたる

ほかにも苦情対応、院内掲示やSNS、LINEを活用した広報活動、他院との打ち合わせなど、院内・院外における種々多様な対応を事務長が担当しているクリニックもあります。

事務長は、院長や医師が安心して日々の診療に従事できるようにサポートする役割です。自院で事務長を雇う際には、どこまでの業務を担当してもらうのか、予め想定をしてまとめておくとよいでしょう。

医師へのアンケート結果(一部抜粋)
Q.事務長に依頼している仕事内容を3つ以上教えてください

①発注・在庫管理 ②スタッフメンタルヘルスサポート ③クリニックと本社の架け橋業務(東京都・美容皮膚科)
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①統括管理 ②予算案作成 ③業務改善(北海道・内科)
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①全体の取りまとめ ②資金繰等の経理 ③各所属団体との打ち合わせ ④役所への届け出関係 ⑤人事労務管理の責任者 ⑥院長一家の相続対策(大阪府・内科)

事務長に適した人材について考える

では一体、どのような人を事務長として雇用するのがよいのでしょう。

現状、事務長に必須となる資格はありません。

事務長に関する求人情報を見てみると、医療事務や管理職の経験者、そのほか診療報酬の知識がある人が優遇される傾向にあるようです。(参考:求人ボックス。東京都内の事務長求人をもとに)また未経験であっても、入職後に診療報酬の仕組みや診療の流れを理解できる人材が適任と言われることもあります。

クリニックの収入源は保険診療によるものですので、診療報酬についての理解はしておくべきです。むしろ、それが分からないと話にならないとも言えます。そのため、事務長になる人は、まずは自院の保険請求業務に関わる必要があると思います。受付から会計までの診療の流れを把握し、その結果をレセプトで請求するという一連の流れをつかむこと。事務長の雇用を検討している方にも、ここは押さえてもらいたいポイントです。
引用元:現役・事務長に取材。クリニックの事務長の仕事内容とは?「激務」との噂は本当?

医療関連での職歴はなくとも、企画経営や事務・経理・人事の実務経験がある場合、クリニックにおけるそれらの業務を任せられるケースも多く、採用するメリットは大きいといえるでしょう。

事務長を雇用する際の年収設定は?

事務長の年収設定について、今回アンケートにご回答いただいたクリニックでの平均を見てみると、611万円という結果になりました。(全7件の内訳/580万円:1件、600万円:4件、650万円:2件)

また、求人情報サイトを調べてみると、クリニックの事務長職の年収は「550万円~800万円」程度に設定されている求人が多く見受けられました。(参考:転職・求人doda(デューダ)病院事務職求人.com。2021年7月15日時点)

一般的な職業と同様に、事務長の給料も都心部では高く、地方では低くなる傾向にあり、さらに他職種経験によっても上昇傾向を見せています。ここでは、事務長の年収設定で考えておくべきポイントを解説していきます。

事務長の年収はどうやって決めるのか

事務長の年収設定に基準はありません。クリニックの規模、業務内容、経歴により千差万別です。 アンケートでは、次のような回答が挙がりました。

「メインバンクに相談。合わせて、大学医局の知人らにも確認して、月給50万円で問題ないだろうということで決めた」(大阪府・内科)

「起業家の友人、全員に相談して妥当な金額を算出。650万円に落ち着いた」(東京都・産婦人科)

「経営利益と他のスタッフの給与バランスを考えて、相場である650万円よりも安い580万円に設定」(愛知県・内科)

「損益分岐点より算出した結果、650万円に」(大阪府・整形外科)

そのほかは、「相場に合わせて本人と相談」「キャリアをもとに年収を算出」「毎月の利益の平均」といった回答。妥当となる金額設定を第三者に相談したり、相場やキャリア、あるいはクリニックの経営状況などから算出しているようです。もし、事務長の年収の決め方に迷っているのであれば、こうした意見をひとつの参考にしてもいいかもしれません。

クリニック事務長を採用するための方法

事務長の採用にあたっては、求人サイト以外にもメインバンクや知人からの紹介、募集広告など、さまざまな採用方法が考えられます。ここでは、アンケートでの回答をご紹介しますので、採用の際の参考にしてください。

「転職エージェントである『DYM転職』経由で採用」(東京都・美容脱毛クリニック)

「医療の資格を持っている方を雇用したかったため、『看護roo!』という転職サービスを使った」(東京都・産婦人科)

「銀行から紹介してもらって採用をした」(大阪府・内科)

「院内で募集広告を掲示して、求人を募った」(愛知県・内科)

年収設定や業務内容、スキルなどを考慮して、自院に合った事務長を

ここまで見てきたようにクリニックの事務長雇用にあたっては、経験や経歴、業務内容や年収設定など考慮すべきポイントがたくさんあります。

また、編集部が現役事務長に、業務内容等について取材した記事も以下にてご紹介します。自院で事務長採用を検討する際の判断材料等にお役立てください。

執筆 CLIUS(クリアス )

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