ハイリスク薬の算定要件|クリニックの処方が薬局の指導にどうつながるか

「ハイリスク薬」は法令上の正式名称ではなく、「特に安全管理が必要な医薬品」を指す通称である。

この薬剤を処方すると、薬局側は特定薬剤管理指導加算という調剤報酬を算定できる。クリニックが直接算定する点数ではないが、加算が発生するかどうかは院内の処方内容で決まる。

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目次
  1. ハイリスク薬とは何か。この加算は薬局が算定する
  2. 対象となる薬効群
  3. 算定要件と点数(新規処方・用法変更で異なる)
  4. クリニックの処方が加算の起点になる
  5. 情報提供文書・トレーシングレポートとの関係
  6. 電子カルテでハイリスク薬をどう扱うか
  7. よくある質問
    1. この加算はクリニックが算定するのですか。
    2. 同じ薬でも算定できる場合とできない場合がありますか。
    3. 新規処方と継続処方で点数が違うのはなぜですか。
    4. 施設基準の届出は必要ですか。
  8. まとめ
  9. 参考

ハイリスク薬とは何か。この加算は薬局が算定する

特定薬剤管理指導加算は、特に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)が処方された患者に対し、薬局の薬剤師が通常の服薬指導に加えて、より踏み込んだ確認・指導を行ったことを評価する加算である。

  • 算定するのは薬局であり、クリニックが直接算定する点数ではない
  • ただし、対象薬剤を処方するかどうかはクリニック側の判断にある
  • 施設基準は特に設けられていない(薬局側の届出要件はない)

クリニックにとっては「関係ない加算」ではなく、「処方が起点になる加算」という理解が正確になる。

対象となる薬効群

対象は、厚生労働省の通知で薬効群として定められている。代表的なものは次のとおり。

薬効群 具体例のイメージ
抗悪性腫瘍剤 抗がん剤
免疫抑制剤 臓器移植・自己免疫疾患治療薬
不整脈用剤 抗不整脈薬
抗てんかん剤 てんかん治療薬
血液凝固阻止剤(内服薬) 抗凝固薬(ワルファリン等)
ジギタリス製剤 強心薬
テオフィリン製剤 気管支拡張薬
カリウム製剤(注射薬) 電解質補正薬
精神神経用剤 向精神薬
糖尿病用剤 血糖降下薬
膵臓ホルモン剤 インスリン製剤
抗HIV薬 抗ウイルス薬

同じ薬剤名でも、対象疾患によって算定の可否が変わる場合がある。薬効群の分類だけで機械的に判断せず、実際の適応・用途を確認したうえで扱う必要がある。

算定要件と点数(新規処方・用法変更で異なる)

算定要件は、薬剤師が患者・家族に「安全管理が特に必要な医薬品である」旨を伝え、これまでの指導内容も踏まえて適切な指導を行うこと。

点数はタイミングによって区分される。

区分 点数 該当するタイミング
特定薬剤管理指導加算1のイ 10点 新規処方時(初めて処方された、または処方が再開された場合)
特定薬剤管理指導加算1のロ 5点 用法・用量の変更、副作用の発現状況等に基づき薬剤師が必要と判断した場合
  • 算定回数は処方箋受付回数につき1回
  • 服薬管理指導料の算定に付随する加算であり、単独では算定できない

新規処方のほうが用法変更より評価が高い点数設計になっている。初めてハイリスク薬を出す患者ほど、薬局側の説明負荷が大きいことに対応している。

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クリニックの処方が加算の起点になる

薬局側が適切に指導・算定するには、処方箋や情報提供から患者の状況が薬局に伝わっていることが前提になる。

  • 新規処方か継続処方かが分かるようにしておく(初回処方であることが明確でないと、薬局側で新規か判断しづらい場合がある)
  • 用法・用量を変更した場合は、その旨が薬局に伝わる処方箋の書き方にする
  • 副作用が疑われる症状があれば、情報提供文書や疑義照会への回答で共有する

「処方箋だけ見れば新規か継続かが分かる」状態を作っておくと、薬局側の対応もスムーズになる。

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情報提供文書・トレーシングレポートとの関係

ハイリスク薬の管理では、薬局からトレーシングレポート(服薬情報等提供書)が送られてくることがある。副作用の疑い、服薬状況、患者からの相談内容などが記載される。

  • トレーシングレポートは診療録に紐づけて保管し、次回診察前に確認する
  • 記載内容によっては、次回処方の見直しにつなげる
  • クリニック側からも、用法変更や中止の理由を薬局へ情報提供すると、薬局側の指導の質が上がる

トレーシングレポートを受け取るだけで終わらせず、処方判断に反映する運用にしておく。

電子カルテでハイリスク薬をどう扱うか

  • ハイリスク薬に該当する薬剤のマスタを持ち、処方時に識別できるようにする
  • 新規処方か継続処方かを区別できる処方履歴の管理
  • トレーシングレポート・情報提供文書を保管・参照できる欄を診療録に設ける
  • 副作用歴やアレルギー歴とハイリスク薬の処方を紐づけて警告できる仕組み

新規処方の判定を院内で正確にできると、薬局とのやり取りの手戻りが減る。

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よくある質問

この加算はクリニックが算定するのですか。

しない。特定薬剤管理指導加算は薬局が算定する調剤報酬である。クリニックが関わるのは、対象薬剤の処方と、薬局への情報提供の部分になる。

同じ薬でも算定できる場合とできない場合がありますか。

ある。対象は薬効群単位で定められているが、同一の薬剤でも処方の対象疾患によって算定の可否が変わることがある。処方時の適応を確認しておく必要がある。

新規処方と継続処方で点数が違うのはなぜですか。

説明の負荷が異なるため。初めてハイリスク薬を服用する患者には、薬剤の特性や注意点をゼロから説明する必要があり、継続処方より評価が高く設定されている。

施設基準の届出は必要ですか。

不要。特定薬剤管理指導加算には特別な施設基準は設けられていない。算定要件を満たしていれば算定できる。

まとめ

  • ハイリスク薬(特に安全管理が必要な医薬品)の加算は薬局が算定するが、対象はクリニックの処方内容で決まる
  • 対象は抗悪性腫瘍剤・抗てんかん剤・糖尿病用剤など12の薬効群が中心
  • 点数は新規処方10点・用法変更等5点で区分され、算定は処方箋受付回数につき1回
  • 新規処方か継続処方かが分かる処方箋にしておくと、薬局側の対応がスムーズになる
  • トレーシングレポートを診療録に紐づけ、次回処方に反映する運用を作っておく

参考

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