クリニックを開業するにあたっては、医療機器、事務用品をはじめ、さまざまな機器、備品、設備をそろえておくことが必要です。なかでも、業者にもこだわって万全の状態に整備しておきたいのが弱電設備です。弱電設備とは、建物や住宅などで使用される電気設備のうち、低い電圧で動作する機器や配線を指します。クリニックにとって必須の弱電設備とはどんなもので、どんな点に留意して選べばいいのかを解説していきます。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
- クリニック運営に必須の「5大弱電設備」とは?
- 失敗しないための「設計事務所・建築業者」との連携タイミング
- 開業規模別:弱電設備の構成の目安は?
- 開業規模別:弱電設備の相場は?
- クリニック開業準備用「弱電設備チェックリスト」
- クリニック開業時にネットワーク構築を依頼する弱電業者の選定ポイントは?
- クリニックにおすすめのネットワーク構築業者
- PC周辺機器トップメーカーのグループ企業「バッファローITソリューションズ」
- クリニック専門のLAN配線、ネットワーク構築・保守管理サービス「clinic-net」
- クリニック開業支援もおこなう「株式会社シンクリズム」
- 既存ネットワークの再構築にも対応「株式会社セブンネット」
- 医療総合ネットワークにおける“ITかかりつけ医”を目指す「株式会社マクロスジャパン」
- 病院向け情報ネットワークシステムが充実「エイチ・シー・ネットワークス株式会社」
- 幅広い業種に保守・運用を提供するなかでも医療分野での実績が豊富な「SHINKO」
- 運用管理の効率化やセキュリティ向上を踏まえたシステムを構築「株式会社ハーツコムネット」
- 使い勝手とセキュリティのバランスを考慮してネットワークを構築「株式会社三勢」
- 弱電設備の設計や工事完了後は、サイバーセキュリティ対策も忘れずに
クリニック運営に必須の「5大弱電設備」とは?
クリニックを運営するために不可欠な情報・通信系インフラは多数ありますが、そのなかでも特に必須であると考えられる弱電設備は次の5つです。
①電話設備(PBX / IP電話)
②ネットワーク設備(LAN・Wi-Fi・VPN)
③セキュリティ設備(防犯カメラ・入退室管理)
④放送・ナースコール(院内呼出システム)
⑤視聴覚・表示設備(サイネージ・受付番号表示)
それぞれ詳しく解説していきます。
※重要:忘れてはいけない「防災設備(消防設備)」 上記5つに加え、クリニック開業には消防法に基づいた「自動火災報知設備(感知器)」や「誘導灯」の設置・増設が義務付けられています。これらも電気工事(弱電)の一部ですが、専門の資格が必要なケースが多いため、内装工事または弱電業者への見積もりに必ず含めるようにしてください。
電話設備(PBX / IP電話)
電話設備は、予約・問い合わせ対応の中心的役割を担います。患者からの電話を、あらかじめ設定されたルールに基づいて適切なオペレーターに振り分ける「ACD(Automatic Call Distributor(着信呼自動分配装置)」機能を備えていれば、緊急性の高い患者に優先的に対応することなども可能です。
また、夜間のアナウンスや留守番電話サービスも欠かせないものですし、ある程度の規模がある医療機関であれば、スタッフ間の内線通話も必要になってきます。
ネットワーク設備(LAN・Wi-Fi・VPN)
電子カルテ・レセコンの稼働、各種検査機器とのデータ連携に加えて、最近では、オンライン資格確認、オンライン請求のニーズも高まっています。
また、Wi-Fiに関しては、職員用・患者用の分離構成が必須です。
セキュリティ設備(防犯カメラ・入退室管理)
受付・薬品庫・金庫周りを中心に、防犯カメラを設置して、入退室管理を徹底することが大切です。また、スタッフ専用エリアのアクセスに制御をかけて、働く人の安全を確保することも大事です。
さらに、個人情報保護の観点から、パソコン関連のセキュリティ対策にも力を入れる必要があります。また、昨今は医療DXによって電子処方箋連携なども進んでいることから、ネットワークとセキュリティを強化していくことの重要度が増しています。
単にウイルスソフトを入れるだけでなく、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠したネットワーク構築が必要です。 具体的には、「オンライン資格確認などの外部接続系」と「電子カルテなどの院内保存系」のネットワークを論理的・物理的に分離することなどが求められます。業者選定の際は、このガイドラインを理解しているかを必ず質問してください。
放送・ナースコール(院内呼出システム)
診察室・処置室への呼び出し、待合室のアナウンスなど、院内には呼出システムが欠かせません。クリニックによってはナースコール対応も必須となります。
視聴覚・表示設備(サイネージ・受付番号表示)
順番表示システム(番号札)、待合室のデジタルサイネージ、啓発・案内動画、検査案内モニターなど視聴覚・表示設備も整えることが重要です。
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失敗しないための「設計事務所・建築業者」との連携タイミング
弱電設備で失敗しないためには、「壁や天井が塞がれる前」に配線ルートを確保することがすべてです。設計事務所や工務店には、以下のスケジュールで連携を行ってください。
基本設計時(平面図確定前): 弱電業者を選定し、必要な機器(サーバー、モニター、受付機)のリストを設計士に渡す。「どこに、何を置くか」を伝え、必要なコンセントの数と位置を図面に反映させます。
実施設計時(工事着工前): 弱電業者に「配線図」を作成してもらい、それを建築側の電気工事業者に渡します。この段階で、LANケーブルを通すための「空配管(CD管)」を壁内に埋め込む指示を出さないと、後から露出配線(モール)だらけの美観を損なう内装になってしまいます。
内装工事中: 壁が貼られる前に、弱電業者が現場に入り、配管の通線チェックを行うのが理想です。
開業規模別:弱電設備の構成の目安は?
クリニック運営に必須と考えられる「5大弱電設備」は前述の通りですが、細かな構成については、クリニックの規模に合わせて調整することが大切です。
小規模、中規模、大規模の規模別においては、次のような構成が目安となると考えられます。
小規模クリニック(1~2診、スタッフ5名程度)
想定科目:内科・皮膚科・耳鼻科・小児科など
必須構成
追加オプション
中規模クリニック(2~3診、スタッフ10名程度)
想定科目:整形外科、消化器、眼科、皮膚科、大型内科など
必須構成
[小規模構成+下記]
追加オプション
大規模クリニック(3~6診以上、スタッフ20名~)
想定:総合内科、透析、眼科大型、整形外科大型、専門センター系
必須構成
[中規模構成+下記]
追加オプション
開業規模別:弱電設備の相場は?
続いては、上記同様、小規模、中規模、大規模の規模別に、弱電設備の相場をみていきましょう。
小規模クリニック(1~2診)の初期費用・月額費用相場
| 項目 | 初期費用 | 月額 |
| 電話設備(IP-PBX+電話機3~5台) | 20~40万円 | 5,000~1万円 |
| ネットワーク(LAN工事+Wi-Fi) | 20~40万円 | 0~数千円(保守) |
| 電子カルテ接続LAN | 5~10万円 | - |
| オンライン資格確認端末 | (ネットワーク設定等含めて)50~100万円超 ※ただし、補助金利用で実質負担は少ない |
光回線台 |
| 防犯カメラ(2~4台) | 20~40万円 | 5,000~1万円 |
| 順番表示モニター | 5~15万円 | - |
| 合計 | 120~250万円程度 | 1~3万円/月 |
中規模クリニック(2~3診)の初期費用・月額費用相場
| 項目 | 初期費用 | 月額 |
| 電話設備(IP-PBX+電話機10台) | 40~80万円 | 1~2万円 |
| ネットワーク(LAN+Wi-Fi+機器冗長化) | 40~70万円 | 数千円~1万円 |
| 電子カルテ接続LAN | 5~10万円 | - |
| オンライン資格確認端末 | (ネットワーク設定等含めて)50~100万円超 ※ただし、補助金利用で実質負担は少ない |
光回線台 |
| 防犯カメラ(5~8台) | 40~80万円 | 1~2万円 |
| ナースコール | 30~100万円 | 0~5,000円 |
| 院内放送・順番表示 | 10~40万円 | - |
| 合計 | 200~400万円程度 | 2~4万円/月 |
大規模クリニック(3~6診)の初期費用・月額費用相場
| 項目 | 初期費用 | 月額 |
| 電話設備(大規模PBX) | 100~200万円 | 1~3万円 |
| ネットワーク(VLAN構築+冗長化) | 80~150万円 | 1~3万円 |
| サーバー・UPS | 50~150万円 | 1~3万円(保守) |
| 電子カルテ接続LAN | 5~10万円 | - |
| オンライン資格確認端末 | (ネットワーク設定等含めて)50~100万円超 ※ただし、補助金利用で実質負担は少ない |
光回線台 |
| 防犯カメラ(10~20台) | 80~200万円 | 2~4万円 |
| ナースコール | 100~300万円 | 1万円~ |
| 順番表示・サイネージ | 30~100万円 | - |
| 合計 | 400~900万円程度 | 5~12万円/月 |
クリニック開業準備用「弱電設備チェックリスト」
これからクリニックの開業を予定している場合、まずは次のチェックリストをもとに、導入予定の設備または準備に不足がないかを確認しましょう。
電源(コンセント)とのセット確認(最重要)
電話設備
ネットワーク(LAN/Wi-Fi)
電子カルテ・レセコン
オンライン資格確認
防犯カメラ・セキュリティ
ナースコール・院内呼び出し
院内表示・サイネージ
セキュリティ・データ管理
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クリニック開業時にネットワーク構築を依頼する弱電業者の選定ポイントは?
前半に解説した5大弱電設備にトラブルが起きると、クリニックの運営に大きな支障が出ます。そのため、業者選びには気を付ける必要があります。具体的には、次の3点をしっかりチェックすることが重要です。
それぞれ詳しく解説していきます。
配線工事とネットワーク構築を一気通貫で依頼できるかどうか
かつては、クリニック開業時には、まず、NTTの下請けである弱電工事業者がLAN配線をおこない、その後、その配線を利用して別の業者がネットワークを構築するのが一般的でした。しかし、この方法だとLAN配線とネットワーク構築のサポート体制が分断されるため、トラブル発生時の問い合わせ先が一本化されていないことが問題でした。こうした事態を避けるためにも、昨今は、配線工事とネットワーク構築の両方を同じ業者に依頼することが大切であるとされています。
クリニックでのネットワーク構築実績が豊富かどうか
クリニックでのネットワーク構築実績に乏しいと、“院内の医療を支えるためのネットワーク構築”に終始する可能性があります。しかし昨今は、地域の医療機関をネットワークでつなぐ「地域医療連携ネットワーク(HER)」の高度化・標準化・相互接続化が進められていることもあり、地域における情報連携についても考慮したうえでネットワークを構築していくことが求められています。その重要性をきちんと理解した業者に依頼することは非常に大切です。
24時間遠隔で監視してくれるかどうか
ルーターから端末までのネットワークに問題がなく、きちんと通信できているかどうかを24時間遠隔で監視してくれる業者であれば、ネットワーク障害時にも迅速に対応してもらえます。
クリニックにおすすめのネットワーク構築業者
続いては、クリニックにおすすめのネットワーク構築業者を紹介していきます。
PC周辺機器トップメーカーのグループ企業「バッファローITソリューションズ」
法人向けネットワーク構築に関して、設計・施工から設定・保守までの課題をワンストップで解決してくれる業者です。「待合室をフリーWi-Fi化することで患者の利便性を上げたい」「基幹システムと切り分けたネットワークを構築したい」などの医療機関特有の悩みにも応えてくれます。また、医療のIT化に貢献するセキュア&利便性の高いネットワーク構築にも定評があります。
参照:バッファローITソリューションズ「法人向けネットワーク構築サービス|病院・クリニック」
クリニック専門のLAN配線、ネットワーク構築・保守管理サービス「clinic-net」
院内ネットワークを隅々まで把握するために、配線工事とネットワーク全体の設計・管理を一括でおこなうことを重視。また、通信機器を常に最新の状態に保ち、定期的に通信記録の監査をおこなうことはすべてのクリニックに最低限必要なセキュリティ対策との考えを大事にしながら、各種セキュリティ機器やセキュリティ対策ソフトを活用した多層防御を提案してくれます。トラブル対応に遠隔で着手してくれる点も大きな魅力。
参照:院内ネットワークの構築・管理サービス「clinic-net」
クリニック開業支援もおこなう「株式会社シンクリズム」
「ICTでこれからの医療業界・介護業界の進化をバックアップする」をモットーに、病院・クリニックネットワーク構築および医療ネットワークセキュリティ強化に取り組んでいる会社です。別途、クリニック開業支援もおこなっているため、クリニックの開業に必要なことなどをよく熟知している会社であることがわかります。
参照:株式会社シンクロイズム「病院・クリニックネットワーク」
参照:株式会社シンクロイズム「医療ネットワークセキュリティ」
既存ネットワークの再構築にも対応「株式会社セブンネット」
クリニックのITコンサル実績豊富な専門家が、電子カルテや受付システム、レセプトのオンライン請求など複雑化する院内のITシステムに関する悩みを解決してくれます。各システム各社との調整、セキュリティに配慮した適切なネットワーク(LAN)設計・構築はもちろん、既存ネットワークの再構築にも対応してくれます。
参照:sevennet「クリニック向けサービス ネットワーク構築 for Medical」
医療総合ネットワークにおける“ITかかりつけ医”を目指す「株式会社マクロスジャパン」
有線LANネットワーク構築、無線LANネットワーク構築、セキュリティネットワーク構築、バックアップソリューション構築に対応。トラブルと無縁のノンストップでの運用、高度なセキュリティを構築してもユーザビリティおよび操作速度を落とさない運用などを低予算で実現してくれます。
参照:株式会社マクロスジャパン「ネットワーク・ソリューション」
病院向け情報ネットワークシステムが充実「エイチ・シー・ネットワークス株式会社」
病院向け情報ネットワークシステムを各種取り扱っています。医療システムの基盤となるネットワークを総合的に運用管理する「M1-NET(Medical One Network」、PHSの安全性やセキュリティ性能は保ちつつ、複数の同時通話やスマホの利用も可能な「sXGPシステム」、SNAと連携して不正アクセスを自動遮断する「Cisco SNA+@Adapter」をはじめ、これからの医療システムに最適なネットワークを提供してもらえます。
参照:エイチ・シー・ネットワークス株式会社「医療ネットワーク・ソリューション」
幅広い業種に保守・運用を提供するなかでも医療分野での実績が豊富な「SHINKO」
保守・運用をはじめ、ネットワーク構築、導入設計・設置展開サービス、セキュリティ対策などのITソリューションを提供しています。特に医療分野での実績が豊富で、医療機器修理業の許可も取得しており、メーカーにとらわれず、さまざまなIT機器および非IT機器のトラブルに対応してもらえます。
運用管理の効率化やセキュリティ向上を踏まえたシステムを構築「株式会社ハーツコムネット」
電子カルテシステムや画像ファイリングシステム、インターネットの個人利用、医療装置のメンテナンス、患者向け大型液晶TV向けコンテンツ放送等を考慮した全体デザインおよびネットワークの構築などの相談に乗ってくれます。利用するPCへのセキュリティソフト設定、ルーター設定や運用上の留意点についてのアドバイスなども受けることができます。
使い勝手とセキュリティのバランスを考慮してネットワークを構築「株式会社三勢」
電子カルテシステム、画像ファイリングシステム、インターネット個人使用、医療装置のリモートメンテナンス、ウィルス感染防止、不正アクセス防止、警報システム、患者向け大型液晶TV向けコンテンツ放送等を考慮した全体デザインおよびネットワークを構築してくれます。また、光回線、ADSL、ISDNなどの利用通信回線の適切な選択、院内LAN配線図の設計、院内セキュリティ強化なども任せられます。
弱電設備の設計や工事完了後は、サイバーセキュリティ対策も忘れずに
弱電設備周りの設計や工事を任せる業者を選ぶにあたってチェックすべき基本的なポイントは、先ほど解説した通りですが、院長をはじめとする自院スタッフがネットワーク周りへの造詣が深くない場合は、「設計や工事完了後にとるべきサイバーセキュリティ対策についてしっかりアドバイスしてくれること」も重視するといいでしょう。自院できちんと対策を講じることができるという場合は、エンドポイントのウイルス対策ソフトの導入までしっかり完了させましょう。また、情報の抜き取りや流出を防ぐために、電子カルテを使う端末でUSBや外付けHDDの使用を認めないことなどを徹底することもとても大切です。電子カルテなどのデータに関しては、必ずバックアップを取り、ネットワークから切り離してオフラインで保管することを心掛けてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
