
医療圏には、1次医療圏、2次医療圏、3次医療圏の3種類があります。なぜ、3種類も制定する必要があるのでしょうか? 詳しく解説していきます。
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医療圏とは?
医療圏とは、都道府県が設定している、病床整備のための単位です。なぜ病床を整備する必要があるかというと、人口の高齢化や疾病構造の変化なとによって、地域の医療ニーズが変わっていくため。医療圏を設定することは医療法によって定められており、1次医療圏、2次医療圏、3次医療圏それぞれの定義も制定されています。
1次医療圏とは
1次医療圏とは、風邪や頭痛、腹痛などのよくある疾病の診断・治療、日常的な外来診療の医療ニーズに対応するために設定された地域医療単位です。市町村が1単位とされます。
2次医療圏とは
2次医療圏は、疾病予防から入院治療にいたるまで、地域住民の幅広いニーズに対応することを目標に整備されています。複数の市町村をまとめて1単位としており、救急医療を含む一般的医療を提供できるよう設定されています。また、各地の保健所は2次医療圏をもととして設置されています。
3次医療圏とは
3次医療圏は、高度で最先端の医療、もしくは精神病棟や感染症病棟、結核病棟をはじめとする専門的な医療を提供する医療圏です。原則として、都道府県が1単位とされています。
医療圏の現在の設定状況は?
厚生労働省の公表によると、令和3年10月時点での全国の2次医療圏は335医療圏、3次医療圏は52医療圏です。2次医療圏は、地理的条件を含む自然的条件や交通事情なども考慮したうえで設定されています。
3次医療圏は、都道府県単位なら47であるはずが5つオーバーしているのは、北海道には6医療圏が存在するからです。なぜかというと、3次医療圏は、精神病棟や感染症病棟などの特殊な医療を提供するため日常的にはニーズが低いとはいえ、1医療圏の範囲があまりにも広いと、必要性が生じたときにすぐに利用することが難しいためです。
特に、臓器移植等の先進的技術を必要とする医療、高圧酸素療法等特殊な医療機器の使用を必要とする医療、広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒性といった救急医療は一刻を争って提供しなくてはならない場合もあるため、北海道のように広いエリアでは、複数の3次医療圏を設定することが不可欠であるといえます。
参照:厚生労働省「医療圏、基準病床数、指標について」PDF2ページ目
医療圏設定の課題は?
前述の通り、令和3年10月時点での2次医療圏は335医療圏ですが、人口がますます減っていくなか、この数を見直すことの重要性に目が向けられています。
クリニックを開業するドクターは、各自が「大都市で儲けたい」「出身地などの関係がない土地でパラシュート開業したい」など自分の理想をもとに開業地を決めますが、その結果どんなことが起こり得るかというと、医療施設が過剰になったり、医療機能偏在が生じたり、はたまた医療費が高騰したりといったことが考えられます。
医療を受ける側からしたら、どこに住んでいても良質で効率的な医療を受けられることが理想ですが、実情はこれとは程遠いため、医療提供体制の責任主体である都道府県に、「効果的・効率的な医療提供体制を地域ごとに構築するために医療計画を作成して実行すること」(医療法第30条の4第1項)が求められているのです 。
とはいえ、開業する側にももちろん理想があるので、100%ニーズに沿った形で開業計画を立てることはできないでしょう。
ただし、少子高齢化が進んでいることは紛れもない事実なので、対策を考えて開業しなければ、閉院に追い込まれてしまう可能性が高くなります。
少子高齢化は新規開業にどう影響する?
では、国としてはこの問題にどう取り組んでいるかというと、まず、各地域における2025年の医療需要と病床の必要量について、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の医療機能ごとに推計して、「地域医療構想」を策定しています。そのうえで、目指すべき医療提供体制を実現するための施策についても随時議論が進められているほか、「かかりつけ医」の重要性についても、国民に広く周知すべく施策を重ねています。
これにより各医療機関は、「開業することによって地域の人をどうサポートしていくことができるか」「どうすればかかりつけ医としての使命を果たせるか」を考えることが以前に増して重要になってきています。
新規開業時に医療圏について考えるべきことは?
「少子高齢化が進んでいる現実に目を向けて開業を考えねばならない」といわれても、具体的にどうすればいいかがわかりづらいですよね。
クリニックを新規開業する際は、まず、2次医療圏に注目することが大切です。たとえば、株式会社ウェルネスが公開している「2次医療圏基礎データ」などをチェックすれば、開業候補地周辺の2次医療圏の人口密度がわかるので、その数字をもとに最終的な開業地を決めるのも一手です。
参照:wellness「2次医療圏基礎データ(巧見さん)プロ版」(無償提供 / 最新バージョン令和5年8月4日)
※人口密度はLH列参照
ただし、人口密度は今後も随時推移していくものなので、経年変化などを元に未来を予測しながら開業計画を立てることがとても大切。たとえば、総務省統計局が公表している「人口推計結果の要約(2019年)によると、沖縄・埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・福岡の7都県では人口が増加していることがわかっていますが、それ以外の地域では人口は減少傾向にあります。人口増加エリアで開業するのか減少エリアで開業するのかも考慮したうえで、クリニックの平米数などを決めることができるとなおいいでしょう。
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どの診療科でも地域医療に貢献できる
「地域医療」や「かかりつけ医」と聞くと、たとえば眼科や耳鼻科などは、自院にできることはあまりないと考えるかもしれません。しかし、厚生労働省がかかりつけ医について発信している公式サイトでも、「内科医がかかりつけ医と思われがちですが、どの診療科の医師でもかかりつけ医になります」と明言されています。患者との信頼関係を築くためにも、自院が何科であっても、地域のためにできることを日ごろから考えておいてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年9月時点の情報を元に作成しています。