クリニックの非正規労働者には有給休暇付与が必要?

電子アルバイトやパートの非正規労働者がいるクリニック、今後、非正規労働者を雇用していきたいと考えているクリニックは、非正規労働者の有給休暇について調べたり、競合の実態を確認したりしたことがあるのではないでしょうか。有給休暇付与に関する正しいルールを把握しておかないと、後々トラブルが発生することにもなりかねません。そこで今回は、クリニックの非正規労働者の有給休暇付与に関して知っておくべきことをお伝えしていきます。

目次
  1. 有給休暇とは?
  2. 有給休暇を付与しなかった場合は30万円以下の罰金
  3. 雇用形態が変わった場合、有休休暇の付与日数も変わる
  4. 所定労働日数が固定ではない場合の考え方は?
  5. パートスタッフの有給休暇の賃金計算方法は?
    1. 平均賃金
    2. 通常の賃金
    3. 標準報酬日額
  6. 有給休暇をきちんと付与することはクリニックの評判UPにもつながり得る

有給休暇とは?

有給休暇には、法律で定められた「法定年次有給休暇」と、企業ごとに独自に設定している「会社有給休暇」があります。会社有給休暇に関しては、取得の条件などを各企業が自由に決めることができますし、そもそも存在していない企業も多いです。

一方、法定年次有給休暇に関しては、業種や業態を問わず、一定の要件を満たしたすべての労働者に付与されるもので、労働基準法第38条によって付与日数が定められています。ただし、「雇い入れの日から6か月継続勤務」「全労働日の8割以上出勤」の2つの要件を満たしていない場合は、年次有給休暇は付与されません。

付与日数は勤続勤務年数や週所定労働時間によって異なります。

  • 通常の労働者の付与日数
  • 継続勤務年数(年) 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
    付与日数(日) 10 11 12 14 16 18 20
  • 週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数
  • 週所定労働日数 1年間の所定労働日数 継続勤務年数(年)
    0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
    付与日数(日) 4日 169日~216日 7 8 9 10 12 13 15
    3日 121日~168日 5 6 6 8 9 10 11
    2日 73日~120日 3 4 4 5 6 6 7
    1日 48日~72日 1 2 2 2 3 3 3

    また、年次有給休暇の取得日は労働者が指定しますが、繁忙期などで、その日の取得によって事業の正常な運営が妨げられる場合に限っては、使用者が取得日を変更する権利が認められています。

    参照:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」

    参照:厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト」

    有給休暇を付与しなかった場合は30万円以下の罰金

    有給休暇のルールを聞いて、「学生時代のバイト先では有給休暇などもらえなかった」と思う人もいるかもしれませんが、実はすべての雇用塗地に対して年次有給休暇の取得が義務付けられたのは2019年4月です。働き方改革関連法のひとつとして始まった制度で、違反した場合は30万円以下の罰金という罰則が設けられています。ちなみに、罰則による違反は、対象となる労働者ひとりにつき1罪として取り扱われるため、有給休暇を付与していない従業員数が多ければ、そのぶん罪が重くなります。

    また、使用者による時期指定をおこなう場合において、就業規則に記載していなかった場合は30万円以下の罰金、労働者の請求する時期に所定の年次有給休暇を与えなかった場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるとされています。

    参照:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」p.7より一部抜粋

    雇用形態が変わった場合、有休休暇の付与日数も変わる

    特に女性従業員がいる場合は、「子育てがひと段落したパートスタッフがフルタイムで働くことにした」「家族の介護などが理由で、正社員がパート契約への変更を申し出た」ということがあります。その場合、最初に有給休暇の権利が発生した日時、つまり入社から6か月経った日である「基準日」をもとに新たな付与日数が決められます。

    基準日は、たとえば(2020年)9月1日入社であれば、(2021年)3月1日となりますが、2021年4月に雇用形態を変更したとすると、変更した日の次の基準日である(2022年)3月1日の所定労働日数によって有給休暇の付与日数が決まります。

    また、有休休暇の付与日数を考える材料となる「継続勤務年数」は、雇用形態の変更に関係なく、最初に雇用した日からの勤続年数となります。

    所定労働日数が固定ではない場合の考え方は?

    クリニックでシフト制を採用している場合などは、字従業員の所定労働日数や労働時間が固定ではありません。その場合の年次有給休暇の付与日数はどう考えればいいかというと、ひとつには、過去6か月の労働日数の実績×2の日数を1年間の所定労働日数とするという考え方があります。たとえば、過去6か月の労働実績が70日であった場合、1年間の労働日数は140日とみなすということです。

    パートスタッフの有給休暇の賃金計算方法は?

    パートスタッフの有給休暇の賃金は、次のいずれかの方法で計算して支払います。

    平均賃金

    過去3か月間における1日あたりの平均賃金を日数分支払います

    通常の賃金

    所定労働時間を働いた場合に支払われる賃金を支払います

    標準報酬日額

    健康保険法の考え方に基づいた、1日あたりの賃金を支払います

    また、有休休暇を取得したぶんの通勤費に関しては支払う必要はありません。ただし、「通勤費は実際に出勤した日のみ支給することとする」などと予め明示しておくことは必要とされているので、雇用契約書を作成する際には注意しましょう。

    有給休暇をきちんと付与することはクリニックの評判UPにもつながり得る

    有給休暇の取得は法律で義務化されているとはいえ、人手不足や経営難であることから、有望なスタッフに休まれたら困ってしまうというクリニックも多いでしょう。そうしたクリニックのなかには、有休休暇を取得してもらうために、前日や次の日に残業してもらうというところもあるかもしれません。しかしそれでは本末転倒。大切なスタッフに気持ちよく働いてもらうためにも、ITシステムの導入や業務効率化の見直しによって、クリニックで有休休暇取得を推進しやすい環境を整えていってくださいね。

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