初めまして。株式会社メディカルリンクという会社の代表をしています、ラリホと申します。現役医師として、普段は臨床も行っています。
事業内容はクリニック・病院専門の採用サイト制作です。多くのホームページ会社と違い、採用分野に特化しており「医療現場の採用課題」への解像度を上げています。
今回はその医療現場の採用課題において、「看護師」と「医療事務」の応募の少なさについて検討・議論していきたいと思います。
今回の記事は、
- 看護師、医療事務の応募が最近少ない
- 開業当初と比べて応募が減った
- 人材紹介を将来利用する可能性がある
こう思っている先生方に是非ご覧頂きたい内容となっています。
クリニック求人専門サイト制作「メディカルリンク」
メディカルリンクは、現役医師が代表を務め、クリニック・病院に向けてパッケージ型採用サイト制作、採用LP制作、広告運用支援を行っている企業です。豊富な機能と高いデザイン性を両立したサイトパッケージを、競合他社より圧倒的低価格でご提供します。 実績に基づいた制作ノウハウで設計から実装まで一気通貫で丸投げも可能。事業発展を人材の面から底上げします。
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近年、看護師と医療事務の募集が難しくなっている理由とは?
近年、自院のホームページはもちろん、Indeedなどのアグリゲーション型(あるテーマについて複数のWebサイトから共通する情報を抽出しまとめて提供する)の求人媒体、とらばーゆやjimutenなどの掲載課金型求人媒体からも看護師や医療事務の応募が来づらくなっています。
これを読んでいる先生方にも、同様のご経験があるのではないでしょうか。
応募が少なくなっている原因として、マクロな社会背景が挙げられます。
主な応募数減少の原因
主な応募数減少の原因 | |
看護師 | ・労働人口減少、医療需要増大 ・他プレイヤーの勃興(自由診療・福祉・訪問看護) ・民間企業への流出 ・有資格休眠者の多さ |
医療事務 | ・一般企業の賃上げ ・クリニック独自の営業時間 ・医療需要増大 |
それぞれについて、採用市場動向を確認しながら議論していきます。
看護師の採用市場動向
まずは、現在のクリニック・病院含めた医療・福祉業界全体から看護師数について確認していきましょう。
厚生労働省の発表では、2025年までに必要な看護師数は188〜202万人と想定されている一方で、2025年の看護師数は175〜182万人と想定されており、最大で27万人もの看護師が不足する見込みとなっています。
また、現在看護師全体の数は増加傾向にあります。
近年、看護師養成学校の定員者数や入学者数は増加傾向にあり、2010年時点の看護師数は約132万人だったのに対し、2020年には約157万人と10年間で約24万人もの看護師が増加したことになります。
看護師の数は増加しているとはいえ、有効求人倍率は2023年1月時点では2.47倍で推移しています。これは、簡単にいうと、「看護師1人あたりに対して事業所が2.47個存在している」事となります。同時点での日本の全職業の平均有効求人倍率1.29倍と比較すると、全業種の中でも看護師の人手不足が深刻であることがわかります。
参照:政府統計e-Stat 一般職業紹介状況『職業安定業務統計』
有効求人倍率については、看護師の増加もあって緩やかに改善傾向です。しかし、以下に挙げる社会需要の変化によって看護師増加を打ち消す需要増の可能性もあり、引き続き経済指標にはアンテナを張っておく事が重要です。
看護師採用が難しくなっている理由
看護師採用が難しくなっている理由について、大きく4つに分けて解説していきます。
労働人口減少、医療需要増大
まずは日本全体の人口動態として、「少子高齢化」の影響を最も受けるのは医療業界です。労働年齢人口の絶対数が減少していくのは明らかですが、その分、高齢者数は増加していきます。
当然、高度医療の需要も増加すると考えられますが、外来需要は相当に増すと考えられます。
つまり、現在の人口動態(少子高齢化)になんとか「看護師増」という間に合わせで現在は深刻な看護師不足は顕在化していませんが、看護師の数も無尽蔵に増やせるわけではありません。それは資格職業である医師の我々も肌で感じている事だと思います。
今後は人口動態の影響を受け、全国各地で看護師不足となることが予想されています。
他プレイヤーの勃興(自由診療・福祉・訪問看護)
昨今、美容外科・美容皮膚科を中心とした自由診療の市場拡大、高齢者施設(サービス付き高齢者施設、有料老人ホーム)などの需要拡大、訪問看護などの居宅サービス市場の隆盛など、一昔前のレガシーな業態以外のサービスが増えてきています。
当然、病院やクリニックで囲うための想定される必要看護師数は増えていく事となります。3-1で人口動態について言及しましたが、3-1の結果、他プレイヤーの勃興という目に見える形で現れてきます。
訪問看護について紹介しますと、日本看護協会「2022年度 『ナースセンター登録データに基づく看護職の 求職・求人・就職に関する分析』では、有効求人倍率3.88倍という驚異的な数字となっています。
居宅系サービスに転職したいという看護師は職にあぶれる確率はかなり低く、居宅系サービス業界に看護師は吸収されていくことを示唆しています。
民間企業への流出
医療業界から少し目線を引いて、ヘルスケア業界に目を向けると巨大市場となっていることは多くの先生が知る事と思います。
予防医療、健康寿命促進などのヘルステック企業では有資格者を広く募っています。
SNSなどによって看護師の働き方の多様性が「見える化」したこともあり、「将来はフェムテック領域に」「民間のヘルスケアベンチャーに」と考える看護学生もいます。
こういった流れは全体の中で数としては少ないものの、「クリニックや病院で働くことが資格を活かす唯一の道ではない」という風土が醸成されていくことは、検討事項に入れるべきでしょう。
潜在看護師の多さも採用に影響を与える
看護師は女性が多く、多くの方が結婚・妊娠・出産で現場を離れます。「潜在看護師」とは、育休期間が終わっても現場に復帰せず、資格を持ちながらも看護師として働いていない人たちを指します。ない人た
2012年のデータでは、潜在看護師は全国に71万人存在しています。当時の看護師は154万人ですので、約3人に1人は潜在看護師という計算になります。
潜在看護師の割合は年代で異なっていて、以下の図のようになっています。
【年齢別・潜在看護師の割合】 | |
年代 | 潜在率(%) |
25歳未満 | 13.02 |
25~29歳 | 25 |
30~34歳 | 25.84 |
35~39歳 | 34.15 |
40~44歳 | 22.24 |
45~49歳 | 24.7 |
50~54歳 | 14.92 |
55~59歳 | 28.48 |
60~64歳 | 49.18 |
65歳以上 | 65.65 |
全年代平均 | 28.37 |
潜在看護師とは?人数・ブランク期間の実態・活用できる復職支援制度を解説
多くの開業医・採用担当とっては、この潜在層に目を向ける必要があるでしょう。「スキル不足」や「現場への自信のなさ」などの技術的な理由も要因ですが、多くの潜在看護師は「復職支援制度の不足」により復職に二の足を踏むケースが多いようです。
具体的には
- 時短勤務・フレックスタイム制
- 学童保育
- 時間外労働の免除
- 病児保育
などの福利厚生を整える事が重要と考えられます。
しかし、特定の人間だけを特別扱いすると不平不満の原因になりかねないので、制度設計は慎重に進めていく必要があります。
医療事務の採用市場動向
一般職業紹介状況(令和4年5月分)によると、全職種の平均有効求人倍率は1.06倍。
医療事務のみの有効求人倍率は0.78倍となっています。
1つの求人に1人以上の求職者がいる計算となり、看護師と比べても、採用難易度は低いと言えるでしょう。
この背景には
- 「医療事務は国家資格がなくても働ける」
- 「高卒資格でも働き手がある」
- 「クリニックという安定企業への就職」
といった要因があります。
しかし、面接通過率(応募者が実際に入職する確率)や高い離職率などは問題となっています。間口が広い裏返しの現象であるとも言えます。
よって、有効求人倍率だけを見て「医療事務は採用が容易」とは言える状況ではなく、しっかり履歴書・面接・研修期間等のステップを踏ませて人材を見極めなければなりません。
近年は、医療事務の応募自体が減っている事を多くの開業医が経験していますが、その理由について以下で議論していきたいと思います。
医療事務採用が難しくなっている理由
医療事務採用が難しくなっている理由について、大きく4つに分けて解説していきます。
一般企業の賃上げ
現在、政府の賃上げを要求を受け、上場企業をはじめとした民間企業でも、緩やかな賃金上昇のトレンドがあります。
そんななか、医療事務の平均年収は正社員で332万円、アルバイト・パートの平均時給は1081円となっています。正社員を月給換算すると約28万円、初任給は20万円程度が相場です。
現在の給与水準でも一般企業との差が大きく開いているわけではないですが、全国各地の民間企業の賃上げの影響を受け、今までの潜在的医療事務応募者の全体数よりは他企業へ流れることが予想されます。
クリニックの場合は保険診療で売上が決まっているうえ、診療報酬点数自体は引き下げの議論こそあれ引き上げの議論はなかなか起きないため、賃上げに踏み切れるクリニック経営者もなかなかいないのが現状です。
解決策として、相場の1.2倍程度の時給換算分を提示するというやり方がありますが、経営的に安定しているクリニックが取れる手段であって、そこまで余裕のない多くのクリニックにとっては取りづらい選択でもあります。
クリニック独自の営業時間
看護師の採用にも言えますが、医療事務の求職者も「女性・30代前後」がボリューム層となり、家庭を持ちながら働かなければならない人も多くいます。
民間企業が8時30分ごろに始業し、早ければ17時ごろに終業であるのに対し、クリニックの場合は、9-12時午前診察、14-18時30分午後診察といった具合に営業時間が設定されている所が多いです。いわゆるクリニック特有の長い昼休みの問題です。
それゆえに終業時刻が家庭でご飯を作る時間であったり子供の迎えの時間であったりに被ってしまうことがあります。クリニック常勤勤務が多くの主婦層から敬遠されてしまう原因の1つは、夕方〜夜にかけてもクリニック業務(または残業)があることでしょう。
解決策としては営業時間をずらすほか、「パートタイムを複数掛け合わせて1人1人の負担を減らす」ことが挙げられます。育児・時短勤務の福利厚生ももちろん有効な選択肢となります。クリニックに勤務する年齢層にマッチする福利厚生を設計することは採用労務の中でも重要な仕事の1つと言えるでしょう。
医療需要増大
医療需要の増大に従って、今後は医療事務の需要も拡大します。
当然、求めるクリニック数が増えれば採用コストが増大したり、応募人材の質が今まで以上に担保されなくなるでしょう。
解決策としては自社採用チャネルを形成すること、経営を安定させてある程度の年収/時給を確保できる予算を確保すること、人材の質に寄らないマニュアル作りを徹底しなるべく属人性を排することなど、「採用」そのものではなく、クリニック経営全体の施策として考えていくことが重要です。
求職者に選ばれるクリニックになるために
今後は時代背景も踏まえ、クリニック自らが情報発信を行い「選ばれるクリニック」になる必要があります。
給料を近隣クリニックより高額にして人材確保しているクリニックもありますが、診療報酬改訂リスクや被雇用者は自分の貰う給料に段々と慣れてしまうなど、完璧な対策とは言えません。また、当然クリニック全例で使える施策でもありません。
トレンドを汲み取り、多くのクリニックが採用のために自らが情報発信を行う時代が必ず訪れます。
情報発信を行っていないクリニックはWeb上での比較検討段階で応募候補から外れてしまうので、やはりWeb上の情報発信こそ必須の採用対策と言えます。
具体的な情報発信のやり方としては、「採用サイト(求人専門のホームページ)」を第一選択として推奨しています。
Tik tokやInstagram、Youtubeメディアの運用による採用支援も選択肢として考えられますが、弊社では、「純然たるWebサイトによる求職者の魅了」という部分をコアにして、現役医師である私の、「今後のクリニック採用コストを削減し、質の高い人材を獲得するためには」という問いに対する答えとして、クリニック向けのパッケージ型採用サイトの制作・運用を行っています。
私どもの会社、メディカルリンクでは、「採用のコスト・応募数・人材の質を改善し、診療以外のいらない不安・ストレスを無くす」というミッションを掲げています。
クリニックに興味を持った求職者をしっかり応募まで繋げることで採用コストを削減したり、採用発信をしている採用サイトを経由させることで入職後のミスマッチを減らすなど、院長の採用労務全体を下支えする支援を採用サイトを通じて行っています。
「今後の採用に向けて対策をしたい」「コストカットをしたい」等のお悩みのある先生は是非お気軽にご相談頂ければと思います。
最後に、長く拙文ではありましたが、当記事を時間をかけて読んで下さった先生方の今後の採用が少しでも改善することを切に願っています。
特徴
対応業務
その他特徴
タイプ
提供人材
診療科目
この記事は、2024年9月時点の情報を元に作成しています。
執筆 株式会社メディカルリンク代表/臨床医 | ラリホ
臨床医として働きつつ、2022年に株式会社メディカルリンクを創業。
クリニックを中心に医療機関専門のパッケージ型採用サイトの制作・運用事業を手掛け、多くのクリニックに「質の高い人材を低コストで採用する」という価値を提供し導入数は右肩上がりに伸びている。
安定した組織運営を行う傍ら、X(旧Twitter)でも採用労務のTipsを情報発信している。
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