レセプトとは、健康保険の運営元である「保険者」に対して、医療機関や薬局が提出する月ごとの書類のことです。なぜ毎月レセプトを提出するのかというと、患者が医療機関や薬局で受けた診察や処方などにかかった費用の一部を保険者に請求するためです。今回は、レセプトの仕組みや、医療機関での作成から提出までの流れなど、レセプトについて詳しく解説していきます。
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レセプトとは
レセプトとは、医療機関や薬局が、患者に提供した保険診療の内容をまとめて、健康保険組合や協会けんぽ、市町村などの保険者へ診療報酬を請求するための書類です。
患者が窓口で支払う自己負担分(通常1~3割)を除いた残りの医療費は、レセプトに基づいて保険者から医療機関へ支払われます。
なお、レセプトの語源はドイツ語で「処方箋・領収書」を意味するRezept(レツェプト)で、日本語では「診療報酬明細書」の表記となります。
レセプトの役割

レセプトの役割は主に次の3つです。
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 診療報酬の請求 | 保険者へ医療費を請求するための根拠資料 |
| 診療内容の記録 | どのような診療をおこなったかを証明する記録 |
| 審査の対象 | 請求内容が適正であるかどうか審査支払機関でチェックされる |

患者が医療機関を受診したら、医療機関は診療後にレセプトを作成して、審査支払機関に1か月分をまとめて提出します。提出されたレセプトをもとに内容が審査されて、問題がなければ、保険者が医療機関に対して診療報酬を支払うという仕組みです。
レセプトに記載される項目
レセプトには、診察内容を正確に伝えるための情報をいくつか記載する必要があります。
入院か入院外(外来・往診)か
レセプトが入院のものなのか、それとも外来(通院)や在宅医療(往診・訪問診療)のものなのかを記します。
なお、外来と入院では保険者の取り扱いがことなるため、同じ患者で同月に外来と入院の両方が発生している場合、それぞれのレセプトを作成する必要があります。
在宅医療(往診・訪問診療)に関しては、レセプト上は入院外診療(外来系)の一部として扱われるため、外来診療と同じレセプトに記載することになります。厚生労働省のレセプト記載要領では、「同一月に同一患者について入院診療と入院外診療がある場合は、入院と入院外でそれぞれ別の明細書に記載する」と定められています。
【ポイント】
・入院レセプトには、入院基本料や食事療養費などを記載します。
・外来レセプトは、診察料や検査・投薬が中心になります。
診療年月日の記入
何年何月何日におこなわれた診療であるかを正確に記入します。レセプトを提出する年月日ではないため、注意が必要です。
都道府県番号・点数区分コード・医療機関コードの記入
2桁の都道府県番号と1桁の点数区分コード、7桁の医療機関コードを記載します。
点数区分コードは、たとえば「1:医科」「3:歯科」「4:調剤薬局」「6:訪問看護ステーション」などのように予め割り当てられています。
公費負担情報の記入
患者が高齢者や生活保護者、重度心身障害者などで公費医療が適用される場合、公的負担情報の記載が必要です。公費負担情報には、「公費負担番号」と「受給者番号」を記載します。
【公費負担者番号とは?】
法別番号2桁+都道府県番号2桁+実施機関番号3桁+検証番号1桁=計8桁で構成される番号です。
「法別番号」は、公費負担医療制度の種類ごとに定められています。
【受給者番号とは?】
受給者区分6桁+検証番号1桁の計7桁で構成される番号です。
「受給者区分」は、各公費負担医療の受給者ごとに、公費負担医療主管行政庁あるいは公費負担医療実施機関が定めています。
保険証情報の記入
次の情報について記入します。
- 保険者番号
- 保険の種類
- (診療を受けたのは)本人か家族か
- 被保険者証の記号・番号
【保険の種類とは?】
・国民健康保険の場合:「1社・国」に○をつけます
・後期高齢者医療の場合:「3後期」に〇をつけます
・退職者医療の場合:「4退職」に○をつけます
・それ以外の場合:「1社・国」に○をつけます
なお、保険者番号が6桁の場合は国民健康保険、8桁の場合は後期高齢者医療または退職者医療などの社会保険です。
【本人か家族か】
診療を受けた患者が、保険に加入している本人なのか、あるいはその家族であるかを記します。また、高齢受給者あるいは後期高齢者である場合はチェックを入れます。
- 2本外 : 保険証が被保険者(本人)の場合
- 4六外 : 未就学者の患者の場合
- 6家外 : 保険証が被扶養者(家族)の場合
- 8高外一: 高齢受給者または後期高齢者で、負担割合が1割または2割の場合
- 0高外一: 高齢受給者または後期高齢者で、負担割合が3割の場合
患者の氏名・生年月日など
患者の氏名や生年月日などを記載します。名前の読み方がわかるよう、カタカナも記録することが推奨されています。
(該当する場合のみ)特記事項
特記事項に決められた略号を記載します。平成31年3月請求分より、70歳以上の外来患者のレセプトには、特記事項の記入が必須となっています。該当する場合、「26区ア」「27区イ」「28区ウ」「29区エ」「30区オ」のいずれかを記入することになります。
それぞれの意味は次の表の通りです。
| 略号 | 一部負担金などの割合 | 限度額認定証の記載など |
|---|---|---|
| 26区ア | 3割 | 限度額適用認定証の提示がない場合 |
| 27区イ | 3割 | 限度額適用認定証の適用区分が「現役並みⅡ」または「現役Ⅱ」の場合 |
| 28区ウ | 3割 | 限度額適用認定証の適用区分が「現役並みⅠ」または「現役Ⅰ」の場合 |
| 29区エ | 2割または1割 | 限度額適用認定証の提示がない場合 |
| 30区オ | 2割または1割 | 限度額適用認定証または限度額適用・標準負担額減額認定証「Ⅰ」または「Ⅱ」の場合 |
なお、限度額適用認定証とは、高額な医療費がかかる場合に、病院や薬局の窓口で支払う自己負担額を「自己負担限度額」までに抑えるための認定証です。高額療養費制度を利用しやすくするための証明書といえます。
⇒参照:一般社団法人日本病院会「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について
⇒参照:厚生労働省「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令の公布等について(通知)」
それ以外には次の略号があります。それぞれの患者の特記事項に応じて使い分けます。
01公/02長/04後保/08老健/09施/10第三/11薬治/12器治/16長2/20二割/21高半/31多ア/32多イ/33多ウ/34多エ/35多オ/36加治/37申出
医療機関の名称と所在地
医療機関の名称と所在地を記載します。
傷病名
患者の患っている傷病名を記入します。傷病が複数ある場合は、最初に主傷病を記します。各傷病にはコードが割り振られているため、該当のコードを記入します。
診察開始日・転帰・診療実日数の記入
診察開始日は、傷病が複数ある場合、傷病ごとに記入します。
転帰とは、傷病に対して診療がどのような結果で終わったかを意味します。以下3つの項目から該当するものに◯をつけます。
- 治癒:傷病が治った
- 中止:診療などの中止、または転医
- 死亡:死亡した
診療実日数には、医療保険と公費でおこなわれた診療日数を記載します。
診療回数・診療点数・公費分点数
1人の患者に対して、その月におこなった診療回数と、診療や処方に基づく点数を記入します。公費分に関しては、別途、点数を集計する必要があります。
摘要欄の記入
集計した点数に内訳が必要な場合は、摘要欄に記入します。コードが設定されている診療行為は、コード入力が義務化されています。
「1点=10円」診療報酬点数の基本
日本の保険診療では、医療サービスごとに診療報酬点数が定められています。
基本ルールは「1点=10円」と非常にシンプルです。
たとえば次のような金額になります。
- 100点=1,000円
- 500点=5,000円
- 1,000点=10,000円
なお、患者が支払う金額は、この金額のうち、自己負担分だけです。
たとえば、患者の診療報酬点数が800点だった場合、800点 × 10円=8,000円で医療費は8,000円になりますが、患者の自己負担割合が3割であれば、患者負担と保険者負担はそれぞれ次の通りです。
- 患者負担:2,400円
- 保険者負担:5,600円
なお、前述の通り、保険診療の診療報酬点数は医療サービスごとに決まっているため、全国どの医療機関でも、原則として同じ診療行為には同じ基準で診療報酬が支払われる仕組みになっています。
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レセプト業務の流れ(受付~請求まで)
レセプト業務とは、患者が医療機関を受診してから診療報酬を請求するまでの一連の事務作業です。医療事務の中心的な仕事であり、正確かつ期限内におこなうことが求められます。
日々のカルテ入力からレセプト作成まで
レセプトは、診療が終わった後に一気に作るものではありません。日々の診療内容を電子カルテやレセコン(レセプトコンピュータ)に入力および蓄積して、そのデータをもとに月末から月初にかけてレセプトを作成します。
⇒参照:レセコンとは何か——電子カルテとの違いと2026年に乗り換えを検討するクリニックの判断基準
受付・保険資格の確認
患者が来院したら、まずマイナ保険証、各種受給者証などを確認します。
【確認する内容】
・マイナ保険証
・公費負担医療の受給者証
・限度額適用認定証(必要な場合)
・保険資格の有効期限
保険情報に誤りがあると、請求先が間違ってしまい、返戻(差し戻し)の原因になります。
診療・カルテの作成
医師が診察をおこない、カルテ(診療録)を作成します。
カルテには次のような情報が記録されます。
- 傷病名
- 診療内容
- 検査
- 処置
- 手術
- 投薬
- 注射
- リハビリ など
カルテは、レセプトの根拠となる重要な記録です。
診療内容の入力
診療終了後、医療事務や医療スタッフが診療内容をレセコンへ入力します。
入力する主な内容は次のとおりです。
- 初診料・再診料
- 医学管理料
- 検査結果
- 画像診断結果
- 投薬内容
- 注射や処置、手術内容
- 入院料
レセコンは診療報酬点数表に基づき、自動で点数を計算します。
レセプトの作成
毎月末になると、その月の診療データを集計して、患者ごとにレセプトが作成されます。
レセプトには、次のような情報をまとめます。
- 保険情報
- 傷病名
- 診療内容
- 診療実日数
- 請求点数 など
レセプト点検(記載漏れ・傷病名と診療行為の整合)
レセプトを提出する前には、内容に誤りがないかを確認する「レセプト点検」をおこないます。
点検は、レセコンによる自動チェックと、医療事務スタッフによる目視確認を組み合わせて実施するのが一般的です。
主な点検項目
【保険情報の確認】
・保険者番号は正しいか
・被保険者番号は正しいか
・公費負担医療の情報は正しいか
【傷病名と診療行為の整合性】
レセプト審査では、診療内容が傷病名に対して医学的に妥当かどうかが確認されます。
たとえば次のような場合、返戻(差し戻し)や査定(減点)の対象になることがあります。
- 高血圧症なのに骨折用の処置を算定している
- 傷病名がないのに高額な検査を実施している
【記載漏れがないかどうかの確認】
記載項目に漏れがないか確認します。
【算定ルールの確認】
診療報酬には細かな算定ルールがあります。たとえば次のような項目について確認する必要があります。
- 算定回数の上限
- 算定間隔
- 年齢制限
- 施設基準
- 併算定できない項目 など
☆レセコンによる自動チェック☆
多くの医療機関では、レセコンの機能によって次のようなチェックをおこなっています。
- 算定漏れ
- 重複算定
- 算定回数超過
- 入力ミス
- 傷病名との不一致
自動チェックで検出できない内容については、医療事務スタッフが確認します。
審査支払機関(社保・国保)への提出スケジュール ≪毎月10日締め≫
レセプトは毎月決められたスケジュールで提出します。
月初 (1日~)
診療データを確定して、レセプトを作成します。
レセプト作成終了~9日頃
レセプト点検を実施します。次の項目を中心に確認して、必要に応じて修正します。
- 保険情報
- 傷病名
- 診療内容
- 点数
- 算定漏れ
毎月10日頃
完成したレセプトを審査支払機関へ提出します。
提出先は加入している保険制度によって異なります。
- 社会保険(会社員など):社会保険診療報酬支払基金(支払基金)
- 国民健康保険(自営業あるいは定年後の高齢者など):国民健康保険団体連合会(国保連)
提出期限は原則として診療月の翌月10日です。ただし、休日などにより前後する場合があります。
審査
提出されたレセプトは、審査支払機関が次のような点を確認します。
- 保険資格
- 傷病名
- 診療内容
- 算定ルール
- 点数計算 など
内容に問題がなければ請求が認められます。
支払い
審査が終了すると、保険者から医療機関へ診療報酬が支払われます。
一方で、記載内容に問題がある場合は、返戻あるいは査定となるケースがあります。
- 返戻:レセプトが医療機関へ差し戻され、修正後に再提出しなくてはならない
- 査定:請求内容の一部が認められず、請求額が減額される
なお、提出したレセプトの診療報酬が実際に医療機関の口座に振り込まれるのは、原則として「請求を行った月の翌月下旬(診療を行った月から見ると翌々月下旬)」です。
【入金サイクルの例(5月診療の場合)】
・5月中:診療・カルテ入力
・6月10日:レセプト提出
・7月21日前後:診療報酬の振込
このように、診療から入金まで約2ヶ月のタイムラグが発生するため、レセプトの提出遅延や返戻を防ぎ、計画通りに診療報酬を回収することがクリニック経営において非常に重要です。
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レセプトで起きやすいトラブル
レセプトは診療報酬を請求するための重要な書類ですが、記載内容に誤りや不備があると、医療機関は予定どおり診療報酬を受け取れなくなることがあります。
実務では、「返戻(差し戻し)」と「査定(減点)」が代表的なトラブルです。これらを防ぐためには、レセプト点検や傷病名の管理が欠かせません。
返戻(差し戻し)とその主な原因
返戻(差し戻し)とは、提出したレセプトに不備や確認事項があり、審査支払機関から医療機関へ差し戻されることです。
返戻されたレセプトは、そのままでは診療報酬が支払われません。内容を修正して、再提出する必要があります。
主な返戻の原因
・① 保険資格の誤り(資格過誤)
もっとも多い原因の1つです。
(例)
・マイナ保険証の有効期限切れ
・保険変更後も旧保険で請求
・被保険者番号の入力ミス
(具体例)
患者さんが4月1日に会社を退職して、新しい健康保険へ加入していたにもかかわらず、以前の健康保険で請求してしまった。
→ 保険資格が一致しないため、返戻(資格過誤)になります。
・② 公費情報の入力漏れ
たとえば、自立支援医療や指定難病、乳幼児医療などの受給者番号を入力し忘れるケースです。
・③ 記載漏れ
よくあるのが、診療開始日が未入力、転帰が空欄、必要事項の記載漏れなどです。
・④ 医療機関への確認が必要な場合
内容に疑問がある場合も返戻されます。
(例:診療年月の誤り、傷病名の確認、保険情報の確認など)
返戻を防ぐポイント
- 保険資格を毎回確認する
- マイナ保険証・オンライン資格確認を活用する
- 公費情報を確認する
- 提出前にレセコンのエラーチェックをおこなう
返戻が発生した場合の対応(再請求と入金への影響)
返戻されたレセプトは、不備を修正したうえで「再請求(月遅れ請求)」を行う必要があります。
再請求の提出期限も、通常の請求と同様に「毎月10日」です。そのため、10日までに修正作業が間に合わない場合は翌々月以降の請求となり、診療報酬の入金がその分遅れてしまいます。
医療機関にとって診療報酬の振込が1〜2ヶ月遅れることは、資金繰り(キャッシュフロー)に直接影響を与える重大なリスクとなります。返戻が発生した場合は、速やかに不備を確認し、次回締切までに確実に再提出することが重要です。
査定(減点)と再審査請求
査定とは、レセプトの内容は受理されたものの、請求した診療報酬の一部が認められずに減額されることです。返戻とは異なり、レセプトは受け付けられています。そのため、医療機関側も「査定は誤りではない」との認識であるなら、レセプトを修正して再度提出する必要はありません。ただし、後述しますが、査定されたことに納得できず、再度審査してほしい場合はそのための手続きをとる必要があります。
査定の主な原因
・① 傷病名と診療内容が一致しない
もっとも多い原因です。
(例)
傷病名が「風邪」だけなのに、CT検査やMRI検査をおこない、その検査費を請求している。
→ 医学的な必要性が読み取れないため、査定される可能性があります。
・② 算定要件を満たしていない
たとえば、算定できる条件を満たしていないのに、医学管理料や指導料などを請求した場合です。
・③ 算定回数の超過
たとえば、「月1回まで」と定められている管理料を2回請求した場合などです。
・④ 重複請求
同じ日に、同じ検査、同じ処置を二重入力してしまうケースです。
再審査請求とは
前述の通り、医療機関が査定に納得しているなら、何も手続きをおこなう必要はなく、単に、請求した金額より少ない金額が支払われることになるだけです。
一方、減額されたぶんの処置に関して、「医学的に必要だった」「算定要件を満たしている」と考える場合には、再審査請求をおこなうこともできます。
再審査請求とは、医療機関が「査定は誤りです」と根拠資料を添えて再度審査を求める制度です。
再審査請求をおこなう場合、次のような資料を添付します。
- 医師の診療録
- 検査結果
- 診療内容の説明
- 算定根拠 など
再審査請求をおこなうと、必ずしも査定は取り消されるというわけではありませんが、根拠資料によって審査する側を納得させることができた場合、査定が取り消されることがあります。
傷病名の付け忘れ・病名整理の重要性
レセプト審査では、「どんな病気だから、この診療をおこなったのか」が非常に重要です。そのため、傷病名の管理はレセプト業務の基本になります。
傷病名の付け忘れ
たとえば、患者に血液検査や胸部レントゲン、CTを実施したとして、傷病名が登録されていないと、「なぜ検査したのか」が分かりません。
結果として、査定や返戻の対象になることがあります。
(正しい例)
傷病名:肺炎疑い
診療内容:血液検査、胸部CT
これなら、医学的に必要性があると説明することができます。
病名整理
病名整理とは、現在では治療していない病名や、治療が終了した病名を適切に整理することです。カルテには長年にわたって病名が蓄積されるため、実際には治癒している病気の記録が残っていることがありますが、それを放置していると次のような問題が生じる場合があります。
- 問題①:不要な病名が大量に残ってレセプトが見づらくなる
- 問題②:診療内容との関係が分かりにくくなり、査定されやすくなる
- 問題③:審査担当者が必要な病名を探しにくくなるため、審査に時間がかかる
こうした問題が生じるのを防ぐために、医療機関では、治癒・(診療などの)中止・転医となった病名に関しては適切に転帰を入力して、必要に応じて整理します。これによって現在治療中の病気と診療内容の対応関係が明確になり、査定や返戻の防止につながります。
レセプトに関してよくあるミスと防止策一覧
レセプト作成~点検において、よくあるミスとその結果起こるトラブルおよび防止策は次のようにまとめることができます。
| よくあるミス | 起こるトラブル | 防止策 |
|---|---|---|
| 保険証情報の更新漏れ | 返戻(資格過誤) | オンライン資格確認やマイナ保険証で資格を確認する |
| 公費受給者証の入力漏れ | 返戻 | 公費情報・有効期限を確認する |
| 傷病名の登録漏れ | 査定・返戻 | 診療行為に対応する傷病名が登録されているか確認する |
| 診療内容と傷病名が一致しない | 査定 | 医学的な関連性が説明できる傷病名を登録する |
| 算定回数の超過 | 査定 | レセコンのチェック機能や点検で回数制限を確認する |
| 重複入力 | 査定 | 同じ検査・処置の二重請求がないか確認する |
| 転帰や診療開始日の記載漏れ | 返戻 | 必須項目が入力されているか提出前に点検する |
| 治癒した病名を整理していない | 査定・審査遅延 | 定期的に病名整理を行い、転帰を適切に入力する |
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
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電子カルテ・レセコン連携でレセプト業務はどう変わるか
近年、多くの医療機関では電子カルテとレセコンを連携させることによって、レセプト業務の効率化を進めています。
以前は、紙カルテを見ながら診療内容を手入力していましたが、現在は診療記録がそのままレセプト作成につながる仕組みが一般的です。その結果、業務時間の短縮が実現しているだけでなく、入力ミスや請求漏れの防止にも役立っています。
オンライン請求の普及とマイナ保険証による返戻削減
現在、多くの医療機関では紙媒体や光ディスク等ではなく、インターネット回線を通じた「オンライン請求」が広く普及しています。
さらに、医療機関での「オンライン資格確認(マイナ保険証)」の運用により、受付時にリアルタイムで患者の保険資格を照会できるようになりました。これにより、レセプトトラブルで最も多いとされる「保険資格の失効や番号入力ミスによる返戻(資格過誤)」を大幅に防ぐことが可能になっています。
電子カルテやレセコンの導入は、単なる事務作業の省力化だけでなく、請求ミスによる未回収リスクを低減させる経営上のメリットもあります。
手書き・紙レセプトとの違い
| 項目 | 紙カルテ・紙レセプト | 電子カルテ+レセコン連携 |
|---|---|---|
| カルテ作成 | 手書き | 電子入力 |
| レセコン入力 | 医療事務が手入力 | 自動連携 |
| レセプト作成 | 手入力中心 | 自動生成 |
| 作業時間 | 長い | 短い |
| 入力ミス | 起こりやすい | 起こりにくい |
| 点検 | 人の確認が中心 | 自動チェックを併用 |
かつては、医師が紙カルテに記載した内容をもとに、医療事務がレセコンへ入力して、紙のレセプトを作成していました。一方、現在は電子カルテとレセコンが連携しているため、診療内容の多くが自動的にレセプトへ反映されます。
紙カルテ・紙レセプトの場合
受付 → 紙カルテに診療内容を記入 → 医療事務が内容を確認 → レセコンへ手入力 → レセプト作成 → 点検・提出
【特徴】
・手入力しなければならないことが多い
・入力漏れが起こりやすい
・二重入力になる
・作業時間が長い
電子カルテ+レセコン連携の場合
受付 → 電子カルテへ診療内容を入力 → レセコンへ自動連携 → レセプト自動作成 → 点検・提出
【特徴】
・入力作業を大幅に削減できる
・二重入力が不要
・人為的ミスを減らせる
・レセプト作成がスピーディー
⇒参照:AIエージェントがクリニック業務を変える2026|自律型AIが問診・レセプト・予約を「自動でこなす」時代の準備
カルテ入力がそのまま算定に反映される仕組み
電子カルテとレセコンが連携していると、医師が電子カルテへ入力した診療内容がレセプト作成に活用されます。
基本的な流れは次の通りです。
診察・検査・処置・投薬・注射などの内容を医師が電子カルテへ入力
↓
レセコンへデータ送信
↓
診療報酬点数を自動計算
↓
レセプトが自動で作成される
(具体例)
たとえば、医師が電子カルテで次のように入力したとすると、
・初診
・インフルエンザ迅速検査
・解熱剤処方
レセコンでは、これらに対応した内容が反映されて、次の項目の入力が自動で完了します。
・初診料
・検査料
・処方料
・薬剤料
医療事務が一つひとつ点数を入力する必要はありません。
算定漏れの防止
紙運用では、「検査は入力したが処置を入力し忘れた」などの入力漏れが起こることがありました。
一方、電子カルテとレセコンが連携していれば、診療内容が自動的に取り込まれるため、こうした算定漏れを防ぎやすくなります。
業務効率の向上
電子カルテ連携によって、医師、看護師、医療事務が同じ診療情報を共有しやすくなります。
その結果、情報の転記、再入力、確認作業が減り、業務全体の効率化につながります。
点検支援機能でミスを減らす
レセプト業務においては、審査機関への提出前の点検が非常に重要です。そこで役立つのが、レセプト点検機能です。最近のレセコンには、レセプト点検を支援する機能が搭載されており、人為的なミスの防止に役立っています。
【よくあるチェック内容】
・保険資格の誤り
・傷病名の登録漏れ
・診療内容と傷病名の不一致
・算定回数の超過
・重複算定
・必須項目の入力漏れ など
エラーや警告が表示されるため、提出前に修正できます。
・具体例① 傷病名漏れ
「胸部CT」と入力しているものの、傷病名が入力されていなければ、システムが「対応する傷病名が登録されていません」と警告を表示してくれます。
・具体例② 算定回数超過
本来は、医学管理料月1回まで算定可能な項目を、月2回と入力すると、システムが超過を検知して警告を表示します。
・具体例③ 保険資格エラー
患者の健康保険資格に変更があるのに、古い情報のまま請求しようとすると、資格情報との不一致を検知して、確認を促す仕組みを備えたシステムもあります。
電子カルテ×レセコン連携で請求ミスを強力に防止できる
電子カルテとレセコンを連携させると、診療記録からレセプト作成までを一連の流れで処理できるため、入力作業や転記作業を減らしながら、点検支援機能によって請求ミスを防止する効果も期待できます。
たとえば、日本医師会が提供するレセプトソフト「ORCA」との連携によって、カルテ入力から会計までの一体化を実現しているクラウド型電子カルテ「CLIUS」も、レセプト業務効率化に役立ちます。レセプト点検支援機能を活用することで、傷病名の漏れや算定ルールに関する確認をおこないやすくなり、返戻や査定のリスク軽減にもつながります。
⇒参照:CLIUSの機能
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
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レセプトは医療機関の収入
レセプトは診療報酬を請求し、医療機関の収入とキャッシュフローを維持するための極めて重要な書類です。正確に作成・提出されて初めて、診療の約2ヶ月後に正しい診療報酬が口座へ振り込まれます。
記載漏れや資格過誤などの入力ミスがあると、返戻による再請求が必要となり、資金回収が大幅に遅れるリスクが生じます。
かつては作成も点検も手動で行っていたため時間のかかる大変な業務でしたが、現在では電子カルテとレセコンの連携や、レセプトチェック機能の活用によって、作成から点検までにかかる時間を大幅に削減することができます。
新しいシステムの導入に不安を感じる医療機関もあるかもしれませんが、導入によって面倒な業務を大幅に効率化し、請求ミスを未然に防ぐことができます。ぜひ導入を検討してみてください。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
