在医総管とは?施医総管との違いと、単一建物診療患者数の数え方を実務で整理する

在宅医療に取り組むクリニックにとって、在医総管(在宅時医学総合管理料)は収入の柱にあたります。訪問診療料が「行った回数」の評価であるのに対し、在医総管は「継続的に管理していること」への評価です。

ところが実務でつまずくのは点数の高低ではなく、「この患者は何人として数えるのか」という判定です。同じ訪問でも、患者が自宅にいるのか施設にいるのか、同じ建物に何人いるのかで算定が変わります。

本記事では在医総管の構造と、2026年度改定で細分化された区分、そして単一建物診療患者数の数え方を実務の順序で整理します。

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目次
  1. 在医総管とは何か
    1. 在宅療養している患者を月単位で管理する評価
    2. 何が包括されるのか
  2. 施医総管との違い
    1. 分けるのは「患者がどこに住んでいるか」
    2. 判定を間違えやすい場面
  3. 2026年度改定で区分が細かくなった
    1. 単一建物診療患者数の区分が増えた
    2. 状態による区分も併存する
  4. 単一建物診療患者数の数え方
    1. 定義
    2. 「1人」として数えられる特例
    3. 実務としての確認順序
  5. 電子カルテとレセプトの運用
  6. よくある質問
    1. Q. 在医総管は月2回訪問しないと算定できませんか?
    2. Q. 同じ建物の患者を他院と分担している場合はどう数えますか?
    3. Q. 月の途中で施設に入居した場合はどちらになりますか?
    4. Q. 特例の「戸数の10%以下」は何を分母にしますか?
    5. Q. 点数は何を見れば確認できますか?
  7. まとめ

在医総管とは何か

在宅療養している患者を月単位で管理する評価

在医総管(C002 在宅時医学総合管理料)は、在宅で療養している患者に対して計画的な医学管理を行った場合に、月1回算定できる管理料です。

前提となるのは次の2点です。

  • 通院が困難な患者であること
  • 訪問診療を計画的に行い、療養計画に基づいて管理していること

訪問診療料(C001)が訪問1回ごとの評価であるのに対し、在医総管は月単位の包括的な管理への評価という違いがあります。

何が包括されるのか

管理料であるため、一定の検査や処置が包括されます。包括範囲を誤解して別途算定すると、査定の対象になります。

どこまでが包括されるかは告示と通知に定めがあります。算定の最終判断は原典に当たってください。 解説記事は理解の助けにはなりますが、根拠にはなりません。

制度全体の仕組みは診療報酬とは?で整理しています。

施医総管との違い

分けるのは「患者がどこに住んでいるか」

在医総管とよく並べて語られるのが、施医総管(C002-2 施設入居時等医学総合管理料)です。

この2つはどちらを選ぶかではなく、患者の住居で自動的に決まります。

在医総管(C002) 施医総管(C002-2)
対象 自宅・居宅で療養する患者 特定施設等に入居している患者
算定頻度 月1回 月1回
点数水準 施医総管より高い 在医総管より低い

点数に差があるのは、施設では看護・介護の体制が一定程度整っているという前提が置かれているためです。

判定を間違えやすい場面

判定でつまずくのは、住居の形態が中間的な場合です。

  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 有料老人ホーム
  • グループホーム
  • 認知症対応型共同生活介護

施設の種別によって扱いが異なるため、入居先の法的な種別を確認したうえで判定する必要があります。「高齢者向けの住宅だから施医総管」と機械的に決めると誤ります。

2026年度改定で区分が細かくなった

単一建物診療患者数の区分が増えた

在医総管・施医総管の点数は、同じ建物に何人の対象患者がいるかで変わります。1人だけを診るために訪問するのか、まとめて診られるのかで、移動の効率が違うためです。

2026年度改定では、患者の状態に応じた適切な訪問診療・往診等を推進する観点から、単一建物診療患者数が10人以上19人以下、20人以上49人以下、50人以上の場合の評価が新設されました。

つまり、大規模施設をまとめて診る形態がより細かく評価される構造になりました。集合的な訪問の効率が高い場合に、点数が段階的に下がる設計です。

改定全体の変更点は令和8年度(2026年度)診療報酬改定のポイント、訪問診療に絞った確認事項は2026診療報酬改定で訪問診療クリニックが見落としがちな算定チェックリストで扱っています。

状態による区分も併存する

区分は建物内の人数だけではありません。

特掲診療料の施設基準等別表第八の二に掲げる「別に厚生労働大臣が定める状態の患者」に対して、在宅患者訪問診療料を月2回以上算定した場合には、その区分の点数を単一建物診療患者数に従って算定します。

整理すると、点数は「患者の状態」×「訪問回数」×「単一建物診療患者数」の3軸で決まります。この3軸を取り違えると、算定額が大きくずれます。

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単一建物診療患者数の数え方

定義

単一建物診療患者数とは、その患者が居住する建築物に住む人のうち、当該保険医療機関が在医総管または施医総管を算定する者の数です。

ここを取り違えやすいポイントが2つあります。

  1. 建物にいる患者全員ではない — 自院が管理料を算定する患者だけを数える
  2. 他院が診ている患者は含めない — 同じ建物に他院の在宅患者がいても、自院の数え方には影響しない

「1人」として数えられる特例

人数が多い建物でも、次の場合は単一建物診療患者数が「1人」の場合の点数を算定できます。

  • 同居する同一世帯に患者が2人以上いる場合
  • 医学管理を行う患者が、その建物の戸数の10%以下の場合
  • 建物の総戸数が20戸未満で、医学管理を行う患者が2人以下の場合

集合住宅で数人を診ている場合、この特例に当たるかどうかで点数が大きく変わります。 戸数と患者数を毎月確認する運用にしておかないと、取りこぼしや過大算定が生じます。

実務としての確認順序

判定は次の順で行うと迷いません。

  1. 患者の住居は自宅か、特定施設か → 在医総管か施医総管かが決まる
  2. 患者の状態は別表第八の二に該当するか → 状態区分が決まる
  3. 訪問診療料を月2回以上算定しているか → 回数区分が決まる
  4. 同じ建物に自院が管理料を算定する患者が何人いるか → 人数区分が決まる
  5. 特例(世帯・10%・20戸未満)に当たらないか → 1人扱いになる場合を拾う

この5段階を毎月なぞる運用にしておくのが、査定を防ぐ最も確実な方法です。

電子カルテとレセプトの運用

在宅の算定は、訪問の記録と管理料の要件が結びついているかが問われます。

計画的な管理であること、療養計画を作成していること、患者・家族への説明を行っていることなど、カルテ記載が要件の一部になっている項目があります。点数表の要件を満たしていても記載が不足していれば、査定の理由になります。

訪問診療と外来を併用する場合の設計は訪問診療に使える電子カルテの選び方、訪問看護を一体運営する場合はみなし訪問看護クリニックの電子カルテ選びで扱っています。

在宅医療が地域の枠組みの中でどう位置づけられるかは、地域包括ケアシステムとは?を参照してください。

よくある質問

Q. 在医総管は月2回訪問しないと算定できませんか?

月1回の訪問でも算定できる区分があります。ただし月2回以上訪問した場合の区分とは点数が異なります。 患者の状態区分との組み合わせで決まるため、要件を個別に確認してください。

Q. 同じ建物の患者を他院と分担している場合はどう数えますか?

自院が管理料を算定する患者のみを数えます。 他院が診ている患者は含みません。

Q. 月の途中で施設に入居した場合はどちらになりますか?

算定日時点の居住場所で判定するのが基本ですが、月単位の管理料であるため、その月の取り扱いは通知の定めを確認する必要があります。実務では入退院・入居のタイミングが最も判定が揺れる場面です。

Q. 特例の「戸数の10%以下」は何を分母にしますか?

建物の総戸数が分母です。入居者数ではありません。集合住宅では管理会社に総戸数を確認しておくと、毎月の判定が早くなります。

Q. 点数は何を見れば確認できますか?

厚生労働省が告示する診療報酬点数表が原典です。改定年は疑義解釈が順次出るため、地方厚生局の通知も併せて確認してください。

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まとめ

在医総管とは、在宅療養中の患者に計画的な医学管理を行った場合に月1回算定できる管理料です。実務で押さえるべきは次の3点です。

  1. 在医総管と施医総管は選ぶものではない — 患者の住居(自宅か特定施設か)で自動的に決まる
  2. 点数は3軸で決まる — 患者の状態 × 訪問回数 × 単一建物診療患者数。2026年度改定で人数区分に10〜19人・20〜49人・50人以上が新設された
  3. 「1人」扱いの特例を毎月確認する — 同一世帯・戸数の10%以下・20戸未満で2人以下。戸数と患者数の確認を運用に組み込む

在宅医療の算定は、点数表の理解と毎月の確認運用が両方そろって初めて正しく取れる領域です。要件の最終確認は必ず告示と通知に当たってください。


参考
- 厚生労働省「診療報酬点数表」C002 在宅時医学総合管理料/C002-2 施設入居時等医学総合管理料
- 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等」別表第八の二
- 令和8年度診療報酬改定 関連通知・疑義解釈

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