オンライン診療を始めたクリニックが最初に詰まるのが処方の運用です。
診察そのものはビデオ通話で完結しても、処方箋は紙かデータかで手順がまるごと変わります。
さらに、オンライン診療には対面診療には無い処方の制限があります。
知らずに運用すると、指針に反した処方になりかねません。
この記事では、根拠となる指針の位置づけ、処方の制限、
そして紙と電子それぞれの受け渡し方法を、実務の順序で整理します。
クラウド型電子カルテ「CLIUS」
クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。
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前提:ルールは「指針」に書かれている
オンライン診療の実施ルールは、厚生労働省の
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月策定/令和8年4月一部改訂)に定められています。
この指針は2018年の策定以降くり返し改訂されており、
2026年(令和8年)4月には、医療法等の改正でオンライン診療に関する規定が新設されたことを受けた改訂が入っています。
オンライン診療の運用を検討する際は、
手元の資料が最新の版かどうかを必ず確認してください。
数年前の解説記事は、現行のルールと合っていないことがあります。
処方には対面診療に無い3つの制限がある
1. 初診の処方日数は原則7日以内
初診からオンライン診療を行った場合、処方できるのは原則として7日分までです。
症状が続く場合は、その間に対面診療につなぐか、再診の予約を入れる前提で組み立てます。
慢性疾患で継続的に管理している患者の再診では、この制限は適用されません。
2. 麻薬・向精神薬は処方できない
初診・再診を問わず、麻薬および向精神薬の処方は行わないとされています。
抗不安薬・睡眠薬・抗うつ薬などが該当します。
自院の採用薬のうち向精神薬に該当するものを事前に洗い出し、
オンライン診療の予約枠で扱わない疾患を決めておくのが、現場での事故を防ぐ最も確実な方法です。
3. 初診では「基礎疾患等の情報が把握できている」ことが前提になる
初診からのオンライン診療は恒久化されていますが、無条件ではありません。
過去の受診歴や診療情報提供書などで、
患者の基礎疾患や服薬状況を把握できる場合であることが前提とされています。
なお、緊急避妊に係る診療については、一定の要件のもとで
産婦人科医または厚生労働省が指定する研修を受けた医師が
初診からオンライン診療を行うことが許容されうる、という個別の取扱いがあります。
処方箋の渡し方は「紙」と「電子」で分かれる
ここからが運用設計の本題です。どちらを選ぶかで、患者の動線が変わります。
紙の処方箋を郵送する
もっとも導入が早い方法です。
- クリニックで処方箋を印刷する
- 患者が指定した薬局へFAXまたはメールで情報を送る
- 原本を薬局へ郵送する
- 患者は薬局で服薬指導を受けて薬を受け取る
短所は時間です。原本が届くまでのタイムラグがあり、
患者の手元に薬が届くまで日数がかかります。
急性疾患には向かず、慢性疾患の定期処方に向いた運用です。
電子処方箋を発行する
電子処方箋管理サービスに登録し、処方情報を電子的に登録する方法です。
- クリニックが電子処方箋を登録する
- 患者に引換番号を伝える
- 患者は薬局でマイナンバーカード(または引換番号)を提示する
- 薬局が処方情報を取得して調剤する
原本の郵送が不要になるため、オンライン診療との相性は電子処方箋のほうが良好です。
オンラインで診察し、オンラインで服薬指導を受け、薬を配送してもらう――
という流れが、紙の移動を挟まずにつながります。
さらに、電子処方箋は他院・他薬局の処方情報を参照できるため、
重複投薬や併用禁忌のチェックが処方の時点で働きます。
オンライン診療は対面より得られる情報が限られるぶん、
この参照機能の価値が対面より大きいという見方ができます。
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どちらを選ぶか——判断の分かれ目
「電子処方箋が優れているから電子にすべき」という単純な話にはなりません。
自院の状況で分かれます。
紙の郵送で始めてよいクリニック
- オンライン診療の件数が月に数件程度で、まず試したい
- 電子カルテやレセコンが電子処方箋に未対応で、改修の時期が未定
- 患者層が高齢で、マイナンバーカードの保険証利用が進んでいない
電子処方箋に進むべきクリニック
- オンライン診療を継続的な診療手段として位置づけている
- 慢性疾患の定期処方が中心で、件数がまとまっている
- すでにオンライン資格確認を導入済みで、基盤が整っている
どちらも急がなくてよいクリニック
- オンライン診療の需要が実際には無い(問い合わせが月に0〜1件)
- 対面の予約枠に余裕があり、来院が負担になっていない患者層である
3つ目を明示しておくのは重要です。
オンライン診療は導入すること自体が目的ではなく、
来院が難しい患者を取りこぼさないための手段です。
自院の患者にその課題が無いなら、優先順位は下がります。
導入前に決めておく5つのこと
- 対象疾患を決める — 向精神薬を扱う疾患をオンライン枠から外す
- 初診を受けるかどうかを決める — 受けるなら7日制限を前提に再診導線を組む
- 処方箋の渡し方を決める — 紙の郵送か電子処方箋か
- 連携する薬局を決める — 患者が薬局を選べる形にしつつ、案内できる先を用意しておく
- 予約枠と担当を決める — 誰が対応するかが決まっていないと現場が止まります
システム面では、予約・問診・診察・処方・会計が別々のツールに分かれていないかを確認してください。
オンライン診療は工程が多く、ツールをまたぐたびに転記が発生します。
電子カルテ側にオンライン診療の機能が載っていれば、
問診結果がそのままカルテに入り、処方もカルテから発行できるため、
運用の手数がそのまま減ります。
よくある質問
Q. オンライン診療で処方箋を患者本人に郵送してもよいですか。
処方箋の原本は薬局へ渡る必要があります。
運用の詳細は指針および関係通知の定めによるため、
実施方法を決める前に最新の指針とQ&Aを確認してください。
Q. 電子処方箋を導入するには何が必要ですか。
オンライン資格確認等システムの導入が前提になります。
そのうえで、電子カルテ・レセコン側の対応と、
医師の電子署名に用いる資格(HPKIカードなど)の準備が必要です。
Q. 初診7日制限は、対面で診たことがある患者の初診にも適用されますか。
「初診」はその疾患についての初回の診療を指します。
別の疾患で受診歴があっても、今回の症状について初めて診るなら初診の扱いです。
迷う場合は、対面診療につなぐ選択肢を残しておくほうが安全です。
Q. オンライン診療の指針はどこで確認できますか。
厚生労働省のオンライン診療の特設ページに、
指針本体と改訂の概要、Q&Aが掲載されています。改訂が入るため、参照のたびに版を確認してください。
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まとめ
- ルールの根拠は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」。
令和8年4月に医療法改正を踏まえた改訂が入っているため、最新版を参照する - 処方の制限は初診7日以内、麻薬・向精神薬は初診再診を問わず不可
- 処方箋の渡し方は紙の郵送か電子処方箋。オンライン診療との相性は電子処方箋が良い
- ただしオンライン診療の需要が無いなら急がなくてよい。導入自体は目的ではない
まず決めるべきは「対象疾患」と「初診を受けるかどうか」の2つです。
この2つが決まると、処方箋の渡し方も、必要なシステム対応の範囲も自動的に絞り込まれます。
参考
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
