看護師として働いていると、「インシデント」という言葉に心がざわつく瞬間は誰にでもありますよね。
「もし、取り返しのつかないミスをしてしまったら…」 「この前のヒヤリとした場面が、家に帰っても頭から離れない」 「実際にミスをしてしまい、自分は向いていないんじゃないかと落ち込んでいる」
命に関わる現場だからこそ、こうしたプレッシャーや不安を抱えながら働いている方は決して少なくありません。
実は医療現場において、インシデントへの恐怖や直面した際のショックによって、医療者自身が深く傷ついてしまう状態には「セカンドヴィクティム(第二の犠牲者)」という名前もついています。
この記事では、現役看護師たちから独自のアンケートで寄せられた「リアルな心の守り方・立ち直り方」を交えながら、重圧との向き合い方と具体的な5つのステップをわかりやすく解説します。
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「インシデントが怖い」「辞めたい」と感じるのは普通のこと
結論から言えば、インシデントに対して強い恐怖を感じたり、直面して深く落ち込んだりするのは、極めて普通のことです。
ミスやそのリスクに対して平然としていられる人はいません。むしろその怖さは、あなたが患者さんの安全を本気で考え、責任感を持って仕事に向き合っている証拠でもあります。
しかし一番の問題は、プレッシャーやショックから、 「自分は看護師に向いていない」 「もう周囲からの信頼を失った」 「またやってしまうかもしれない」 と、自分自身の人格や能力そのものを否定してしまうことです。
知っておきたい「セカンドヴィクティム」という概念
セカンドヴィクティムとは、医療事故やインシデントの当事者となった(あるいはなりかけた)医療従事者が、精神的ダメージを受ける状態を指します。患者さんが“第一の犠牲者”であるのに対し、医療者も“第二の犠牲者”になり得るという考え方です。
【よくある症状や心理状態】
- 強い罪悪感・自責の念
- 処置を行うことへの恐怖・過度な緊張
- その日の業務を家に帰っても引きずってしまう
- 「辞めたい」という衝動
- 眠りが浅くなる、気分が落ち込む
もし今、あなたがこの状態にある、あるいはそうなることを恐れているなら、まずは「自分のメンタルが弱いからではなく、医療現場の重圧による正常な反応だ」と知ることから始めてみてください。
【現場の声】不安やショックから立ち直る5つのステップ
では、実際に現場の看護師たちはどのようにして心の痛みを乗り越え、日々の不安と向き合っているのでしょうか。アンケートで集まったリアルな声とともに、5つのステップを紹介します。
Step1:まずは感情を吐き出し、一人で抱え込まない
不安やショックを感じたときは、自分だけで消化しようとしないことが大切です。「正論」よりも「受け止めてもらうこと」で、張り詰めた緊張が少しずつ緩んでいきます。
【看護師のリアルな声】
- 「とても大きいインシデントを起こしてしまった時は、落ち込むところまで落ち込んで先輩に話を聞いてもらいました。わたしの場合は、立ち直るために『しっかり落ち込むこと』が必要でした」
- 「頼れる人がいる場合は、自分を絶対的に肯定してくれる家族や友人に話して『しょうがない』と言ってもらうことで気持ちを落ち着かせます」
- 「同期や話しやすいスタッフに聞いてもらいます。人に話すことで考えがまとまるし、自分では気が付かないところに気付けるチャンスなので」
Step2:一度思考をリセットし、「自分」と「出来事」を切り離す
直後は「私がダメな看護師だからだ」と自分を責めがちですが、インシデントの背景にはシステムや環境など様々な要因が絡んでいます。インシデント=あなたの人格ではありません。
【看護師のリアルな声】
- 「まずはパニックからさらなるインシデントを防ぐため、休憩室などで深呼吸し落ち着かせます」
- 「インシデントは個人の失敗ではなく、チーム全体の出来事と捉えられれば立ち直れると思う。個人を責めるのではなく、システムの問題として解決策を見いだす話し合いができればよい」
- 「患者さん自身の自己抜去や転倒の瞬間など、防ぎようがないこともある。その場合は周りと情報共有したり、『運が悪かった』と思うようにしています」
Step3:事実だけを冷静に振り返る(感情を抜いて分析する)
なぜヒヤリとしたのか、なぜ起きたのかを振り返る際は、6W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)で「事実」だけを並べます。自分を責めるフェーズから「原因を探る」フェーズへ移行することが大切です。
【看護師のリアルな声】
- 「レポートを書くのはつらいですが、自分自身と向き合い分析して対策することが、根本的に立ち直る方法だと思います」
- 「何故起きてしまったのか、自分のミスなのか他者のミスなのかをしっかり振り返りを行い、再発防止を考えることで安心感を得て気持ちを切り替えています」
- 「疾患・治療法を勉強し直したり、インシデントカンファで他の人のやり方や考え方を聞いて吸収するのがよかったです」
Step4:再発防止策を“お守り”にする
「また起こすかも」という漠然とした恐怖を和らげるには、具体的な対策を持つしかありません。“対策がある”という事実が、日々の業務への自信(お守り)になります。
【看護師のリアルな声】
- 「少しでも不安に思ったときは、実施する前に一呼吸置き、ダブルチェックしてから実施するのが良いです」
- 「『また一つ勉強になった。次からは絶対に同じことはしない』と心の中で唱えます。後ろめたさを感じるのではなく、改善点を見つけることが大事」
- 「マニュアル通りだけでなく、自分なりにもう一回やったか確認するなど、自分自身の対策をして問題解決しています」
Step5:仕事とプライベートを分け、普段通りを取り戻す
勤務外ではあえて仕事のことを考えない時間を作ることが、心の回復には不可欠です。「以前と同じように働けている」「できていることもある」と自分を認めてあげましょう。
【看護師のリアルな声】
- 「仕事を離れた後はセルフケアを行う。まず仕事やインシデントのことは考えず『思考をオフライン状態』にする。趣味や食事など一番リラックス出来ることをします」
- 「1人で解決したい場合は、予定を多く詰めるようにしてインシデントのことを考える隙間を無くしてしまいます」
- 「研修医や新人ナースの奮闘を描いた映画やドラマ(グレイズ・アナトミーなど)を観て慰められたり、日帰り温泉に行ったりします」
- 「日々の業務の中できちんとできたことは正しく評価し、出来るようになったことに注目して後ろ向きにならないようにしています」
「どうしても辛い…」と感じたときの3つの選択肢
もし、日々の不安から眠れない、食欲がないなどの症状が続く場合は、心身がSOSを出しているサインです。「自分が悪いから」「もっと頑張らなきゃ」と一人で耐え続ける必要はありません。
今の環境がどうしてもプレッシャーになる、辛いと感じたときは、以下のような具体的なアクションを検討してみてください。
1. 師長や信頼できる上司・産業医への相談
まずは、業務量の調整や配置転換(別の病棟や外来への異動など)ができないか相談してみましょう。
直属の上司に話しづらい場合や、客観的なアドバイスが欲しい場合は、院内の産業医やカウンセラーを頼るのも有効な手段です。
2. 一度立ち止まるための「休職」制度の利用
「辞めるか、無理して続けるか」の極端な二択で思い詰める必要はありません。心身の疲労が蓄積している場合は、一度仕事から離れて休養する「休職」という制度があります。
これは決して甘えや逃げではなく、あなたが今後も健やかに働き続けるために自分を守る正当な権利です。
3. 環境を変えるための「転職・求人情報のチェック」
もしあなたの職場が「人手不足で常にピリピリしている」「ダブルチェック体制が形骸化している」といった環境なら、問題の根本は個人の努力ではなくシステムにあります。
その場合は、教育体制が整っている病院や、急性期以外の落ち着いた職場(慢性期、クリニックなど)へ環境を変えることも立派な解決策です。
今すぐ辞めるつもりがなくても、「いざとなれば他にどんな職場があるのか」を外部の求人サイト等で眺めてみるだけでも、「ここだけが全てじゃない」という心のゆとり(逃げ道)につながります。
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まとめ|インシデントとの向き合い方は「成長の糧」になる
インシデントへの恐怖や直面した時のショックは、誰にとっても辛いものです。 しかし、その経験やプレッシャーとしっかり向き合うことで、
- 安全への意識が誰よりも高まる
- ミスをして落ち込む同僚や後輩に、心から寄り添える
- 確認力が上がり、未然に事故を防げるようになる
という、看護師としての確かな成長につながります。
あなたの価値は、一つのミスや、上手くできない不器用さだけで決まるものではありません。少しでも穏やかな気持ちで、日々の業務に向き合えるようになることを心から願っています。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
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