てんかん指導料は、医科点数表の区分番号B001の「6」です。てんかん(外傷性のものを含む)の外来患者に、治療計画に基づいて療養上必要な指導を行った場合に、月1回250点を算定します。
点数そのものは単純ですが、算定できるかどうかは標榜している診療科、初診や退院からの日数、同じ月に算定しているほかの管理料で決まります。この記事では、令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)後の点数表と留意事項通知に沿って、その判断に必要な条件を整理します。
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てんかん指導料の点数と算定要件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | B001 特定疾患治療管理料「6 てんかん指導料」 |
| 点数 | 250点(月1回) |
| 情報通信機器を用いた場合 | 218点(注6) |
| 算定できる医療機関 | 小児科、神経科、神経内科、精神科、脳神経外科または心療内科を標榜する保険医療機関 |
| 算定する医師 | 標榜する診療科を担当する専任の医師 |
| 対象患者 | てんかん(外傷性のものを含む)の患者であって入院中以外のもの、またはその家族 |
| 実施内容 | 治療計画に基づき療養上必要な指導を行う |
| カルテ記載 | 診療計画と診療内容の要点 |
指導の相手は患者本人に限られません。留意事項通知では「患者であって入院中以外のもの又はその家族に対し」と書かれており、小児の患者で保護者に指導した場合も対象になります。
算定できる診療科と医師
算定の可否は、医療機関が標榜している診療科と、指導した医師がその診療科の担当かどうかで決まります。
| 医療機関の標榜 | 指導した医師 | 算定 |
|---|---|---|
| 小児科、神経科、神経内科、精神科、脳神経外科、心療内科のいずれか | その診療科を担当する専任の医師 | できる |
| 上記の診療科を標榜している | 上記以外の診療科(内科など)を担当する医師 | できない |
| 内科のみを標榜 | 誰であっても | できない |
留意事項通知の通則では、点数表で規定する診療科について「当該診療科名に他の事項を組み合わせて標榜する場合も含む」とされています。組み合わせた名称で標榜している場合、該当するかどうかの判断に迷うときは、地方厚生局に確認してから算定を始めると安全です。
内科で抗てんかん薬を継続処方している診療所は多いですが、上の6つの診療科を標榜していなければ、てんかん指導料は算定できません。この場合の管理の評価は、次に述べる特定疾患療養管理料などほかの管理料の対象になるかで考えることになります。
初回を算定できる時期
第1回目のてんかん指導料は、次の日から起算して1か月を経過した日以降に算定できます。
- A000初診料を算定した初診の日
- 当該保険医療機関から退院した日
告示の注2と注3にも対応する定めがあり、初診の日と初診の日から1か月以内に行った指導の費用は初診料に含まれ、退院の日から1か月以内に行った指導の費用は入院基本料に含まれます。
注意したいのは「翌月になれば算定できる」わけではない点です。月の後半に初診した患者は、翌月に再診しても初診日から1か月を経過していなければ算定できません。レセプトコンピュータが月単位で自動算定する設定になっている場合、初診日との間隔を確認する仕組みがあるかを見ておきます。
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同一月に算定できない管理料
てんかん指導料と同じ月に算定できないものは、告示の注と留意事項通知の複数の箇所に分かれて書かれています。
| 同じ月に算定している項目 | てんかん指導料の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| B000 特定疾患療養管理料 | 算定しない | 告示の注4 |
| B001の5 小児科療養指導料 | 算定しない | 告示の注4 |
| B001の18 小児悪性腫瘍患者指導管理料 | 算定しない | 告示の注4 |
| 在宅療養指導管理料(第2部第2節第1款の各区分)を算定すべき指導管理を受けている | 指導の費用は各在宅療養指導管理料に含まれる | 告示の注5 |
| ウイルス疾患指導料、小児特定疾患カウンセリング料、難病外来指導管理料、皮膚科特定疾患指導管理料、慢性疼痛疾患管理料、耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料、心身医学療法 | 特に規定する場合を除き同一月に算定できない | 留意事項通知 第2章の通則1 |
| C002在宅時医学総合管理料、C002-2施設入居時等医学総合管理料 | 算定されている月は、所定点数に含まれ別に算定できない | 留意事項通知 C002 |
| I016 精神科在宅患者支援管理料 | 算定した場合は算定しない | 告示I016の注 |
| B001-2-9 地域包括診療料 | 地域包括診療料に含まれる(注2で除外されている項目に該当しない) | 告示B001-2-9の注2 |
在宅自己注射指導管理料などの在宅療養指導管理料を算定している患者では、てんかんの指導の費用がそちらに含まれます。たとえば、てんかんとは別の疾患でC101在宅自己注射指導管理料を算定している患者は、同じ月にてんかん指導料を別に請求できません。
特定疾患療養管理料とは同時に算定しないため、両方の対象となる疾患をもつ患者では、どちらを算定するかを月ごとに決める必要があります。レセプトコンピュータに両方の自動算定が設定されていると、片方が査定される原因になります。
併せて算定できるもの
特定薬剤治療管理料1
抗てんかん剤を投与している患者に薬物血中濃度を測定して計画的な治療管理を行った場合は、B001の2 特定薬剤治療管理料1(470点)を算定できます。てんかん指導料の注4の除外には特定薬剤治療管理料は含まれていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点数 | 470点(月1回が原則) |
| 2種類以上の抗てんかん剤を投与している場合 | 同一暦月に複数の抗てんかん剤の血中濃度を測定し、個々の投与量を精密に管理した場合は、その月に2回に限り算定できる(注5) |
| てんかん重積状態で抗てんかん剤の注射等を行った場合 | 所定点数にかかわらず、1回に限り740点(注3) |
| 4月目以降の減算 | 抗てんかん剤を投与している患者は、4月目以降の100分の50の減算の対象外(注4) |
| レセプトの記載 | 対象の薬剤区分を選択。抗てんかん剤の場合、初回の算定年月の記載は省略して差し支えない(記載要領別表Ⅰ) |
連携強化診療情報提供料
B011連携強化診療情報提供料(150点)は、他の保険医療機関から紹介された、または他の保険医療機関へ紹介したてんかんの患者(診断が確定する前の患者を含む)について、相手の医療機関の求めに応じて、または共同して治療管理を継続的に行う旨の合意に基づき、患者の同意を得て診療状況を示す文書を提供した場合に、提供する医療機関ごとに患者1人につき3月に1回算定できます。自院が施設基準を満たす場合は注2、自院は満たさないが相手の医療機関が施設基準を満たす場合は注3で算定します。専門医療機関と地域の診療所で分担して診ている患者で使う場面があります。
情報通信機器を用いて行う場合
注6により、情報通信機器を用いて医学管理を行った場合は、250点に代えて218点を算定します。留意事項通知では、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定するとされています。
施設基準は「情報通信機器を用いた診療の届出を行っていること」だけで、特掲診療料の施設基準通知では、てんかん指導料の注6として改めて地方厚生局に届け出る必要はないとされています。すでにオンライン診療の届出をしている医療機関であれば、追加の手続きなしで算定できます。
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カルテとレセプトの記載
カルテには、診療計画と診療内容の要点を記載します。治療計画に基づく指導が要件なので、発作の頻度、服薬状況、生活上の注意(入浴、運転、就労・就学など)のうち、その日に指導した内容がわかる書き方にしておくと、要件を満たしていることを後から確認できます。
記載要領の別表Ⅰには、てんかん指導料そのものについての摘要欄の記載事項は定められていません。併せて特定薬剤治療管理料1を算定する場合は、その記載事項(対象の薬剤区分)を忘れないようにします。
よくある質問
内科と脳神経外科を標榜している診療所で、内科の医師が指導した場合は算定できるか
算定できません。留意事項通知では、標榜する診療科の専任の医師が指導することが要件です。脳神経外科を担当する医師が指導した場合に算定できます。
抗てんかん薬の処方だけで受診した月も算定できるか
処方だけでは算定できません。治療計画に基づいて療養上必要な指導を行い、その要点をカルテに記載していることが必要です。
家族だけが来院した場合は算定できるか
留意事項通知では、指導の対象として「患者であって入院中以外のもの又はその家族」と書かれています。家族への指導も対象ですが、ほかの診療行為と同様に、受診の形態が保険診療として成り立っているかは別に確認が必要です。
まとめ
てんかん指導料は、小児科・神経科・神経内科・精神科・脳神経外科・心療内科を標榜する医療機関で、その診療科の専任の医師が指導した場合に、月1回250点を算定します。初回は初診日または退院日から1か月を経過した日以降で、オンラインで行う場合は218点です。
請求の取りこぼしと査定の両方が起きやすいのは、同じ月のほかの管理料との関係です。特定疾患療養管理料・小児科療養指導料・小児悪性腫瘍患者指導管理料とは同時に算定せず、在宅療養指導管理料を算定している患者ではそちらに含まれます。一方で、抗てんかん剤の血中濃度を測定した場合の特定薬剤治療管理料1は併せて算定でき、2剤以上の測定なら月2回まで算定できます。
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参考
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
- 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732104.pdf
- 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号)別表I https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732129.xlsx
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この記事は、時点の情報を元に作成しています。
