インシデントレポートの書き方|クリニックで使える記入例と、報告が集まる運用のつくり方

「ヒヤリとしたことはあったが、レポートを書くほどではないと思った」

医療現場で最もよく聞かれる言葉です。しかしインシデントレポートは、事故が起きたことを責めるための書類ではありません。同じ状況が次に起きたとき、誰かが同じ判断をしないための記録です。

この記事では、クリニックの現場で実際に書けるインシデントレポートの書き方を、記入例とともに整理します。そのうえで、報告が集まらない原因と、集まる仕組みの作り方まで扱います。

なお、インシデントとアクシデントの区別や影響度レベルの分類については、インシデントとアクシデントの違いとは?影響度レベル分類と、クリニックで報告制度を機能させる方法 で詳しく解説しています。本記事は「実際にどう書くか」に絞ります。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

目次
  1. インシデントレポートに書く6つの項目
  2. 「何が起きたか」の書き方——事実と解釈を分ける
    1. よくない例
    2. よい例
    3. 書くときの3つのルール
  3. クリニックでよくある場面別の記入例
    1. 与薬・処方に関するもの
    2. 転倒・転落に関するもの
    3. 検査・機器に関するもの
    4. 情報・記録に関するもの
  4. 報告が集まらない4つの原因
  5. 集めたレポートをどう使うか
  6. よくある質問
  7. まとめ

インシデントレポートに書く6つの項目

様式は施設によって異なりますが、押さえるべき情報は共通しています。

項目 書く内容 注意点
発生日時 年月日と時刻(できれば分単位) 「午前中」ではなく「10:35頃」と書く
発生場所 診察室、処置室、受付など具体的に 「院内」では検証できない
当事者・発見者 職種と経験年数 氏名の扱いは施設の方針に従う
患者情報 年齢・性別・意識レベル・ADL 個人が特定できる記載は避ける
何が起きたか 時系列で事実のみ ここが最も重要(後述)
その後の対応と結果 誰に報告し、患者にどう影響したか 「異常なし」で終わらせない

「何が起きたか」の書き方——事実と解釈を分ける

インシデントレポートで最も差が出るのがこの欄です。書けていないレポートには共通した特徴があります。

よくない例

患者さんを取り違えそうになった。忙しくて確認が不十分だった。以後気をつけたい。

これでは何も分かりません。「忙しくて」は解釈、「気をつけたい」は決意であって、どちらも事実ではないからです。次に同じ場面に立った人が読んでも、何をすればよいか分かりません。

よい例

10:35、処置室で採血を実施。患者Aさん(70代女性)を呼び入れる際、待合で「Bさん」と姓のみで呼名した。同姓のBさん(80代女性)が返事をして入室。採血直前にリストバンドを確認し、別人であることに気づいた。採血は実施していない。

当該時間帯、受付から処置室への患者誘導が重なっており、担当看護師1名で対応していた。フルネームでの呼名と生年月日の照合を行っていなかった。

違いは3点です。

  1. 時刻・場所・登場人物が特定できる
  2. 「なぜそうなったか」が状況として書かれている(人の性格ではなく、体制の話として)
  3. どこで止まったかが明確(リストバンド確認で気づいた=そこが機能した防御壁)

3つ目は特に重要です。インシデントは「防げた仕組み」を見つける材料でもあります。

書くときの3つのルール

  • 推測を書かない。「〜だと思われる」ではなく、見たこと・したことを書く
  • 人ではなく状況を書く。「注意力が足りなかった」ではなく「担当1名で2つの業務が重なっていた」
  • 時系列を守る。気づいた順ではなく、起きた順に並べる

クリニックでよくある場面別の記入例

与薬・処方に関するもの

14:20、内服薬の説明時、処方箋の記載と薬袋の内容が異なることに患者から指摘を受けた。確認したところ、前回処方分の薬袋を誤って渡していた。未開封のまま回収し、正しい薬袋を交付。患者への服用はなし。

前回来院分の薬袋が調剤棚に残っており、氏名の目視のみで取り出していた。

転倒・転落に関するもの

11:05、診察室から待合へ移動中、患者Cさん(80代男性、独歩)が入口段差でバランスを崩し、壁に手をついた。転倒には至らず、外傷なし。医師が確認し、経過観察の指示。

当該段差には注意表示があるが、床と同系色で視認性が低い状態だった。

検査・機器に関するもの

9:50、心電図検査中に電極の一部が外れていることに気づき、記録をやり直した。初回記録は破棄。患者への影響なし。

電極パッドの使用期限は有効だったが、粘着力が低下していた。開封から3週間経過していた。

情報・記録に関するもの

16:40、電子カルテへの入力時、前の患者の画面が開いたまま次の患者の所見を入力しかけた。保存前に気づき修正。誤記録なし。

診察の合間に問い合わせ対応が入り、カルテを閉じずに離席していた。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

報告が集まらない4つの原因

レポートの様式を整えても、提出されなければ意味がありません。集まらない原因は、書き手の意識ではなく仕組みの側にあります。

1. 書くのに時間がかかる

A4一枚を手書きで埋める形式では、繁忙時に書けません。チェック式を基本にして、記述は「何が起きたか」の欄だけにすると提出率が上がります。

2. 提出後に何が起きるか分からない

出したレポートがどう扱われたか本人に返ってこないと、「書いても意味がない」という認識が広がります。月1回でも「今月の報告からこう変えた」と共有することが最も効きます。

3. 責任追及の場に見えている

朝礼で名指しで振り返るような運用では、報告は止まります。目的は再発防止であり、人事評価と切り離すという宣言が要ります。

4. 「これは書くほどではない」の線引きが曖昧

判断を個人に委ねると、報告されないものが増えます。「患者に影響がなくても、ヒヤリとしたら書く」という単純な基準に統一するのが現実的です。

集めたレポートをどう使うか

書かせるだけで終わっているクリニックは少なくありません。使い方は3段階あります。

① 分類する

発生時間帯・場所・業務種別で分けます。件数の多い分類ではなく、繰り返し出てくる分類を見ます。同じ場面が3回出たら、それは個人の問題ではありません。

② 一つだけ変える

複数の対策を同時に入れると、何が効いたか分からなくなります。呼名をフルネームに統一する、段差にテープを貼る、といった単位で一つずつ変えます。

③ 効果を見る

変えた後、同じ分類のレポートが減ったかを見ます。減らなければ対策が的外れだったということで、それも情報です。

よくある質問

Q. 患者に影響がなかった場合も書くべきですか。

書きます。むしろ影響が出なかったものこそ、防御壁が機能した記録として価値があります。影響が出たものだけを集めると、何が事故を防いでいるのかが分からなくなります。

Q. 自分のミスを書くのは気が引けます。

インシデントレポートは始末書ではありません。人事評価と切り離すことを施設として明示しておく必要があります。それが明示されていない状態で報告を求めても、集まらないのが自然です。

Q. 保管期間はどれくらいですか。

法令上、インシデントレポートそのものの保存期間を定めた規定はありません。ただし分析と再発防止の観点から、最低3年、可能であれば5年を目安に保管する施設が多くなっています。診療録の保存期間(5年)に合わせておくと運用しやすくなります。

Q. 紙とシステム、どちらがよいですか。

提出率だけを見れば、入力にかかる時間が短いほうです。紙でも定型化されていれば機能します。ただし集計と分類を手作業でやると継続しにくいため、件数が月10件を超えるなら電子化を検討する段階です。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

まとめ

インシデントレポートは、書式を整えることより書ける状態と、書いた後に何かが変わる実感が揃って初めて機能します。

  • 事実と解釈を分けて書く。「忙しかった」ではなく「担当1名で2業務が重なっていた」
  • どこで止まったかを必ず書く。機能した防御壁が分かる
  • 人ではなく状況を書く。再発防止は個人の注意力では実現しない
  • 報告が集まらないのは仕組みの問題。書く時間・フィードバック・評価との分離・判断基準の4つを点検する
  • 集めたら一つだけ変えて、効果を見る

最初から完璧な様式を作る必要はありません。「ヒヤリとしたら書く」という基準を共有し、出てきたものに反応することから始めるのが、結果的に近道になります。


参考

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、