「地域支援・医薬品供給対応体制加算」「地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)」「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」の3つはいずれも2026年度の調剤報酬改定・診療報酬改定で新設された加算ですが、名前が非常によく似ています。そのため、算定の混乱が起きやすいですが、医療機関に関係のある加算は後者の2つです。3つの違いや、それぞれの算定要件などを詳しく解説していきます。
- 【一目瞭然】3つの「医薬品供給対応体制加算」の違いまとめ
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算とは
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算の区分と算定要件
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算算定にあたっての注意点
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)とは?
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)の区分と算定要件
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)算定にあたっての注意点
- 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算とは
- 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の区分と算定要件
- 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算算定にあたっての注意点
- 薬局の地域支援・医薬品供給対応体制加算取得のために医療機関でできること
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)、地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の取りこぼしに注意しよう
【一目瞭然】3つの「医薬品供給対応体制加算」の違いまとめ
まずは、3つの加算の違いを短時間で把握できるよう概要を一覧表にまとめました。
| 加算名 | 対象 | 算定する施設 | 算定タイミング | 主な目的 |
|---|---|---|---|---|
| ① 地域支援・医薬品供給対応体制加算 | 薬局 | 保険薬局 | 調剤基本料に加算 | 地域医療への貢献+医薬品の安定供給体制を評価 |
| ② 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院) | 入院患者 | 病院・有床診療所 | 入院初日 | 入院患者への医薬品の安定供給体制を評価 |
| ③ 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算 | 外来患者 | 診療所(主に無床診療所) | 1処方につき | 外来患者への医薬品の安定供給体制を評価 |
地域支援・医薬品供給対応体制加算とは
地域支援・医薬品供給対応体制加算とは、医薬品の安定供給に資する取り組みや、地域医療に貢献する保険薬局体制などを評価する「調剤基本料」の算定項目です。
従来の評価体系で設けられていた、次の2つの算定項目を統合・再編することによって誕生した算定項目です。
- 後発医薬品調剤体制加算:後発品の使用促進や安定供給を評価
- 地域支援体制加算:地域の医療を支える薬局の体制整備や取り組みを評価
なぜこれら2つの算定項目が見直されることになったかというと、前者に関しては、近年、後発医薬品の使用が定着傾向にある一方で、医薬品の供給不安が続き、薬局の業務負担が大きくなっていたという背景があります。また、後者は、地域においての医薬品供給を通して、適切な医療提供体制構築を促進するべきであるという考えから、見直されることになりました。
前提として、令和8年度(2026年度)の調剤報酬改定の主なポイントが、「地域の医療品供給拠点としての役割を発揮する評価体系の見直し」「安心・安全で質の高い医療の推進のための薬局・薬剤師業務の対人業務における評価の見直し」であったので、この2つの算定項目の見直しは大きな意味を持っているということになります。
⇒参照:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」より「令和8年度調剤報酬改定の主なポイント」
院内処方の場合も「調剤基本料」は算定できない
医薬品の安定供給に資する取り組みなどに関連した算定項目であれば、院内処方の医療機関の場合は算定できるように思うかもしれませんが、地域支援・医薬品供給対応体制加算は「調剤基本料」の算定項目であるため、院内処方の医療機関では算定不可です。
なぜかというと、院内処方の医療機関で算定できるのは、「調剤基本料」ではなく、「調剤技術基本料」だからです。
2つの違いは次の通りです。
調剤基本料
- 対象:保険薬局(調剤薬局)
- 意味:医薬品の備蓄や管理体制など、薬局が処方箋に基づいて調剤をおこなうための体制や経営基盤を評価する基本料金
- 特徴:処方箋の受付回数や特定の医療機関との集中率などによって点数が変動する。患者1回の処方箋受付ごとに算定
調剤技術基本料
- 対象:病院や診療所(医療機関の院内処方)
- 意味:医療機関内に勤務する常勤薬剤師の管理のもとで調剤がおこなわれたことや、調剤管理が充実していることを評価する医科診療報酬
- 特徴:入院患者は42点、その他の患者は14点で、患者1人につき月1回に限り算定される。ただし、院外処方箋を交付した場合は算定不可
なお、医療機関は別途、「地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)」「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」を算定できる場合があります。2つの加算については追って後述します。
地域支援・医薬品供給対応体制加算の区分と算定要件
地域支援・医薬品供給対応体制加算は、地域支援・医薬品供給対応体制加算1から地域支援・医薬品供給対応体制加算5の5つの区分にわけられています。
各区分の対象薬局と点数は次の表の通りです。
| 区分 | 対象薬局 | 点数 |
|---|---|---|
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算1 | 特別調剤基本料Bを算定している薬局以外 | 27点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算2 | 調剤基本料1の薬局 | 59点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算3 | 調剤基本料1の薬局 | 67点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算4 | 調剤基本料1以外の薬局(ただし、特別調剤基本料Bを算定している薬局は除く) | 37点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算5 | 調剤基本料1以外の薬局(ただし、特別調剤基本料Bを算定している薬局は除く) | 59点 |
※「特別調剤基本料B」とは、地方厚生局に対して調剤基本料の施設基準に係る届出をおこなっていない保険薬局が算定する、1回につき3点の調剤基本料区分です。
なお、「特別調剤基本料A」を算定している薬局では、所定点数を100分の10にして、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定します。
特別調剤基本料Aとは、医療機関と不動産取引などの「特別な関係」があり、特定の病院の処方箋集中率が50%を超える、いわゆる「敷地内薬局」などに適用される調剤基本料の特別な区分です。
地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準
地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準は次の通りです。
地域支援・医薬品供給対応体制加算1~5に共通の施設基準
- 地域医療に貢献する体制を有することを示す実績(このあと解説)
- 地域における医薬品等の供給拠点としての対応
- イ 十分な数の医薬品の備蓄、周知(医療用医薬品1,200品目)
- ロ 薬局間連携による医薬品の融通等
- ハ 医療材料および衛生材料を供給できる体制
- ニ 麻薬小売業者の免許
- ホ 取り扱う医薬品に係る情報提供体制
- ヘ 調剤室の面積が16平方メートル以上確保されていること(令和8年6月以降に開設・改築・増築する場合のみ適用)
- 休日、夜間を含む薬局における調剤・相談応需体制
- イ 一定時間以上の開局
- ロ 休日、夜間の開局時間外の調剤・在宅業務に対応できる体制
- ハ 当該薬局を利用する患者からの相談応需体制
- ニ 夜間・休日の調剤、在宅対応体制(地域の輪番体制含む)の周知
- 在宅医療をおこなうための関係者との連携体制などの対応
- イ 診療所または病院および訪問看護ステーションと円滑な連携
- ロ 保健医療・福祉サービス担当者との連携体制
- ハ 在宅薬剤管理の実績24回以上
- ニ 在宅に係る研修の実施
- 医療安全に関する取組の実施
- イ プレアボイド事例の把握・収集
- ロ 医療安全に資する取組実績の報告
- ハ 副作用報告に係る手順書を作成
- かかりつけ薬剤師が服薬管理指導をおこなう旨の届出
- 患者ごとに服薬指導の実施、薬剤服用歴の作成
- 管理薬剤師要件(薬局経験5年以上、週31時間以上勤務、当該薬局在籍1年以上)
- 研修計画の作成、学会発表などの推奨
- 患者のプライバシーに配慮、椅子に座った状態での服薬指導
- 地域医療に関連する取組の実施
- イ 一般用医薬品および要指導医薬品等(基本的な48薬効群)の販売
- ロ 健康相談、生活習慣に係る相談の実施
- ハ 緊急避妊薬の調剤または販売を含む女性の健康に係る対応
- ニ 当該保険薬局の敷地内における禁煙の取扱い
- ホ たばこの販売禁止(併設する医薬品店舗販売業の店舗を含む)
- へ セルフメディケーション関連機器の設置(次のうち少なくとも3つ:①体重計 ②体温計 ③血圧測定器 ④体組成計 ⑤血中酸素飽和度測定器 ⑥握力計 ⑦骨密度測定器 ⑧心電計)
- ト 薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを提供していないこと
共通の施設基準のうち(1)について
共通の施設基準のうち(1)については、加算区分によって、満たすべき要件が次のように異なります。
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算2 → 次に挙げる④を含む3つ以上
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算3 → 次に挙げる①~⑨のうち7つ以上
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算4 → 次に挙げる④、⑥を含む3つ以上
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算5 → 次に挙げる①~⑨のうち7つ以上
| 要件 | 基本料1 | 基本料1以外 |
|---|---|---|
| ① 夜間・休日などの対応実績 | 40回以上 | 400回以上 |
| ② 麻薬の調剤実績 | 1回以上 | 10回以上 |
| ③ 調剤時残薬調整加算および薬学的有害事象等防止加算の算定実績 | 20回以上 | 40回以上 |
| ④ 服薬管理指導料1のイおよび2のイ(かかりつけ薬剤師)の算定実績 | 20回以上 | 40回以上 |
| ⑤ 外来服薬支援料1の実績 | 1回以上 | 12回以上 |
| ⑥ 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 | 24回以上 | 24回以上 |
| ⑦ 服薬情報等提供料に相当する実績 | 30回以上 | 60回以上 |
| ⑧ 小児特定加算の算定実績 | 1回以上 | 1回以上 |
| ⑨ 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度などの研修認定を取得した保険薬剤師が地域の多職種と連携する会議への出席 | 1回以上 | 5回以上 |
※①~⑧は処方箋1万枚当たりの年間回数、⑨は薬局当たりの年間の回数を示します。
⇒参照:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」より「地域支援体制加算の見直し」
地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準
地域支援・医薬品供給対応体制加算1に関しては、次の①②の両方を満たしている必要があります。
① 後発医薬品の調剤割合
当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品および後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であること
※【経過措置】令和8年3月31日において、現に後発医薬品調剤体制加算1、2または3に係る届出をおこなっている保険薬局については、令和9年5月31日までの間に限り、本要件に該当するものとみなす
② 地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制
- 医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理をおこなうこと
- 他の保険薬局に医薬品を分譲した実績(同一グループは含めない)があること。なお、分譲に係る伝票、医療用医薬品の譲渡書または別紙様式4-1を用いて記録をおこない、分譲後2年間保存する必要がある
- 医薬品供給不安などにより、迅速な医薬品入手が困難な場合は、入手可能な保険薬局を探して在庫を確認のうえ、患者を紹介するか、または処方医に処方変更の可否を照会する等適切な対応をすること。なお、患者を他の保険薬局に案内する場合は、別紙様式4-2を用いること。受け取った保険薬局は2年間これを保存すること
- 重要供給確保医薬品のうち内用薬および外用薬であるものは、1ヶ月程度の備蓄をするよう努めること
- 原則として、単品単価交渉の実施をしていること
- 卸売販売業者への頻回配送・休日夜間配送・急配に係る過度な依頼を慎むこと
- 温度管理を要する医薬品や在庫調整を目的とした卸売販売業者への医薬品の返品は慎むこと
- 地域の保険医療機関や保険薬局、医療関係団体と連携して、取り扱う医薬品の品目についての情報共有や、事前の取り決めをおこなっておくことが望ましい
地域支援・医薬品供給対応体制加算算定にあたっての注意点
続いては、地域支援・医薬品供給対応体制加算算定にあたって注意すべきポイントを確認していきます。
届出の手続きと時期
地域支援・医薬品供給対応体制加算を算定するには、施設基準を満たしたうえで、地方厚生(支)局へ所定の届出(様式87の3、必要に応じて様式87の3の2)を提出する必要があります。
新規届出の場合は、後発医薬品の調剤数量割合は直近3か月、その他の実績要件は直近1年間の実績に基づいて確認されます。届出前に、必要な実績がそろっているかを十分に確認しておくことが重要です。
実績のカウント方法・記録の残し方
実績要件に含まれる在宅患者への薬学的管理、服薬情報提供、医薬品供給体制などは、算定実績を日頃から継続的に記録・管理しておくことが欠かせません。
後発医薬品の調剤数量割合は毎月集計して、その他の実績も1年間分を遡って確認できるよう、レセコンや帳票、業務記録などを保存しておくと、届出時や適時調査への対応が円滑になります。
要件を満たせなくなった場合の取り扱い
届出後に施設基準を満たさなくなった場合は、そのまま算定を続けることはできません。要件を欠いたことが判明した時点で、速やかに地方厚生(支)局へ届け出るとともに、加算の算定を中止する必要があります。
継続的に算定するためには、後発医薬品の調剤割合や地域医療への貢献実績などを定期的に確認して、施設基準を維持するための体制を整えておくことが重要です。
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)とは?
続いては、「地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)」について説明していきます。
前述の通り、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」は保険薬局が対象の調剤基本料ですが、「地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)」は、病院および有床診療所が対象の医科診療報酬です。
前者は、薬局が地域の医薬品供給拠点として安定供給を担う体制を評価するもので、後者は、入院医療機関が医薬品不足に対応できる体制を評価するもので、患者の入院初日に算定されます。
算定対象は、入院基本料(特別入院基本料等含む)または特定入院料のうち、本加算を算定できるものを現に算定している患者です。
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)の区分と算定要件
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)の区分は、地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)1~地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)3の3つの区分にわかれています。
それぞれの点数は次の通りです。
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)1:87点
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)2:82点
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)3:77点
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)の主な施設基準
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)の主な施設基準は次の通りです。
- ① 後発品採用決定体制
- 病院:薬剤部門で品質・安全性・安定供給体制の情報を収集・評価して、薬事委員会などで採用決定する体制
有床診療所:薬剤部門または薬剤師が同様の体制を整備 - ② 後発品使用割合
- 加算1:90%以上 / 加算2:85%以上90%未満 / 加算3:75%以上85%未満
- ③ 院内掲示
- 入院受付・外来受付・支払窓口の見やすい場所に後発品使用推進の掲示
- ④ 供給不足時の体制
- 処方変更などに適切に対応できる体制の整備
- ⑤ 掲示内容
- 供給不足時の対応体制、薬剤変更の可能性、患者説明の掲示
- ⑥ ウェブサイト掲載
- 上記③⑤の掲示事項を原則、自院のホームページに掲載する(ただし、ホームページを有しない場合は除く)
そのほか、流通改善関連要件として以下の施設基準も遵守する必要があります。
- 個々の医薬品の価値および流通コストを無視した値引き交渉を慎むこと。また、原則として全ての品目について単品単価交渉とすること
- 医薬品の流通の効率化および安定供給の確保のため、卸売販売業者への頻回配送、休日夜間配送および急配に係る過度な依頼を慎むこと
- 厳格な温度管理を要する医薬品および在庫調整を目的とした医薬品などについては卸売販売業者への返品を慎むこと
- 医薬品の流通改善および安定供給の観点から、平時から地域の保険医療機関、保険薬局および医療関係団体と連携して、取り扱う医薬品の品目について情報共有や事前の合意などに取り組むことが望ましい
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)算定にあたっての注意点
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)は、単に後発医薬品の使用割合が高いだけでは算定できません。医薬品の安定供給に向けた体制整備や施設基準の届出など、複数の要件を満たす必要があります。算定漏れや返戻を防ぐため、次の点に注意しましょう。
地方厚生局への届出が必要
本加算は、施設基準を満たしているだけでは算定できません。事前に地方厚生局へ施設基準の届出をおこない、受理されていることが前提となります。届出前に算定することはできません。
算定できる入院料であることを確認する
すべての入院患者が対象になるわけではありません。対象となるのは、地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定が認められている入院基本料、あるいは特定入院料を算定している患者です。対象外の入院料では算定できません。
算定は「入院初日」のみ
この加算は入院初日に1回だけ算定できます。入院期間中に毎日算定できるものではなく、転棟や長期入院によって繰り返し算定できるわけでもありません。
後発医薬品使用率だけで判断しない
2026年度改定では、従来の「後発医薬品使用体制加算」が見直されました。現在は後発医薬品の使用割合に加えて、次の項目なども満たしている必要があります。
- 医薬品の安定供給への取り組み
- 品質・安全性に関する情報収集・評価
- 医薬品流通の適正化
- 地域での情報共有
「使用率だけ満たせばよい」という考え方では要件を満たせません。
安定供給に関する取り組みを継続する
施設基準は、一度届出をすれば終わりではありません。医薬品の供給状況の把握や代替医薬品への対応、医薬品流通改善への取り組みなどを継続的に実施して、基準を維持する必要があります。
加算区分(1~3)の要件を確認する
本加算には、加算1(87点)、加算2(82点)加算3(77点)の3区分があります。施設基準によって算定できる区分が異なるため、自院がどの区分に該当するかを正しく確認しましょう。
実績や根拠資料を保存しておく
施設基準を満たしていることを説明できるよう、次のような記録を適切に保存しておくことが重要です。
- 後発医薬品使用実績
- 医薬品供給状況の記録
- 医薬品採用委員会の議事録
- 流通改善への取り組み記録
- 地域での情報共有記録
【チェックリスト】
算定前に、次の項目を確認しましょう。
□ 地方厚生局へ施設基準を届出済み
□ 対象となる入院料を算定している患者である
□ 入院初日のみ算定している
□ 自院が該当する加算区分(1~3)を確認している
□ 後発医薬品使用率だけでなく安定供給体制も整備している
□ 医薬品供給・流通改善の取り組みを継続している
□ 実績や記録を保存している
地域支援・外来医薬品供給対応体制加算とは
続いては、「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」について説明していきます。
「地域支援・医薬品供給対応体制加算」と「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」は名前がよく似ていますが、前者の対象は薬局で、後者の対象は医療機関です。
具体的には、診療所における医薬品の安定供給体制を評価するための調剤報酬加算です。
後発医薬品の使用が定着する一方で、出荷調整や限定出荷などが原因の供給不安によって、医療機関に追加業務が生じている状況を踏まえ、令和8年度改定で「医薬品の安定供給に資する体制を有する医療機関」への評価として新設されました。つまり、地域支援・医薬品供給対応体制加算の新設理由とほぼ同じということになります。
また、同時に従来の外来後発医薬品使用体制加算が廃止されている点についても、地域支援・医薬品供給対応体制加算と類似しているといえるでしょう。
地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の区分と算定要件
地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の区分は、地域支援・外来医薬品供給対応体制加算1~地域支援・外来医薬品供給対応体制加算3の3つの区分にわかれています。
それぞれの点数は次の通りです。
- 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算1:8点
- 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算2:7点
- 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算3:5点
地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の主な施設基準
地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の主な施設基準は次の通りです。
- 診療所では、薬剤部門または薬剤師が後発医薬品の品質、安全性および安定供給体制等の情報を収集・評価して、その結果を踏まえ後発医薬品の採用を決定する体制が整備されていること
- 当該保険医療機関において調剤した後発医薬品のある先発医薬品および後発医薬品に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が、加算1にあっては90%以上、加算2にあっては85%以上90%未満、加算3にあっては75%以上85%未満であること
- 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用に積極的に取り組んでいる旨を掲示していること
- 医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更などに関して適切な対応ができる体制が整備されていること。当該体制に関する事項並びに医薬品の供給状況によって投与する薬剤が変更となる可能性があること および変更する場合には患者に十分に説明することについて掲示していること
- 個々の医薬品の価値および流通コストを無視した値引き交渉を慎むこと。また、原則として全ての品目について単品単価交渉とすること
- 医薬品の流通の効率化および安定供給の確保のため、卸売販売業者への頻回配送、休日夜間配送および急配に係る過度な依頼を慎むこと
- 厳格な温度管理を要する医薬品および在庫調整を目的とした医薬品等については卸売販売業者への返品を慎むこと
- 医薬品の流通改善および安定供給の観点から、平時から地域の保険医療機関、保険薬局および医療関係団体と連携して、取り扱う医薬品の品目について情報共有や事前の合意等に取り組むことが望ましい
⇒参照:大分県医師会「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の新設」
地域支援・外来医薬品供給対応体制加算算定にあたっての注意点
地域支援・外来医薬品供給対応体制加算を算定するためには、後発医薬品の使用だけでなく、医薬品の安定供給に向けた体制整備や届出などの要件を満たす必要があります。算定漏れや施設基準違反を防ぐため、次のポイントを確認しましょう。
地方厚生局への届出が必要
本加算は、施設基準を満たしているだけでは算定できません。地方厚生局へ施設基準の届出をおこない、受理されていることが算定の前提です。届出前に算定することは認められません。
算定対象は「外来患者への投薬」
本加算は、外来患者に対して投薬をおこなった場合に算定できます。対象となる医療機関は主に診療所であり、1処方につき1回算定します。入院患者には算定できません。
後発医薬品使用率だけでは算定できない
2026年度改定では評価の対象が拡大されました。現在は、後発医薬品の品質・安全性の評価、安定供給に関する情報収集、採用品目の適切な選定、医薬品流通改善への取り組みなども施設基準に含まれています。そのため、「後発医薬品を多く処方しているだけ」では要件を満たしません。
医薬品の供給不足への対応体制を整える
近年の供給不安を踏まえて、出荷調整情報の収集、代替医薬品の選定、必要に応じた処方変更、医薬品の安定供給に向けた院内体制を整理しておくことが求められます。
加算区分(1~3)の要件を確認する
本加算には、加算1:8点、加算2:7点、加算3:5点の3区分があります。後発医薬品の使用割合などに応じて算定できる区分が異なるため、自院がどの区分に該当するかを確認しておきましょう。
後発医薬品の使用割合は継続的に管理する
施設基準では、後発医薬品の使用割合などの実績を継続的に満たすことが求められます。なお、医薬品の供給停止などやむを得ない事情がある場合は、厚生労働省が一定期間、使用割合の算出方法について臨時的な取扱いを示すことがあります。最新の事務連絡を確認しましょう。
実績や記録を保存しておく
施設基準を満たしていることを説明できるよう、後発医薬品使用実績や医薬品採用に関する記録、医薬品供給状況の確認記録などを適切に保存しておきましょう。
【算定前チェックリスト】
□ 地方厚生局へ施設基準を届出済み
□ 外来患者への投薬で算定している
□ 1処方につき1回の算定となっている
□ 自院が該当する加算区分(1~3)を確認している
□ 後発医薬品の使用割合を継続的に管理している
□ 医薬品の品質・安全性・安定供給に関する情報を収集・評価している
□ 供給不足時の代替薬対応体制を整備している
□ 実績や会議録などの根拠資料を保存している
薬局の地域支援・医薬品供給対応体制加算取得のために医療機関でできること
冒頭でも触れた通り、地域支援・医薬品供給対応体制加算は薬局が対象の調剤基本料であるため、基本的には医療機関には関係ないので、ざっくりと概要を理解しておけば充分です。ただし、患者の安全な服薬管理や治療効果の向上、および地域医療の円滑な運営のために、医療機関と薬局が協力体制を築くことは不可欠です。
現に、地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準にも、「(4)在宅医療をおこなうための関係者との連携体制などの対応 イ 診療所または病院および訪問看護ステーションと円滑な連携」が含まれています。同時に、医療機関側でも、薬局との連携強化について考えていくことが大切です。
たとえば、電子カルテCLIUSで電子処方箋オプションを利用すれば、医療機関で発行した電子処方箋を電子処方箋管理サービスへスムーズに登録可能で、薬局側はその処方箋データを取得して調剤できます。また、医療機関と薬局の間で処方・調剤情報をしっかり共有できるので、電子カルテの新規導入や乗り換えを検討しているなら、こうしたサービスを利用してみるのもおすすめです。
⇒参照:連携強化加算の算定要件は?
地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)、地域支援・外来医薬品供給対応体制加算の取りこぼしに注意しよう
先にも解説した通り、地域支援・医薬品供給対応体制加算(入院)、地域支援・外来医薬品供給対応体制加算は2026年診療報酬改定において新設されたばかりなので、算定要件などをきちんと把握できていなければ、取りこぼす可能性があります。しかも、調剤基本料である地域支援・医薬品供給対応体制加算を含めて名称が似ているため、間違えないよう注意することが大切です。まずは、電子カルテとレセコンの連携をはじめ、レセプトの精度向上のためにできることから始めることで、自院の経営の安定を目指していってくださいね。
⇒参照:CLIUS「連携」
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
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