本当にいたクセが強い患者さんとその対応

人の数だけ、個性がある。

日々そう思わされるほど、自分とは異なる価値観を持っている人は世の中にたくさんいます。

クリニックにだってもちろん、色々な価値観を持った方が来院されます。医療事務として計10年ほど働いてきて、違和感が拭えないことは何度もありました。

さまざまな患者さんと接してきて、十人十色と思いつつも、驚愕してしまうことは今でもあります。

今回は私が体験したなかで、クセが強いと思わされた患者さんについてのエピソードをお話ししたいと思います。

今後の患者対応において、なにかの参考になれば幸いです。もしくは、こんな患者さんもいるんだというお気持ちでご覧いただけたらと思います。

目次
  1. 髭を剃る患者さん
  2. もしもの心配をする患者さん
  3. まるで友達のような患者さん
  4. ながら患者さん
  5. 患者さんを説得するべきか、時を待つべきか
  6. まとめ

髭を剃る患者さん

当クリニックは高齢の方も多く受診されます。高齢の患者さんは、やはり道中の心配もあるため、お付き添いの方も一緒に来ていただけたらと思いはあるものです。

そんななかでも、お一人で来院された70代男性の患者さん。受付を済ませ、待合で診察まで待ってもらっていました。そのとき、突如として院内に響き渡るシェーバー音。

初めは何の音かわからずに辺りを見渡しました。目に入った光景は、先ほど受付を済ませた患者さんが、待合で電気シェーバーを使って髭を剃っている姿でした。圧倒され、開いた口が塞がりませんでした。

一人で来られているため、もちろん止める人は近くにいません。鳴り止まないシェーバー音に、髭って鏡を見なくても剃れるの? と疑問を持ちながら一旦どうにか冷静さを持ち、受付から

「待合での髭剃りは、他の患者さんのご迷惑になるのでダメですよー!」とお伝えしました。

「はい!」と元気のいい返事をしてもらい、すぐに電気シェーバーはしまっていただけました。すんなり話をわかっていただけたことには、ひとまず安心しました。

いくつになっても身だしなみはキチンとしたい。そのお気持ちは素晴らしいことですが、できる限り場所を選んでほしいと思った出来事でした。

もしもの心配をする患者さん

もし〜だったらどうしたらいいの?と心配することは私にもあります。気持ちはわかるのですが、異常なまでに心配をする、60代女性の患者さんがいました。

その患者さんは、心も患っていたため他院にも受診されていました。そのせいか、いつも精神的に不安定な状態でした。当クリニックには、体の不調で来院されていたのですが、毎回と言っていいほど「もしも」の質問をされました。

「もし診察を待っている間に、帰りたくなったらどうしたらいいですか?」

「もし薬が効かなかったら、どうしたらいいですか?」

このように、起きてもいないことを過剰に心配してしまう方でした。

毎回、できる限りお答えしていました。

「帰りたくなったら、受付に来て伝えてください」

「薬が効かないと感じた場合には電話をしてください。もしくは受診をして相談してください」

提案をお伝えすると、安心した顔つきになり納得してくれます。

一度スイッチが入ると心配は加速し、クリニックに何度も電話をかけてくることもありました。

掲げている診療についての質問なら理解はできるのですが、一番驚いた質問は

「もしバスに乗っているときに、トイレに行きたくなったらどうしたらいいですか?」です。

患者さんが真面目に質問していることは伝わっているため、当然ながら私も真面目にお答えしました。

「バスを降りるボタンを押して、バスを降りて、トイレに向かってください。どうしても心配でバスに乗れないなら、タクシーだと安心かもしれないですね」と、普通のことしか言えなかったのですが、「ありがとうございます」と言って、患者さんは電話を切りました。

どのような対応が正解なのかわからないときもあります。患者対応の奥深さを思い知った出来事のひとつでした。

知っていて当たり前という気持ちは持たないこと。どのような質問にも、冷静さを忘れずに思いやりを持って受け応えることを心がけています。

まるで友達のような患者さん

長い間クリニックに来院されている患者さんとは、親しく会話することもあります。受付で業務をする私も、患者さんとの距離を守りつつも、仲良く接することもあります。

そんななかで、初めて来院された20代女性の患者さん。受付に来て開口一番、

「まじ腹痛いんだけど、助けて!」と。私の友達が受診したのか? と思ったのですが、どう見てもはじめましての女性でした。時が一瞬止まってしまいましたが、まずは保険証を出していただき、問診はとれそうか確認しました。とれそうにない状態でしたので、症状をどうにかお聞きして、看護師に状況を説明。

さすがに、院長には丁寧語で受けてくれるだろうと思っていました。しかし予想は外れ、院長にさえも診察室にて

「先生、お腹痛いからどうにかして」と言っていたそうです。

当クリニックでは、いや、どこのクリニックでもそうかと思いますが、口調のルールはありません。それでも基本的には、丁寧語で接することが多い新患さん。友達口調になるほどに、お腹が痛かったのかもしれません。もしかしたら、もともとフレンドリーな方なのかもしれません。だとしても、何年も医療業界に携わっていて、耳を疑うような印象的な出来事でした。

友達口調については気になる部分もありましたが、特にその患者さんに指摘することは、クリニック側はありませんでした。しかしこの件で、相手に失礼のないように対応することを改めて学ばされました。

ながら患者さん

ながら患者さんとは、何か用事をしながら、来院される患者さん。用事の途中で、クリニックにかかることは珍しいことではありません。

洗濯機をまわした状態で来院して、干しに行ってくると外出される患者さん。診察待ちの途中、子どものお迎えに行ってくると言って外出される患者さん。仕事中に受診されて、電話をするために頻繁に外に出る患者さん。ペットであるネコの病院のお迎えや病院のはしごのため、受付だけ済ませて出ていかれる患者さん。

これは日常的によくあることで、みなさん、忙しい日々の合間に来院されるのだと思わされます。当クリニックでは待ち時間がかかることも多いため、受付終了時間までに戻ってきていただけるのであれば、外出もOKとしています。

そんな、ながら患者さんのなかでも、私史上一番驚いたのは、犬の散歩途中で来院された50代女性の患者さん。その患者さんは、犬の鳴き声とともに受診されました。もちろん犬は、外の電柱に繋がれて待っているのですが、クリニック内にも聞こえるほどとにかく吠えているのです。

時間がないとは言え、犬の散歩をしながらクリニックにかかることは良くあることなのでしょうか。私としましては、初めての状況です。

それも住宅街にあるクリニックのため、通報されるのではないかとヒヤヒヤしました。

冷静さを取り戻すため、心を落ち着かせて、

「まだお呼びするのに時間がかかるため、一度ワンちゃんをお家に戻してくれないでしょうか」と頼みました。

「薬がほしいだけだから、すぐ診察してくれたらいい」と言って取り合ってもらえません。このように、こちらの要望を聞き入れてもらえないことはよくあります。

聞き入れてもらえないとしても、予約外の患者さんはお薬のみでも順番にお呼びする形をとっているため、緊急事以外は優先することはできないです。そんなことはお構いなしに、吠え続けている犬。対応にとても困ってしまいました。

患者さんを説得するべきか、時を待つべきか

説得するべきか、この状況のまま時が経つのを待つか、クリニックのスタッフに相談しました。そして再度患者さんを説得することに。

「まだお呼びするのに、1時間はかかる状況です。ワンちゃんのストレスや住民の方たちのご迷惑になることもありえます。お手間なのですが、お家に連れて帰ってもらってもよろしいでしょうか」と、しどろもどろながら言葉を選びお伝えしました。これでダメならもう私にはどうすることもできないと思ったのですが、なんとか納得をしてもらうことができました。ほっと胸を撫で下ろした瞬間でした。

お会計の際、今回のお詫びと今後は犬の散歩途中の来院は遠慮してほしいことをやんわり伝えました。

自身にとっての常識、他人にとっては非常識。逆もまた然り。この言葉を教訓に、患者対応について、日々、身を持って勉強させてもらっています。

そして忙しい、ながら患者さんの気持ちも汲み取って、待ち時間を減らせる努力をクリニック側もしていかなければならないと思いました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。私の経験談として、クセが強い患者さんエピソードの一部をご紹介させていただきました。

患者対応に正解はないのかもしれないですが、こういった患者さんもいるのだと参考にしていただけたら幸いです。

患者さんによって対応は変わります。一筋縄ではいかない場合もあるし、こちらが反省させられて落ち込むこともあります。そうしたなかで患者さんに、寄り添った気持ちを意識して、対応することを心がけています。

そしてなにより、クセが強い患者さんたちから、対応について学ばされることがたくさんあります。学ぶことで、クリニックの患者対応もより向上していくのではないかと未熟ながら考えています。

医療事務という立場は、医師や看護師とは違ってできることが限られています。限られたなかで私にできることを見つけ、少しでも患者さんを支えられる立場になれたらと思います。

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あや

執筆 医療事務ライター | あや

事務として、医療業界に携わるようになり10年。 目まぐるしい中でも、患者さんの笑顔に救われる日々。 都会でも、田舎でもない地域で、町のクリニックに現在勤務。


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