電子カルテの標準化が国を挙げて進められていることもあり、紙カルテから電子カルテへの移行が済んでいない医療機関も、重たい腰を浮かせ始めたのではないでしょうか。そこで今回は改めて、電子カルテを選ぶ際のチェックポイントのうち、もっとも重要なポイントのひとつでもある、レセコンとの連携について解説していきます。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
電子カルテとレセコンの役割は?
電子カルテとレセコンとの連携について考える前に、まずは改めて、電子カルテ、レセコンそれぞれの役割を確認していきましょう。
電子カルテの役割
電子カルテは、従来、紙で管理されていた診療録の代わりに、患者の情報を電子データとして一元的に保存・管理するシステムです。ただし、紙のカルテをそのままデジタル化するのではなく、診断内容、処方、検査結果、看護記録など、患者に関するあらゆる臨床情報を落とし込める、プラットフォームのような存在であるといえます。
レセコンの役割
レセコンの正式名称は「レセプトコンピューター」または「医事コンピューターで」、レセプト(診療報酬明細書)を作成・管理するシステムのことです。レセコンを活用することで、診療行為に基づく保険点数を自動計算できるほか、病名と処方の整合性チェック、審査支払機関へのオンライン請求などもおこなうことができるため、レセプト作成業務の効率化、レセプト請求のミス削減が期待できます。
電子カルテとレセコンの普及率の違い
厚生労働省が公表している最新データによると、2023(令和5)年度の電子カルテシステムの普及状況は、病床規模400床以上の大規模病院においては93.7%にまでのぼるものの、一般診療所では55.0%と約半数にしか満たないことがわかっています。
一方、社会保険診療報酬支払基金の調査によると、2025(令和7)年7月診療分のレセプト請求に関して、病床規模400床以上の大規模病院の99.7%、一般診療所の95.7%がオンラインでおこなっています。
参照:社会保険診療報酬支払基金「請求状況(医療機関数・薬局数・ステーション数ベース【令和7年7月診療分】)
なぜ普及率にこれほどの違いがあるかというと、レセプト請求は元来、非常に煩雑で手間のかかる作業で、手作業だとミスが生じやすい一方、レセコンを使うと、作業効率が大幅に改善されるうえ、ミスを減らすことがでるからです。そのため、電子カルテの導入はまだでも、レセコンはとっくの昔から導入しているという医療機関も多いと考えられます。
つまり、これから電子カルテを導入する場合も、既に導入済である場合も、院内には、電子カルテとレセコンの両方があるということになりますが、電子カルテとレセコンは、連携させるか、もしくはもともと一体型のものを選んで導入すると、業務効率が圧倒的によくなります。
その理由については後述します。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
「連携型」と「一体型」の違いとは?
電子カルテとレセコンの連携、あるいは一体型の導入によって業務効率が改善される理由について説明する前に、まずは、連携型と一体型の違いを確認していきましょう。
連携型とは、前述の通り、電子カルテとレセコンを連携させて使うこと、連携させて使えるシステムを指します。既に使用しているレセコンは引き続き利用しながら、最新の電子カルテを導入したい場合などにこの方法が選択されるケースが多いです。なお、連携型は「分離型」と呼ばれることもあります。
一体型は、一つのシステムに電子カルテとレセコンの両方の機能が備わっているので、IT管理の手間を最小限に抑えたい場合や、新規開業時に一括して必要なシステムを購入する場合などに向いています。
| 項目 | 連携型(分離型) | 一体型 |
| 操作性 | それぞれのシステムの操作を習得する必要がある | 単一のインターフェースであるため、覚えることが少ない。また、直感的に操作できる |
| 柔軟性 | 電子カルテ×レセコンの組み合わせが自由(ただし、連携できないメーカーもある) | ベンダーの提供範囲に限定される |
| サポート窓口 | 電子カルテ、レセコンのベンダーが異なり、なおかつどちらに問題があるかわからない場合、問い合わせが煩雑になる | 問い合わせ先が一本化されているため、スムーズな問題解決につながりやすい |
| 導入コスト | 電子カルテ、またはレセコンのどちらかを既に導入している場合、残りの一方を導入すればいいため、コストを抑えられる | 一般的に高額になる傾向にある |
| データ整合性 | 連携の精度に依存する | 単一データベースであるため整合性には問題がない |
| ランニングコスト | 電子カルテとレセコンのシステム保守費用が二重になる可能性がある。合計額の確認が必要。 | サポート・保守が一本化されるため、費用体系はシンプルで予測しやすい。 |
|---|
連携型を選ぶ際の重要ポイント:連携方法の種類とリスク
連携型を選ぶ際、「連携の精度」が業務効率を大きく左右します。連携方法には主に二種類があり、自院が採用するもの(あるいは採用したい電子カルテ・レセコンの組み合わせ)がどちらの方式であるかを必ず確認してください。
1. API連携(リアルタイム連携)
電子カルテとレセコンが専用のインターフェース(API)でつながり、診療行為の入力がリアルタイムでレセコンに反映される方式です。
特徴: データ転送のラグや人為的なミスがなく、一体型に近いシームレスな操作感を実現できます。
リスク: 連携できるシステムが限定されます。
2. ファイル連携(中間ファイル連携)
診療終了後、電子カルテから診療データ(CSVなどの中間ファイル)を出力し、そのファイルをレセコン側で読み込むことで情報が転送される方式です。
特徴: 異なるメーカー間でも比較的連携しやすい傾向にあります。
リスク: データの転送や読み込みに手作業が介在するため、手間がかかる上、転送忘れやエラーが生じるリスクが残ります。連携型のデメリットである「データ整合性の問題」は、主にこの方式で発生しやすいと言えます。
連携型で失敗しないためには、できる限り「API連携」を採用しているシステムを選ぶことが極めて重要です。
「電子カルテとレセコンを連携させる」あるいは「レセコン一体型の電子カルテを導入する」メリットは?
電子カルテとレセコンを連携させるか、あるいはレセコン一体型の電子カルテを導入するメリットは次の通りです。
詳しく解説していきます。
業務効率が向上する
患者基本情報や病名、処方、検査、処置などの医療情報を、電子カルテとレセコンの双方に個別に入力する必要がなくなるぶん、業務効率が上がります。
医師が診察中に電子カルテに入力した診療行為および処方内容が、リアルタイムでレセコンにも反映されるため、医療事務が会計するために、電子カルテからレセコンに転記する必要もなくなります。
入力ミス・算定漏れを防止できる
電子カルテからレセコンに転記することで、内容や数字を打ち間違えるということもありませんし、情報が自動で反映されるため、算定ルールの解釈間違いによって算定漏れとなってしまうこともありません。そのため、審査支払機関からのレセプト返戻が生じにくくなります。
患者満足度が向上する
電子カルテ、レセコンそれぞれに入力しなくてよくなるぶん、受付から診察、会計までの流れがスムーズになるため、患者の待ち時間が大幅に短縮されます。そのため、患者満足度が向上します。
常に最新の情報を確認できる
電子カルテまたはレセコンから入力した情報が、リアルタイムでもう一方にも反映されるため、一つ前の情報をもとに診察や会計がおこなわれるリスクを防ぐことができます。たとえば、受付でマイナ保険証の変更手続きをおこなうと、変更した情報が電子カルテにも反映されるため、医師側も最新の情報を把握した状態で診察できます。
電子カルテとレセコンを連携させる」あるいは「レセコン一体型の電子カルテを導入する」デメリットは?
電子カルテとレセコンを連携させるか、あるいはレセコン一体型の電子カルテを導入することのデメリットは次の通りです。
システム障害時の影響範囲が広くなる場合がある
ネットワークトラブルやサーバーダウンが生じた際、電子カルテとレセコンの両方が使用不能となれば、診療から会計までのすべての業務をいつも通りにおこなうことができません。
システム障害に備えてバックアップ体制を整える
ただし、電子カルテとレセコンを連携していなかったとしても、システム障害時には双方がいつも通りには使えなくなる可能性があります。そのため、いずれしても日頃からバックアップ体制を整えておくことが重要です。
システム障害時に継続して運用する方法を確立させておく
システム障害時に、速やかに紙カルテでの運用に切り替えられるよう、手順を整えておくことが大切です。あるいは、ネットワークがダウンしていても一部機能が利用可能なオフラインモードが整備されているレセコン一体型電子カルテを選んだり、サブサーバーに切り替えできるようにしておいたりといったことも有効です。
信頼できるベンダーを選ぶ
サーバーの監視体制が万全で、システムの安定稼働実績があるベンダーを選定することも大切です。また、レセコン一体型を導入するのではなく、電子カルテとレセコンを連携させる場合、自院の電子カルテまたはレセコンと連携可能かどうかも重要なチェックポイントです。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
連携型のメリット・デメリットは?
続いては、連携型・一体型別のメリット、デメリットをみていきましょう。まずは連携型から。
連携型のメリット
連携型のメリットは、サーバー障害などがあっても、電子カルテ、レセコンの片方は使える可能性が高いため、診療を継続できる確率が高いということです。
また、電子カルテまたはレセコンを既に導入済で、未導入のもののみを導入する場合、導入費を抑えられることや、新しく覚えなければならないことが少ないこともメリットです。
連携型のデメリット
デメリットは、電子カルテ、レセコンのどちらに問題があってトラブルが発生しているかがわからない場合、ベンダーへの問い合わせがややこしくなることです。どちらが原因であるのかがわからない場合、両方のサポートセンターに問い合わせしなければ解決しない可能性があります。
一体型のメリット・デメリットは?
続いては一体型です。
一体型のメリット
一体型の場合、トラブル発生時の問い合わせ先が一本化されることで安心感が得られます。また、新規導入時に、覚えることが少なくて済むことや、設置場所を確保しやすいことも大きなメリットです。
一体型のデメリット
デメリットとしては、サーバー障害時に両方とも使えなくなることや、故障などで入れ替えが必要となった際に両方とも変える必要があることから、必要経費が大きくなることが挙げられます。
なお、連携型・一体型それぞれについて、おすすめの電子カルテを下記の記事で紹介しているのでご参照ください。
参照:【電子カルテ】レセコン一体型とレセコン分離型を比較|違いと特徴、機種・メーカーの紹介
電子カルテ、レセコンを選ぶ際には、「連携可能か」以外についてもチェックすることが大切
冒頭で触れた通り、現在、日本では電子カルテの標準化が進められています。そのため、これから電子カルテを導入する場合、標準化への対応について考えることが不可欠ですし、この記事で解説した通り、連携型・一体型のどちらにするかについても検討していく必要があります。加えて、「自院の規模や診療科に合っているか」「クラウド型かオンプレミス型か」は、一体型・連携型の選択とも密接に関わります。一体型はサーバー管理が不要なクラウド型での提供が増えており、連携型は既存のオンプレミス型レセコンの活用のために選ばれることが多いという傾向を理解しておくと検討がスムーズです。「サポート体制は充実しているか」「操作性はいいか」などいくつかの大切なチェックポイントがあるので、後悔のない導入を実現するためにも、導入時の比較検討にはしっかりと時間をかけることをおすすめします。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年11月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
他の関連記事はこちら
