薬剤情報提供料の算定要件|月2回目を算定できる処方変更、包括される管理料、手帳記載加算の判定表

薬剤情報提供料は、院内処方で薬を渡すときに、薬の名前・飲み方・副作用などを文書で患者に渡したときの点数です。1回の点数は小さくても、院内処方の患者全員に毎月かかるので、取り漏らしと算定してはいけない場面の取り違えが、月単位では無視できない差になります。

この記事は、院内処方をしているクリニックの医療事務と院長に向けたものです。算定の条件、月の2回目を算定できる処方変更とできない変更、別の管理料に包括されて算定できない場面、手帳記載加算の条件を、判定表で整理します。内容は令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)の告示と留意事項通知で確かめています。

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目次
  1. 薬剤情報提供料は4点、手帳記載加算は3点
  2. 薬剤情報提供料の算定要件は文書の中身・月1回・院内処方の3つ
    1. 文書に載せる6項目
    2. 診療録に残すこと
  3. 薬剤情報提供料を算定できる場面・できない場面の判定表
  4. 薬剤情報提供料が包括される管理料と別に算定できる管理料
  5. 薬剤情報提供料の手帳記載加算を算定できない場合
  6. 院内処方で薬剤情報提供料を取り漏らさない運用
  7. よくある質問
    1. 薬袋に用法と薬の名前を書いて渡しています。それだけで算定できますか
    2. 同じ月に処方を変えたら、何回でも算定できますか
    3. 院内処方と院外処方の両方がある患者はどうなりますか
    4. 生活習慣病管理料を算定している月はどうなりますか
  8. まとめ
  9. 参考

薬剤情報提供料は4点、手帳記載加算は3点

項目 点数 回数
薬剤情報提供料(B011-3) 4点 月1回。処方の内容に変更があればその都度
手帳記載加算(注2) 3点 月1回

令和8年度改定で点数は変わっていません。

対象は入院中の患者以外の患者です。院外処方で処方箋を交付した患者には算定しません(注3)。院外処方の患者への薬の説明は、薬局が服薬管理指導料として算定する仕組みになっています。

薬剤情報提供料の算定要件は文書の中身・月1回・院内処方の3つ

文書に載せる6項目

告示と留意事項通知では、次の情報を処方したすべての薬剤について文書で渡すことが条件です。

  1. 薬剤の名称(一般名または商品名)
  2. 用法
  3. 用量
  4. 効能・効果
  5. 副作用
  6. 相互作用

文書は専用の用紙でなくてもよく、薬袋などに記載されている場合も含まれます。効能・効果、副作用、相互作用は、患者が理解しやすい表現であることが求められています。

やむを得ない理由で薬剤の名称を伝えられない場合は、代わりに色や剤形など形状の情報を渡せば算定できます。

診療録に残すこと

算定した日は、薬剤情報を提供した旨を診療録などに記載します。個別指導では、文書を渡した記録が診療録に無いと、算定の根拠を示せません。電子カルテで薬剤情報提供書を印刷したときに、自動で記録が残る設定にしておけば、書き忘れが起きません。

薬剤情報提供料を算定できる場面・できない場面の判定表

月1回が原則で、2回目以降を算定できるかは「処方の内容に変更があったか」で決まります。留意事項通知の書き方に沿って並べると次のとおりです。

同じ月の2回目以降の受診で起きたこと 算定 根拠
新しい薬が追加された できる 処方の内容に変更があった場合はその都度
別の薬に変わった(類似する効能の薬への変更を含む) できる 類似する効能・効果の薬剤への変更でも算定可
同じ薬だが、別の目的(効能・効果)で出した できる 投与目的が異なれば算定可
同じ薬で、日数だけ変わった できない 処方日数のみの変更は算定不可
前回と同じ内容の処方 できない 月1回
同じ日に2つの診療科で処方があった 1回だけ 複数科でも同一日は1回
院外処方箋を交付した できない 注3
入院中の患者 できない 入院外の患者が対象

迷いやすいのは用量や用法だけの変更です。留意事項通知が算定不可と明記しているのは「処方日数のみの変更」で、用量・用法の変更については直接の記載がありません。用量変更で2回目を算定するときは、変更した内容と、新しい文書を渡したことを診療録に残しておくと、審査や指導で説明できます。扱いに迷う場合は、審査支払機関に確かめてから運用を決めてください。

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薬剤情報提供料が包括される管理料と別に算定できる管理料

薬剤情報提供料は「医学管理等」の項目なので、医学管理等をまとめて包括する診療料を算定している患者には、別に算定できません。告示の各項目の注を読むと、次のように分かれます。

算定している診療料 薬剤情報提供料 告示の書き方
小児科外来診療料(B001-2) 算定できない 往診料などを除き、診療に係る費用は小児科外来診療料に含まれる
小児かかりつけ診療料(B001-2-11) 算定できない 同じく診療に係る費用は含まれる
地域包括診療料(B001-2-9) 算定できない 投薬・在宅医療などを除く費用は含まれる。医学管理等は含まれる側
生活習慣病管理料(Ⅰ)(B001-3) 算定できない 第1部医学管理等(一部の管理料を除く)の費用は含まれる
生活習慣病管理料(Ⅱ)(B001-3-3) 算定できる 含まれない項目として薬剤情報提供料が列挙されている
再診料の地域包括診療加算 算定できる 加算であり、医学管理等を包括しない

生活習慣病管理料の(Ⅰ)と(Ⅱ)で扱いが逆になる点が、最も取り違えやすいところです。(Ⅱ)は検査などを出来高で算定する区分で、薬剤情報提供料も別に算定できます。同じ患者が月によって(Ⅰ)と(Ⅱ)を行き来する場合は、その月にどちらを算定しているかで判断します。

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薬剤情報提供料の手帳記載加算を算定できない場合

手帳記載加算は、患者の求めに応じて、お薬手帳に次の3つを記載した場合に算定します。

  • 処方した薬剤の名称(一般名または商品名)
  • 保険医療機関名
  • 処方年月日

ここでいう「手帳」は、薬の記録を時系列で書けて、さらに次の3つを記録する欄があるものに限られます。

  • 患者の氏名・生年月日・連絡先など
  • アレルギー歴・副作用歴など
  • 主な既往歴など
場面 手帳記載加算
患者が手帳を持参し、求めに応じて名称・医療機関名・処方日を書いた(シールを貼った) 算定できる
手帳を持参しなかったので、薬の名前を書いたシールなどを渡した 算定できない
同じ月に処方変更があり、2回目の薬剤情報提供料を算定した 加算は月1回まで
患者が手帳への記載を求めていない 算定しない(患者の求めに応じた場合が対象)
薬剤情報提供料そのものを算定していない 算定できない(注1の場合に加える加算)

手帳を忘れた患者にシールだけ渡したときに加算を付けてしまうのが、院内処方のクリニックで最も起きやすい誤りです。受付で手帳を受け取ったかどうかを会計の画面で分かるようにしておくと、加算の有無を事務が機械的に判断できます。

院内処方で薬剤情報提供料を取り漏らさない運用

院内処方の患者は毎月来るので、運用を1回決めれば、あとは毎月同じ判断の繰り返しです。

  1. 会計前に「今月初回か」を見る。レセコンで当月の算定履歴を確認し、初回なら算定する
  2. 2回目以降は処方の差分を見る。前回の処方と比べ、薬の追加・変更・目的の変更があれば算定、日数だけなら算定しない
  3. 包括の管理料を算定している患者を除く。小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料・地域包括診療料・生活習慣病管理料(Ⅰ)の患者は算定しない
  4. 手帳の受け取りを記録する。手帳を預かって記載したときだけ手帳記載加算を付ける
  5. 文書を渡したことを診療録に残す。薬剤情報提供書の印刷と連動させる

電子カルテとレセコンの多くは、当月の算定済みかどうかと、包括される管理料との組み合わせをチェックできます。チェックが働かない組み合わせ(生活習慣病管理料の(Ⅰ)と(Ⅱ)の切り替えなど)だけを、事務が目で見る対象にすると負担が小さくなります。

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よくある質問

薬袋に用法と薬の名前を書いて渡しています。それだけで算定できますか

薬袋への記載も文書として認められますが、名称・用法・用量だけでなく、効能・効果、副作用、相互作用まで、処方したすべての薬について伝える必要があります。薬袋で足りない項目は、別の説明書で補います。

同じ月に処方を変えたら、何回でも算定できますか

処方の内容に変更があった場合は、その都度算定できます。ただし手帳記載加算は月1回までです。日数だけの変更では算定できません。

院内処方と院外処方の両方がある患者はどうなりますか

処方箋を交付した患者には算定しない、と注3に定められています。院内で薬を渡した処方について文書で情報提供をしたときに算定するもので、院外処方箋で出した薬は対象になりません。

生活習慣病管理料を算定している月はどうなりますか

生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定する月は包括されて算定できません。(Ⅱ)を算定する月は、別に算定できます。

まとめ

薬剤情報提供料は4点、手帳記載加算は3点で、院内処方の患者に月1回、処方内容が変わればその都度算定します。日数だけの変更では算定できず、小児科外来診療料・地域包括診療料・生活習慣病管理料(Ⅰ)などを算定している患者には包括されます。手帳記載加算は、手帳に記載したときだけで、シールを渡しただけでは算定できません。

院内処方で同時に算定する薬剤料の計算は「薬剤料の計算方法」にまとめています。

参考

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提供形態

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