将来、独立して自分のクリニックをオープンさせたいなら、勤務医として働きながらも、着々と開業準備を進めていくことが不可欠です。開業資金を貯めることや、開業エリア・物件について考えていくことはもちろん、開業医になるメリットやデメリットなどへの理解を深めていくことも大切です。そこで今回は、「開業医とは?」をテーマに、責任や働き方といった勤務医との違いから、実際の年収や開業資金の目安、さらにはクリニック開業で失敗しないためのコツに至るまで詳しく解説していきます。
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開業医とは? 「役割」と「責任」における勤務医との決定的な違い
まずは、開業医の役割について正しく理解するために、開業医と勤務医との違いについて整理していきましょう。
診療だけではない。経営者としての顔と業務内容
勤務医は基本的に「医療の提供」に専念できますが、開業医はそれに加えて、“クリニック経営そのもの”を担います。
つまり、2者の違いは次のように説明することができます。
では、開業医の役割である「経営者」の部分について、具体的にどのような業務をおこなう必要があるのかというと次の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
経営判断(売上・コスト管理)
つまり、医療機関でありながら「中小企業の経営者」と同じ視点が必要になるということです。
人材マネジメント
特にクリニックは少人数組織なので、1人辞めるだけで運営に大きな影響が出ます。そのため、人材マネジメントの精度を上げることが大切です。
集患・マーケティング
「質の高い医療を提供している=患者が来る」とは限りません。どれだけ質の高い医療を提供していたとしても、そのことが周知されていなければ、患者から選ばれることはありません。そのため、一定のマーケティング視点が不可欠です。
法令・行政対応
開業医は、次のような法規制にも対応しなければなりません。
つまり、診療以外に関して「守るべきルール」が一気に増えるということになります。
責任範囲の拡大と法的・社会的プレッシャー
開業医になると、「責任の所在がすべて自分」になります。この点が、開業医と勤務医との最大の違いです。
責任の所在に関する2者の違いは、次のように説明することができます。
具体的にどんなことに責任を持たなければならないのか、詳しく解説していきます。
医療事故・訴訟リスクの直接責任
勤務医の場合:
→ 最終的な責任は病院法人に帰属するケースが多い
開業医の場合:
→ 院長=管理者=責任者
医療事故が起きた場合、民事責任(損害賠償)だけでなく、場合によっては刑事責任を問われる可能性もあります。
経営リスク(倒産・負債)
開業医は、特に開業時には数千万円~億単位の借入をすることもあります。そのため、「医療の失敗」ではなく「経営の失敗」で苦しくなるケースも多いです。
また、次の各状態においては、経営的にさらに苦しい状態へと追い込まれがちです。
社会的責任・地域からの期待
開業医は単なる医師ではなく、地域における“インフラ的存在”になります。そのため、「地域に見られている」というプレッシャーはかなり大きいと考えておくといいでしょう。特に、次のような点に関してはプレッシャーを感じやすくなります。
行政指導・監査リスク
不正請求や記載ミスがあれば、返還や行政処分の対象になる可能性もあります。
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データで見る! 開業医と勤務医の「年収」と「働き方」比較
開業医の年収は、診療科・収益構造・働き方などによって大きく異なります。その理由や、勤務医との違いについて詳しくみていきましょう。
開業医の平均年収は「損益分岐点」と併せて確認しなければ意味がない
開業医vs勤務医の基本構造
開業医の平均年収は、勤務医より高いとされています。
厚生労働省が公表している、令和7年実施の「第25回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告」によると、令和6年における勤務医の平均年収は14,845,784円です。これに対して、開業医の平均年収は28,551,085円です。
つまり、開業医の平均年収は勤務医の平均年収の約1.9倍ということになります。
参照:第25回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告 (勤務医:p.314、開業医:p.686)
ただし、注意点として、勤務医の年収と開業医の年収は、言葉にすると同じ「年収」であっても、“意味”は異なります。具体的には、次のように異なります。
つまり、勤務医の年収が“雇用形態に基づく報酬”で自由に使えるものである一方、開業医の年収は“売上から経費を差し引いた事業利益”のようなものだということです。
いわば、経営上の“利益”に相当する指標であり、このすべてが可処分所得になるわけでなく、ここから、次のような支払いを済ませなければならないということです。
- 【開業医の“年収”から差し引かれる支出】
- 所得税・住民税などの税金
- 社会保険料
- 設備更新費
- 借入金の返済
- 将来の投資資金の積立
このうち借入金の返済に関しては、開業から数年間の、融資を受けたぶんを返し終わるまでの間、大きな負担となるため特に注意が必要です。
また、これらの総額が、“前述した意味での”年収に近づくと、「自由に使えるお金がほとんどない」ということになります。事業の売上高と費用がプラスマイナスゼロになる売上高を「損益分岐点」といい、開業医の“本来の意味での年収(=自由に使えるお金)”を知るためには、損益分岐点も一緒に確認する必要があるということになります。
開業医の診療科別の「損益差額」
「第25回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告」によると、開業医の診療科別損益差額は次の表の通りです。なお、「損益差額」とは、勤務医と開業医の年収の差について説明した通り、“開業医の年収とされる額”です。ここでは、「第25回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告」において「損益差額」と記されていることから、“損益差額”と記します。
| 診療科 | 損益差額(千円) |
| 内科 | 24,594 |
| 小児科 | 37,255 |
| 精神科 | 19,783 |
| 外科 | 27,562 |
| 整形外科 | 30,608 |
| 産婦人科 | 11,015 |
| 眼科 | 36,018 |
| 耳鼻咽喉科 | 13,768 |
| 皮膚科 | 16,720 |
| その他 | 22,306 |
| 全体平均 | 26,275 |
参照:第25回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告 (p.155~)
診療科によって損益差額に幅がある主な理由は次の通りです。
など
つまり、これらの条件がプラスの状態にそろっていると、“損益差額”として大きな金額が残りやすいということになります。
「経営収入(=変動収入)」と「給与収入(=安定収入)」の違い
開業医と勤務医の年収におけるもう一つの大きな違いは、“経営状況によって収入が変動するか”ということです。
勤務医の給与は基本給などが決まっているため、容易に毎月の収入予測が立てられます。賞与や昇給はあっても、予想から大幅にずれるということはまずありません。
一方、開業医の収入は患者数の増減や新規設備の投入、家賃などの固定費の値上げ、競合となるクリニックのオープンなどによって大きく変動する可能性があります。収入減の要因となることが重なれば、運転資金があっという間に底をついてしまうことも考えられます。
ワークライフバランス:当直・オンコールからの解放と新たな重圧
開業医と勤務医には、「ワークライフバランス」という観点から見ても大きな違いがあります。
| 観点 | 開業医 | 勤務医 |
| 時間拘束 | 柔軟に動きやすい | 強い |
| 精神的負担 | 高い(すべて自己責任) | 組織による |
| 経済的安定性 | 変動大 | 安定している |
| 自由度 | 高い ※ただし、収入面に不安がある場合は、仕事に集中しなければならないという意味で自由度が低くなる |
低い |
勤務医の働き方の特徴
勤務医は、当直やオンコールに対応しなければならないケースがほとんどです。また、特に外科系が専門の場合、長時間労働となりやすく、一言でいうと、「時間拘束が強い働き方」となりやすいといえます。
開業医の働き方の特徴
これに対して開業医は、在宅医療や訪問診療などを提供する場合を除き、当直・オンコールから解放されることになります。また、休診日を自分で設定することが可能で、午後を休診にすることなどもできます。
ただし、注意点としては、“診療外の時間も気が休まらない場合が多い”ということが挙げられます。
診療外の時間に業務に当たらなければならないこともあれば、考えなければならないことで精神的に追い詰められた状態が続くこともあります。具体的には次のような要因によって、診療外の時間に心身を休めにくくなると考えられます。
- 経営者としての仕事
- スタッフ対応(採用・トラブル)
- クレーム対応
- 税務・資金繰り
- 常時プレッシャー状態
- 患者数が減る不安
- 売上維持の責任
- 借入返済
休日でも頭から離れない
「税制・節税」と「医療法人化」という選択肢の違い
収入を比較する上で見落とせないのが「税制」の違いです。勤務医は給与所得者であるため、経費として認められる範囲(特定支出控除など)が非常に限定的であり、大幅な節税は困難です。
一方、開業医(個人事業主)は、クリニック運営に関わるさまざまな費用(家賃、スタッフの給与、医療機器の減価償却費など)を事業の必要経費として計上できます。さらに、経営が軌道に乗り利益が一定水準を超えた場合には、**「医療法人化」**という大きな選択肢が生まれます。
医療法人成りすることで、院長自身に役員報酬を支払い「給与所得控除」を適用できるほか、法人税率の適用や、家族を役員にして報酬を支払うことによる所得分散が可能になります。結果として、勤務医時代よりも手元に残る「可処分所得」を大きく増やす戦略を立てることができるのは、開業医ならではのメリットです。
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開業医になるメリット・デメリット
続いては、開業医になるメリット・デメリットを考えていきましょう。
開業医になるメリット【自由】【高収入】【裁量】
まず、メリットとしては主に次のようなことが考えられます。
それぞれ詳しくみていきましょう。
年収UPを狙える
前述の通り、開業医は年収からの支出が大きいですが、「年収の総額を増やす」あるいは「支出を減らす」ことによって、勤務医時代と比べて年収を上げられる可能性が高いといえます。
なお、保険診療のみのクリニックの場合、診療代を自分で決めることができないため、たとえば「ITを駆使してできるだけ人件費を減らす」などの工夫なしでは、稼げる金額には限界がありますが、自費診療のメニューを取り入れれば、大幅な年収UPを実現できる可能性が高まります。
働き方の自由度が高い
など、時間の主導権が自分にあることは、勤務医との大きな違いであるといえます。
理想の医療を実現できる
など、「自分の理想とする医療」を追求することができます。
定年がない
勤務医は、定年や役職定年がありますが、開業医には基本定年がありません。体力と意欲があれば、長く収入を維持することができます。
キャリアの最終ゴールと「出口戦略(事業承継)」の存在
勤務医と開業医では、将来のキャリアパスや最終的なゴールも異なります。勤務医の資産形成はiDeCoやNISA、不動産投資などが中心であり、最終的には定年退職と退職金の受け取りが一般的なゴールとなります。
一方、開業医には定年がなく、体力と意欲があれば長く収入を維持できます。さらに最大のメリットとも言えるのが、クリニックそのものが資産になる点です。将来的に引退を考える際、第三者の医師や医療法人へ**「事業承継(M&A)」**を行うことで、創業者利益(譲渡益)を得てハッピーリタイアするという、勤務医にはない強力な「出口戦略」を持っています。自院の建物や医療モールを保有していれば、引退後もテナント収入を得る仕組みを作ることも可能です。
開業医になるデメリット【リスク】【責任】【不安定】
一方のデメリットは次の通りです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
経営リスクをすべて背負うことになる
開業医は、医師と経営者の両方の役割を担っているため、失敗すると一気に生活が苦しくなります。診療科などによっては、数千万~数億円の借入をおこなわなければならない場合もありますが、患者がこなければ回収できないまま倒産に至ってしまうリスクがあります。
勤務医とは異なり、人件費や家賃などの固定費を支払い続けることも必要になります。
収入が不安定
勤務医の収入は基本的に毎月安定していますが、開業医はそうではありません。インフルエンザ流行などの季節変動や競合の影響をはじめ、収入が変動する要素はさまざまに考えられます。また、自身が体調不良などで休んだことで、その月の収入が減ったとしても、固定費は変わらず支払わなければなりません。
診療以外の業務が多い
診療以外にも、やらなければならないことがたくさんあります。たとえば次のような業務が挙げられます。
また、上記に関連する法規、たとえば医療法や労働基準法、個人情報保護法などについて学ぶ時間なども捻出する必要があります。
精神的プレッシャーが大きい
勤務医のプレッシャーは組織によって分散されますが、開業医はすべて自己責任となるため、精神的プレッシャーが大きくなります。
代表的なプレッシャーの原因は次の通りです。
休みにくい
医師が自分一人の場合、自分が休むと患者が困るうえ、売上がゼロになるため、体調不良であっても休むことが難しい場合が多いでしょう。代替医を確保するという選択肢もありますが、当日の朝など急な場合、確実に見つかるとは限りません。
また、長期休暇も取りづらいことから、「自由に見えて実は縛られる側面もある」といえます。
初期投資が大きい
など、開業時には大きな投資が必要となります。一般的に、開業から1~3年は、初期投資の回収期間となります。
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失敗しない独立のための 3つのポイント
続いては、開業の成功率を上げるための3つのポイントをみていきましょう。
「診療科」と「エリア」の組み合わせを戦略的に考えて、差別化コンセプトを設計する
医師が開業する際、「診療圏調査」をおこなうのは常識です。エリア内の人口、診療科ごとの受診率、競合の状況、地域特性などを考慮して、開業候補地のポテンシャル=推計患者数を把握するというものですが、この調査をおこなうにあたって、「開業は立地ビジネスである」という意識を持ち、「勝てる場所」を探し当てていくことがとても大切です。
調査の際には、駅、スーパー、薬局との位置関係や、競合の診療時間帯に至るまで、できるだけ細かくチェックすることが大事です。
そのうえで、エリア内の競合との差別化を図るために、自院のコンセプトを設計していきます。差別化につながるコンセプトとしては、たとえば、夜間診療や土日対応、専門特化などが考えられます。
開業形態(新規 vs 承継)の違いによる初期投資の違い・資金調達法を理解する
医師が開業する方法は、新規開業と承継開業の大きく2つにわけられます。このどちらを選択するかによって、初期費用が大きく異なります。
事業承継の選択肢を視野にいれておらず、「開業したいけど初期費用を用意することが難しい」と考えている場合、あるいは、運転資金を十分に確保できていないまま新規開業しようとしている場合などは、一度、“新規開業と事業承継の比較”に立ち返る必要がありそうです。
また、開業資金をすべて自己資金でまかなおうとしている場合や融資だけでは足りなそうな場合などは、資金調達法が複数あることも理解する必要があります。
新規開業と承継開業の違い
新規開業と承継開業の大まかな違いは次の通りです。
【新規開業】
- メリット
- 自由設計(立地・内装・方針)
- ブランディングしやすい
- デメリット
- 初期投資が高い:5,000万〜1億円規模
- 患者ゼロスタート
【承継開業(居抜き・親族からの承継なども含む)】
- メリット
- 既存患者がいる(はじめから売上がある)
- 初期費用を抑えられる:2,000万~8,000万程度
- デメリット
- 設備が古い(修繕費がかかる可能性がある)
- (特に従業員を引き継ぐ場合)人間関係が煩わしい場合がある
- 前院長の評判を引き継ぐことになる
主な資金調達先
主な資金調達先は次の通りです。
経営を左右する「パートナー」の選び方
開業は、“誰と組むか”によって成功率が大きく変わります。具体的にどんなパートナーが必要かというと次の通りです。
税理士
「税理士は税金などの申告時にだけ利用すればいい」と考えるかもしれませんが、そのやり方だと、経営全体が見えにくくなるため、デメリットが大きくなります。
- 【役割】
- 資金繰り・節税
- 経営アドバイス
- 【選ぶ際のチェックポイント】
- 医療特化か
- クリニック顧問実績
- 試算表を毎月出せるか
コンサル・開業支援会社
コンサル・開業支援会社を選ぶ際は、複数社を比較することが必須です。
- 【役割】
- 立地選定
- 資金計画
- 内装・機器選定
- 【注意点】
- 医療機器販売と利益相反がある場合も
- 提案が「売りたいもの寄り」になりやすい
法務・労務パートナー
開業医としてクリニックを運営していくうえでは、医療法や労働基準法などの法律を遵守する必要があります。頼りになる社労士や弁護士とパートナーシップを組むことによって、トラブルを防止できます。
スタッフ
受付・看護師の質は患者満足度に影響しますし、すぐに辞められると経営ダメージが大きくなります。
【採用時のポイント】
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【よくある失敗パターン】開業後3年で失敗するパターン
前述の通り、融資の返済には開業から数年かかるのが一般的ですが、その間に返済できないどころか、借金が膨らんで倒産に至ってしまうケースもあります。
よくあるパターンは次の通りです。
立地・診療圏の読み違い
“よい場所”ではなく“勝てる場所”を選べていないパターンです。
- 【よくある失敗】
- 「駅前だから大丈夫」と安易に決定
- 競合が多すぎる(同科が密集)
- 人口構成と診療科がミスマッチ
- 【結果的に起きること】
- 患者数が伸びない
- 売上が固定費を超えない
- 赤字継続
損益分岐点を理解していない
「1日何人くれば黒字か」を言えない状態は危険です。
- 【よくある失敗】
- 「なんとかなる」で開業
- 必要患者数を計算していない
- 人件費・家賃が高すぎる
- 【結果的に起きること】
- 黒字ラインに届かない
- 借入返済が重くなる
- 資金ショート
初期費用のかけすぎ(過剰スペック)
最初は“ミニマムで勝つ”が基本です。
- 【よくある失敗】
- 内装にこだわりすぎる
- 高額医療機器をフル装備
- 広すぎる物件
- 【結果的に起きること】
- 固定費が高騰
- 回収に時間がかかる
- 利益が出ない
集患・マーケティング軽視
「医療×マーケティング=集患」の図式を頭に入れておくことは大切です。
- 【よくある失敗】
- 「いい医療を提供すれば患者はくる」と思っている
- ホームページ・SEO未整備
- 地域連携(紹介)が弱い
- 【結果的に起きること】
- 新患が増えない
- 既存患者も定着しない
スタッフマネジメント崩壊
小規模組織ほど“人”の影響は大きくなります。
- 【よくある失敗】
- 採用を急いでミスマッチ
- 院長がワンマン
- 教育体制がない
- 【結果的に起きること】
- 離職・人間関係悪化
- 患者満足度低下
- クレーム増加
経営パートナー選びの失敗
前述の通り、“誰と組むか”の重要性を理解しておくことは非常に大切です。
- 【よくある失敗】
- 医療に弱い税理士
- 売り込み中心のコンサル
- 相談できる人がいない
- 【結果的に起きること】
- 数字が見えない
- 意思決定が遅れる
- 改善ができない
院長の「経営者意識不足」
開業医は、医師であると同時に「経営者」であることは絶対に忘れてはいけません。
- 【よくある失敗】
- 診療だけに集中
- 数字を見ない
- 問題を先送り
- 【結果的に起きること】
- 気づいたときには手遅れ
- 改善が間に合わない
法令・運用ミス
法令を遵守するためには、前述の通り、パートナー選びに気を付けることもとても大切です。
- 【よくある失敗】
- 労務トラブル(残業・契約)
- 診療報酬の請求ミス
- 【結果的に起きること】
- 保健所からの指導
- 信頼低下
≪開業後3年以内の失敗の原因≫
これらの失敗パターンはバラバラに見えて、実は根本原因は共通しています。
根本原因は、次の3つに集約できます。
これを踏まえたうえで、最も失敗しやすいのは、
「医療には自信があるが、経営を軽く見ている人」
ということになります。
≪成功に近づく逆算思考≫
上記を踏まえると、開業3年以内の失敗を防ぐためには、
開業前に次の3つを言える状態にすることが大切だということになります。
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開業医・独立に関するよくある質問(FAQ)
続いては、開業医・独立に関するよくある質問とその答えをみていきましょう。
Q. 開業資金のうち、自己資金は最低どのくらい必要ですか?
結論からいうと、自己資金は最低でも開業総額の20~30%が現実ラインとされています。たとえば、開業資金が6,000万円なら、自己資金は1,200万円以上必要ということになります。なぜこのラインかというと、金融機関、特に日本政策金融公庫などが、このラインを一つの基準としているためです。
ただし、“融資が通りやすいライン”ということになると、総額の30~40%以上といわれています。開業資金が6,000万円なら、1,800万円~2,400万円ということになります。融資が通りやすいだけでなく、開業後の資金繰りが安定することも理由です。
なお、“理想ライン”は50%以上です。ここまでまかなえると、借入リスクが低くなることから、精神的余裕が大きくなります。
なぜ自己資金が重要なのか
なお、なぜ自己資金を用意することが大切かというと、理由はシンプルで、“開業初期は思ったより稼げないから”です。
患者数は徐々に増えていくのが一般的であるのに、人件費や家賃などの固定日は初月からフル発生しますし、最初のうちは広告費もかかります。そのため、自己資金が少ないと、資金ショートのリスクが高くなります。また、毎月の返済が重たくなることや、借入額が増えることから、精神的負担が大きくなります。
なお、運転資金は最低6か月分、できれば1年分用意しておくことが理想です。
また、自己資金は単なる“頭金”ではなく、“開業後に生き残るための体力”という意識を持つことが肝心です。
Q. 自己資金を十分に用意できない場合はどうすればいいですか?
自己資金を十分に用意できない場合の選択肢としては、次のようなことが考えられます。
開業規模を落とす
物件を小さくするか、あるいは医療機器を最低限のみそろえるなど、最初は“勝てるサイズ”からスタートすることを検討するといいでしょう。
承継開業を視野に入れる
承継開業なら既存患者がいるため、運転資金を多めに確保しなくてもなんとかやっていける可能性が高いといえます。また、初期費用も抑えられる場合が多いです。ただし、設備の劣化等には注意しましょう。修繕費用として、後々大きなお金が飛ぶ可能性があります。
自費診療の導入
自費診療を導入して収益性を底上げすれば、承継開業した場合同様、借入金を早期に回収できる可能性が高いため、運転資金がギリギリでも開業を検討できます。
開業時期を遅らせる
勤務医としてあと数年貯蓄することで、余裕を持って開業できます。
Q. 経営が軌道に乗るまでの「魔の期間」はどれくらいですか?
開業後、完全に軌道に乗るまでの目安は1~3年といわれています。そのうち、開業から半年~1年はもっとも厳しい時期とされています。ただしこれは平均であって、立地・診療科・戦略次第でかなり差が出ます。
なぜ「魔の期間」が発生するのか
開業直後は、患者が少なく売上が低いのに、固定費はフルで発生するため、「収入だけ遅れて立ち上がる」という構造になります。特に重たい固定費は、看護師および受付の「人件費」「家賃」「ローン返済」「医療機器リース」です。
時期別のリアルな推移
「魔の期間」は概ね次のように変遷していきます。
- 【0〜3ヶ月:立ち上げ期(最も不安)】
- 認知がほぼゼロ
- 1日患者数:数人〜10人台
- 赤字が普通
→この時期は、精神的に一番きつい時期だといえます。
- 【3〜6ヶ月:徐々に認知】
- 口コミ・紹介が出始める
- リピーター増加
→徐々に認知されはじめるものの、まだ、天候・季節で売上がぶれる時期です。
- 【6ヶ月〜1年:分岐点】
黒字ラインに届くかどうかが決まる
スタッフ問題も表面化
→この時期は「魔の期間」の革新です。ここで失敗するクリニックが多いといえます。
- 【1〜3年:安定化フェーズ】
- 患者数が安定
- 地域でのポジション確立
→ここまで来てやっと“軌道に乗った”と言えます。
診療科による違い
小児科、皮膚科は、回転率が高く、口コミが広がりやすいことから、立ち上がりが早い傾向にあります。一方、内科や整形外科は、競合が多く、差別化に時間がかかることから、立ち上がりが遅い傾向にあります。
自費診療の美容皮膚科・美容外科などは、当たれば早い一方、外すと長期的に低迷しやすいといえます。
「魔の期間」を乗り切れるかどうかの分かれ目
「魔の期間」を乗り切れる成功パターン、乗り切れない失敗パターンの違いは次の通りです。
- 【成功するパターン】
- 開業前に損益分岐点を把握
- 運転資金を6〜12ヶ月分確保
- 集患戦略を事前に設計
- 【失敗するパターン】
- 「患者はそのうち増える」と楽観
- 資金に余裕がない
- マーケティング軽視
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開業医への道は「準備」と「覚悟」で決まる
ここまで解説してきた通り、開業医として成功するためには、十分な資金を用意して、入念な調査をおこなう準備期間が不可欠です。同時に、「医者であると同時に経営者としての役割も求められること」への理解を深めて、開業医となるための心構えを整えていくことも大切です。「準備」と「覚悟」の両方がそろえば、成功する確率がぐっと高まりますよ。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
