医療費の点数計算はどうやる?1点10円から窓口負担額を出すまでの手順と端数処理

医療費の計算はレセコンがやってくれるので、普段は手で追う必要がありません。困るのは、窓口で患者に金額の内訳を聞かれたときと、患者が持ってきた領収証の金額と自院の計算が合わないときです。

このときに必要なのは、点数から窓口負担額が出るまでの順番と、どこで端数が動くかを知っていることです。順番さえ分かっていれば、どの段階でずれたのかを指させます。

この記事では、計算の順番、端数処理の根拠、公費や高額療養費が絡む場面を整理します。診療報酬の仕組みそのものについては「診療報酬とは?1点10円の仕組み・改定サイクル・レセプト請求までを基礎から解説」も併せてご覧ください。

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目次
  1. 計算は3段階で進む
  2. 1点10円の根拠
  3. 端数処理は5円が境目
  4. 負担割合の確かめ方
  5. 公費が併用されるとき
  6. 高額療養費が絡むとき
  7. 保険と自費が同じ日にあるとき
  8. レセコンの金額を手で確かめるべき場面
  9. よくある質問
    1. 点数はいつ10円を掛けますか
    2. 窓口負担額の端数は四捨五入ですか
    3. 1点10円は改定で変わりますか
    4. 負担割合は保険証の記載で判断してよいですか
    5. 公費が入るときはどの順番で計算しますか
  10. まとめ
  11. 参考

計算は3段階で進む

窓口負担額が出るまでの順番は、次の3段階です。段階を飛ばすと答えが変わります。

段階 やること 出てくるもの
1 その日に算定した点数を合計する 合計点数
2 合計点数に10円を掛ける 医療費の総額(10割)
3 負担割合を掛け、端数を処理する 患者の窓口負担額

よく起きる間違いは、段階1で項目ごとに10円を掛けて、段階3で項目ごとに負担割合を掛けてしまうことです。点数はまず全部足してから10円を掛けます。項目ごとに計算すると、端数処理が何度も入って合計が合わなくなります。

1点10円の根拠

「1点10円」は慣習ではなく、告示と通知に書かれています。医科点数表に関する事項の通則には、次のとおりです。

1人の患者について療養の給付に要する費用は、第1章基本診療料及び第2章特掲診療料又は第3章介護老人保健施設入所者に係る診療料の規定に基づき算定された点数の総計に10円を乗じて得た額とする。

もとになっているのは診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)で、令和8年度改定では「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)によって改正されました。点数そのものは2年に1度見直されますが、1点10円という単価は変わりません。

通則の条文は「点数の総計に10円を乗じて」と書かれています。項目ごとではなく総計に掛けるという順番も、ここに根拠があります。

端数処理は5円が境目

段階3で端数が出たときの処理は、健康保険法第75条に定められています。

一部負担金の額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。

つまり四捨五入ではなく、10円単位への丸めです。実際に計算してみます。

合計点数 総額 3割 端数 窓口負担額
731点 7,310円 2,193円 3円(5円未満) 2,190円
738点 7,380円 2,214円 4円(5円未満) 2,210円
742点 7,420円 2,226円 6円(5円以上) 2,230円
745点 7,450円 2,235円 5円(5円以上) 2,240円

5円ちょうどは切り上げです。「5円未満は切り捨て」「5円以上10円未満は切り上げ」なので、5円は切り上げ側に入ります。ここを四捨五入と覚えていても結果は同じですが、条文の書き方は四捨五入ではありません。

国民健康保険にも同様の規定があります。根拠になる条文が保険の種類で違うだけで、10円単位に丸める扱いは共通です。

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負担割合の確かめ方

負担割合は年齢と所得で決まります。ただし現場で見るべきなのは年齢ではなく、オンライン資格確認で取得した負担割合です。

年齢 原則の負担割合
義務教育就学前 2割
義務教育就学後〜69歳 3割
70歳〜74歳 2割(現役並み所得者は3割)
75歳以上 1割(一定以上の所得がある人は2割、現役並み所得者は3割)

70歳以上は所得で割合が変わるため、年齢だけでは決まりません。また自治体の医療費助成(子ども医療費助成など)が入ると、窓口で受け取る額はさらに変わります。

なお、後期高齢者の窓口2割負担の導入に伴って設けられていた配慮措置(1か月の外来の負担増を3,000円までに抑える取り扱い)は、令和7年9月30日で終了しています。現在はこの配慮措置による調整は行われません。

割合を手で入れ直すと、あとで差額の精算が必要になります。資格確認で返ってきた情報をそのまま使い、患者が持参した保険証の記載と食い違うときは、資格確認の結果を優先します。

公費が併用されるとき

公費負担医療が入ると、計算が1段増えます。保険で給付される分をまず出し、残りに公費を当てるという順番です。

  • 保険(医療保険)が先に適用され、その残りに公費が適用される
  • 公費の種類によって、患者負担が0になるもの、上限額が決まっているもの、定率のものがある
  • 上限額がある公費は、月内の累計を管理し、上限に達した以降は徴収しない

自立支援医療や小児慢性特定疾病のように受給者証に上限額と月間の自己負担額を記入する仕組みのものは、受診のたびに記入します。上限に達したあとも徴収してしまうと、患者への返金と請求の訂正が同時に発生します。

受給者証の有効期限が切れていると請求先が変わるため、受付で期限を確認する運用にしておきます。

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高額療養費が絡むとき

1か月の自己負担が高額になる患者には、高額療養費制度があります。以前はいったん窓口で3割を払い、あとから払い戻しを受ける流れでしたが、現在は限度額適用認定証、またはマイナ保険証による情報提供に同意することで、窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめられます。

クリニック側でやることは3つです。

  • オンライン資格確認で限度額情報の提供に同意があるかを確認する
  • 同意がある場合は、区分に応じた限度額までで計算する
  • 同意がなく認定証も持っていない患者には、窓口では通常どおり計算したうえで、後から保険者へ高額療養費を請求できることを案内する

限度額の区分と金額は制度で定められており、所得区分によって変わります。区分の判定を窓口で推測すると誤るので、資格確認で返ってきた区分に従います。

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保険と自費が同じ日にあるとき

健康診断や自費の予防接種と保険診療を同じ日に行った場合、点数計算の対象になるのは保険診療の部分だけです。

  • 自費の項目は点数に含めず、別に金額を決めて領収する
  • 領収証は、保険診療分と自費分が区別できる形で発行する
  • 保険外併用療養費に該当する場合(選定療養など)は、扱いが別になるので個別に確認する

自費分を点数に混ぜてしまうと、レセプトにも影響します。会計の画面上で分けて入力する運用を、受付と看護で共有しておきます。

レセコンの金額を手で確かめるべき場面

普段は確かめる必要がありません。確かめるのは、次の場面に限ります。

  • 患者から「先月と同じ内容なのに金額が違う」と言われたとき。点数の変更か、負担割合の変更か、公費の有無かを、3段階のどこで差が出たかで見分けます
  • 資格情報を後から修正したとき。負担割合が変わると窓口負担額も変わるため、差額の精算が必要になります
  • 公費の上限額に達する前後の月。上限の管理はレセコンの設定次第で挙動が変わるので、月内の累計を実際に足して確認します
  • 改定の直後。点数が変わった項目を含む会計は、新しい点数が入っているかを1件だけ手で確かめます
  • それ以外の通常の会計は、手で検算する必要はありません。1件ずつ計算し直しても、見つかるのは入力ミスではなくレセコンの正しさの確認だけです

金額が合わない原因は、計算式ではなく入力か設定にあることがほとんどです。段階1から段階3のどこでずれたかを先に決めると、探す範囲が絞れます。

よくある質問

点数はいつ10円を掛けますか

項目ごとではなく、その日に算定した点数を合計してから10円を掛けます。医科点数表に関する事項の通則で「点数の総計に10円を乗じて得た額とする」とされています。

窓口負担額の端数は四捨五入ですか

条文では、5円未満の端数は切り捨て、5円以上10円未満の端数は10円に切り上げるとされています(健康保険法第75条)。5円ちょうどは切り上げです。

1点10円は改定で変わりますか

変わりません。改定で見直されるのは各項目の点数で、1点あたりの単価は10円のままです。

負担割合は保険証の記載で判断してよいですか

オンライン資格確認で取得した情報を優先します。70歳以上は所得で割合が変わり、年度の途中で変更されることもあります。

公費が入るときはどの順番で計算しますか

医療保険を先に適用し、その残りに公費を適用します。上限額が設定されている公費は、月内の累計を管理し、上限に達したあとは徴収しません。

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まとめ

  • 計算は、点数を合計する、10円を掛ける、負担割合を掛けて端数を処理する、の3段階
  • 点数は項目ごとではなく総計に10円を掛ける。根拠は医科点数表に関する事項の通則
  • 端数は四捨五入ではなく、5円未満は切り捨て、5円以上10円未満は10円に切り上げる(健康保険法第75条)
  • 負担割合はオンライン資格確認で取得した情報に従う。70歳以上は所得で変わる
  • 後期高齢者の2割負担に伴う配慮措置は令和7年9月30日で終了している
  • 公費は医療保険のあとに適用し、上限額があるものは月内の累計を管理する
  • 手で検算するのは、患者からの問い合わせ、資格情報の修正、公費の上限前後、改定直後に限る

参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保医発0305第6号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
  • e-Gov法令検索「健康保険法」(大正11年法律第70号)第75条 https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070
  • 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21060.html
  • 厚生労働省「70歳から74歳の方の医療費の窓口負担についてのお知らせ」 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhifutan.html
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提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、