整体院や接骨院の開業を目標に、日々、研鑽中なら、開業の流れについても早い段階で知っておくといいでしょう。そこで今回は、整体院および接骨院の開業に必要な準備と、開業当日までの流れを説明します。
必要な資格について確認する
まず、整体院と整骨院では開業の条件が異なります。
整体院であれば、開業するために必要な資格はありませんが、整骨院の開業には資格が必要です。一方、整骨院を開業するためには、柔道整復療養費の受領委任取り扱いを管理する「施術管理者」としての要件を満たしていることが必要です。
従来、受領委任の取り扱い条件は、柔道整復師の免許を有していることのみでしたが、2018(平成30)年からは、資格取得後の実務経験および2日間にわたる施術管理者研修の受講が必要とされています。実務経験の期間に関しては、2024(令和6)年3月までに受領委任の届出をおこなう場合、2年間とされていますが、同年4月以降に届出を出す場合、3年間の経験を積んでいることが求められます。そのため、2024年3月までにギリギリ2年間の条件を満たすことができそうで、かつ早めに独立したいと考えているのであれば、今のうちに開業に向けて動き出しておくことが賢明です。
事業計画を立てる
では、具体的にどのような準備を進めていけばいいのかというと、まずすべきは事業計画の立案です。「どんな患者をターゲットに、どのエリアにどんな店舗を構えたいのか」「どんなメニューを提供したいのか」「スタッフは雇用するのか、するとしたら何人なのか」などを書き出していきながら、整体院または整骨院のコンセプトを決めます。理想の物件や理想のエリア、スタッフ数、使いたい医療機器などのイメージが固まってきたら、そのためにおおよそどの程度の資金が必要であるかもみえてくるでしょう。
資金計画を立てる
物件家賃や内装工事、導入器材、スタッフ人数などの理想が決まったら、必要な費用を概算します。一般的には、整体院や整骨院の開業費は数百万円~1,000万円程度とされていますが、スタッフを雇わない「一人院長」になるなど、やり方次第では少ない開業資金で独立することも可能です。
また、概算によって出た金額が予想以上に大きくて、自己資金ではまかなえないと思うこともあるかもしれませんが、その場合は金融機関などから融資を受けることを検討するといいでしょう。日本政策金融公庫からの融資であれば、金利が安く、長期返済が可能ですし、銀行や信用金庫からの融資であれば、もし断られても、他のところを当たることもできるので、はなから諦める必要はありません。
物件選定
理想の物件イメージをもとに物件の選定をはじめます。物件選びは、開業の成功の確率を左右する大切な要素です。自分が得意とする施術を必要としている患者に訪れてもらいやすい立地であるのか、近くに強力な競合店がないかどうかなど、さまざまな観点からチェックしたうえでベストな物件を見定めることが肝心です。
もちろん、施術用ベッドを理想の台数設置できることや、患者が着替えるスペースを確保できることなども大事なチェックポイント。高齢者や車いすの人などもターゲットとしたいなら、エレベーターの有無や道路との段差についても確認が必須。予算を超えないか、施術用機器を使えるだけのブレーカーの用量があるかどうかなども忘れずにチェックしましょう。
必要な備品や機器をそろえる
整体院、整骨院を開業するにあたっては、施術用ベッドをはじめさまざまな備品や機器をそろえる必要があります。そのほか、スリッパやカーテン、患者用施術着などのこまごましたものも必要ですが、大まかなレイアウトを決めるためにも、スペースをとるベッドや医療機器に関しては早めに購入準備をすすめたいものです。
医療機器としては、1Hz~999Hzの「低周波治療器」、1,000Hz~9,999Hzの「中周波治療器」、10,000Hz~の「高周波治療器」、スポーツ外傷や筋肉疲労を短時間で改善できる効果が期待される「微弱電流治療器」、特定のポイントに短時間で熱エネルギーを伝達できる「超音波治療器」、皮膚の表層部または深層部に熱を届ける「赤外線治療器(表層部は近赤外線、深層部は遠赤外線)などが挙げられますが、複数導入するとなると、収納スペースだけでなく導入費用もそれなりに必要となります。場合によってはリースの利用を検討するといいかもしれません。
開業申請手続きをとる
整体院と整骨院では、開業に必要な届出が異なります。
まず、整体院の場合、開業にあたって届出の必要がマストではありません。ただし、個人事業主として青色申告で確定申告するなら、「開業届」と「青色申告承認申請書」の両方を税務署に提出します。
一方、整骨院の場合は数種類の書類を複数個所に提出する必要があります。具体的には以下の通りです。
- 開設届:開設後10日以内に管轄の保健所に提出します。
- 受領委任申請書:開業届提出後、管轄の地方厚生局に提出します。受領委任申請書が受理されたら、その日から保険請求が可能です。
- 共済組合・防衛省への届出:国家公務員、地方公務員、防衛省関係の保険を取り扱うためには、それぞれの管轄機関に申請する必要があります。
- 労災保険指定医療機関への届出:労災保険を取り扱うためには、管轄する都道府県労働局に必要書類を提出しなくてはなりません。
- 個人事業の開業・廃業等提出所:個人事業主として開業する場合は、納税地を所轄する税務署に届け出る必要があります。
ホームページ制作、広告・宣伝
まずはホームページを制作して、「整体院・整骨院+エリア名」などの検索でヒットするよう、MEO・SEO対策も講じます。さらに、地域の人に認知してもらうべく、チラシを配布したりフリーペーパーに広告を打ったりします。
印刷物としてはほかに、診察券やDMハガキなども必要になってくるので、チラシデザインと並行して進めると効率がよいでしょう。
スタッフ採用、スタッフ教育
自分ひとりでの開業ではなくスタッフ雇用を考えている場合、いい人材を確保するためにも採用活動ははじめにスタートすることをおすすめします。ハローワークインターネットサービスをはじめ、無料で求人を出せるサイトはいくつかあるので、まずはお金をかけずに探しはじめるといいでしょう。
自分ひとりで準備を進めるのが難しいと感じたら、早めにプロに相談しよう!
整体師としては一人前であっても、経営は初めてのことなので、できないこと、わからないことがでてきて当然です。また、人によって得手不得手があるので、「書類作成は得意だけど資金融資の話を進めるのはストレス」「パソコンが苦手だからホームページの作り方がさっぱり」など、つまずく場所は人それぞれ。そのため、税理士やコンサルタントをはじめ、それぞれの悩みや課題にあったプロを頼ることが大切。少しでも効率よく準備を進められるよう、頼れるパートナーを探してみてくださいね。
特徴
建築内容
依頼内容
職種
診療科目
特徴
対応業務
その他特徴
診療科目
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対応業務
診療科目
この記事は、2023年1月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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