【いまさら聞けない】クリニックでSEO・MEOを行うときに知っておきたい基礎知識

「クリニックの集患には、SEO・MEOが重要です」……という言葉は、真剣に開業を目指す医師であれば、一度は聞いたことのある言葉かもしれません。

そうしたコンテンツはあらゆる形で発信されていますが、しかし、「実際に何をどうすればいいのか?」について、具体的なことはわかっていない…という方もいらっしゃるのではないかと思います。

そこで今回は、SEOやMEOについての基礎知識や、Googleの思想、またそれらを踏まえたうえでの具体的なコンテンツ施策についてご紹介します。

目次
  1. まずは、SEO・MEOともに重要な「Googleの思想」を理解する
    1. SEO、MEOとは何か?
    2. なぜGoogleは順位を付けるのか?
    3. 上位表示がなぜ大切なのか?
  2. E-E-A-TとYMYLについて
    1. E-E-A-Tとは?
    2. YMYLとは?
  3. ユーザー(検索している人)のニーズを予測するには?
    1. クエリの種類から、ニーズを理解・判断する
  4. SEOでやるべきこと
    1. サイト内に自院の情報を記載する
    2. ブログや最新情報の更新を行う
    3. ブラックハットSEOについて
  5. MEOでやるべきこと
    1. まずは「Googleビジネスプロフィール」への登録
    2. クリニックの情報を記載する
    3. MEOの精度を上げるには?
      1. 適切なキーワードを使う
      2. Googleビジネスプロフィールは定期的に更新する
      3. 口コミ対策を行う
      4. 写真を活用して、院の雰囲気や清潔感をアピールする
      5. あらゆるメディアの「NAP」を統一する
  6. クリニックのSEO・MEOは「患者さんのため」を意識しよう

まずは、SEO・MEOともに重要な「Googleの思想」を理解する

SEO、MEOとは何か?

「SEO」とは、「Search Engine Optimization」の頭文字を並べたもので、日本語にすると、「検索エンジン最適化」と呼びます。Googleで検索をかけたとき、自社のWebサイトやコンテンツが検索結果の上位に表示されるために最適な対策をとることを指します。

対して、MEOは「Map Engine Optimization」の頭文字を並べた言葉で、日本語にすると「地図エンジン最適化」。Googleで検索をかけたとき、特定の地域や場所に関連するキーワードで検索した際に表示される「ローカル検索結果」において、上位に表示させることを目的とした施策を意味します。

なぜGoogleは順位を付けるのか?

Googleは「Googleを使っている検索ユーザーに対して“有益な体験”を提供したい」と考えています。そうすることによってGoogle検索エンジンの価値を高め、ユーザー数を増やし、広告などの収入を増加させたい狙いがあるのです。

そこで、システムを使って「ユーザーにとって有益なコンテンツ」を判別し、上位に表示させています。

上位表示がなぜ大切なのか?

通常、何かのキーワードを検索した人は、検索結果を(多くても)2〜3ページしか見ておらず、ほとんどの場合は、1ページ目しか見ま(クリックしま)せん。

この「検索順位別のクリック率」についてはデータも発表されていて、seoClarity(SEOクラリティ)が公開した2021年11月の検索順位別クリック率データ(日本)によると、以下のような数字になっています。

検索順位クリック率
1位13.94%
2位7.52%
3位4.68%
4位3.91%
5位2.98%
6位2.42%
7位2.06%
8位1.78%
9位1.46%
10位1.32%
引用元: 2021 CTR Research Study: The Largest Ever for SEO

つまり、検索結果の表示順位が高ければ高いほど、そのホームページが見られる確率が高くなる一方、低ければ低いほど見られなくなってしまう≒認知されなくなってしまう、ということなのです。

次の項では、上位表示を狙うにあたって重要な「E-E-A-T」と「YMYL」についてご紹介します。

 

E-E-A-TとYMYLについて

E-E-A-Tとは?

E-E-A-Tとは、「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の略で、Googleの検索品質評価ガイドラインで定義されているウェブサイトの評価基準のことで、「ダブルイーエーティー」や「イーイーエーティー」という読み方をします。

E-E-A-Tの効果を高めるには、書籍を出版していてWeb上で販売されていたり、論文などがいくつか公開されていたり、SNSやブログ(クリニックのコンテンツも含む)などで誤りのない情報を発信していたりなどが重要です。 参照:品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加 | Google 検索セントラル ブログ

要は、専門家もしくはそれについてとても詳しい人物が、客観的なデータなどをもとにユーザーにとって有益な情報をわかりやすく紹介していることが重要である、ということです。つまり「餅は餅屋」ですね。

よくある「まとめ記事(最終的な答えが提示されず「わかりませんでした」で締められているものなど)」や「いかがでしたか?ブログ」なども、この仕組みによって(検索されるワードのジャンルにもよりますが)上位からは除外されています。

YMYLとは?

YMYLとは、「Your Money or Your Life」の頭文字をとった略語で、直訳すると「あなたのお金(もしくは)あなたの生活」という意味になりますが、Googleの定義としては「人生において、意思決定の重要な局面で影響を与えるテーマやトピックを扱うコンテンツやWebサイト」のことを指します。

それら( “お金” や “生活” にまつわるコンテンツ)は、検索するユーザーの人生にとって影響力が大きくなるであろうもの。デタラメな情報を流されると、ユーザーにとっても、Googleにとっても悪影響を及ぼしかねません。 参照:Google General Guideline(Google検索品質評価ガイドライン)

こう聞くと、とにかく厳しい基準なんだな……と感じるかもしれませんが、病気や疾患のプロ/専門家ともいえる医師(クリニック)からすると、これらの取り組みは大きな追い風になるものと言えるのではないでしょうか。

以上のSEO・MEOにおける基礎知識を踏まえたうえで、次の項では、SEO・MEOどちらにおいても必須となる「ユーザーニーズの予測」のやり方と、それに沿ったコンテンツの具体的な例を解説します。

 

ユーザー(検索している人)のニーズを予測するには?

クエリの種類から、ニーズを理解・判断する

クエリとは、かんたんに言うと「新宿 内科」や「耳鼻科 おすすめ」などの “検索キーワード” のことです。Googleはこれをもとに「検索ユーザーの求めるもの」を判断し、表示するコンテンツを選定しています。

クエリには以下4種類あって、それぞれの目的別に分類わけされています。

  • Knowクエリ
  • Goクエリ
  • Doクエリ
  • Buyクエリ

それぞれ、「知りたい」「行きたい」「したい」「買いたい」のユーザーニーズを示しています。>>併せて読みたい:【集患対策】疾患の解説記事を作成する際の注意点「Go」「Know」「Do」「Buy」クエリとは

クリニックの場合、体調を崩したときなどに、「クリニックに行きたい」「クリニックの診察時間などが知りたい」が多くなるかと思います。そのため、必然的にGoクエリとKnowクエリを満たす必要があります。

それを踏まえて、以下でSEO・MEOそれぞれにやるべきことをご紹介します。

 

SEOでやるべきこと

サイト内に自院の情報を記載する

先程もお伝えしたように、クリニックの場合、「行きたい」もしくは「知りたい」のニーズで検索されることが多いです。そのため、サイト内に「自院の情報」をしっかりと余すことなく入れることが重要です。

  • 病院名、診療科
  • 診察時間、休日
  • 住所、近隣からのアクセス、地図(Googleマップなど現在地からのルートがわかるもの方が利便性は高い)
  • 電話番号
  • 予約または問い合わせフォーム
  • 院長含むスタッフの氏名、写真、経歴を可能な限り(最低限、院長のものはあったほうがE-E-A-Tにもつながります)

などが、最低限の情報として入れておきたいコンテンツです。

ブログや最新情報の更新を行う

そのほか、ブログや「クリニックからのお知らせ(最新情報)」なども有効です。

ブログでは、基本的には「院長の日常生活」や「クリニック悲喜こもごも」よりも、「自院に来る患者さんが知りたいであろう情報についてわかりやすくまとめる」ことを意識していただくと良いかと思います。

決して「院長の日常生活」や「クリニック悲喜こもごも」を発信することがダメだとはいえません(場合によっては院内の雰囲気も伝わるので、そういった面では有効だと思います)。

ただ、先程も書いたように、患者さんがクリニックを検索するときは「知りたい」「行きたい」が主なニーズとなります。ですので、そのニーズに応えることを第一に考えたほうが、患者さんのためになり、ひいてはクリニックのためにもなると思います。

例)花粉症を診察するクリニックの場合

花粉症が流行する時期には「なぜ花粉症になるのか?」「花粉症の症状を和らげるのに有効な食べ物は?」などの情報をブログとしてコンテンツにしておくと、患者さんにとっては有効ですし、そのブログを読んだ患者さんのクリニックに抱く印象も良くなるはずです。

また、医師(クリニック)=専門家からの発信、ということもあり、E-E-A-Tの効果も期待できます。

「最新情報」においても、例えば「インフルエンザのワクチン開始しました」など時期ごとにニーズが高くなる情報は、地域でクリニックを探している近隣住民(見込み患者)にとってはとても有効な情報ですので、積極的に載せていきたいところです。

そのほかにも、新しい施術を始めたことなども発信していけると、新患の獲得にも役立つはず。

SEOの効果を高めるには定期的なサイトの更新が重要と言われている(全く更新されていないと、Googleとしてはあまり評価しない傾向にあるため)こともありますので、こちらも積極的に行っていきたいところです。

そのほかにも、外部からのリンクの獲得などもSEOには有効とされています。

これは「より多くの人からお勧めされる情報は、きっと検索ユーザーにとっても有効だろう」というGoogleの考えから来ています。

ただし、「ただリンクを多く獲得すればいい」というわけではないので、ご注意ください。

ブラックハットSEOについて

一昔前までは「とにかくリンク数が多いほど、SEOで有利だ」という言説が広まっており、実際にそのような結果になったことも少なくありませんでした。

その影響により、とにかくリンクだけを集めて貼り付けただけのコンテンツが上位表示され、アクセスを稼いでいたのです。

こうした「ユーザーニーズに応えることよりも、アクセスを稼ぐことだけを考えて行われている(Googleの思想を無視した)施策」のことを、俗に「ブラックハットSEO」と呼びます。これらの方法が蔓延ったせいで、検索結果が荒らされていることもありました。

ブラックハットSEOの代表的なもの

  • 被リンクの大量設置
  • コピーコンテンツ(他サイトから同様のニーズの記事をそのままコピペする など)
  • 隠しテキストや隠しリンク(テキストを背景の色と同じにして、KWとなる単語の羅列を置く など)
  • キーワードを不自然に詰め込んだ文章(ワードサラダ)
  • 検索エンジン向けの特別なページを表示する行為(クローキング)

そこでGoogleは各種アップデートを行い、これらの施策を行っているサイトに対しペナルティ(検索結果の順位の大幅下落、もしくは検索結果に表示させない など)を行うようになりました。

先程の「ただリンクを集めればいい、というわけではない」とは、このことからお伝えしていたのです。

ただし、「優良なリンク」の獲得はむしろ推奨されています。

クリニックのWebサイトにおける「優良なリンク」とは例えば、同じカテゴリや、YMYLでの評価が高い(つまり信頼されている)サイトからの被リンクを指します。

具体的には、同業のクリニックや病院、市政、官公庁などが挙げられます。

今回ご紹介したもの以外にも、(ブラックハットではない)SEOの施策はとてもたくさんありますので、是非こちらの記事もご覧になってみてください。 >>併せて読みたい:クリニック、病院のSEO対策には何が必要?

 

MEOでやるべきこと

先述のように、クリニックは地域ともに検索されることが多い性質を持っています。

またGoogleでは、検索時に「地域名」が入ったものは、Googleマップ上のビジネスプロフィール(施設情報)を表示するようになっています。

そのため、自院のビジネスプロフィールが作成されていないもしくは不十分だと、地域名検索のユーザを取りこぼす可能性が大きくなってしまいます。

そうならないように、MEOでは具体的にどんなことをすればよいのか?について解説します。

まずは「Googleビジネスプロフィール」への登録

Googleビジネスプロフィールを始めるためには、Googleアカウントを取得する必要があります。既にGoogleアカウントを持っているなら、そのアカウントを利用することも可能ですが、プライベート用とビジネス用とでアカウントを分けておいたほうがなにかと都合がいいでしょう。

クリニックの情報を記載する

Googleビジネスプロフィールに、「ビジネス名」「店舗住所」を入力して、「Googleマップでの表示」「業種」を選択します。続いて、電話番号とホームページのURLを登録します。

さらに、「オーナー確認」を行うことで、メニューや写真の掲載、口コミへの返信などの機能が利用可能となります。また、ユーザーの動向を知るために「インサイト機能」などを利用することもできます。

「オーナー確認」は基本的に郵送で行われるため、面倒だと思ってスルーしてしまう人もいるかもしれませんが、確認せずに放置していると、自分のGoogleビジネスプロフィールを第3者から乗っ取られる危険性が高まります。乗っ取られた結果、悪質な書き込みに対応できなくなることもあるので、面倒だと感じても必ずオーナー確認を済ませるようにしましょう。

参照:Googleアカウントの作成Googleビジネスプロフィール

MEOの精度を上げるには?

適切なキーワードを使う

Googleビジネスプロフィールに適切なキーワードを盛り込みます。多くのユーザーは、「地名+クリニック」「地名+病院」などのキーワードで検索をかけますが、特定の症状に悩んでいる人は、その症状も込みで検索することが多いです。

たとえば、不眠症に悩んでいる人が東京・渋谷のクリニックを探しているとしたら、「渋谷 クリニック 不眠症」「渋谷 不眠症 治療」などのキーワードで検索をかけるのが一般的なので、それらのニーズを見越したうえでGoogleビジネスプロフィールにキーワードを盛り込むのが重要です。

ただし、「ビジネス名」の欄には、キーワードを含め不要な情報を入れることができないので注意が必要です。これは、Googleのガイドラインに明記されていることなので、違反するとペナルティが課されることになります。

Googleビジネスプロフィールは定期的に更新する

「1週間に一度」や「1カ月一度」などと決めて、定期的に情報を更新することで、MEO対策の効果が高まります。たとえば口コミに返信したり、新しく写真を撮ったときにそれをアップしたりするといいでしょう。また、夏休みや冬休み、臨機休業などのお知らせを投稿することもMEO対策につながります。

口コミ対策を行う

よい口コミがたくさん入ると、そのぶんMEOの効果が上がります。来院してくれた人に会計の際、口コミをお願いするなどして、評価UPを狙いましょう。また、悪い口コミに対して真摯な態度で返信することも、評価を高める要因となり得ます。 >>併せて読みたい:美容クリニックは悪い口コミに対してどう対処すればいい? (※美容クリニック向けではありますが、すべてのクリニックに共通する考え方をご紹介しています。)

悪質なクレームであれば、Googleに削除を依頼したほうがいい場合もありますが、「施術に満足できなかった」などのネガティブな口コミであれば、書き込んでくれたことに対するお礼と、改善していく意向を返信することが理想的です。

写真を活用して、院の雰囲気や清潔感をアピールする

写真があるとないとでは、ユーザーの利用意向に大きな差が出てきます。長々と文章を書いても、読むのが苦手な人には見てもらえませんが、写真であれば一目で雰囲気を掴むことが可能なので、多くの人に自分の整体院・整骨院の魅力を伝えやすいでしょう。

あらゆるメディアの「NAP」を統一する

NAP(Name、Address、Phone)と呼ばれる3点(店名、住所、電話番号)の書き方が統一されていないと、検索結果で上位を狙いにくくなります。

たとえば、電話番号が03-1111-1111だとして、ホームページには「0311111111」、Googleビジネスプロフィールには「(03)1111-1111」と表記していると、それだけで検索結果が下がる原因となり得ます。

住所に関しても、ビル名を入れたり入れなかったり、番地を漢字で書いたりひらがなで書いたりすることでばらつきが出ます。

 

クリニックのSEO・MEOは「患者さんのため」を意識しよう

SEOやMEOを行うとき、どうしても「もっと多くの患者さんに来てもらうには」という意識が強くなってしまうこともあるかもしれません。

しかし、重要なのは「どれだけ患者さんのためになることができるのか?」です。その施策に対して患者さんが好印象を抱けば、やがて集患につながっていくはずです。

もし、「自分1人ではSEO・MEOは難しい」と感じたときには、専門業者の知恵を借りてみるのも1つの手。以下で紹介していますので、ご興味があればお問いあわせください。

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執筆 CLIUS(クリアス )

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