クリニック開業時には考えなくてはならないことがたくさんあります。そのひとつが内装デザインです。建物の内装を考えるにあたっては好みを追求したくなるものですが、病院やクリニックの内装に関しては、他にも考えなければならないポイントがあります。では、どんなことを考慮すればいいのでしょうか?詳しくみていきましょう。
クリニック内装の基本
まずは、クリニックの内装に関して押さえておきたい基本項目を説明します。クリニックの内装を決めるにあたってもっとも大切にすべきは、「クリニックは患者のための空間である」という考え方です。待合室から診察室、トイレにいたるまで「患者が気持ちよく過ごせる空間であるか」を考えながらデザインを進めれば、結果的にクリニックそのものに対する患者満足度が高まりやすいでしょう。
ポイントごとに考えるべきこと
これを踏まえたうえで、内装業者とともに確認していきたい点は以下の通りです。
全体のデザインコンセプト
「安心」はもちろん、美容皮膚科などであれば「美」などのキーワードをデザインに反映させたいという考えもあるでしょう。さらに細部までデザインを詰めるにあたっては、開業にあたっての想い、どんなクリニックを目指したいか、どんな医療を提供していきたいのかを内装業者に共有することで、内装業者側も提案を出しやすくなります。
待合室
コロナ禍をきっかけに、感染症対策のためにも間隔を空けて座れるだけのスペースのニーズは高まっています。また、患者に気持ちよく過ごしてもらうためにも、患者同士の視線が合わないレイアウトなどを考えることは大切でしょう。色使いに関しても、患者がリラックスできるような色の組み合わせを考えられるといいですね。
受付
来院して最初に目に入る受付は、"クリニックの顔"のようなものです。受付の印象が第一印象となるため、明るさや清潔感を特に意識して内装を考えることが大切です。
また、受付事務は女性が多いため、受付周りの収納棚の高さなどにも工夫できるといいでしょう。また、一日中受付で作業するスタッフのことを考えて、作業に適したカウンターの高さに調整することも必須です。患者目線で考えると、受付と待合室が近すぎると、受付で症状を口に出すことが憚られる場合などもあるでしょう。総面積が広くないため、距離をとることは難しい場合は、レイアウトを工夫することで解決策を見出せるかもしれません。
また、電子カルテを導入予定でカルテ棚が必要でない場合も、受付内の収納スペースは広めにとっておくといいでしょう。ペーパーレスを心がけていても、たとえばインフルエンザのシーズンの予防接種をお知らせするチラシや、新しい機器導入のお知らせチラシ、患者へのアンケートなど、作業用のカウンターだけでは置く場所が足りない場合も出てきます。
診察室
診察室は、場合によっては親や同伴者が一緒に入ることもあるので、なるべく広めのスペースが必要です。また、待合室に会話が漏れないよう、防音対策をとることも必須です。
トイレ
清潔感がある見た目はもちろん、車いすでも入りやすい設計であることやバリアフリーであることも求められます。スロープ、手すりの設置や、開き戸ではなく引き手にすることなども考えましょう。
患者導線
受付から待合、診察室、診察室から処置室への導線などを考えるにあたっては、医療機器の配置についてもしっかり考えていく必要があります。つまり、内装を考える前に、クリニックに導入する医療機器を決めておく必要があるということです。
入口
入口の一直線上に待合室も診察室もある構造だと、入り口を開けると中が丸見えになるなどの難点があります。また、コロナ禍を経た今は、換気の観点からも入口について考える必要性がより高まっているでしょう。
診療科別のポイント
続いては、主な診療科ごとのデザインのポイントを説明します。
内科
循環器内科や糖尿病内科も含めた内科系クリニックは、他の診療科と比べて高齢の患者が多いです。そのため、足が悪い人や車いすの人のことを考えてデザインを進めることが大切です。同伴者がいる場合も多いので、入り口やトイレなども広めの設計にしましょう。
小児科
高齢者の患者同様、小児科の患者も同伴者がいる場合が多いでしょう。また、院内感染を気にする子どもの保護者は多いので、症状が認められる患者を隔離できるよう、待合室を別途用意することも理想的。ベビーカーを置くスペースや子どもが遊ぶスペースなども広めに設計したいところです。
整形外科
車いすや松葉杖の患者が多いため、バリアフリー設計にすることは必須。手すりやスロープを設置するほか、足腰が悪い人が座りやすい椅子を選ぶことも重要です。
産婦人科
妊婦さんが多い産婦人科にとっても、バリアフリー設計やトイレのスロープなどは必須条件です。上のお子さん連れで来院する妊婦さんのために、子どもが遊ぶスペースなども儲けられたらなおいいでしょう。
精神科、メンタルクリニック
診察室の防音対策に関しては、他の診療科以上に力を入れたいところです。また、待合室の椅子を患者同士の視線が合いにくい配置にすることや、受付での会話が他の患者に聞こえにくい設計にすることも大切です。
美容皮膚科、美容整形外科
一般的なクリニックと異なり、高級感を演出することが重要です。内装にはお金をかけず、そのぶん施術に力を入れていきたいという考えもあるかもしれませんが、院内がラグジュアリーな雰囲気であったほうが、「このクリニックでなら理想の見た目を手に入れられる」と思ってもらいやすいでしょう。リッチな府に気を出すために、インテリアにシャンデリアや水槽を取り入れてみるのもおすすめです。
クリニックの内装決定から工事完了までにはどのくらいかかる?
クリニックの内装コンセプト、細かなデザインや配置を考えて、実際に施工するまでに必要な時間は、おおよそ2か月~3か月半程度です。内装のプランを決めるのに約1か月から1カ月半、工事着工から引き渡しまでに約1か月から2か月とみておくといいでしょう。ただし、内装に関して具体的なアイディアがまったく浮かんでいない状態からプランニングを開始したとすると、これ以上時間がかかる場合もあります。
クリニック内装工事にかかる費用の相場は?
クリニックの内装工事にかかる費用の相場は、200万円から700万円程度と思っていいでしょう。ただし、希望する条件によってはもっと安くなることも高くなることもあり得ます。自院の場合どのくらいの費用が必要であるのかは、見積もりを出してもらって確認することが望ましいでしょう。
見積もりは複数の業者に出してもらおう
見積を出してもらう際は、1社に絞ることなく、複数の業者への相見積もりを選択するのがベストです。どんな業者があるか調べるだけでも大変なのに2社以上も選ぶのは面倒だ……と思う人は、ぜひクリニック開業naviにお気軽にご相談くださいね。
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この記事は、2022年1月時点の情報を元に作成しています。