精神科デイ・ケアの施設基準|小規模・大規模の人員と面積、届出様式、算定ルール

精神科デイ・ケアは、精神疾患を有する患者の社会生活機能の回復を目的に、個々の患者に応じたプログラムでグループごとに行う治療です。医科点数表の区分番号I009で、1日につき小規模なもの590点、大規模なもの700点を算定します。どちらも施設基準に適合しているとして地方厚生局長等に届け出た医療機関でなければ算定できません。点数表上の名称は「精神科デイ・ケア」で、「精神科デイケア」と表記されることもあります。

この記事では、令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)後の特掲診療料の施設基準通知と点数表に沿って、小規模と大規模の基準の違い、届出の書類、届出後の算定ルールを整理します。

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目次
  1. 精神科デイ・ケアの点数と施設基準の全体像
  2. 小規模と大規模の施設基準の違い
    1. 人員
    2. 面積
    3. 同時実施の制限
  3. どの届出を選ぶかの境界線
  4. 届出に必要な様式と添付書類
  5. 算定のルール
  6. 1年を超えて週4日以上算定するための要件
  7. レセプト摘要欄の記載
  8. よくある質問
    1. 診療所でも精神科デイ・ケアの届出はできるか
    2. 専従の看護師がショート・ケアも担当してよいか
    3. 大規模の診療計画は届出時に提出するのか
  9. まとめ
  10. 参考

精神科デイ・ケアの点数と施設基準の全体像

項目 小規模なもの 大規模なもの
点数(1日につき) 590点 700点
従事者(最小構成) 精神科医師+専従2人(作業療法士・精神保健福祉士・公認心理師等のいずれか1人、看護師1人)の3人 精神科医師+専従3人(作業療法士または精神科ショート・ケアか精神科デイ・ケアの経験を有する看護師のいずれか1人、看護師1人、公認心理師・精神保健福祉士の1人)の4人
1日当たり患者数の上限 従事者3人に対して30人 従事者4人に対して50人。精神科医師1人と医師以外の従事者1人を加えた6人なら70人
専用施設の広さ(内法) 40平方メートル以上 60平方メートル以上
患者1人当たりの面積(内法) 3.3平方メートルを標準 4.0平方メートルを標準
診療計画 要件なし 従事者が共同して、様式46の2またはこれに準じる様式で疾患等に応じた診療計画を作成
届出様式 様式46 様式46

小規模の看護師は、精神科ショート・ケアまたは精神科デイ・ケアの経験を有していることが「望ましい」とされており、必須ではありません。大規模では、経験を有する看護師が作業療法士の代わりに充てられる枠として組み込まれています。

小規模と大規模の施設基準の違い

人員

専従の従事者は、精神科デイ・ケアを実施しない時間帯に、精神科作業療法、精神科ショート・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケア、重度認知症患者デイ・ケアに従事しても差し支えないとされています。また、デイ・ケアと精神科作業療法等の実施日・時間が異なる場合は、精神科作業療法等の専従者として届け出ることもできます。午前にデイ・ケア、夕方にナイト・ケアを行うような運用で、同じ職員を時間帯で分けて配置できるということです。

面積

専用施設は、精神科デイ・ケアを行うにふさわしい専用の施設か、精神科ショート・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケアと兼用の施設です。面積は内法(壁の内側)で測ります。平成26年3月31日時点で届出を行っていた医療機関は、増築や全面的な改築を行うまでの間、内法の規定を満たしているものとされます。

患者1人当たりの面積は「標準」とされているため、上限人数いっぱいで運用する場合は、この面積から逆算した人数と、人員配置で決まる上限人数の両方を見て受け入れ枠を決めます。たとえば小規模で40平方メートルの施設なら、3.3平方メートルで割ると12人程度が面積上の標準の目安で、人員上の上限30人とは大きな差があります。

同時実施の制限

精神科デイ・ケアと精神科ナイト・ケアを同一施設で実施する場合は、両者を同一時間帯に混在して実施してはなりません。一方、精神科ショート・ケアと精神科デイ・ケアの届出を併せて行っている場合は、各々の患者に対して同時に同一施設で実施できます。この場合、同一日の患者数の合計はデイ・ケアの届出に係る上限を超えられず、ショート・ケアの患者は2分の1人として数えます。

どの届出を選ぶかの境界線

医療機関の状態 選ぶ届出
精神科医師と専従2人(看護師を含む)を確保でき、40平方メートル以上の専用施設がある。1日の利用者は30人以下を見込む 精神科デイ・ケア「小規模なもの」
専従3人以上と60平方メートル以上の専用施設を確保でき、1日30人を超える利用を見込む。多職種で疾患別の診療計画を作る体制がある 精神科デイ・ケア「大規模なもの」
1日6時間を標準とするプログラムを組むほどの職員・利用者がいない。精神科医師と専従1人、30平方メートル以上の施設で始めたい 精神科ショート・ケア「小規模なもの」(1日3時間を標準、従事者2人に対して1回20人まで)
専従職員を配置できない、専用施設を確保できない 届出はまだ早い。通院・在宅精神療法など、施設基準の届出を要しない診療で対応する

ショート・ケアは3時間、デイ・ケアは6時間を標準とする治療で、点数も人員の要件も違います。新規に始める診療所では、まずショート・ケアの小規模で実績と職員の体制をつくり、利用者が増えた段階でデイ・ケアの届出を追加する順番もとれます。

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届出に必要な様式と添付書類

届出は、地方厚生(支)局長に対して行います。精神科デイ・ケアでは、次の書類が必要です。

書類 内容
様式46 精神科[ ]ケアの施設基準に係る届出書添付書類(ショート・ケア、ナイト・ケア、デイ・ナイト・ケアと共通の様式で、医師・作業療法士等の配置を記載)
様式4 従事者の氏名、勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任の別)、勤務時間
配置図・平面図 当該治療が行われる専用の施設のもの
様式46の2(大規模のみ) 精神科デイ・ケア等 疾患別等診療計画。届出書類ではなく、従事者が共同して作成していることが施設基準

様式4の備考欄には、精神科ショート・ケア、精神科デイ・ケア、精神科ナイト・ケア、精神科デイ・ナイト・ケアの経験を有する看護師について、その旨を記載します。大規模では経験を有する看護師を作業療法士の代わりに配置できるため、ここが空欄だと人員要件を満たしているかが読み取れません。

受理された届出は、小規模が「デ小」、大規模が「デ大」の略称で管理されます。専従者の退職や異動があった月は、上の人員と患者数の要件を満たしているかを確認し、満たさなくなった場合は地方厚生(支)局に相談します。

算定のルール

項目 内容 根拠
実施時間 患者1人当たり1日につき6時間を標準 留意事項I009(1)
対象 入院中の患者以外の患者(退院予定の入院患者に例外あり) 留意事項I009(3)
同一日の他の精神科専門療法 別に算定できない(他の保険医療機関で実施するものも含む) 留意事項I009(3)
デイ・ケアとナイト・ケアを同日に実施 精神科デイ・ナイト・ケアとして算定 留意事項I009(6)
早期加算 最初に算定した日から1年以内、または精神病床を退院して1年以内の患者に50点 告示の注5、留意事項(8)
1年を超える期間 週5日を限度。週3日を超えて算定するのは、患者の意向を踏まえ必要性が特に認められる場合 告示の注3
3年を超える期間 週3日を超えて算定する場合、その日の点数は所定点数の100分の90(精神疾患により通算1年以上の入院歴を有する患者を除く) 告示の注4、留意事項(10)
食事 治療の一環として提供する食事の費用は所定点数に含まれる 留意事項I009(5)
消耗材料 医療機関の負担 留意事項I009(7)
診療録 要点と診療時間を記載 留意事項I009(12)

期間の起点は、精神科ショート・ケア、デイ・ケア、ナイト・ケア、デイ・ナイト・ケアの「いずれかを最初に算定した日」です。ショート・ケアから始めてデイ・ケアに移った患者は、ショート・ケアの初回算定日から数えます。

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1年を超えて週4日以上算定するための要件

同一の医療機関で精神科デイ・ケア等を開始してから1年を超えた患者について、週4日以上算定できるのは、次のアからエをすべて満たす場合に限られます。

  1. 少なくとも6月に1回以上、医師が精神科デイ・ケア等の必要性について精神医学的な評価を行っていること。継続が必要と判断した場合は、その理由を診療録に記載すること
  2. 少なくとも6月に1回以上、精神保健福祉士または公認心理師が患者の意向を聴取していること
  3. 聴取した患者の意向を踏まえ、医師を含む多職種が協同して、患者の意向と疾患等に応じた診療計画を作成していること。計画には短期目標と長期目標、必要なプログラム内容と実施頻度、精神科デイ・ケア等を必要とする期間等を記載し、医師が患者または家族等に説明して同意を得ること
  4. 医療機関が次のどちらかを満たしていること
    - 直近6月の各月について、その月に14回以上精神科デイ・ケア等を実施した患者の数を、1回以上実施した患者の数で除した値の平均が0.8未満
    - 直近1か月に1回以上精神科デイ・ケア等を実施した患者について、最初に算定した月から当該月末までの月数の平均が12か月未満

4の数値は、医療機関全体の利用実態で決まります。長期利用の患者が多く、毎日のように通う患者が大半を占める施設では満たせないことがあるため、月ごとに集計しておく必要があります。

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レセプト摘要欄の記載

記載要領の別表Ⅰで、次の記載が求められています。

対象 記載事項
精神科ショート・ケア、デイ・ケア、ナイト・ケア、デイ・ナイト・ケア いずれかを最初に算定した年月日。最初に算定した日から3年を経過している場合は省略可。ただし、通算1年以上の入院歴を有する患者でデイ・ケア等を週4日以上算定する場合は、通算の入院期間を記載
入院中の患者に精神科ショート・ケアまたはデイ・ケアを算定した場合 算定日
早期加算 最初に当該療法を算定した年月日、または精神病床を退院した年月日

3年を超えた患者で週3日を超える日の点数を100分の90にしていない場合、通算入院期間の記載がないと、減算の対象外であることが審査側から読み取れません。

よくある質問

診療所でも精神科デイ・ケアの届出はできるか

精神科デイ・ケアの施設基準に、病院に限る旨の定めはありません。精神科作業療法の施設基準には精神科病院等で入院医療を行っていることが含まれていますが、デイ・ケアにはこの要件がなく、人員・面積・診療計画の要件を満たせば診療所でも届け出られます。

専従の看護師がショート・ケアも担当してよいか

精神科デイ・ケアを実施しない時間帯であれば、精神科ショート・ケアなどに従事して差し支えありません。同じ時間帯に両方の専従者として数えることはできません。

大規模の診療計画は届出時に提出するのか

大規模の施設基準は、従事者が共同して様式46の2またはこれに準じる様式により診療計画を作成していることです。届出の添付書類として定められているのは様式46、様式4、施設の配置図・平面図です。

まとめ

精神科デイ・ケアは、小規模が精神科医師と専従2人・1日30人まで・40平方メートル以上、大規模が精神科医師と専従3人・1日50人まで(6人構成で70人)・60平方メートル以上で、大規模では多職種による疾患別の診療計画が要件に加わります。届出は様式46、様式4、配置図・平面図で行います。

届出後は、6時間を標準とすること、同一日に他の精神科専門療法を算定しないこと、1年を超えた患者は週5日が限度で、週4日以上には4つの要件があることが算定上の条件です。3年を超えた患者の週3日を超える日は100分の90になるため、初回算定日と通算入院期間をレセプトで読み取れるようにしておきます。

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参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732104.pdf
  • 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号)別表I https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732129.xlsx
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提供形態

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