輸血の算定|K920の点数と200mLごとの数え方、加算、輸血管理料、レセプトの書き方

輸血の費用は、点数表の第10部手術の第2節「輸血料」(K920)で算定します。手術の部にありますが、手術を行わない外来の輸血でも単独で算定できます。留意事項通知の手術の通則2で、手術料の算定がなくとも輸血料は単独で算定できる、と明記されています。

この記事では、令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)後の点数表と通知に沿って、血液内科・内科・透析などのクリニックで外来輸血を行う場面を中心に、区分と点数、量の数え方、加算、輸血管理料、レセプトの書き方を整理します。

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目次
  1. K920輸血料の区分と点数
  2. 保存血液輸血の算定例
  3. 輸血に伴う血液型・不規則抗体・交叉試験の加算
  4. 輸血管理料をクリニックが算定できるか
  5. 輸血のレセプト摘要欄の書き方
  6. 輸血後のHIV検査の算定
  7. よくある質問
    1. 血漿製剤の輸注は輸血料で算定するか
    2. 同じ月に2回輸血したとき、不規則抗体検査は2回算定できるか
    3. 無床診療所で輸血管理料は算定できるか
  8. まとめ
  9. 参考

K920輸血料の区分と点数

K920は輸血の種類で6つに分かれます。クリニックの外来輸血で使うのは、ほとんどが「2 保存血液輸血」です。

区分 単位 点数
1 自家採血輸血 200mLごと 1回目750点、2回目以降650点
2 保存血液輸血 200mLごと 1回目450点、2回目以降350点
3 自己血貯血(6歳以上) 200mLごと 液状保存300点、凍結保存600点
4 自己血輸血(6歳以上) 200mLごと 液状保存750点、凍結保存1,500点
5 希釈式自己血輸血(6歳以上) 200mLごと 1,000点
6 交換輸血 1回につき 5,250点

6歳未満の自己血貯血・自己血輸血・希釈式自己血輸血は、体重1kgにつき4mLごとに同じ点数で算定します。

保存血液輸血で使う製剤と算定のしかたは、次のように分かれます。

製剤 手技料 製剤の費用
赤血球製剤 K920「2」保存血液輸血 薬剤料(K940)
血小板濃厚液 K920「2」保存血液輸血(留意事項通知K920(8)) 薬剤料(K940)
新鮮凍結血漿などの血漿成分製剤 注射の部で算定(輸血料ではない) 薬剤料
アルブミン製剤 注射の部で算定 薬剤料

製剤そのものの費用は薬剤料です。K940は、薬価が15円を超える場合に「(薬価−15円)÷10」の1点未満を切り上げ、1点を加えた点数としています。輸血用回路・輸血用針の費用は所定点数に含まれ、別に算定できません(K920の注10)。

保存血液輸血の算定例

量の数え方には、次の3つの決まりがあります。

  1. 200mLを単位とし、200mLまたはその端数を増すごとに所定点数を算定する(留意事項通知K920(1))
  2. 1回目は一連の輸血の最初の200mL、2回目以降はそれ以外を指す(同(2))
  3. 注入量は、1日に実際に注入した総量と、原材料として用いた血液の総量のうち少ない方で数える(同(7))

3は、成分製剤の量の数え方です。通知には、200mLの血液から作られた30mLの血液成分製剤は30mL、200mLの血液から作られた230mLの製剤は200mLとして算定する、という例が載っています。抗凝固液の量は輸血量に含めません(注2)。

計算例として、400mLの血液から作られた容量280mLの赤血球製剤を1バッグ、外来で輸血した日を考えます。

項目 考え方 点数
注入量 実際の注入量280mLと原材料400mLのうち少ない方で280mL ―
保存血液輸血 1回目 最初の200mL 450点
保存血液輸血 2回目以降 残りの80mL(端数も1単位) 350点
血液型検査(注5) ABO式・Rh式 54点
不規則抗体検査(注6) その月の1回分 197点
血液交叉試験加算(注8) 1バッグにつき 30点
手技料・加算の合計 ― 1,081点
製剤の費用 薬剤料(K940)で別に算定 薬価による

同じ日に補液を行った場合、輸血の量と補液の量は別々に数えます(留意事項通知K920(3))。

輸血に伴う血液型・不規則抗体・交叉試験の加算

K920の注には、輸血に伴う検査や処置の加算がまとまっています。

加算 点数 算定のしかた
血液型検査(注5) 54点 輸血に伴って行ったABO式・Rh式の血液型検査
不規則抗体検査(注6) 197点 検査回数にかかわらず1月につき1回。頻回に輸血を行う場合は1週間に1回
血液交叉試験加算(注8) 30点 保存血は1バッグごと、自家採血は供血者ごと
間接クームス検査加算(注8) 47点 同上
コンピュータクロスマッチ加算(注8) 30点 行った場合、血液交叉試験加算と間接クームス検査加算は算定できない
乳幼児加算(注9) 55点 6歳未満
HLA型適合血小板輸血(注7) 1,000点または1,400点 抗HLA抗体で不応状態となった白血病・再生不良性貧血に限る
血小板洗浄術加算(注12) 580点 副作用防止のため洗浄した血小板濃厚液を輸血した場合

不規則抗体検査の「頻回に輸血を行う場合」は、週1回以上、当該月で3週以上にわたり行われるものを指します(留意事項通知K920(17))。再生不良性貧血や骨髄異形成症候群で毎週輸血している外来患者は、これに当たるかをその月の実施日で判断します。

もう一つの前提が、注1の文書による説明です。輸血料は、輸血の必要性・危険性等について文書で説明を行った場合に算定します。留意事項通知K920(14)の要点は次のとおりです。

項目 内容
様式 別紙様式26を参考に、必要性・副作用・輸血方法・その他の留意点を説明する
回数 一連の輸血につき1回。「一連」は概ね1週間。反復が明らかな再生不良性貧血・白血病等はこの限りでない
署名 患者(理解が困難な場合は家族等)の署名または押印を得て交付し、写しを診療録に添付する
緊急時 事前の説明が著しく困難な場合は事後の説明でも差し支えない

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輸血管理料をクリニックが算定できるか

K920-2輸血管理料は、輸血管理料Ⅰが242点、輸血管理料Ⅱが121点で、施設基準を届け出た医療機関が月1回に限り算定します。

施設基準(令和8年3月5日保医発0305第8号 第80)は、輸血部門の体制を求めています。

要件 輸血管理料Ⅰ 輸血管理料Ⅱ
責任医師 輸血部門に専任の常勤医師 輸血部門に輸血業務全般に責任を有する常勤医師
臨床検査技師 常時配置、うち専従の常勤1名以上 専任の常勤1名以上
一元管理 輸血用血液製剤とアルブミン製剤 輸血用血液製剤
共通 ABO・Rh(D)血液型、交叉試験または間接クームス、不規則抗体検査を常時実施できる体制、年6回以上の輸血療法委員会、輸血前後の感染症検査または輸血前検体の保存、日本輸血・細胞治療学会「輸血療法実践ガイド」の遵守 同左

輸血部門の設置、臨床検査技師の配置、年6回以上の輸血療法委員会という要件から、外来で輸血を行う一般的な無床診療所が届け出るのは難しいのが実情です。届け出ていない医療機関では輸血管理料は算定せず、K920と製剤の薬剤料、注の加算で算定します。

輸血適正使用加算(輸血管理料Ⅰに120点、Ⅱに60点)は、新鮮凍結血漿とアルブミン製剤の使用量を赤血球製剤の使用量で割った値が基準未満であることが要件です。

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輸血のレセプト摘要欄の書き方

輸血は、レセプトの「手術・麻酔」欄に記載します。診療報酬請求書等の記載要領は、輸血について次のように定めています。

  1. 輸血の回数、点数、その他必要な事項を記載する
  2. 生血・自己血・保存血の別に、1日の使用量と、原材料として使用した血液の総量を「摘要」欄に記載する
  3. 使用した薬剤(血液製剤を含む)の薬名、使用量の内訳、加算点数を「摘要」欄に記載する
  4. 血液交叉試験等の加算を行った場合は、その旨を「摘要」欄に記載する
  5. 輸血管理料を算定した場合は、名称を「摘要」欄に記載する

上の計算例であれば、保存血液輸血の1回目・2回目以降、1日の使用量280mLと原材料の総量400mL、製剤名と数量、血液型・不規則抗体・交叉試験の各加算を書くことになります。

2の「原材料として使用した血液の総量」は、成分製剤の量の数え方(少ない方で算定)を審査側が確認するための項目です。製剤の容量だけを書くと、200mL単位の数え方が合っているか読み取れません。

別表Ⅰでは、自己血貯血は貯血量と手術予定日(入院外で貯血した場合など)、6歳未満の自己血輸血・希釈式自己血輸血は体重と輸血量の記載が求められています。

輸血後のHIV検査の算定

K920(自己血輸血を除く)を算定した患者、または血漿成分製剤の輸注を行った患者について、一連の輸血または輸注の最終日から概ね2か月後にHIV抗体等の検査を行った場合は、症状の有無にかかわらず、その輸血または輸注につき1回に限り算定できます(留意事項通知D012(10))。他の医療機関で輸血を受けた患者でも同じ扱いで、摘要欄には輸血または輸注の最終年月日を記載します。

外来で輸血を行ったクリニックでは、最終輸血日から2か月後の受診予定と検査を、電子カルテのリマインダーなどで管理しておくと取りこぼしを防げます。

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よくある質問

血漿製剤の輸注は輸血料で算定するか

新鮮凍結血漿などの血漿成分製剤は注射の部で扱われ、K920輸血料では算定しません(留意事項通知K920(8))。血小板濃厚液はK920「2」保存血液輸血で算定します。

同じ月に2回輸血したとき、不規則抗体検査は2回算定できるか

注6の不規則抗体検査は、検査回数にかかわらず1月につき1回(197点)です。週1回以上、その月で3週以上にわたり輸血を行う「頻回」の場合に限り、1週間に1回算定できます。

無床診療所で輸血管理料は算定できるか

輸血管理料は施設基準の届出が必要で、輸血部門の専任医師、臨床検査技師の配置、年6回以上の輸血療法委員会などが要件です。これらを満たして届け出ていなければ算定できません。

まとめ

外来の輸血は、手術を行わなくてもK920輸血料で単独に算定できます。保存血液輸血は200mLごとに1回目450点・2回目以降350点で、注入量は実際の注入量と原材料の血液量の少ない方で数えます。製剤の費用は薬剤料で、血液型・不規則抗体・交叉試験は注の加算で算定します。

算定の前提は、文書による説明と署名、写しの診療録への添付です。輸血管理料は輸血部門の体制が要件で、多くの無床診療所では算定しません。レセプトには生血・自己血・保存血の別、1日の使用量と原材料の総量、薬剤の内訳、加算を摘要欄に書き、2か月後のHIV検査まで管理しておきます。

参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732104.pdf
  • 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732127.pdf
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