導尿は算定できる?J064「尿道拡張を要するもの」の範囲と同日併施の扱い

導尿は日常的に行う手技ですが、算定の可否で迷いやすい処置です。点数表に載っているのは「導尿(尿道拡張を要するもの)」だけで、単に尿を抜いただけの導尿には対応する区分がありません。

さらに、同じ日に膀胱洗浄や留置カテーテル設置を行ったときの扱い、在宅自己導尿指導管理料を算定している患者に対する扱いなど、点数表の注と留意事項通知を両方見ないと判断できない場面があります。

この記事では、導尿に関係する区分を並べたうえで、算定できる場合とできない場合を整理します。点数は令和8年度診療報酬改定後の医科点数表によります。

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目次
  1. 導尿に関係する区分を並べる
  2. 「尿道拡張を要するもの」に当たらない導尿は算定できない
  3. 同じ日に複数行ったときは、主たるもの1つ
  4. 在宅自己導尿指導管理料を算定している患者には算定できない
  5. 残尿測定の「導尿によるもの」は処置ではない
  6. 間歇的導尿(J065)は対象患者と期間が限られる
  7. 外来で導尿したときの判断の順番
  8. 算定を探さなくてよい場面
  9. よくある質問
    1. 単純な導尿はまったく算定できませんか
    2. 導尿に使ったカテーテル代は請求できますか
    3. 在宅自己導尿指導管理料を算定している月に、外来で緊急に導尿しました。算定できますか
    4. 膀胱洗浄と導尿を同じ日に行いました。両方算定できますか
    5. 残尿測定の導尿は処置として算定しますか
  10. まとめ
  11. 参考

導尿に関係する区分を並べる

まず、どの区分が候補になるかを確認します。

区分 名称 点数
J063 留置カテーテル設置 40点
J064 導尿(尿道拡張を要するもの) 40点
J065 間歇的導尿(1日につき) 150点
J066 尿道拡張法 216点
D216-2の2 残尿測定(導尿によるもの) 45点
C106 在宅自己導尿指導管理料 1,400点

J063からJ066は第9部処置の泌尿器科処置、D216-2は第3部検査、C106は第2部在宅医療です。同じ「導尿」という言葉でも、何のために行ったかで属する部が変わります。

「尿道拡張を要するもの」に当たらない導尿は算定できない

点数表の区分名は「導尿(尿道拡張を要するもの)」です。尿道拡張を要しない導尿には、対応する処置料の区分がありません。

医科点数表に関する事項の通則には、次のように書かれています。

基本診療料は、簡単な検査(例えば、血圧測定検査等)の費用、簡単な処置の費用等(入院の場合には皮内、皮下及び筋肉内注射並びに静脈内注射の注射手技料等)を含んでいる。

尿閉の患者にカテーテルを入れて尿を抜いただけであれば、処置料としては算定せず、初診料・再診料に含まれる扱いになります。使用したカテーテルも、特定保険医療材料に該当しない限り別に算定できません。

判断の分かれ目は、尿道が狭くて通常のカテーテルが通らず、拡張の手技を伴ったかどうかです。診療録に、拡張を要した理由と実際に行った手技を残しておかないと、後から根拠が説明できなくなります。

なお、尿道拡張そのものを目的として行った場合は、J066 尿道拡張法(216点)が別に設定されています。

同じ日に複数行ったときは、主たるもの1つ

外来では、膀胱洗浄と導尿、あるいは留置カテーテル設置と導尿を同じ日に行う場面があります。この場合の扱いは、留意事項通知のJ060の項に書かれています。

膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿(尿道拡張を要するもの)、後部尿道洗浄(ウルツマン)又は薬液膀胱内注入を同一日に行った場合には、主たるものの所定点数により算定する。

対象になるのは次の5つです。

区分 名称 点数
J060 膀胱洗浄(1日につき) 60点
J060-2 後部尿道洗浄(ウルツマン)(1日につき) 60点
J063 留置カテーテル設置 40点
J064 導尿(尿道拡張を要するもの) 40点
薬液膀胱内注入

この5つのうち複数を同じ日に行っても、算定できるのは点数が高いものだけです。膀胱洗浄と導尿を同じ日に行ったなら、60点の膀胱洗浄が残ります。レセコンの設定によっては両方が自動で立つことがあるので、同日に複数行う運用があるクリニックは、一度設定を見ておきます。

また、カテーテル留置中に膀胱洗浄を行った場合は、1日につき膀胱洗浄で算定します。留置カテーテル設置の方は、長期間バルーンカテーテルを留置するための挿入手技料として算定し、必要があって交換したときの挿入手技料も同じ区分で算定します。

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在宅自己導尿指導管理料を算定している患者には算定できない

ここが一番取りこぼしやすいところです。J064の注には次のように書かれています。

区分番号C106に掲げる在宅自己導尿指導管理料又は区分番号C109に掲げる在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者に対して行った導尿の費用は算定しない。

対象になる患者の範囲は、留意事項通知でさらに広く定義されています。C106やC109の管理料そのものを算定している患者だけでなく、これらに係る在宅療養指導管理材料加算、薬剤料、特定保険医療材料料のみを算定している患者も含まれます。ただし入院中の患者と、医療型短期入所サービス費または医療型特定短期入所サービス費を算定している短期入所中の患者は除かれます。

同じ制限は、J063 留置カテーテル設置、J060 膀胱洗浄、J060-2 後部尿道洗浄にもかかります。

患者の状態 J064 導尿 J063 留置カテーテル設置 J060 膀胱洗浄
C106・C109を算定していない 算定できる 算定できる 算定できる
C106またはC109を算定している(外来) 算定できない 算定できない 算定できない
C106・C109の材料加算や特定保険医療材料料のみを算定している(外来) 算定できない 算定できない 算定できない
入院中 制限の対象外 制限の対象外 制限の対象外

在宅自己導尿へ移行した患者が、発熱などで外来を受診してカテーテルを入れ直した、という場面が典型です。管理料を算定している月は、処置料を別に立てられません。

残尿測定の「導尿によるもの」は処置ではない

排尿後の残尿量を測る目的で導尿した場合は、処置ではなく検査のD216-2 残尿測定で算定します。

  • 超音波検査によるもの 55点
  • 導尿によるもの 45点

患者1人につき月2回が限度です。同じ日に超音波によるものと導尿によるものの両方を行った場合は、主たるもので算定します。

治療のために尿を抜いたのか、残尿量を測るために抜いたのか、目的で区分が変わります。診療録の記載も、この目的が分かる形にしておきます。

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間歇的導尿(J065)は対象患者と期間が限られる

J065 間歇的導尿は150点と点数が大きいぶん、対象が絞られています。留意事項通知では次のとおりです。

間歇的導尿は、脊椎損傷の急性期の尿閉、骨盤内の手術後の尿閉の患者に対し、排尿障害の回復の見込みのある場合に行うもので、6月間を限度として算定する。

さらに親水性カテーテル加算(70点)は、在宅自己導尿を予定している入院中の患者に対して、間歇導尿用ディスポーザブルカテーテルを使用した場合の加算です。加算の対象は、親水性コーティングが施され、包装内に潤滑剤が封入されていて、開封後すぐに挿入できるもののみとされています。

外来で反復的に導尿を行っているというだけでJ065を立てると、対象患者の要件から外れます。

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外来で導尿したときの判断の順番

迷ったときは、次の順に見ると区分が決まります。

  1. 何のために導尿したかを確認する。残尿量を測るためならD216-2、治療のためなら処置の部へ進む
  2. その患者がC106またはC109を算定していないかを確認する。算定していれば、外来では処置料を立てられない
  3. 尿道拡張を要したかどうかを確認する。要していなければ、処置料はなく基本診療料に含まれる
  4. 同じ日に膀胱洗浄・留置カテーテル設置・後部尿道洗浄・薬液膀胱内注入を行っていないかを確認する。行っていれば主たるもの1つ

順番が大事なのは、2を先に見ないと3と4の検討が無駄になるためです。

算定を探さなくてよい場面

「何か取れるはず」と探すより、取れない場面をはっきりさせたほうが早く終わります。

  • 尿閉の患者にカテーテルを入れて尿を抜いただけなら、処置料はありません。基本診療料に含まれるので、算定は探しません
  • C106 在宅自己導尿指導管理料を算定している患者に外来で導尿しても、処置料は立ちません。管理料に含まれています
  • 膀胱洗浄と導尿を同じ日に行ったなら、片方だけです。両方立てると返戻や査定の対象になります
  • 残尿量を測るための導尿は、月2回までです。3回目以降は算定できません
  • 尿道が狭く拡張の手技を伴ったのであれば、J064で算定します。この場合は診療録に拡張を要した理由を残します

よくある質問

単純な導尿はまったく算定できませんか

処置料としては算定できません。点数表にあるのは「尿道拡張を要するもの」だけで、それに当たらない導尿は基本診療料に含まれます。

導尿に使ったカテーテル代は請求できますか

特定保険医療材料として定められているものを除き、別に算定できません。留置カテーテル設置の場合も、設置時に使用する注射用蒸留水や生理食塩水などの費用は所定点数に含まれ、別に算定できないとされています。

在宅自己導尿指導管理料を算定している月に、外来で緊急に導尿しました。算定できますか

外来であれば算定できません。C106を算定している患者に対して行った導尿の費用は算定しないと点数表の注に定められています。

膀胱洗浄と導尿を同じ日に行いました。両方算定できますか

できません。膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿(尿道拡張を要するもの)、後部尿道洗浄、薬液膀胱内注入を同じ日に行った場合は、主たるものの所定点数で算定します。

残尿測定の導尿は処置として算定しますか

しません。検査のD216-2 残尿測定の「2 導尿によるもの」で算定し、患者1人につき月2回が限度です。

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まとめ

  • 点数表にあるのは「導尿(尿道拡張を要するもの)」(J064・40点)だけで、拡張を要しない導尿は基本診療料に含まれる
  • 膀胱洗浄、後部尿道洗浄、留置カテーテル設置、導尿、薬液膀胱内注入を同じ日に行ったときは主たるもの1つ
  • C106 在宅自己導尿指導管理料またはC109 在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者は、外来で導尿・留置カテーテル設置・膀胱洗浄のいずれも算定できない。材料加算や特定保険医療材料料のみの算定でも同じ扱い
  • 残尿量を測る目的の導尿は検査(D216-2)で、月2回が限度
  • J065 間歇的導尿は、脊椎損傷の急性期の尿閉や骨盤内の手術後の尿閉で回復の見込みがある場合に限り、6か月が限度

参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保医発0305第6号)医科点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
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