令和8年度診療報酬改定をわかりやすく。クリニックが今やること

令和8年度診療報酬改定は、すでに施行されています。令和8年3月5日に告示(厚生労働省告示第69号)され、本体部分は令和8年6月1日から適用されました。薬価改定は令和8年4月1日、材料価格は6月1日です。

つまり2026年9月現在、論点は「何が決まるか」ではなく「自院が取りこぼしていないか」に移っています。この記事は改定項目を網羅する代わりに、無床クリニックが実際に手を動かす順番で整理します。

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目次
  1. 改定率は2年分がセットになっている
  2. 外来で無床クリニックに影響する変更点
    1. 基本診療料と、新設された物価対応料
    2. 生活習慣病管理料の見直し
    3. 機能強化加算に業務継続計画が加わった
    4. 外来医師過多区域での新規開業に減算措置
  3. 在宅をやっているクリニックの変更点
  4. 医療DX関連は「導入」から「活用」へ
    1. どの区分を狙うかの判断軸
  5. 届出のルールを逆算する
  6. 期限の一覧(無床クリニックに関係するもの)
  7. 自院でやることチェックリスト
  8. 2026年9月時点でまだ決まっていないこと
  9. よくある質問
  10. まとめ
  11. 参考

改定率は2年分がセットになっている

今回いちばん誤解されやすいのが改定率の読み方です。

診療報酬本体の改定率はプラス3.09%ですが、これは令和8年度と令和9年度の2年度平均です。単年で見ると次のようになります。

年度 本体改定率
令和8年度 +2.41%
令和9年度 +3.77%

薬価は▲0.86%、材料価格は▲0.01%で、合計▲0.87%です。

本体プラス3.09%の内訳は、賃上げ分+1.70%、物価対応分+0.76%、入院時の食費・光熱水費分+0.09%、令和6年度改定以降の経営環境悪化を踏まえた緊急対応分+0.44%、効率化による▲0.15%、その他+0.25%となっています。各科の改定率は医科+0.28%です。

物価対応のうち、診療報酬に特別な項目を設定して対応する+0.62%分の配分は、病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%です。病院に手厚い配分で、無床クリニックへの配分は限定的だと押さえておいてください。

実務上いちばん影響が大きいのは、令和9年6月にもう一段の引き上げが控えているという点です。今年の対応で終わりではありません。

外来で無床クリニックに影響する変更点

基本診療料と、新設された物価対応料

初診料は291点で据え置き、再診料は75点から76点になりました。

これとは別に、外来・在宅物価対応料が新設されています。

区分 令和8年 令和9年6月以降
初診時 2点 4点
再診時等 2点 4点
訪問診療時 3点 6点

令和9年6月以降は所定点数の100分の200、つまり2倍になります。この加算に施設基準の届出は要りません。算定要件を満たせば算定できる項目なので、6月以降のレセプトに載っているかどうかだけを確認してください。載っていなければ、レセコンの設定の抜けか算定の失念です。

生活習慣病管理料の見直し

生活習慣病管理料(I)(II)には複数の見直しが入りました。実務に直結するのは次の3点です。

  • 療養計画書について、患者の署名を受けることを要しない取り扱いが入った
  • 生活習慣病管理料(I)は、原則として必要な採血等を少なくとも6月に1回以上行うことが要件になった
  • 糖尿病を主病とする患者について、眼科・歯科を標榜する他の医療機関との連携が評価される方向になった

あわせて充実管理加算(30点/20点/10点)が新設されました。ただしこれは外来データ提出加算を届け出ていることが前提で、加算1は厚生労働省が集計する実績値が届出医療機関全体の上位20%、加算2は上位50%であることが条件です。自院の努力だけでは区分が確定しない性質の加算なので、まず外来データ提出加算の届出があるかを確認するところから始まります。

機能強化加算に業務継続計画が加わった

機能強化加算(80点)の施設基準に、業務継続計画(BCP)を策定し、計画に従い必要な措置を講じることが追加されました。定期的な見直しも求められます。外来データ提出加算・在宅データ提出加算の届出は「望ましい」要件です。

令和8年3月31日時点で機能強化加算を届け出ていた医療機関には、令和9年5月31日までの経過措置があります。裏を返すと、その日までにBCPが無いと要件を満たさなくなります。

外来医師過多区域での新規開業に減算措置

医療法と健康保険法の改正を受けて、外来医師過多区域で地域に不足する医療機能の提供要請に応じず、保険医療機関の指定が3年以内の期限付きとなった診療所は、機能強化加算・地域包括診療加算・地域包括診療料・小児かかりつけ診療料が算定できず、在宅療養支援診療所の届出もできなくなりました。

開業予定地を検討している段階なら、都道府県が指定する区域の扱いを事前に確認しておく必要があります。

在宅をやっているクリニックの変更点

在宅療養支援診療所の施設基準にも、業務継続計画の策定が要件として入りました。こちらも令和8年3月31日時点の届出医療機関には令和9年5月31日までの経過措置があります。機能強化加算と期限が同じなので、BCPは1本作れば両方の要件を満たせます。

負担が減る方向の変更もあります。在支診の看取り数等の報告に係る要件は削除されました。

このほか、地域包括診療加算・地域包括診療料と在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料について、診療の際に患家の残薬を確認し、それを踏まえた服薬管理を行うことが要件に加わっています。訪問時の手順に組み込む必要がある変更です。

期限が迫っているものが1つあります。在宅患者訪問看護・指導料の注19に定める訪問看護医療情報連携加算について、ウェブサイト掲載の基準を満たすものとみなす経過措置が令和8年9月30日までです。該当する加算を算定しているなら、自院サイトへの掲載が済んでいるか今週中に確認してください。

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医療DX関連は「導入」から「活用」へ

ここが今回いちばん構造が変わった領域です。

医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算は廃止されました。代わりに電子的診療情報連携体制整備加算が新設されています。

区分 点数 算定
加算1 15点 初診時・月1回
加算2 9点 初診時・月1回
加算3 4点 初診時・月1回
(区分なし) 2点 再診時・月1回

再診時にも点数が付いたのが旧加算との違いです。

施設基準は(1)から(10)まであり、加算1は(1)〜(10)の全て、加算2は(1)〜(7)の全てかつ(8)〜(10)のいずれか、加算3は(1)〜(7)の全てという構造です。(8)以降が電子処方箋の発行体制、接続インターフェースを持つ電子カルテ、電子カルテ情報共有サービス等の活用体制にあたります。

全区分に共通する関門は、(5)のマイナ保険証利用率30%以上です。電子カルテを入れ替えても、利用率が届かなければ加算3すら届け出られません。

どの区分を狙うかの判断軸

区分の優劣ではなく、自院の条件で選んでください。

自院の条件 現実的な選択
マイナ保険証利用率が30%に届いていない まず利用率を上げる。加算の検討はその後
利用率30%以上、電子処方箋も電子カルテ情報共有サービスも未対応 加算3(4点)を届け出て、まず基本要件で取る
利用率30%以上、電子処方箋か情報共有サービスのどちらか一方に対応済み 加算2(9点)
両方に対応済み、または厚生労働省認証の電子カルテを使用 加算1(15点)
紙カルテ運用で、当面システム更新の予定がない 届出を見送る判断も成り立つ。再診時2点も同じ基準が前提なので、無理に取りにいく実益は小さい

初診月1回の加算なので、1か月の初診患者数が少ないクリニックほど、届出の手間に対する回収が遅くなります。月の初診が数十人規模なら、加算1と加算3の差は月数百点です。システム投資の判断は、加算の点数ではなく日々の運用が楽になるかどうかで決めるほうが結果として合います。

そのほか、救急時医療情報取得加算(50点)と、情報通信機器を用いた医学管理で重複投薬等チェックを行い電子処方箋を発行する場合の遠隔電子処方箋活用加算(10点・月1回)が新設されています。

なお、初診料の注1については、電子処方箋システムを有していない場合にオンライン資格確認等システム等で薬剤情報を確認すれば要件に該当するとみなす経過措置が、令和10年5月31日まで設けられています。

届出のルールを逆算する

改定内容より先に、この手続きのルールを知らないと間に合いません。保医発0305第7号は次のように定めています。

  • 各月の末日までに要件審査を終えて届出が受理された場合は、翌月1日から算定する。月の最初の開庁日に受理された場合は当該月1日から算定する
  • 届出にあたっては、特に規定がある場合を除き、届出前1か月の実績を有していること
  • 地方厚生局の要件審査は原則2週間以内を標準とし、遅くとも概ね1か月以内(補正に要する期間を除く)

つまり「今月出して来月から算定」は、実績1か月と審査期間を考えると成立しないことがあります。算定を始めたい月から2か月ほど逆算して動くのが現実的です。

届出は郵送のほか、保険医療機関等電子申請・届出等システムでのオンライン申請に対応しています。月曜から土曜の8時から21時であれば提出でき、即時受付されます。入力チェック機能があるため差戻しのリスクも下がります。

算定を間違えないカルテの選び方

算定や記録の抜け漏れは、カルテ側で必要な情報が見えるかどうかで変わります。選ぶときに何を見ればよいかを整理した資料です。

一番やさしい電子カルテの選び方ブックを見る

期限の一覧(無床クリニックに関係するもの)

期限 対象 内容
令和8年9月30日 訪問看護医療情報連携加算 ウェブサイト掲載の基準のみなし
令和8年9月30日 外来腫瘍化学療法診療料1 急変時対応の指針整備に係る基準のみなし
令和8年12月31日 救急外来医学管理料 地域の救急医療に関する取組の要件のみなし
令和9年3月31日 生活習慣病管理料(I)(II)注4 充実管理加算1の実績要件のみなし
令和9年5月31日 機能強化加算 業務継続計画に係る要件のみなし
令和9年5月31日 在宅療養支援診療所 業務継続計画の策定等に係る要件のみなし
令和9年6月 外来・在宅物価対応料 所定点数が100分の200になる
令和10年5月31日 初診料の注1 電子処方箋システム未保有の場合のみなし

経過措置は今後変更される可能性があると、厚生労働省の資料にも明記されています。最新の告示・通知と施設基準届出チェックリストを都度確認してください。

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自院でやることチェックリスト

今週中(9月30日の期限に間に合わせる)

  • 訪問看護医療情報連携加算を算定しているか。算定しているなら、必要事項を自院ウェブサイトに掲載済みか
  • 外来腫瘍化学療法診療料1を届け出ているなら、急変時対応の指針が整備済みか

今月中(取りこぼしの棚卸し)

  • 6月以降のレセプトに外来・在宅物価対応料が載っているか(届出不要の項目なので、設定の抜けは自院でしか気づけません)
  • 再診料が76点で算定されているか
  • 医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算を算定し続けていないか(両方とも廃止されています)
  • 電子的診療情報連携体制整備加算の届出を出したか。出していないなら、マイナ保険証利用率が30%に届いているかを先に確認する
  • 生活習慣病管理料(I)を算定しているなら、採血等が6月に1回以上実施されているか

年内

  • 業務継続計画(BCP)の作成に着手する。機能強化加算と在支診の両方の要件に使えます
  • 救急外来医学管理料を届け出ているなら、地域の救急医療に関する取組の要件を12月31日までに満たす
  • 地域包括診療加算・在総管を算定しているなら、患家での残薬確認を訪問手順に組み込む

令和9年3月まで

  • 外来データ提出加算の届出状況を確認し、充実管理加算の実績値の通知に備える

令和9年5月まで

  • BCPを完成させ、機能強化加算・在支診の要件を満たす状態にする

令和9年6月

  • 物価対応料が2倍になるため、レセコンの点数マスタ更新をベンダーに確認する

2026年9月時点でまだ決まっていないこと

改定内容そのものは告示・通知で確定していますが、施行後も動いている論点があります。言い切っている情報に接したときは、以下が未確定であることを踏まえて判断してください。

  • 令和9年度の更なる調整。実際の経済・物価の動向が令和8年度改定時の見通しから大きく変動し、医療機関の経営状況に支障が生じた場合には、賃上げ分・物価対応分・食費光熱水費分について、令和9年度予算編成で加減算を含む更なる調整を行うとされています。そのための経営状況調査が令和8年度に実施されます。令和9年6月の2倍という数字も、この調整の対象になり得ます
  • 令和9年度の薬価改定の対象品目の範囲と適用ルール。中医協の薬価専門部会で議論が続いています
  • OTC類似薬の保険給付の見直し。令和8年9月9日の中医協総会(第656回)で「その2」として議題に上がっており、結論は出ていません
  • 一部保険外療養の創設に伴う療養担当規則等の見直し。同日の総会で諮問された段階です
  • 医療法人の経営情報データベース(MCDB)の報告義務化。職種別の給与・人数の報告について、令和8年中に結論を得るとされています
  • 費用対効果評価の価格調整範囲の拡大。令和8年中に一定の対応を図るとされています
  • 医師多数区域での更なるディスインセンティブ措置のあり方。令和10年度診療報酬改定で結論を得るとされています
  • 疑義解釈は継続中です。令和8年9月2日の「その12」まで発出されており、官報訂正も複数回出ています。算定の細部は、最新の疑義解釈で解釈が変わることがあります

よくある質問

Q. 令和8年度改定はいつから算定するのですか

本体部分は令和8年6月1日からです。薬価改定は令和8年4月1日、材料価格は6月1日からでした。

Q. 外来・在宅物価対応料に届出は要りますか

要りません。算定要件を満たせば算定できます。令和9年6月以降は所定点数の100分の200になります。

Q. 医療DX推進体制整備加算を届け出ていました。そのまま算定できますか

できません。廃止されており、後継にあたる電子的診療情報連携体制整備加算は届出を取り直す必要があります。

Q. 今から施設基準を届け出た場合、いつから算定できますか

各月の末日までに要件審査を終えて受理されれば翌月1日から算定します。ただし届出前1か月の実績が原則必要で、審査にも標準で2週間、長ければ概ね1か月かかります。算定を始めたい月から逆算して準備してください。

Q. 経過措置の期限を過ぎるとどうなりますか

当該施設基準を満たさない状態になります。届出を取り下げるか、要件を満たすかの二択です。届出内容と異なる事情が生じた場合は、速やかに地方厚生局へ届け出る義務があります。

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まとめ

令和8年度診療報酬改定は令和8年6月1日に施行済みで、いま確認すべきは「改定内容」ではなく「自院の取りこぼしと、次の期限」です。

押さえる順番は3つです。

  1. 届出不要の外来・在宅物価対応料が6月以降のレセプトに載っているか
  2. 廃止された医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算からの切り替えができているか
  3. 機能強化加算と在宅療養支援診療所のBCPを令和9年5月31日までに用意できるか

改定率プラス3.09%は2年度平均であり、令和9年6月にもう一段の引き上げが控えています。ただしその調整幅は経済・物価の動向次第で見直される可能性が残っています。今年の対応を終わりと考えず、令和9年度の調整まで視野に入れて運用を組んでください。

参考

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、