クリニックのスタッフ採用・試用期間には何をするべき?

スタッフを採用するにあたって面接を実施した後、そのまま本採用とするのではなく、試用期間を経て採用かどうかを決めるクリニックがありますが、なぜ試用期間を設ける場合があるのでしょうか?

また、試用期間と本採用後では、業務内容などになんらかの違いがあるのでしょうか? 詳しく解説していきます。

目次
  1. 試用期間とは?
  2. 試用期間を設定することで得られる効果は?
    1. 既存スタッフとの相性確認
    2. 人材配置をじっくり考えられる
  3. ■試用期間中にスタッフの適性を見極めるコツは?
    1. 面接時に、どんな点に不安が残ったかを明らかにしておく
    2. 労働契約書に、スタッフに求められるスキルについて明記しておく
    3. 態度不良や能力不足が認められる場合、注意・指導する
  4. 試用期間中の労働条件は?
    1. 給与や残業代、深夜手当は?
    2. 社会保険は?
    3. 有給休暇は?
    4. 解雇は認められる?
    5. 退職は可能?
  5. 試用期間は有効に活用することが大切

試用期間とは?

試用期間とは、採用したスタッフが正社員として働くだけの能力や適性を有しているかどうかを、雇用する側が見極めるために設けられている期間です。それと同時に、スタッフ側が、継続して働いていけそうな職場であるかどうかを判断するための期間ともいえます。

試用期間の長さに法的な決まりはありませんが、一般企業は1か月~6か月程度と定めているところが多く、医療機関の場合も同様です。ただし、試用期間を設ける場合、求人票や就業規則に明記することが不可欠ですが、試用期間が長いと応募者の応募意欲が低くなるというデメリットがあるため、長さに決まりはないとはいえ、あまり長く設定することはおすすめできません。

また、試用期間中であっても、産前産後休暇を請求された場合と、期間の定めのない雇用契約であれば育休の請求も拒むことはできないため、これらの可能性を考えたうえで設定期間を決めることが賢明です。もしくは、「機関の定めあり」として試用期間を設定するという手もあります。

ちなみに、設定期間は試用期間中に短縮もしくは延長することも可能です。スタッフの適性を早期に見極められた場合は短縮、適正について不安がある場合などは延長して引き続き本採用を検討ということになりますが、延長するにあたっては、本人に事前に通知して合意を得ることが必要です。

試用期間を設定することで得られる効果は?

試用期間を設ける目的は「スタッフの能力や適性を見極めること」ですが、これによって、以下のような効果が期待できます。

既存スタッフとの相性確認

1か月~6か月程度実際に働いてもらうことで、履歴書および面接のみでは見えてこなかった人柄や、他のスタッフとの相性なども見えてきます。これによって、採用後のミスマッチを減らすことができます。

人材配置をじっくり考えられる

スタッフの業務における作業スピードや既存スタッフとの相性などが見えてくることで、本採用時に、

適材適所となる人材配置を実現することができます。

■試用期間中にスタッフの適性を見極めるコツは?

続いては、試用期間中にスタッフの適性を見極めるためにできることをみていきます。

面接時に、どんな点に不安が残ったかを明らかにしておく

試用期間として具体的な期間を定めておいても、「その期間が過ぎれば自動的に本採用にする」ということでは、試用期間を有効活用できているとはいえません。

せっかく試用期間を設定しているのなら、その期間中に、自院にとって有用な人材であるのかをきちんと見極められるよう、まずは面接時にどんな点に不安を感じたかをしっかり書き出しておくことが大切です。

たとえば、面接時の質疑応答で声の小ささや、積極性に欠けることが気になったなら、試用期間中に仕事に慣れたことで変化が見られたかなどをチェックすることが大切です。

労働契約書に、スタッフに求められるスキルについて明記しておく

まず大切なのは、労働契約書に、スタッフに求めるスキルを明記しておくことです。

たとえば、「レセプト業務の単独遂行」など具体的に記しておけば、適性の有無を判断しやすいですし、能力が欠如していた場合に解雇しやすくなります。

態度不良や能力不足が認められる場合、注意・指導する

試用期間中のスタッフに態度不良や能力不足が認められる場合、きちんと注意および指導することが必須です。

注意した結果、しっかり改善してくれた場合、最初のうちは自院で働くための意識や能力が足りなかったとしても、それを補うだけ努力できたということなのですから、「注意すれば改善できる」ことは評価に値します。

また、しっかり注意および指導していなければ、万が一、解雇したいということになっても、「注意されていないのだから解雇は不当だ」としてスタッフから訴えられる可能性があります。

試用期間中の労働条件は?

続いては、試用期間中の労働条件をみていきます。

給与や残業代、深夜手当は?

試用期間中の給与は、本採用後と同額に設定されることもあれば、本採用後より低く設定されることもあります。

低く設定すること自体は問題ありませんが、地域別の最低賃金以下に設定することは禁止されています。また、試用期間中に残業や夜勤、休日出勤が発生した場合は、残業代や深夜手当などを支払う必要があります。

社会保険は?

試用期間中であっても、雇用主はスタッフを社会保険に加入させる義務があります。健康保険・厚生年金、介護保険および労災保険、雇用保険のすべてに加入することが必要です。

有給休暇は?

有給休暇を取得するためには、雇用された日から6か月間継続勤務していて、全労働日の8割以上出勤している必要があるため、試用期間が6か月未満の場合は有給休暇が付与されません。

6か月以上の場合は、前述の通り、全労働日の8割以上出勤していれば取得できるということになります。

解雇は認められる?

試用期間中には、雇用主とスタッフは、「解約権留保付(かいじょけんのりゅうほつき)労働契約」を結ぶことになります。

これは「正社員としてやっていける見込みがないと判断される場合には解約する権利を使用者に認めているものの、使用者との間に労働契約が成立している点においては、本採用後の労働者と変わりがない」という契約です。

ただし、本採用後と同様に、正当な理由がないのに解雇することは法律で禁止されています。

では、どのような理由であれば「正当な理由」といえるのか?についてですが、たとえば、勤務態度の悪さや経歴詐称、業務命令違反、規律違反などがあった場合は、正当な理由として認められるケースが多いようです。

ただし、もしこれらに該当した場合でも「即時解雇」はできません。通常の解雇通告と同様に、まずはスタッフに注意して改善を求め、それでも改善されない場合のみ、30日以上前にスタッフに予告してはじめて、解雇可能となります。

予告しなかった場合、30日分以上の平均賃金を「解雇予告手当」として支払う必要があります。ただし、入社から14日以内であれば予告不要で解雇できます。

退職は可能?

前述の通り、試用期間は、スタッフ側が継続して働いていけそうな職場であるかどうかを判断するための期間でもあります。そのため、スタッフのほうから退職を申し出ることは問題ありません。

ただし、本採用後と同様に、就業規則に記載されている期日までに申し出るか、もしくは民法で定められている2週間前までに申し出る必要があります。

試用期間は有効に活用することが大切

試用期間は必ずしも設けなくてはならないものではありませんし、試用期間なしですぐに本採用という流れにすれば、求職者から選ばれやすくなるというメリットがあるうえ、クリニック側の手続きもシンプルになります。

一方、試用期間を設ければ、求職者からは「本採用になるかわからないなら応募は辞めておこう」と敬遠される可能性もありますが、一人ひとりのパーソナリティやスキルをじっくりと見極められるというメリットがあります。

どちらをよしとするかはクリニック次第ですが、試用期間を設ける選択をするなら、その期間を有効に活用できるよう、試用期間中にクリアしてほしい条件などをきちんと決めておくことも大切です。

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執筆 CLIUS(クリアス )

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