クリニックの在宅医療を支援する「ON CALL(オンコール)」を紹介!利用メリットやサービスの意義とは

在宅医療を手がけるクリニックでは24時間対応や夜間の依頼に悩むケースも多くあります。
「院長が個人的に対応するのは体力的にも限界」
「夜間対応のため非常勤の医師を依頼しているがコスト負担が大きい」
「自宅での生活を支援したいが負担を分散できないか」
こうした在宅専門クリニック、外来と訪問診療を行うクリニックの共通課題に対して、新しいサービスが生まれました。
「ON CALL」は、クリニックの代わりに深夜や休日も問わず、患者さんからの依頼を受けて訪問診療を行うサービスです。在宅医療に対応可能な多数の医師が登録しており、現在多数のクリニックから提携の依頼が来ているそうです。
サービスの開発、提供を行う株式会社on callの符社長は現役の勤務医でもあります。ネットワーク作りやサービスの概要と今後の展望を聞きました。
※本記事に記載の情報は取材を行った2022年4月20日現在です。
※現在は東京23区内のみ対応、順次対象エリアは拡大予定。
回答者:符 毅欣氏(株式会社oncall 代表取締役・泌尿科医)

目次
  1. ON CALL誕生までの経緯
  2. ON CALLの仕組み
    1. 1:患者さんからの電話
    2. 2:ON CALLが非常勤医師をマッチング
    3. 3:訪問実施と往診の記録
    4. 4:月間の業務報告と請求
  3. クリニックが導入までに行うこと
  4. 在宅医療に対応する医師の登録も募集中
  5. 医師登録とクリニックの応募はホームページへ

ON CALL誕生までの経緯

--符社長は、現在も勤務医ですね、創業のきっかけは?
符:専門が泌尿器科で、どちらかというとガン治療など「治す」医療がメインでした。ただその先には治らないケース、亡くなられる方もいらっしゃいます。治す治療も大切ながら、今後は終末期医療、人の最期にどう寄り添うかという医療に貢献したい気持ちが強くなりました。
--ご自分でも非常勤で在宅医療にも関わられたのですね。
符:はい、その中で在宅医療の現場にも立たせていただいた中で、在宅医療クリニック、それを支える方たちを支援する必要があると気づいたんです。構造的な問題点、難しさを解決したいと創業し「ON CALL」の立ち上げを決意しました。
--具体的な問題点というのは?
符:在宅医療専門のクリニックを含めて、とくに休日や夜間の体制づくりに困っていることを実感しました。従来はかかりつけ医のおひとりにかかる負担が大きかったですが、現在は多職種、地域全体で高齢の患者さんを見守る動きになっています。だから看取りまで含めて対応できる医師がいつでも代わりにお伺いできる専門チームが必要なのではないかと考えました。

ON CALLの仕組み

半数以上の高齢者が「自宅で最期を迎えたい」と答えているものの、実際に希望がかなっているケースは1割強という現状があります。希望しない最期を迎えている方が9割近くもいる状態が続いているのです。高齢者世代がさらに増え続ける中で在宅医療のニーズは高まり続けると考えられています。
在宅医療を行うクリニックの負担を軽減しようというのがON CALLの狙いです。サービスのサービスの流れを説明します。

1:患者さんからの電話

在宅医療に対応するクリニックの悩みの多くは深夜や休日対応ではないでしょうか。
かかりつけの患者さんの対応を常に自分で行いたいという先生も多いはずです。主に夜間や休日の電話対応からON CALLに任せられます。
クリニックが患者さんから電話を受けて、ON CALLに対応を依頼する方法
患者さんからの電話を直接ON CALLが対応する方法
いずれにも対応可能です。
コールセンターでは患者さんの情報をヒアリングし、医師・看護師のいるオペレーションチームが医師による往診を行うか、電話での再診とするかを判断します。

2:ON CALLが非常勤医師をマッチング

指定した時間、場所に訪問できる医師を割り当て、患者さんの状況を伝えます。
マッチングされた医師はそのクリニックの非常勤医師として往診を行います。この際、クリニックがクラウド型の電子カルテを使用している場合はアカウント情報の共有のみでスムーズにカルテ情報が伝達できます。
現在のところクリニック側の都合にあわせて、すべての電子カルテに対応します。

3:訪問実施と往診の記録

訪問する医師は「ON CALLの医師」ではなく、契約された「クリニックの医師」として患者さん宅を訪問します。患者さんがどこから来た医師なのかを不安に思う心配はありません。
往診の記録は医師からON CALLへ報告。夜間の場合も翌朝までに集計されたデータがON CALLからクリニックに報告されます。クリニックと事前に定めた書式などさまざまな形態での報告が可能です。紙のカルテを利用しているクリニックにとっては柔軟な対応と言えるでしょう。

4:月間の業務報告と請求

日次の報告に加えて、月間の対応件数や状況などをまとめてクリニックへ報告されます。請求金額は対応した件数に応じて変動します。
なお対応分についても算定、レセプトの請求を行うのはクリニックの業務です。看取りが発生した場合も、件数の実績はクリニックに帰属します。

クリニックが導入までに行うこと

--興味をもったクリニックはどのように契約すればいいのですか。
符:特別の準備は必要ありません。患者さんからの問い合わせにどちらが対応するか、患者さんのカルテ情報をどのように共有するかなど、事前に運用方法を話し合って決めれば対応可能です。
--カルテ情報の共有は重要ですね。どのように行うのですか。
符:カルテ情報がなければ、患者さんの望む適切な医療を提供するのは困難です。したがってクラウド型電子カルテをご使用の場合には事前に弊社が閲覧できるようにしていただきます。
ただ紙カルテのクリニック様の方がお困りのケースは多いと思いますので、紙カルテでもご依頼を受け付けています。その場合は、患者さんからの電話対応はクリニックで行っていただき、引継ぎを受ける流れにさせていただきます。
--費用はどのような体系ですか。また目安を教えてください。
符:クリニックごとに患者数や依頼いただく対応内容によって料金は変動します。初期費用はかかりますが、患者数が30~50名以下の小規模での依頼の場合は月間で20万円程度でもご利用いただけます。

在宅医療に対応する医師の登録も募集中

--医師の登録にあたっては何か基準を設けていますか。
符:事前面談によるスクリーニングを実施しています。一通りのプライマリケアができるかに加えて、独自の研修を受けていただかなければなりません。利用するクリニックにとっての大切な患者様を一時的に任せていただくわけですから、医療面でも、人柄やマナーという点でもしっかりした方をご紹介する責任があります。当然のことですが訪問した医師が、患者さんを別のクリニックに誘導するなどの行為は厳しく禁止しています。
--質を保ちつつ、もっと登録する医師の数は増やしていく予定ですね。
符:そうですね。開業されているドクターにはゆとりがないかもしれませんが、勤務医で在宅医療に興味のある先生にとって貴重な経験になると思います。ご自宅近くなどの地域医療への貢献を実感できるのではないでしょうか。自身が登録したいというドクターからの問い合わせも随時お待ちしています。
--まだサービス地域は都内のみですが今後の見通しは。
符:質の高い医師を確保して、現在の都内23区のみを対象としたエリアを順次拡大していきます。ありがたいことにすでに都下の郊外や他県、さまざまな地域のクリニックや団体からお問い合わせをいただいているので、ニーズは想像通りまたは想像以上に高いと感じています。
地域によって医師数、クリニックの数に偏りがあることは言うまでもありません。ON CALLのような互助の仕組みを各地に広げていくことは、住民の安心を守る、また安らかな最期を迎えさせるためにも意義のある事業と言えるのではないでしょうか。

医師登録とクリニックの応募はホームページへ

在宅医療は医師だけでなく、看護師や薬剤師、介護福祉士、ケアマネジャー、訪問リハビリ、入浴など幅広い職種のサポートが欠かせません。
夜間も含めた24時間対応、休日についてクリニック単体で行うのは限界があるでしょう。紹介したON CALLのように必要なときだけ医療をアウトソーシングという考え方は、今後の需要はさらに高まると予想されます。
自院がサービスを利用できるかの質問・相談や、また登録医師として在宅医療の現場を支えたいという医師は、同社のホームページよりお問い合わせください。

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 執筆者 藤原友亮

医療ライター。病院長や医師のインタビュー記事を多く手がけるほか、クリニックのブログ執筆やSNS運用なども担当。また、法人営業経験が長く医療機器メーカーや電子カルテベンダーの他、医師会、病院団体などの取材にも精通している。


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