「薬剤管理指導料」と「服薬管理指導料」は、名前が1文字違うだけで対象も算定できる場所もまったく別の項目である。外来中心のクリニックの医療事務が患者やレセプトの記載を見て混同しやすい典型例になっている。
先に結論を書くと、薬剤管理指導料は入院患者を対象とした病院向けの項目で、通常のクリニックが直接算定する場面はほぼない。それでも、連携先の病院からの情報提供や退院時のやり取りで名前を目にするため、意味を押さえておく価値はある。
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薬剤管理指導料とは何か
薬剤管理指導料は、病院に入院している患者に対して、その医療機関に勤務する薬剤師が、医師の同意を得たうえで服薬指導・服薬支援などの薬学的管理指導を行った場合に算定する項目である。
対象薬剤によって点数が2区分に分かれる。
| 区分 | 点数 | 対象 |
|---|---|---|
| 薬剤管理指導料1 | 380点 | 抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤・不整脈用剤・抗てんかん剤・血液凝固阻止剤など、特に安全管理が必要な医薬品を使用する患者 |
| 薬剤管理指導料2 | 325点 | 上記以外の患者 |
麻薬が投与されている場合は、麻薬管理指導加算(50点)を上乗せできる。算定は患者1人につき週1回、月4回までが上限になる。
算定できる施設基準は病院向けの水準
薬剤管理指導料を算定するには、次のような施設基準を満たしている必要がある。
- 常勤薬剤師2名以上の配置(非常勤薬剤師は、週3日以上かつ週22時間以上の勤務であれば常勤換算に含められる)
- 医薬品情報管理室の設置——院内からの相談に対応できる体制を持つこと
- 薬剤管理指導記録の作成・管理体制
常勤薬剤師2名以上という水準は、通常の外来クリニックには当てはまらない。病床を持つ有床診療所であっても、専任の薬剤師を複数名確保しているケースは限られる。この項目は、事実上病院を主な算定主体として設計されていると理解しておくとよい。
「服薬管理指導料」とは何が違うのか
クリニックの現場で実際に関わりが深いのは、薬剤管理指導料ではなく服薬管理指導料のほうである。
| 薬剤管理指導料 | 服薬管理指導料 | |
|---|---|---|
| 算定する場所 | 病院(医療機関) | 保険薬局 |
| 対象患者 | 入院患者 | 外来患者(院外処方を受け取る患者) |
| 算定する専門職 | 病院に勤務する薬剤師 | 保険薬局の薬剤師 |
| クリニックとの関わり方 | 入院先の病院が算定するため、直接の関与はない | 自院が発行した処方箋にもとづき、患者が薬局で受ける指導 |
院外処方を出している一般的なクリニックが日常的に接するのは服薬管理指導料の仕組みであり、薬剤管理指導料ではない。この2つを混同したまま患者に説明すると、「薬局で聞いた話とクリニックで聞いた話が違う」という誤解につながりやすい。
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クリニックが薬剤管理指導料に関わる場面
外来中心のクリニックが直接算定することはなくても、次のような場面で名称を目にすることがある。
- 入院していた患者の退院時、連携先の病院から届く診療情報提供書やサマリーに、入院中の薬学的管理の経過として記載されていることがある
- 退院時共同指導を行う際、入院中に薬剤管理指導を受けていた患者について、病院側の薬剤師から情報を引き継ぐ場面がある
- 患者本人や家族から「入院中に薬の説明を受けた費用」について質問されたとき、レセプトの項目名として説明する場面がある
いずれも、自院が算定する項目としてではなく、連携先の病院で算定されている項目として理解しておけば十分である。
よくある質問
有床診療所であれば薬剤管理指導料を算定できますか。
施設基準を満たせば理論上は可能だが、現実的なハードルは高い。常勤薬剤師2名以上、医薬品情報管理室の設置が求められるため、多くの有床診療所の人員体制では満たしにくい。まずは自院の薬剤師配置数を確認する必要がある。
患者から「薬剤管理指導料」という項目について聞かれたら、何と説明すればよいですか。
入院していた病院で、薬剤師から薬の説明や確認を受けたことに対する評価であると伝えれば足りる。自院が発行した処方箋にもとづく薬局での説明とは別の仕組みであることを添えると誤解が生じにくい。
がん患者指導管理料と同時に算定できますか。
がん患者指導管理料の一部の区分と薬剤管理指導料は、同時に算定できない組み合わせがある。該当するかどうかは、算定する医療機関側(病院)が確認すべき事項であり、クリニック側で判断する必要は基本的にない。
まとめ
- 薬剤管理指導料は入院患者を対象とした病院向けの項目で、点数は特に安全管理が必要な医薬品を使う場合380点、それ以外は325点
- 施設基準は常勤薬剤師2名以上・医薬品情報管理室の設置が求められ、通常のクリニックの体制では満たしにくい
- 外来中心のクリニックが日常的に関わるのは、薬局が外来患者に対して算定する「服薬管理指導料」である
- クリニックが薬剤管理指導料に触れるのは、入院先の病院からの情報提供や退院時のやり取りの中が中心になる
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