特定薬剤治療管理料の算定要件|対象薬剤と月の回数・初回月加算・4月目以降の判定表、カルテ記載例

特定薬剤治療管理料は、決められた薬を使っている患者の血中濃度を測り、その結果で投与量を調整したときに算定する点数です。抗てんかん剤やリチウム、テオフィリンなどを処方していて、定期的に血中濃度を測っているクリニックでは、毎月のように出てくる点数です。

この記事は、血中濃度を測っている内科・精神科などの診療所の院長と医事担当の方に向けて、算定のし忘れと返戻を防ぐための要件を、判定表とカルテ記載例で整理します。内容は令和8年6月1日施行の告示、留意事項通知、記載要領で確かめたものです。

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目次
  1. 特定薬剤治療管理料1・2の点数と令和8年度改定で変わったこと
  2. 特定薬剤治療管理料1の対象薬剤と疾患の判定表
  3. 特定薬剤治療管理料1の算定ルール:月の回数・初回月加算・4月目以降
  4. 特定薬剤治療管理料のカルテ記載例とレセプト摘要欄
  5. 特定薬剤治療管理料で返戻・指摘されやすいケース
  6. よくある質問
    1. 院外処方で薬を出している患者でも算定できますか
    2. 血中濃度の測定を外部の検査会社に出しても算定できますか
    3. 特定薬剤治療管理料2はどんなときに算定しますか
  7. まとめ
  8. 参考

特定薬剤治療管理料1・2の点数と令和8年度改定で変わったこと

特定薬剤治療管理料は1と2に分かれていて、対象がまったく違います。

区分 点数 何を評価するか
特定薬剤治療管理料1 470点 対象薬剤の血中濃度を測り、結果に基づいて投与量を精密に管理した
特定薬剤治療管理料2 100点 サリドマイド製剤などの安全管理や、カルタヘナ法に基づく管理が必要な薬剤の指導をした

令和8年度改定で変わったのは管理料2です。これまでのサリドマイド製剤に加えて、薬事承認の際にカルタヘナ法に基づく管理が必要とされた薬剤を処方する患者に、医師が管理状況の確認と適正使用の説明をした場合も対象になりました。管理料1の点数と対象薬剤は、個別改定項目に変更が挙がっていません。

診療所で日常的に使うのは管理料1なので、以下は管理料1を中心に説明します。

特定薬剤治療管理料1の対象薬剤と疾患の判定表

管理料1は、薬剤だけでなく「どの病気に使っているか」の組み合わせで対象が決まります。同じバルプロ酸でも、てんかん、躁うつ病、片頭痛で区分が分かれます。

薬剤 対象になる患者 4月目以降の減算
抗てんかん剤 てんかんの患者 減算なし
バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン 躁うつ病または躁病の患者 減算なし
リチウム製剤 躁うつ病の患者 4月目以降は半分
ハロペリドール製剤、ブロムペリドール製剤 統合失調症の患者 4月目以降は半分
クロザピン 統合失調症の患者(治療抵抗性統合失調症治療薬として) 4月目以降は半分
バルプロ酸ナトリウム 片頭痛の患者 通知に減算の例外としての記載なし
ジギタリス製剤 心疾患の患者 4月目以降は半分
不整脈用剤(プロカインアミド、ジソピラミド、ピルジカイニド、メキシレチン、フレカイニド、シベンゾリン、アミオダロン、ベプリジルなど15成分) 不整脈で継続的に投与している患者 4月目以降は半分
テオフィリン製剤 気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、未熟児無呼吸発作の患者 4月目以降は半分
サリチル酸系製剤 若年性関節リウマチ、リウマチ熱、慢性関節リウマチで継続的に投与している患者 4月目以降は半分
シクロスポリン ベーチェット病などの非感染性ぶどう膜炎、再生不良性貧血、乾癬、全身型重症筋無力症、既存治療で効果不十分のアトピー性皮膚炎、ネフローゼ症候群、川崎病の急性期などの患者 減算なし(免疫抑制剤)
タクロリムス水和物 全身型重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎、多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎の患者 減算なし(免疫抑制剤)
免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス、エベロリムス、ミコフェノール酸モフェチル) 臓器移植後で拒否反応の抑制に投与している患者 減算なし

このほか、悪性腫瘍に対するメトトレキサート、結節性硬化症に対するエベロリムス、イマチニブ、腎細胞癌に対するスニチニブ、シロリムス製剤、ブスルファン、重症真菌感染症などに対するボリコナゾール、入院中に数日以上投与するアミノ配糖体・バンコマイシン・テイコプラニン・ボリコナゾールも対象です。表にない薬剤は、当局への内議を経て準用が通知されたものを除き、血中濃度を測っても管理料1は算定できません。

4月目以降の減算から外れるのは、留意事項通知で「抗てんかん剤または免疫抑制剤を投与している患者」と、躁うつ病・躁病でバルプロ酸かカルバマゼピンを投与している患者です。片頭痛でバルプロ酸を使っている患者がこの例外に入るかは通知に書かれていないため、扱いに迷う場合は審査支払機関か地方厚生局に確認してください。

特定薬剤治療管理料1の算定ルール:月の回数・初回月加算・4月目以降

対象に当てはまったら、次の表で何点を算定するかを決めます。

場面 算定のしかた
同じ月に2回以上測った 月1回だけ。第1回の測定と治療管理をしたときに算定する
てんかんの患者で2種類以上の抗てんかん剤を使い、同じ月に複数の薬剤の濃度を測って個々の投与量を管理した その月は2回まで算定できる
別の病気に別の薬を使っている(例: てんかんの抗てんかん剤と、喘息のテオフィリン) それぞれ算定できる
同じ病気でも、判定表の別の区分の薬を使っている(例: 頻脈にジギタリスと不整脈用剤) それぞれ算定できる
初めて算定する月 頻回の測定が要る初回月に限り、初回月加算280点を足す(470点+280点=750点)
薬剤を変更した月 初回月加算は算定できない
4月目以降(減算の例外を除く) 所定点数の100分の50(235点)。4月目は初回の算定から暦月で数える
ジギタリス製剤の急速飽和、全身性けいれん発作重積状態で抗てんかん剤の注射などをした 1回に限り740点。その月は通常の管理料1も初回月加算も算定できない

血中濃度の測定、そのための採血、結果に基づく投与量の管理は、この管理料に含まれています。月に何回測っても、測定の費用は別に請求できません。

臓器移植後の免疫抑制剤には、移植月を含む3か月の臓器移植加算(2,740点)や、ミコフェノール酸モフェチル・エベロリムスの加算があります。入院中のバンコマイシンの加算もありますが、外来中心の診療所ではほとんど使わないので、ここでは触れるだけにします。

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特定薬剤治療管理料のカルテ記載例とレセプト摘要欄

留意事項通知は、管理料1について「薬剤の血中濃度」と「治療計画の要点」を診療録に添付するか記載するよう求めています。検査結果を貼るだけで治療計画の要点がないと、要件を満たしたことを示せません。

てんかんの患者で、バルプロ酸の血中濃度を測った月の記載例です。

項目 記載例
対象薬剤と疾患 てんかん。バルプロ酸ナトリウム徐放錠 800mg/日
採血日 2026年10月8日(服薬後約12時間)
血中濃度 バルプロ酸 62μg/mL(検査結果を添付)
評価 前回測定時と同程度。直近3か月発作なし。眠気・振戦の訴えなし
治療計画の要点 現行量を継続。次回は3か月後に測定。発作再発時や併用薬を変えたときは臨時に測定
算定 特定薬剤治療管理料1(抗てんかん剤のため4月目以降も減算なし)

減算の対象になる薬剤では、「初回算定 2026年7月、今月で4か月目」のように、何か月目かがカルテから読めるようにしておくと、医事で点数を間違えません。

レセプトの摘要欄には、記載要領に沿って次を書きます。

  • 対象患者の区分:留意事項通知の(イ)から(ナ)のうち該当するものを選んで記載(てんかんの抗てんかん剤なら(ロ))
  • 初回の算定年月:ただし、抗てんかん剤・免疫抑制剤を投与している患者と、それ以外の薬剤で4月目以降を算定する場合は省略できる
  • 管理料2をカルタヘナ法の薬剤で算定した場合:その薬剤名

算定を間違えないカルテの選び方

算定や記録の抜け漏れは、カルテ側で必要な情報が見えるかどうかで変わります。選ぶときに何を見ればよいかを整理した資料です。

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特定薬剤治療管理料で返戻・指摘されやすいケース

算定そのものができないケースと、記録が足りずに指摘されるケースがあります。

ケース 理由
判定表にない病気に使っている薬で算定した(例: 対象外の疾患へのシクロスポリン) 薬剤と疾患の組み合わせが通知の区分に当てはまらない
同じ月に2回測って2回算定した 月1回が原則。2回算定できるのは2種類以上の抗てんかん剤を同月に複数測った場合だけ
血中濃度の検査料を別に請求した 測定と採血の費用は管理料に含まれる
薬を変えた月に初回月加算を算定した 初回月加算は初めての月だけで、薬剤変更では算定できない
リチウムやテオフィリンで4月目以降も470点のまま算定した 減算の例外は抗てんかん剤・免疫抑制剤などに限られる
生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定している患者に別に算定した (Ⅰ)は医学管理等の費用を包括しており、特定薬剤治療管理料は除外されていない
診療録に血中濃度か治療計画の要点がない 留意事項通知の記載要件を満たさない

生活習慣病管理料(Ⅱ)は、告示で特定薬剤治療管理料を包括の対象から外しているので、要件を満たせば別に算定できます。高血圧や脂質異常症で生活習慣病管理料を算定している患者に、ジギタリスや不整脈用剤を使っている場合は、(Ⅰ)と(Ⅱ)のどちらを算定しているかで扱いが変わります。

東北厚生局が公表している個別指導の資料でも、特定薬剤治療管理料1は指摘の多い項目に挙げられ、「薬剤の血中濃度・治療計画の要点について、診療録への記載が不十分」という例が示されています。審査では通っても、個別指導で記録が確認できなければ返還を求められることがあります。

よくある質問

院外処方で薬を出している患者でも算定できますか

告示と留意事項通知の要件は、対象の薬剤を投与している患者の血中濃度を測り、結果に基づいて投与量を管理することです。院内処方であることは要件に含まれていないため、院外処方の患者でも要件を満たせば算定できます。

血中濃度の測定を外部の検査会社に出しても算定できますか

測定をどこで行うかは要件に含まれていません。ただし、測定の費用は管理料に含まれているため、検査料を別に請求することはできません。結果が届いたら、値と治療計画の要点をカルテに残してください。

特定薬剤治療管理料2はどんなときに算定しますか

サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドを処方する患者に、所定の安全管理手順を守ったうえで医師と薬剤師が管理状況の確認と説明をし、製造販売企業に定期的に報告した場合と、令和8年度からはカルタヘナ法に基づく管理が必要な薬剤を処方する患者に、医師が確認と説明をした場合です。月1回まで100点で、指導内容の要点を診療録に記録します。

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まとめ

特定薬剤治療管理料1は、薬剤と疾患の組み合わせ、月1回の原則、初回月加算、4月目以降の減算の4点で点数が決まります。まずは血中濃度を測っている患者を薬剤ごとに洗い出し、減算の対象かどうかと初回の算定月をカルテに書く形を院内でそろえてください。

参考

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対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、