処方箋の使用期間は、交付の日を含めて4日以内が原則である。
ただし、長期の旅行など特殊の事情があると認められる場合は、医師がその期間を延長できる。延長の判断ができるのは交付時の医師だけであり、交付後に患者や薬局が期間を書き足すことは認められない。
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処方箋の使用期間は原則4日以内。延長できるのは医師が記載した場合だけ
保険医療機関で交付される処方箋の使用期間は、交付の日を含めて4日以内と定められている。休日・祝日もこの4日に含まれる。
- 使用期間欄に記載がなければ、交付日を含めて4日以内が期限
- 長期の旅行等、特殊の事情があると認められる場合は、医師が処方箋に別途使用期間を記載すれば、その日まで有効になる
- 延長するかどうかを決めるのは、交付時点の医師
「4日を過ぎたら必ず無効」ではなく、「医師が延長を記載していなければ4日」というのが正確な理解になる。
根拠となる条文と通知
延長の根拠は、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第20条第3号イにある。
処方箋の使用期間は、交付の日を含めて四日以内とする。ただし、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、この限りでない。
この取り扱いについて、厚生労働省保険局医療課が令和5年3月24日付で事務連絡「処方箋の使用期間について」を発出し、患者への声掛けや院内掲示など周知の取り組み例を示している。
「延長できる」という規定自体は昔からあるが、周知が不足していたために近年あらためて通知が出た、という経緯がある。
延長できる「特殊の事情」とは
条文上の「特殊の事情」に明確な定義列挙はないが、想定されている典型例は限られている。
- 長期の旅行(海外赴任、長期出張を含む)
- 年末年始やゴールデンウィークなど、通院・受診が難しい長期の連休
- その他、次回受診まで通院が困難と判断できる事情
「なんとなく延ばしてほしい」という患者の希望だけでは要件を満たさない。交付時に事情を確認し、医師が必要と判断した場合に限って記載する運用にする。
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交付時にクリニックがすべきこと
事務連絡が示す取り組み例をふまえると、クリニックの現場でできることは次のとおり。
- 会計窓口・処方箋交付時に、使用期間について一言声をかける
- 待合室の掲示板や受付・会計窓口に、使用期間に関する案内を掲示する
- クリニックのホームページや広報物に、処方箋の使用期間について記載する
- 使用期間欄の文字の大きさ・配置を見やすくする(高齢の患者ほど見落としやすい)
- 延長が必要と判断した場合、交付前に使用期間欄へ延長後の日付を記載する
声掛けと掲示は、期限切れによる再受診・再発行の手間を減らす効果がある。特に長期休診前は、案内を強化しておくとよい。
延長は交付後にはできない。空欄への追記は私文書偽造罪
使用期間の延長は、交付時点で医師が判断・記載するものであり、交付後に書き加えることはできない。
- 処方箋が交付された後、使用期間欄が空欄だからといって、患者や薬局が数字を書き足すことは認められない
- 交付後の追記は有印私文書偽造罪に問われ得る行為であり、絶対に行ってはならない
- 期限が切れた処方箋を延長したい場合は、再度受診して処方箋を発行し直すのが正しい対応
「空欄なら書き足していい」という誤解が現場で起きやすい。受付・医事のスタッフには、延長は交付時の医師の記載でしか成立しないことを周知しておく。
薬局から延長の疑義照会が来たときの対応
期限切れの処方箋を患者が持参した場合、薬局から医療機関へ「期間延長でよいか」という照会が来ることがある。
- 交付後の期間延長そのものが認められていないため、照会を受けても医療機関側が期間を書き足す形での対応はできない
- 医師が診察のうえ再度必要と判断すれば、新しい処方箋を発行し直すのが原則の対応
- 疑義照会の記録は、薬局側・クリニック側の双方で残す運用にしておくとトラブルを避けやすい
照会への回答方針を院内であらかじめ決めておくと、受付での対応がぶれない。
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電子カルテ・レセコン側で用意しておくこと
- 交付時に使用期間欄への入力を促す(未入力のまま印刷しない)画面設計
- 長期の旅行等の事情を記載した場合の理由をカルテに残す運用
- 院内掲示・声掛け用の案内文をテンプレート化しておく
- 長期休診前には、該当する患者への案内を一括で出せる仕組みがあると運用が楽になる
電子カルテ側で使用期間欄の入力を仕組み化しておくと、交付漏れ・記載漏れを防ぎやすい。
よくある質問
使用期間欄が空欄のまま交付してしまいました。後から書き足せますか。
できない。交付後に使用期間を書き加える行為は、患者・薬局・医療機関のいずれが行っても認められず、有印私文書偽造罪に問われ得る。期限切れの場合は再度処方箋を発行し直す。
「特殊の事情」に明確な基準はありますか。
条文上、詳細な列挙はない。長期の旅行や年末年始などの長期連休が典型例として挙げられているが、最終的には交付時に医師が個別に判断する。
4日には土日・祝日も含まれますか。
含まれる。交付の日を含めて4日以内が原則で、休日・祝日の有無によって延びることはない。
延長した場合、使用期間はどこに記載されますか。
処方箋の「使用期間」欄に、医師が延長後の日付を記載する。記載がなければ、交付日を含めて4日以内が期限になる。
まとめ
- 処方箋の使用期間は原則、交付の日を含めて4日以内
- 長期の旅行等特殊の事情があれば、医師が交付時に延長後の日付を記載できる(療担規則第20条第3号イ)
- 根拠は療担規則、取り扱いの周知は令和5年3月24日付の厚労省事務連絡による
- 延長できるのは交付時のみ。交付後に空欄へ書き足す行為は私文書偽造罪の対象になり得る
- 会計窓口・交付時の声掛けと院内掲示で、期限切れ・再発行の手間を減らせる
- 薬局からの疑義照会には、新規発行で対応する方針をあらかじめ決めておく
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参考
- 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第20条|e-Gov法令検索
- 処方箋の使用期間について(令和5年3月24日事務連絡)|厚生労働省
- 処方箋の使用期間にご留意ください|厚生労働省
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