電子処方箋を入れようとして、最初につまずくのがここです。
システムの契約は済んだのに、院長の医師資格証がまだ手元にない。
医師資格証(HPKIカード)は申請から発行まで数週間かかります。
電子処方箋の導入日から逆算して動かないと、システムだけ用意して使えない期間が生まれます。
この記事では、医師資格証が何のために要るのか、取得の手順と期間、
そしてカードを持ち歩かずに署名する方法までを整理します。
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医師資格証は「医師であること」を電子的に証明するカード
医師資格証は、日本医師会電子認証センターが発行するICカードです。
HPKI(Healthcare Public Key Infrastructure=保健医療福祉分野の公開鍵基盤)という
仕組みに基づいて、その人が医師免許を持っていることを電子的に証明します。
紙の世界での「記名押印」に相当する役割を、電子の世界で果たすものだと考えると分かりやすくなります。
重要なのは、これが本人確認ではなく資格確認だという点です。
マイナンバーカードは「その人が本人であること」を証明しますが、
医師資格証は「その人が医師という資格を持っていること」まで証明します。
だから処方箋の署名に使えます。
日本医師会の会員でなくても申請できます。会費とは別の制度です。
電子処方箋に医師資格証が要る理由
紙の処方箋には、医師の署名または記名押印が必要です(医師法施行規則第21条)。
電子処方箋でも同じ要件がかかるため、電子署名が必須になります。
この電子署名に使える証明書として、厚生労働省が認めているのがHPKIです。
一般的な電子契約サービスの署名では要件を満たしません。
つまり順序は次のようになります。
- 医師資格証(HPKI)を取得する
- 電子処方箋管理サービスの利用申請を行う
- 電子カルテ・レセコンを電子処方箋に対応させる
- 運用開始
1が終わっていないと、3まで進んでも処方箋を出せません。
ここが導入計画で最も見落とされる工程です。
なお、電子処方箋の導入自体は現時点で努力義務ですが、
オンライン資格確認の原則義務化に続く流れの中で、対応済みの施設は年々増えています。
補助金の申請期限を意識して動く場合も、資格証の取得期間を計算に入れてください。
取得の手順と、かかる期間
申請から受け取りまで、おおむね3週間から2か月程度を見ておくと安全です。
時期によって混み合うため、余裕を持って申請してください。
手順の骨格は次のとおりです。
- 日本医師会電子認証センターのサイトから申請する
会員・非会員のいずれも申請できます。手数料が異なります。 - 本人確認書類と医師免許の確認資料を提出する
医師免許証の写しなど、資格を確認できる書類が必要です。 - 審査を経てカードが発行される
都道府県医師会または郡市区医師会を経由して受け取る方式が一般的です。 - 受け取り時にPIN(暗証番号)を設定する
このPINを忘れると署名できません。再発行には手間がかかります。
カードとあわせて、ICカードリーダーが必要です。
電子カルテのベンダーが動作確認済みの機種を案内していることが多いため、
先に確認してから購入すると無駄がありません。
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カードを持ち歩かずに署名する方法がある
医師資格証の実務でいちばん面倒なのは、カードを挿さないと署名できないことでした。
訪問診療の外出先、複数拠点の掛け持ち、非常勤先での勤務。
そのたびにカードとリーダーを持ち運ぶのは現実的ではありません。
この課題に対して、セカンド電子証明書(リモート署名)という仕組みが用意されています。
カードそのものを使わず、スマートフォンの認証アプリで署名する方式です。
これがあると、次のような運用ができます。
- 訪問診療先からその場で電子処方箋に署名する
- 複数の診療所を回る医師が、拠点ごとにリーダーを置かずに済む
- カードの物理的な持ち出しリスクを減らす
セカンド電子証明書は、ICカードの申請と合わせて発行される運用になっています。
申請時にどちらも受け取れるため、最初から両方を前提に運用設計をしておくのが効率的です。
なお、初期登録の方法は制度側で見直しが続いています。
申請の時点で、日本医師会電子認証センターの最新の案内を確認してください。
導入前に決めておく3つのこと
1. 誰が資格証を持つか
常勤医が1人のクリニックなら院長だけで足ります。
非常勤医が処方を出すなら、その医師にも資格証が要ります。
非常勤医が自分の資格証を持っているかどうかは、事前に確認しておく必要があります。
2. PINの管理方法
署名のたびにPINを入力します。院長が不在のときに代わりに署名することはできません。
「院長が休みの日は紙の処方箋で出す」といった運用を決めておきます。
3. 更新のタイミング
電子証明書には有効期限があります。
期限切れに気づかないまま診療日を迎えると、その日は電子処方箋を出せません。
更新案内が届く連絡先を、確実に受け取れるアドレスにしておいてください。
よくある質問
Q. 日本医師会に入っていないと取得できませんか。
非会員でも申請できます。手数料の額が会員と非会員で異なります。
Q. 歯科医師や薬剤師も同じカードですか。
発行する認証局が異なります。歯科医師は日本歯科医師会、薬剤師は日本薬剤師会が
それぞれHPKI認証局として証明書を発行しています。仕組みは共通です。
Q. 電子処方箋を使わない場合でも取得する意味はありますか。
電子カルテの記載に対する電子署名や、診断書・診療情報提供書の電子化など、
処方箋以外にも用途があります。ただし急ぐ理由がなければ、
電子処方箋の導入計画とあわせて取得するのが現実的です。
Q. カードを紛失したらどうなりますか。
速やかに失効の手続きを行い、再発行を申請します。
再発行にも審査と発行の期間がかかるため、その間は電子処方箋を出せません。
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まとめ
医師資格証(HPKI)は、医師であることを電子的に証明するICカードです。
電子処方箋には電子署名が必須で、そこで使えるのがこの証明書です。
申請から発行まで数週間から2か月程度。
電子処方箋の導入日ではなく、資格証の申請日から逆算して計画を立ててください。
カードを持ち歩かずに署名できるセカンド電子証明書も用意されています。
訪問診療や複数拠点での運用を考えているなら、最初から前提に入れておくと運用が楽になります。
参考
- 医師法施行規則第21条(処方箋の記載事項)
- 厚生労働省「電子処方箋」
- 日本医師会電子認証センター「医師資格証(HPKIカード)」
- 医療情報システム開発センター(MEDIS)「HPKI 保健医療福祉分野公開鍵基盤」
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
