クリニックや病院の運営を安定させるためには、マーケティングが不可欠です。
では、マーケティングで高い成果を出すためにはどんな工夫をすればよいのでしょうか?早速みていきましょう。
マーケティングとは?
まず、マーケティングの定義を改めて確認しましょう。
マーケティングとは、「売れる仕組みを作ること」です。「誰に」「どのような価値を」「どのように提供するか」を考え、実践し、市場のニーズを満たしていくことでもあります。
クリニックや病院にあてはめると、
- 「ターゲットとなる患者層は何を求めているのか?」
- 「自院はどんな治療や診療を提供できるのか?」
- 「患者にとって理想的な診察日時は?」
などを考えていくということ。
この工程を踏むことによって、売り上げなどに関する達成目標もみえてくるので、いち早く理想に近づきやすくなります。
クリニックのマーケティングの具体的な流れとは?
続いては、クリニックのマーケティングの具体的なプロセスを解説していきます。
市場分析
最初のステップは市場分析です。診療圏調査もそのひとつ。診療圏内の競合や人の流れを調査します。
ターゲティング
ターゲティングとは、診療圏のなかで自院が提供する医療を必要としている層を考えることです。
大まかには診療科によって決まりますが、たとえば眼科の場合、ものもらいなどの一般的な診療をおこなうクリニックもあれば、レーシックなどに特化しているクリニックもあるでしょう。そのターゲットによって、広告の打ち方なども異なってきます。
ポジショニング
ポジショニングは、競合のなかでの立ち位置を考えること、つまり、自院の強みや特徴をどんなふうに打ち出していけばいいのかを考えることです。
マーケティングミックス
クリニックにおけるマーケティングミックスとは、集患・増患を実現させるために、いくつかのマーケティング方法を掛け合わせることです。たとえば、「広告を出す」「MEO対策を取る」「口コミ対策を講じる」などを実践していきます。
実行および評価
実際に上記の分析を行った後は、分析をもとに行動を起こしてみることが大切です。
その後の結果(成功か否か)を見て、その結果になった原因を探り、次に生かす。
ここまでやって初めて、マーケティングのPDCAの一環となります。
具体的な調査・施策の例
続いては、自院で簡単に真似できる医療マーケティングの手法を紹介します。
専門業者に患者満足度調査を依頼する
自院でマーケティングを行うには時間も人手も足りないなら、専門業者に依頼するという手があります。
『ニチイ学館』『メディカルローグ』『株式会社ウィ・キャン』などの会社に依頼して、患者満足度調査を実施することで、「患者が満足している点・不満に思っている点」がわかります。
また、後者をどのように改善していけばいいかもアドバイスしてくれるので、日々の業務が多忙でマーケティングに時間をかけられないクリニックには特におすすめです。
患者に直接、アンケート調査への協力をお願いする
患者満足度調査は自院でも実施できます。会計の際に患者一人ひとりにアンケートへの回答を依頼することで、スムーズに回答してもらいやすくなります。
質問項目は、
- 設備
- 受付
- スタッフ対応
- 医師の診療
- 待ち時間
- 予約方法
- ホームページ
などの項目ごとにそれぞれ1~5問程度用意するといいでしょう。
ただし、質問が多すぎると患者にとって手間となるため回答してもらいにくくなります。自由記入欄は一か所だけにして、基本的には回答の選択肢は5段階にするなどがおすすめです。
電子カルテやレセコンの分析ツールを使う
電子カルテやレセコンに分析ツールが備わっているなら、この機能を活用すればお金も時間もかけずに現状を簡単に分析できます。以下の電子カルテや分析ツールも使いやすいでしょう。
クラウド型電子カルテ『CLIUS』
- 診療金額の平均や合計、患者数や診療回数を月次・年次で閲覧可能(曜日、時間帯、患者の年齢層ごとに診療件数や診療時間のグラフを表示することも可能)
- 診療時刻や会計処理の時間などを「業務分析」で把握可能
- 患者の傷病名ランキングを表示できる「傷病名分析」
- 患者の再診率や新規患者の割合を確認できる「リピート率分析」
- 地図上のプロットを確認して、患者の移住地域を把握できる
電子カルテ『CLINICSカルテ』
- 医業収入、診療単価、初再診数などの基本分析、特徴分析の内容をサマリーする「ダッシュボード」で「日次」「月次」での状況を可視化
- 月齢、性別、新規/既存の3区分で期間ごとの来院患者を分析できる「集患」機能搭載
- 患者の住所郵便番号から来院患者の傾向を可視化できる「診療圏マップ」も搭載
レセコン分析ツール『CLINIC BOARD』
診療報酬請求作業で作成されている「電子レセプトファイル(RECEPTC.UKE)」を活用すれば、医業収益や患者来院状況などから、自動で経営状況を分析可能
ホームページのアクセス解析
ホームページのアクセス解析もマーケティングのひとつです。
アクセス数だけでなく、リピート率や直帰率などまで細かく確認することで、どんな情報が必要とされているのか、どんな情報があればもっとホームページ訪問者が増えそうかがわかるからです。
アクセス解析は、無料のアクセス解析ツールを活用すれば簡単に解析できます。
Google Analytics(グーグル・アナリティクス)
Google Analytics(グーグル・アナリティクス)は、名前の通り、Googleが提供しているアクセス解析ツールです。このツールを使うと、どんなユーザーがどのような経路でWebサイトを訪問して、サイト内でどのように行動したかがわかります。
具体的には、
- ユーザー属性(国、市町村、性別、年齢、言語、インタレストカテゴリ)
- ユーザーのテクノロジー環境、OS、ブラウザの種類、画面の解像度)
- 集客(どこから訪問しているのか)
- エンゲージメント(ページ閲覧数やスクロール数、一定時間以上の滞在など)
- コンバージョン
などのデータが取得可能です
Google Search Console(グーグル・サーチ・コンソール)
Google Search Console(グーグル・サーチ・コンソール)は、Google Analyticsと同じくGoogleが提供している分析ツールです。
Google Analyticsなどの解析ツールとは異なり、「ユーザーがどんなキーワードで検索して、どのような結果が表示されたか」などといった、サイトアクセス“前”のデータを取得できるのが一番の特徴です。
具体的には、
- キーワード毎の検索結果での表示順位や表示回数
- キーワード毎の検索からのクリック数やクリック率(CTR)
などのデータが取得可能です
User Heat(ユーザー・ヒート)
User Heat(ユーザー・ヒート)は、まるでサーモグラフィーのように、サイトに訪れたユーザーがクリックした箇所やよく見られたコンテンツは赤く、あまりクリックされなかったり、見られていなかったりするコンテンツは青く表示される「ヒートマップ」というツールの一種です。
このツールでは、
- 熟読エリア
- 終了エリア(ページのどこで離脱したのか)
- クリックエリア(ページのどこがクリックされたのか)
などのデータが取得可能です。
コンテンツの中で離脱が多い箇所や少ない箇所を視覚的に把握できるため、ぱっと見でわかりやすいのがメリット。ユーザーが離脱(そのページから離れること)するポイントもわかります。
離れるということは、そこでコンテンツに興味を失ってしまったか、ユーザーが抱えていた問題が解決されたかです。前者ならコンテンツを改善してより興味を引くものにできますし、後者なら、関連性のある情報やコンテンツへのリンクを貼り付けるなどすると、予約等にもつながりやすくなるでしょう。
参照:User Heat
Juicer(ジューサー)
Juicer(ジューサー)は、アクセス解析だけでは見えにくい、ユーザーの心理や本音、熱量まで分析してくれるユニークなツールです。
具体的には、
- ユーザーの熱量(関心度)
- ユーザーごとの訪問回数とメインの訪問時間帯
などのデータが取得可能です
参照:Juicer
これら解析結果をどうマーケティングに活かすことができるかというと、たとえばサイト訪問者の移住地域がわかれば、そのエリアでのローカル検索にひっかかりやすくなるような施策を打つこともできます。
熟読エリアや離脱のポイントがわかれば、どんな記事なら最後まで読んでもらえるのかがわかります。
クリニックのマーケティングのために必要な調査・施策は?
続いては、クリニックのマーケティングに必要な調査・施策について説明します。
診療圏調査
クリニック開業前には、診療圏調査をおこなうことが必須です。診療圏の範囲は診療科によって異なるので、マイナー科であればより広い範囲を調査することが必要です。
ホームページやSNSを駆使する
開業にあたってホームページを作成することは必須です。また、ホームページやSNSから情報を発信することも大切です。
SEO対策、MEO対策
より多くの人に自院のサイトを来訪してもらえるよう、SEO対策、MEO対策はしっかりとおこなうことが必要です。
クリニックのマーケティング方法を一から学びたいなら?
クリニックのマーケティングを極めたいなら、セミナーにオンラインサロンに参加したり、YouTubeチャンネルを参照したりするのもいいでしょう。おすすめを以下に紹介します。
CLIUS主催のセミナー
マーケティングをテーマとするセミナー以外にもさまざまなセミナーやイベントを開催
参照:CLIUS主催のセミナー
YouTube(Wevery! チャンネル 河合伸哉 氏)
医療マーケティングと関連が深い「マイビジネスへの医院情報登録方法」「Googleに評価されるホームページの運用方法」などを配信
開業医/開業準備医師オンラインサロン「Doctor’s chart」
開業医が集うネット上のコミュニティとして日本最大を目指しているオンラインサロンで、マーケティングに関する情報交換も活発に行われている
参照:開業医/開業準備医師オンラインサロン「Doctor’s chart」
堅実な経営は、丁寧なマーケティングから
経営を安定させるためにはマーケティングが欠かせませんが、必要な情報をひとりで調べようと思ったら時間的にも大変。
役に立つツールを駆使したり、専門家に依頼したりすることで、理想のクリニックを目指していきましょう。
特徴
その他特徴
対応業務
診療科目
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この記事は、2021年11月時点の情報を元に作成しています。