乳幼児医療費助成の申請はいつ・どこで?出生・転入時の手続きと必要なもの、医療証が届く前や県外で受診したときの払い戻し

乳幼児医療費助成は、出生届や転入届を出しただけでは始まりません。住んでいる市区町村に保護者が申請し、届いた医療証(受給者証)を受診のたびに窓口で出して、はじめて自己負担がなくなったり軽くなったりします。

この記事では、子どもが生まれた・引っ越してきた保護者に向けて、申請の時期と窓口、そろえるもの、医療証が届く前や県外で受診して窓口で支払ったときの払い戻し(償還払い)の手順を整理します。後半では、クリニックの受付で医療証を受け取るときに確かめることもまとめました。

制度の名前は自治体によって違います。「乳幼児医療費助成」「子ども医療費助成」「小児医療費助成」のほか、東京都のように「マル乳」と呼ぶところもあります。この記事ではまとめて「子どもの医療費助成」、手元に届く証を「医療証」と書きます。

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目次
  1. 乳幼児医療費助成の申請は出生・転入のときに市区町村の窓口へ
    1. 助成がいつから始まるかは「申請までの日数」で変わる
    2. 子どもの健康保険の加入手続きを先に進める
  2. 申請手順のチェックリスト:出生・転入でそろえるもの
  3. 子どもの医療費助成で自治体ごとに違う3つの軸:対象年齢・所得制限・自己負担
    1. 東京都・大阪市・横浜市の例
  4. 医療証が届く前・県外で受診・健康保険が変わったときの判定表
  5. 払い戻し(償還払い)の申請手順と期限
    1. 払い戻しの申請で出すもの
    2. 申請の期限は5年、健康保険への療養費は2年
  6. 受診のときはマイナ保険証と医療証を一緒に出す
  7. 受付で確認すること:子どもの医療証を受け取ったとき
  8. 乳幼児医療費助成の申請でよくある質問
    1. 出生届を出せば、医療証は自動的に届きますか
    2. 里帰り出産の実家で子どもが受診しました。助成は受けられますか
    3. 所得が高いと助成を受けられませんか
    4. 医療証をなくしたときはどうすればいいですか
  9. まとめ
  10. 参考

乳幼児医療費助成の申請は出生・転入のときに市区町村の窓口へ

申請先は、子どもが住民登録をしている市区町村の子育て支援や医療助成の担当課です。多くの自治体は、出生届や転入届を出すときに窓口で案内しています。

出生届は、生まれた日を含めて14日以内に出すと戸籍法第49条で決まっています。助成の申請も、このときに続けて済ませるのが確実です。

助成がいつから始まるかは「申請までの日数」で変わる

助成が生まれた日や転入した日にさかのぼるかどうかは、申請までの日数で決まります。

  • 新宿区は、出生や転入の翌日から3か月以内に申請すれば、出生日・転入日から助成が始まると案内しています
  • 大阪市は、助成の始まりを出生日・転入日としています

期限を過ぎると、申請した日からしか助成されない自治体もあります。期限の長さは自治体ごとに違うので、遅れそうなときは先に窓口へ電話して確かめてください。

子どもの健康保険の加入手続きを先に進める

申請には、子どもの健康保険の資格が確認できるものが必要です。会社員の家族なら勤務先を通じて扶養に入れ、国民健康保険なら市区町村で加入します。加入手続きが済まないと申請書類がそろわないので、出生後はこちらを先に動かします。

申請手順のチェックリスト:出生・転入でそろえるもの

申請の流れと持ち物を、チェックリストにまとめます。必要なものは自治体によって少しずつ違うため、最後は住んでいる市区町村の案内で確認してください。

申請の前に

  • [ ] 出生届(生まれた日を含めて14日以内)または転入届を出した
  • [ ] 子どもを健康保険に加入させた(扶養に入れる、国民健康保険に入る)
  • [ ] 住んでいる市区町村の申請期限と、さかのぼって助成される期間を確認した

申請で出すもの(多くの自治体で共通)

  • [ ] 申請書(窓口でもらうか、自治体のサイトからダウンロード)
  • [ ] 子どもの健康保険の資格が確認できるもの(資格確認書、資格情報のお知らせ、マイナポータルの資格情報画面を印刷したものなど)
  • [ ] 申請者(保護者)の本人確認書類
  • [ ] 子どもや保護者のマイナンバーが確認できるもの

自治体や状況によって必要なもの

  • [ ] 所得を確認するための書類(転入前の住所地で課税されていた場合など)、またはマイナンバーを使った所得照会への同意書
  • [ ] 払い戻しを受ける口座が分かるもの

申請の方法

  • [ ] 窓口・郵送・オンラインのどれで出すか決めた(大阪市は出生のときに限りオンライン申請を受け付け、横浜市は子育て応援アプリ「パマトコ」から申請できる)

医療証が届いたら

  • [ ] 子どもの氏名、健康保険の情報、有効期限に誤りがないか確かめた
  • [ ] 届くまでに窓口で支払った領収書を、払い戻しの申請用に取ってある

子どもの医療費助成で自治体ごとに違う3つの軸:対象年齢・所得制限・自己負担

子どもの医療費助成は、国の制度ではなく都道府県と市区町村が独自に行う事業です。そのため中身が自治体ごとに違い、違いが出るのは主に「何歳まで」「所得制限があるか」「窓口で一部負担があるか」の3つです。

こども家庭庁の調査(2025年4月1日現在)では、全国1,741市区町村のすべてが助成を行っています。

軸 市区町村の状況(通院) 都道府県の状況(通院)
対象年齢 18歳年度末までが1,576市区町村で最も多い 就学前までが17都道府県で最も多い
所得制限 所得制限なしが1,692市区町村 所得制限なしが26都道府県、ありが20都道府県
自己負担 自己負担なしが1,319市区町村、ありが422市区町村 自己負担ありが33都道府県

都道府県の基準より市区町村のほうが手厚いのは、都道府県の助成に市区町村が上乗せしているためです。同じ県の中でも、隣の市と年齢や負担が違うことがあります。

東京都・大阪市・横浜市の例

具体的な違いを、3つの自治体で見ます(2026年10月時点の各自治体の案内による)。

東京都(マル乳) 大阪市(こども医療費助成) 横浜市(小児医療費助成)
対象年齢 6歳に達した日以後の最初の3月31日まで。小学生以降はマル子・マル青に切り替わる 18歳に達した日以後の最初の3月31日まで 18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(2026年6月に拡大)
所得制限 都は区市町村に確認するよう案内。新宿区・福生市などは「なし」 なし(2024年4月に撤廃) なし
窓口の自己負担 保険診療の自己負担分を助成(自己負担なし) 1医療機関ごとに1日最大500円、月2日まで。月2,500円を超えた分は払い戻し 保険診療の自己負担額を全額助成
医療証が使える範囲 都内の医療機関 大阪府内の医療機関 神奈川県内の医療機関

どの自治体でも、健康診断、予防接種、差額ベッド代、紹介状なしで大きな病院にかかったときの選定療養費、後発医薬品のある先発医薬品を希望したときの選定療養費など、健康保険が使えない費用は助成の対象外です。入院時の食事代は、助成するかどうかが自治体で分かれます。

自分の自治体の内容は、市区町村のサイトで「子ども医療費助成」「乳幼児医療費助成」と検索するか、子育て支援の担当課に問い合わせると確認できます。

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医療証が届く前・県外で受診・健康保険が変わったときの判定表

医療証を窓口で使えない場面では、いったん健康保険の自己負担分(小学校入学前は2割)を支払い、あとで市区町村に払い戻しを申請します。ただし、健康保険の手続きを先にしないといけない場面もあります。自分がどれに当たるか、次の表で確かめてください。

場面 窓口での支払い このあとすること
申請はしたが、医療証がまだ届いていない 健康保険の自己負担分を支払う 医療証が届いたら、領収書を添えて市区町村に払い戻しを申請する。さかのぼりの期間内なら出生日・転入日以降の受診が対象
まだ申請していない 健康保険の自己負担分を支払う すぐに申請する。申請の期限を過ぎると、それより前の受診分は払い戻されないことがある
住んでいる都道府県の外で受診した(里帰り出産、旅行先、帰省中の急病など) 医療証は使えないので自己負担分を支払う 領収書を添えて市区町村に払い戻しを申請する
都道府県内で、医療証を出し忘れた 自己負担分を支払う 払い戻せるかは自治体による。大阪市は急病などやむを得ず出せなかった場合を対象にする一方、府内で医療証を出さずに受診した場合は払い戻しできないことがあると案内している。まず受診した医療機関に、後日医療証を持っていけば精算できるか聞く
健康保険が変わった(転職、扶養の変更、国民健康保険への切り替えなど) 新しい健康保険の資格で受診する 市区町村に変更の届出をする。医療証に書かれた保険の情報が古いままだと、窓口で使えないことがある
健康保険も医療証も出せず、10割を支払った 医療費の全額を支払う 先に加入している健康保険に療養費(保険が負担する7割・8割分)を申請し、支給決定通知書が届いてから、市区町村に残りの払い戻しを申請する
医療費が高額になり、高額療養費や付加給付に当たる 自己負担分を支払う 先に健康保険から高額療養費などを受け、その通知書を添えて市区町村に申請する。助成はその額を差し引いて支払われる
市区町村の外へ引っ越した 旧住所の医療証は使えない 旧住所の市区町村に届け出て、転入先で新しく申請する。転出後に旧医療証で受けた助成は返還を求められる
保育園や学校の管理下でけがをした 医療証を使わず自己負担分を支払う 日本スポーツ振興センターの災害共済給付を先に使う。対象にならなかった分は市区町村に払い戻しを申請する

迷ったときは、「医療証を出せたか」「健康保険を使えたか」の2つで考えると整理できます。医療証だけが使えなかったなら市区町村へ、健康保険も使えなかったならまず健康保険へ申請します。

払い戻し(償還払い)の申請手順と期限

払い戻しの申請は、医療証を交付した市区町村の担当課(大阪市は大阪市医療助成費等償還事務センターへの郵送)に出します。

払い戻しの申請で出すもの

横浜市と大阪市の案内をもとに、共通して求められるものをまとめます。

  1. 医療費の支給申請書
  2. 医療証(郵送ならコピー)
  3. 子どもの健康保険の資格が確認できるもの
  4. 医療機関・薬局の領収書の原本。受診者の氏名、診療日、保険の点数、支払った金額、医療機関名が書かれたもの
  5. 振込先の口座が分かるもの。医療証の申請者と同じ名義の口座が原則
  6. 当てはまる人だけ:健康保険からの療養費や高額療養費の支給決定通知書、治療用眼鏡や装具を作ったときの医師の指示書

領収書は、保険の点数が書かれていないと金額を計算できません。大阪市は写しや再発行の領収書を受け付けないとしています。受診のたびに領収書を捨てずに取っておいてください。

申請の期限は5年、健康保険への療養費は2年

払い戻しの申請には期限があります。横浜市は受診した月の翌月1日から5年、大阪市は代金を支払った日の翌日から5年で、申請できなくなるとしています。

10割を支払ったときに先に出す健康保険の療養費は、支払った日の翌日から2年が期限です。期限が短いほうから先に片づけてください。

横浜市は、払い戻しまで3か月前後かかるとしています。領収書は1か月分以上をまとめ、受診した翌月からなるべく1年以内に出すよう求めています。

受診のときはマイナ保険証と医療証を一緒に出す

マイナ保険証で受診する場合も、医療証は別に出すのが基本です。マイナ保険証で確認できるのは健康保険の資格で、子どもの医療費助成の資格は医療証で確認するためです。

例外は、住んでいる自治体と受診する医療機関の両方が、医療費助成の情報をマイナンバーカードで確認できる仕組み(PMH)につながっている場合です。このときはマイナ保険証だけで医療証の確認まで済みます。東京都は、PMHの対応状況を区市町村に問い合わせるよう案内しています。対応しているか分からないときは、医療証も持っていってください。

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受付で確認すること:子どもの医療証を受け取ったとき

クリニックの受付で子どもの医療証を受け取ったら、次の点を確かめます。

  1. 有効期限を見ます。東京都のマル乳・マル子・マル青は毎年10月1日に更新され、2026年10月1日からの医療証の有効期間は2027年9月30日までです。横浜市は1歳以上の医療証を偶数年の10月1日に更新します。10月は古い医療証を出されやすい時期なので、日付を見てください
  2. 医療証を発行した自治体の都道府県を見ます。医療証が窓口で使えるのは、原則として発行した自治体と同じ都道府県の医療機関だけです。他県の医療証を出されたら、健康保険の自己負担分で会計し、保険の点数が入った領収書を渡して、住所地で払い戻しを申請するよう案内します
  3. 医療証と健康保険の情報が合っているかを見ます。マイナ保険証や資格確認書で確認した健康保険と、医療証に書かれた保険が違うときは、保険が変わって届出がまだの可能性があります。保護者に市区町村への届出を案内します
  4. 公費負担者番号の先頭2桁(法別番号)を見ます。自治体の医療費助成の番号は、国の公費の番号とは別に自治体ごとに決まっています。東京都のマル乳は88です。小児慢性特定疾病(52)など国の公費と一緒に使うときは、国の公費が先、自治体の助成が後の順に登録します。番号の見方と並べ方は「公費負担医療制度の法別番号一覧」で整理しています
  5. 一部負担があるかを確かめます。大阪市のように1日500円などの一部負担がある自治体もあります。自院の地域の自治体の負担額をレセコンに正しく設定しておきます

保険の点数が入った領収書は、保護者が払い戻しを受けるときに必ず使います。医療証を出せなかった患者には、点数入りの領収書を渡し、払い戻しの申請先を伝えると親切です。

乳幼児医療費助成の申請でよくある質問

出生届を出せば、医療証は自動的に届きますか

届きません。出生届とは別に、子どもの医療費助成の申請が必要です。多くの自治体は出生届の窓口で案内しているので、そのときに一緒に手続きしてください。子どもの健康保険の加入が済んでいないと書類がそろわないため、加入手続きも並行して進めます。

里帰り出産の実家で子どもが受診しました。助成は受けられますか

住んでいる都道府県の外で受診した場合、医療証は窓口で使えません。いったん健康保険の自己負担分を支払い、領収書を持ち帰って住所地の市区町村に払い戻しを申請します。医療証の申請前の受診でも、さかのぼりの期間内であれば対象になります。

所得が高いと助成を受けられませんか

多くの自治体では所得制限がありません。こども家庭庁の調査(2025年4月1日現在)では、通院で所得制限なしとしている市区町村は1,692で、全体の97.2%です。新宿区・福生市などの東京都の区市町村、大阪市、横浜市も所得制限を設けていません。所得制限が残る自治体もあるので、住んでいる市区町村で確かめてください。

医療証をなくしたときはどうすればいいですか

市区町村に再交付を申請します。新しい医療証が届くまでに受診した分は、健康保険の自己負担分を支払い、医療証が届いてから領収書で払い戻しを申請します。

まとめ

子どもの医療費助成は、出生届・転入届とは別に市区町村へ申請して医療証を受け取る仕組みです。申請までの日数によって、出生日・転入日にさかのぼって助成されるかが変わるため、健康保険の加入とあわせて早めに済ませてください。医療証を使えずに支払った分は、領収書を取っておけば払い戻しを申請できます。

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