初めまして。株式会社メディカルリンク代表のラリホと申します。普段は現役医師として臨床も行っています。
事業内容はクリニック・病院専門の採用サイト制作です。多くのホームページ制作会社と違って、分野に特化したジャンルを扱うことで、「医療現場の採用課題」への解像度を上げサービスをより尖らせています。
今回は、人材紹介や求人媒体に頼らない採用方法である「自社採用」に着目し、その自社採用を実現するための手段としての「採用ページ」と「採用サイト」の違いについて解説していきます。
現在、自院ホームページの「求人情報」に募集要項と連絡先しか掲載していない医療機関様にとって多くの学びになる記事となれば幸いです。
今回の記事は、こう思っている先生方に是非ご覧頂きたい内容となっています。
- コストや質を改善するべく、自院ホームページからの応募が欲しい
- 採用対策、実際に何を行えば良いか分からない
- 採用ページや採用サイトの制作を検討しているがメリット・デメリットを整理したい
それでは順に説明していきます。
医療業界で増す「自社採用」の重要性
医療業界は慢性的な人材不足の状況となっており、それに合わせて自社採用(主に自院のホームページから直接応募を獲得し採用する方法を指します。コストはほとんどかからないケースが多いです)の重要性が増しています。
その背景には、今後予想される「採用コストの高騰」があります。
労働人口の減少と医療需要の増大から、医療業界の人材不足は今後加速していくといわれています。それに伴って有効求人倍率の増加などが起こり、結果として、人材紹介会社を通じての採用コストの増加へと繋がっていくのです。
現在もクリニックでは、看護師1人を採用する平均人材紹介手数料が76万円と高額になっており、多くの施設の経営圧迫に繋がっています。
今採用について困っていないクリニックも応募が集まらなくなると人材紹介を頼らざるを得なくなり、それはつまり採用コストに跳ね返ってきます。
こうした点を踏まえたうえで、人材紹介などを介した採用方法より、自院ホームページから直接応募を獲得する方法がおすすめなのです。
自院ホームページから効果的な採用を行うには、以下3つのポイントを押さえておきたいところです。
- ホームページ内の求人ページ募集要項と連絡先を掲載する
- 応募フォーム付きの求人専用のページを作る
- 応募フォーム付きの求人専用のサイトを作る
上記の3つのポイントを深掘りしつつ、「採用サイト」と「採用ページ」の違いや特徴、メリット・デメリットについて論じていきます。
採用サイトとは?
採用サイトとは、「採用・求人専用のサイト」のことです。
メインのホームページとは別のドメインで運用する(独立した形式で立ち上げる)ケースが多く、クリニックの場合、この採用サイトの最大の特徴は「患者ではなく、求職者が閲覧するサイト」という点です。
【ドメインとは?】
インターネット上の住所のようなものです。
例えば、株式会社メディカルリンクのホームページのURLは https://medical-link.co.jp/ ですが「medical-link.co.jp」の部分がドメインです。
採用サイトの参考例としては、以下のような形です。
求人サイトを運用する利点としては、以下のようなものがあります。
- 自院の「求人」のコンセプトを明確に発信できる
- 自院の労働環境や業務内容、やりがいなど「求職者が求める情報」を潤沢に掲載できるため、採用に力を入れており、組織が安定していることを伝えられる
- 各種SNSや採用説明会など様々な場面で、多くの求職者の最終的な受け皿となる
こうした利点の多い採用サイトですが、デメリットもあります。
多くの開業医や採用担当者にとっては、制作コスト(専門業者に依頼する場合は初期費用でおおよそ100万円前後)もさることながら、
- サイト構成の策定
- 原稿や素材の用意、スタッフへのインタビュー
- 各種運用
など多くの手間と時間を要する点が、高いハードルとなるでしょう。しかしその分、求職者に与える情報量と安心感は高いのも事実です。
採用ページとは?
採用ページとは、主にメインのホームページ内にある、1つの職種の募集に特化した縦長1枚のページ(ランディングページ)のことを指します。
【ランディングページとは?】
「特定の行動喚起のみ目的として作られるWebページ」のこと。
他所へのリンクなどはなく、FV(ファーストビュー…ページを開いて最初に目に留まる部分。ページの最上部)から下にスクロールして読んでいくと自然と行動したくなるような設計でコンテンツが記載されている特徴がある。
クリニックのランディングページの例としては、以下のようなものがあります。
医療機関の採用ページとしては以下のような例があります。
採用ページの方では、大まかに言って
- ファーストビュー
- 代表者紹介
- 法人紹介
- ミッション紹介
- 働くメリット・特徴
- 募集要項
- 採用までの流れ
- よくある質問
- 応募フォーム
といった流れの構成がオーソドックスなものとなっています。 ※この流れを大きく外した場合、成果(=よい人材の採用)につながらない可能性が高いのでぜひ注意してください。
採用サイトとの違いとしては、以下が挙げられます。
- 情報量が限られること
- 1つのページでは1つの職種に特化していること
- Web広告を実施できること
採用ページの目的は「以下に求職者に手間・時間をかけさせずに最短経路で応募につなげるか」であるため、これと決めた1点のポイントに絞って深掘りすることで効果が高まります。
あまり情報を多く詰め込むと1ページが長くなってしまい、ユーザーによっては、見ているうちに飽きて離脱する可能性が高まってしまいます。
採用サイトと採用ページの違い
上記、採用サイトと採用ページの概念について説明しました。続いて、両者の違いを比較してみました。
採用サイト | 採用ページ | |
概要 | ホームページとは別に作る、求人専用の情報発信をする受け皿 | 職種に特化した特設ページ |
制作目的 | 全職種向けに採用ブランディング | 足りない職種に絞ってアピール、テコ入れ |
ベネフィット | ・採用コストカット ・人材の質向上 ・中長期的な資産 | ・採用コストカット ・人材の質向上 |
制作費用 | 40万円〜150万円 | 25万〜50万円 |
ページ数 | 15〜 | 1 |
制作期間 | 2ヶ月〜 | 約2ヶ月 |
流入導線 | HPからリンクさせる | ・HPからリンクさせる・広告運用(Google・meta) |
トレンド | 導入数増加 | 導入数増加 |
向いているクリニック | ・採用ブランディングをしたいクリニック ・人材紹介をよく利用するクリニック ・求人媒体に掲載しても応募が増えないクリニック | ・特定の職種以外は足りており、今後も採用が安定すると予想できるクリニック |
上記、いくつかの項目に分けて記載しましたが、以下で重要な部分をピックアップして説明を加えていきます。
制作目的
採用サイトと採用ページは同じWeb上に作られるWebページ(又はページ群)ですが、制作の目的が若干異なります。ここの違いを明確にして、自院がどちらに適しているかを見極めていきましょう。
まず採用サイトの目的ですが、「全職種向けに採用ブランディングを行うこと」です。
採用ページと違いあらゆる情報をページを分けてふんだんに掲載できるため、様々なアピールが可能です。
当然、求職者にとって「見たい情報がすべて整理されてそこにあるもの」になっている必要がありますが、そこさえクリアできればとても有効なものとなります。
最終的には「興味を持った求職者を直接応募に繋げるための架け橋的存在」になる点も魅力です。
採用ページの目的は「職種に特化した特設ページ」を目的として制作します。
例えば、自院に看護師が足りないのであれば「看護師募集」のみに特化したページを作成して、看護師向けに広告を打ちページに流入させて、そこからの応募につなげようというものです。
クリック単価とコンバージョンレートによって応募単価が決まります。地域や職種によってパラメータは異なりますが、採用ページを検討している方は必ず押さえておきたい相場となります。
制作費用
制作費用の相場は、採用サイトで40万円〜150万円、採用ページで25万円〜50万円です。
採用サイト制作はページ数や攻勢も多岐にわたることから工数も多く、比較的高額の見積もりとなることが多いです。
また、「人材紹介を使わずに自院採用ができるなら、1~2人の採用で元が取れる」という考えのもと、若干高額になっても制作に踏み切る医療機関は多く見受けられます。
採用ページ制作は基本的に1ページでの作成となるため、見積もりも比較的低価格となることが多いです。
個人的には50万円以上するのであれば、費用対効果の観点から今一度検討したいと考えています。
広告運用するのであれば更に広告費・広告代理店費用が嵩みますので、効果が出なかった場合のリスクが高くなります。
ベネフィット
ベネフィットとしては、採用サイトも採用ページも同様に「採用コストカット」「人材の質向上」がメインとなります。
人材紹介の手数料に悩むクリニックにとっては自院ホームページからの直接応募が増えると、採用コストカットにつながります。
自院が発信している情報(サイト・ページ)を経由して応募してくれる求職者は比較的モチベーションが高いと言え、面接に来なかったり、内定辞退されたり、といったリスクは格段に減ります。
また、定性的ではありますが、自院による直接採用は比較的定着率が高い傾向にもあります。
採用サイトの特徴的なベネフィットとしては、採用サイトは中長期的なクリニックの資産となる点が挙げられます。
基本的に半永久的にクリニックホームページからのリンク導線を設置するため、潜在層(今すぐ転職を考えていない層)にも常日頃からアピールが可能です。
そういった意味で、潜在的に地域住民に自院の採用情報を発信できるという意味で、運用期間が長ければ長いほど、目に見えない資産となります。
それぞれに向いているクリニックは?
採用サイトが向いているクリニックは、費用対効果の観点から
- 人材紹介をよく利用するクリニック
- 有料求人媒体に課金しても応募が来ないクリニック
に向いているといえます。
また、費用対効果以外の面からも
- 自院ホームページからの直接応募を増やしたいクリニック
- 今後も安定した採用を行いたいクリニック
といった、先行投資の側面を持ち合わせた考え方もあります。
採用ページが向いているクリニックは、ページ作成後、広告媒体(Google・meta)にて運用してでも足りない職種がある場合です。
勿論、採用サイトを広告にかけても良いし、採用ページで全職種管轄のページを作成することも可能ですが、当記事ではWebマーケティングの観点から最も適している考え方や運用方法を紹介しています。
採用サイトのレバレッジ
ここでは更に、採用サイトのレバレッジについて少し深掘りして紹介致します。
金銭的なレバレッジに関しては、採用サイトは一度制作・導入してしまえば、そこから何人採用してもコストはかかりません。人材紹介のような成果報酬制ではないためコストが嵩むことはありません。
また、現代の求職者は求人媒体・SNSでクリニックを認知した後は必ず公式ホームページの求人情報を閲覧します。
「どういうクリニックなのか?」「どんな人が働いているのか?」「休日は?」など、受けるかどうかを判断する情報を知りたいからです。
当然、採用サイトにも流入します。
興味を持っている段階の求職者(ここには潜在層も含まれます)ほぼ全員に採用サイトの存在をアピールでき、その潜在層がいざ転職を決意した際の第一想起(1番最初に思い浮かぶ選択肢)となり得ることができます。
つまり、運用期間が長ければ長いほど、たくさんの潜在層へ訴求し続けられるという点において、レバレッジが効いていると言えます。
その地域のクリニック・病院で働く人の多くはその地域に在住している人達です。その人達に常日頃から如何に採用の扉が開かれているかを示しておくことは、中長期的に効いてくる施策となっており、今後ますます重要度を増してくることでしょう。
求職者に選ばれるクリニックになるために
現在の情勢・背景も踏まえ、今後はクリニック自らが情報発信を行い「選ばれるクリニック」になる必要があります。
給料を近隣クリニックより高額にして人材確保しているクリニックもありますが、診療報酬改訂リスクや被雇用者は自分の貰う給料に段々と慣れてしまうなど、完璧な対策とは言えません。また、当然クリニック全例で使える施策でもありません。
現在トレンドを汲み取り、多くのクリニックが採用のために自らが情報発信を行う時代が必ず訪れます。情報発信を行っていないクリニックはWeb上での比較検討段階で応募候補から外れてしまうので、やはりWeb上の情報発信こそ必須の採用対策と言えます。
具体的な情報発信のやり方としては、Tik tokやInstagram、Youtubeメディアの運用などもありますが、弊社メディカルリンクでは、「採用サイト(求人専門のホームページ)」を第一選択として「採用のコスト・応募数・人材の質を改善し、診療以外のいらない不安・ストレスを無くす」というミッションを掲げています。
クリニックに興味を持った求職者をしっかり応募まで繋げることで採用コストを削減したり、採用発信をしている採用サイトを経由させることで入職後のミスマッチを減らすなど、院長の採用労務全体を下支えする支援を採用サイトを通じて行っています。
「今後の採用に向けて対策をしたい」「コストカットをしたい」等のお悩みのある先生は是非お気軽にご相談頂ければと思います。
最後に、長く拙文ではありましたが、当記事を時間をかけて読んで下さった先生方の今後の採用が少しでも改善することを切に願っています。
特徴
対応業務
その他特徴
タイプ
提供人材
診療科目
この記事は、2024年10月時点の情報を元に作成しています。
執筆 株式会社メディカルリンク代表/臨床医 | ラリホ
臨床医として働きつつ、2022年に株式会社メディカルリンクを創業。
クリニックを中心に医療機関専門のパッケージ型採用サイトの制作・運用事業を手掛け、多くのクリニックに「質の高い人材を低コストで採用する」という価値を提供し導入数は右肩上がりに伸びている。
安定した組織運営を行う傍ら、X(旧Twitter)でも採用労務のTipsを情報発信している。
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