クリニックのスタッフ採用時に適性検査を実施したほうがいい理由は?

クリニックのスタッフ採用にあたっては、よりよい人材を見つけたいと思って当然です。

書類選考および面接では、これまでの経験や意欲をしっかり確認することになりますが、応募者側は採用されるために自分を取り繕っていることも考えられるので、一人ひとりの適性をしっかりと見極めることが大切です。

見極めに役立つもののひとつが適性検査。具体的にどういう検査なのかを紹介していきます。

適性検査とは? なぜスタッフ採用時に実施すべきなの?

適性検査とは、一人ひとりの能力や性格・特性を定量的に測定する試験のことです。

面接では見た目や第一印象の影響を受けない客観的な評価が重要なのですが、人間は誰しも、多かれ少なかれ見た目や第一印象で相手を判断することがあるものです。

それ自体は悪いことではありませんが、自分の直感に従って判断した結果として、トラブルメーカーなどの、問題があるスタッフを採用してしまう可能性が無きにしも非ずです。

そうした事態を防ぐためにも、応募者の人間性や価値観を定量的に測定できる適性検査は非常に有効なのです。また、採用サイドで意見がわかれたといの共通のフレームとして役立つほか、基礎的な能力を測定できることから、採用した場合の仕事ぶりの期待値がみえてきます。

事務能力や看護能力に関しては資格などで判断することができても、患者とのコミュニケーション、スタッフ同士のコミュニケーションが問題なく行えるかどうかなども指標ともなるので、必ず実施したいところです。

適性検査を導入するメリットはある?

適性検査の導入メリットはいくつかあります。たとえば、以下のようなことが考えられます。

① 採用のミスマッチを防げる

冒頭で述べた通り、適性を知るためのひとつの指標になります。また、人間性や価値観などを定量的に測定することもできるので、質疑応答とは別の側面から応募者を理解することができます。

② 思考力や論理性、数値能力を測定できる

基礎的な能力を定量的に測定できるので、採用した場合の仕事ぶりの期待値が見えてきます。

③ 客観的な目線で専攻できる

見た目や第一印象の影響を受けない評価が可能となります。また、採用者側で意見が分かれたときに共通のフレームとして役立ちます。

実際に何割程度の医療機関が適性検査を実施している?

求人情報・転職サイト「doda(デューダ)」の調査によると、筆記試験を実施している企業は全体の51%との結果。「筆記試験」の内容に関しては、「性格適性検査+能力適性検査」の実施が59%、「性格適性検査」が24%、「能力適性検査」が10%であることから、筆記試験を実施している企業のうち9割以上がなんらかの適性を測る試験を実施していることがわかります。

では、医療系専門職の採用試験ではどのくらいの割合で筆記試験が実施されているかというと、同じ調査の結果、39%という数字が出てきます。

参照:doda 「筆記試験の実施率、試験内容は?」

適性検査を導入しなかった場合に起こり得る問題は?

適性検査をおこなわずに表面的な部分しかわからないまま採用した結果、採用したスタッフが仕事でミスを繰り返したり、スタッフ間での衝突が絶えなかったり、場合によってはトラブルに発展したりすることもあり得ます。

しかも、そうなった場合でも、該当スタッフを簡単には辞めさせることができません。スタッフに辞めてもらいたい場合、「退職勧告」または「解雇」の手続きをとる必要がありますが、いずれの場合も簡単にはいきません。

まず、退職勧告とは、雇い主が従業員に対して「辞めてくれないか?」と退職を勧めることを意味しますが、従業員はこれに応じなくてはならないということはありません。一方、解雇に関しては、一度の失敗で解雇が認められることはまずありません。従業員の行為の内容や、それによってクリニック側が被った損害、従業員が故意でやったのかどうかなどさまざまな事情を考慮しながら、最終的には裁判所が判決することとなります。裁判に要する時間や費用などを考えると、こうした事態に陥ることを避けるに越したことはありません。

クリニックスタッフが受ける適性検査にはどんな種類がある?

クリニックスタッフの採用選考に用いられる適性検査にはいくつか種類があります。なかでも、「クレペリン検査」「Y-G性格検査」「SPI3」の3種類は採用しているクリニックが多いようです。また、「CAB」「GAB」「玉手箱III」を採用しているクリニックもあります。

さらに最近は、回答時間がわずか10分でOKの「ミツカリ」も人気ですし、適正ではなく“不適正”を確認するための「不適正検査スカウター(R)」もよく使われています。

「能力面の特徴」「性格・行動面の特徴」の両方を測定できる「クレペリン検査」

クレペリン検査は心理検査の一種です。1分ごとに行を変えながら一桁の足し算をおこないます。所要時間は前半15分、後半15分の合計30分。前半と後半の間に休憩時間が設けられています。この検査で何がわかるかというと、受験者の「能力面の特徴」と「性格・行動面の特徴」です。前者の判断材料は全体の計算量です。作業効率および作業するときのテンポによって判断されることになります。

後者の判断材料は、1分ごとの計算量の変化である「作業曲線」と計算間違いの量です。これらをチェックすることによって、受験者の「発動性=物事への取り掛かりや滑り出しの良し悪し」「可変性=物事を進めるにあたっての気分や行動の変化の大商」「亢進性=物事を進めていくうえでの強さや勢いの強弱」がみえてきます。3つの要素は不足していても過度であっても、それぞれに長所と短所があります。

たとえば発動性が過度であれば、気軽に取り組んでくれる一方、先走ることもあるでしょう。不足している場合は「我が強い」とも「自主的」ともいえます。

クレペリン検査の実施を検討したいなら、「内田クレペリン検査」が実施している無料説明会に参加することをおすすめします。費用や納期など、具体的な導入方法を無料で説明してもらえます。

参照:内田クレペリン検査

受験者を性格別に5つのタイプに分類できる「Y-G性格検査」

YG性格検査とは、人の性格に関する120問の質問に対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3つの選択肢のうちどれかを選んで答える検査です。

質問はどれも、たとえば「小さなことでもなかなか決断できない」「すぐに涙ぐむ」などシンプルなので回答しやすいでしょう。ただし、試験監督者が一定の間隔で質問を読み上げる形式のため、次の質問が読み上げられるまでの間に答えなければなりません。目安としては、質問の読み上げ時間は3~4秒、回答時間は2~3秒。考える時間が短いため、直感で回答する必要があります。

また、120問目に回答するやすぐに解答用紙が回収されるため、回答の見直しはできません。

YG性格検査は、検査名通り、性格を測るための検査です。回答の結果から、社会や環境に適応しやすい「A型」、情緒面は不安定であるものの外交的で活動的な「B型」、情緒が安定していて穏やかな「C型」、情緒が安定していて積極的な「D型」、情緒が不安定で内向的な「E型」の5タイプに分類されます。

どのタイプが優れているということではなく、それぞれのタイプに合った配属を考えることが大切です。YG性格検査の導入を検討したいなら、まずは竹井機器工業株式會社の講習会に申し込みましょう。

参照:竹井機器工業株式會社 

適正と性格の両方を測定できる「SPI3」

SPI3は、リクルートキャリアが実施している適性検査で、適性検査と性格検査のふたつが含まれています。「子どものころにSPI試験を受けたけど、SPI3はSPIとは違うの?」と思う人もいるかもしれません。実は、2004年までおこなわれていたSPIが2005年からSPI2へとバージョンアップして、さらに2013年からはSPI3へとバージョンアップしています。

SPI3には、主に以下の4つの受験方式があります。

① Webテスティング

企業(クリニック)が指定した期日までに自宅などにおいてwebで受験してもらう方法です。この方式の場合、2分弱で次の問題へ自動的に移ってしまいます。

② テストセンター

リクルートが手配したテストセンター(試験会場)にパソコンを持って受けに行きます。

③ インハウスCBT

企業(クリニック)が指定した会場で、企業(クリニック)が用意したパソコンを用いて受験する方式です。webテスティングより不正を防止しづらいメリットがあります。

④ ペーパーテスト

企業(クリニック)にて受けるマークシート式のSPI3となります。

また、SPI3には「大卒採用向け」「中途採用向け」「高卒採用向け」などいくつかの種類があります。クリニックで実施したい場合は、テストの種類および実施方法を各クリニックでチョイスすることになります。試験を実施するには、1名ごとに4,000円が必要です。

参照:リクルートの適性検査 SPI3

事務処理能力を測定できる「CAB(キャブ)」

コンピュータ職としての適性を診断する検査で、同じような作業を速く正確にこなす事務処理能力を測ることができます。暗算、法則性、命令表、暗号などの問題が出題されます。テストはマークシート方式でおこなわれます。

参照:日本エス・エイチ・エル

知的能力やパーソナリティ、モチベーション、価値観などを測定できる「GAB」

新卒総合職の採用を目的に開発された試験ですが、「ヴァイタリティ」「チームワーク」などの9つの特性などを測ることができるため有効活用することも可能です。

参照:日本エス・エイチ・エル

知的能力とパーソナリティを測定できる「玉手箱III」

応募者を「知的能力」と「パーソナリティ」の両面から測定することができます。試験内容は計数、言語、英語、パーソナリティ診断などです。

参照:日本エス・エイチ・エル

その他には選択肢としてどんな検査がある?

また、クリニックの顔として常識力を問われる医療事務に対しては、一般常識を測る検査を用意しているクリニックもあります。一般常識テストの結果、簡単な時事問題やビジネスマナーに関する問題にパーフェクトに回答できているようであれば、たとえ医療事務未経験であってもいい仕事ぶりが期待できるでしょう。

また、医療事務の基礎知識を確かめる程度の問題であれば、クリニックで用意することも可能でしょう。資格取得のためのテキスト本などから抜粋することもできるので、作成の難易度が低く、検査のたびにコストがかかることもありません。

ミツカリ

「10分でできる」が最大の特長の適性検査です。性格や価値観、ストレス耐性などがわかり、チームメンバーとの相性を図ることができるので、導入することが、クリニックとしてチームで働くことを改めて意識するきっかけにもなります。

参照:mitsucari(ミツカリ)

不適正検査スカウター(R)

「適正があるかどうか」ではなく、「不適正であるかどうか」を見分けられる唯一の検査として注目されています。具体的には、「定着しない」「成長しない」「がんばらない」人材に共通する不適正な傾向を予測することができます。

また、受験後、リアルタイムで結果を確認できることや、1名受験につき0円~800円とリーズナブルなことなどもメリット。さらに、面接前に各自のスマホやPCで受験してもらうこともできるので、「きちんと対策をとって検査に挑んでいるか」などの確認にも役立ちます。

参照:不適正検査スカウター(R)

適性検査の活用法はしっかり把握しておこう

適性検査は、応募者の合否を決めるためだけのものではありません。

「この人はこの点に関しては他の人より劣るけど、この点は優れている」などの個々の特性も浮き彫りになるので、「この仕事ならうまくやってもらえそうだ」「こちらの診療科なら合いそうだ」など、お互いにとってwin-winとなる働き方を見出しやすくなるのも大きなメリットです。このことを念頭においたうえで、適性検査をうまく活用してくださいね。

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