クリニックの事務長の役職や権限とは?雇用を検討する院長のための解説

「診療に専念したい・・・。」
「自分一人ではそろそろ限界だ。」
「なんでも自分で管理している状況を変えたい。」

このような悩みを抱える開業医の先生は少なくないのではないでしょうか。
日々の診療に加え、経営者や管理者としての仕事を抱えた状態で円滑にクリニックを運営することはとても大変なことです。
クリニックに事務長を採用することで得られるメリットは多くあります。
膨大かつ煩雑な業務の数々から解放され、本来注力すべき診療といった仕事に専念できたというケースは少なくありません。
ただ、「自分のクリニックに事務長を採用して本当にうまくいくのだろうか」とためらう先生もいらっしゃることでしょう。

ここでは、事務長の雇用を検討するときに知っておきたい、クリニック事務長の役割や仕事、スキル、そして採用時に注意すべきポイントなどを解説します。

目次
  1. 1.クリニックの「事務長」とは?どのような役割を担う?
    1. (1)医療機関の事務長とは?役職や権限について
    2. (2)クリニック事務長にはどのような役割を担ってもらう?
      1. クリニック事務長はプレイングマネージャー
      2. 情報の中枢・ネットワーク・発信役
      3. 情報の収集と分析、戦略の策定と実行役
      4. ヒト・モノ・カネの経営資源を最適化する
    3. (3)クリニック事務長にどのような仕事を任せる?事務長の業務内容
      1. 採用と人事・労務管理、そして教育
      2. 経理・財務
      3. 広報
      4. 経営企画・総務・庶務
    4. (4)クリニック事務長に求められるスキルとは?
  2. 2.事務長を採用する際に気をつけたいこと
  3. 3.事務長を配置しても失敗する理由
  4. 4.院長とともにクリニックの経営全体を支える事務長

1.クリニックの「事務長」とは?どのような役割を担う?

クリニックを運営するには開業医の先生一人では手いっぱいです。また、開業後順調に患者を増やし資金繰りが安定してきても「スタッフが増え、スタッフとの距離が遠くなった」「事務処理・雑務が増えた」「運営管理が行き届かず、限界を感じている」といった新たな課題が発生し悩みは尽きません。

そうした時に診療以外の大部分を任せることのできる事務長がいれば、クリニックの円滑な運営を実現できます。

では、実際にクリニック事務長は「何をする人」なのかポイントをしぼり解説します。

(1)医療機関の事務長とは?役職や権限について

事務長の役職と権限概要

一般的に、医療機関の事務は、「医事」「総務」「経理」「労務」に分けられ、事務長は「医療機関の事務業務全般を統括」する責任ある役職です。そのため、一般的な事務長の役割は、医事や総務、経理、労務管理にわたる広い知識が必要で、すべてに関係する業務に携わります。

大規模な病院であれば、事務長の役職や権限はそれぞれの慣例に影響される部分が往々にしてありますが、新規開設のクリニックやこれから事務長を配置しようとするクリニックにおいては一概に断言できるものではなく、柔軟に考える必要があります。なぜなら形態・規模・組織のあり方などの経営環境や院長の方針によって、その役割や権限が大きく異なるからです。

例えば、事務長に対して、広範囲にわたる知識を持つ経験を求める場合や、財務や経理のプロ、労務管理や人材マネジメントのプロといった特定の分野に強い経験者を必要とする場合が考えられますし、求められる能力は状況に応じて段階的に変化する可能性があります。

とはいっても、クリニックの事務長は院長とともに経営を担う大きな屋台骨となる役職であることに間違いありません。そのため、どんな医療機関でもある程度共通する部分もあります。

クリニックの事務長選びで失敗したくないなら

CLIUS・クリニック開業ナビでは、十分な実績のある信頼できる人材会社をご紹介。
「クリニックの事務長選びに失敗して後悔したくない」「どの人材会社に依頼すればいいのかわからない」「今の事務長の動きが遅い」などのお悩みを解消します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

一般的にどのような役割や仕事があるのか具体的に次の項でご紹介します。

(2)クリニック事務長にはどのような役割を担ってもらう?

事務長が果たすべき4つの役割

クリニックの事務長は院長と二人三脚で歩んでいくというのが理想のイメージです。それを実現するために事務長の役割は多岐にわたります。大きく分けて、以下のような4つの役割が事務長に期待されています。

クリニック事務長はプレイングマネージャー

クリニックを開業する先生方は「経営者・管理者・医師」の立場で運営し、多忙を極め、余裕がないといった言葉をよく耳にします。
そのため、院長が時間をかけるべき業務に注力できる環境を整えることが事務長の重要な役割の一つです。

事務長は院長でなくても対応できること、具体的にはスタッフや患者さんからの意見や相談、苦情対応はもちろんのこと院外機関や市区町村、保健所とのやりとりなど、医療行為以外のすべてに対応します。
事務長は現場の最前線に立って自ら業務を動かし、現場のスタッフとコミュニケーションを密にとり、院長と現場スタッフの橋渡し的存在になることによって、生産性の高い組織作りに貢献します。

特に少数精鋭のクリニックでは、事務長はプレイングマネージャーとしての役割を担うことが多くあります。

情報の中枢・ネットワーク・発信役

経営責任者である院長に的確な経営判断をしてもらうため、事務長はクリニックのヒト・モノ・カネの情報を詳細に把握・統制し、院長に正確に伝達する役割があります。

反対に、院長の発信力を強めるのも事務長の重要な役割であり、「院長が言っていたことはこういったことです」「院長ならこう考える。だからこうしよう」など院長の言葉に含蓄を持たせて、スタッフへ浸透させていく、代弁者としての役割も担います。
さらに、院外機関や市区町村、保健所のみならず、求職者、メディアに対して様々な情報を発信する役割(集患PR、広報)も担います。

情報の収集と分析、戦略の策定と実行役

医療を取り巻く環境の劇的な変化に対応するための情報の収集と分析、戦略の策定と実行は事務長の重要な役割です。
経営判断をするのはあくまでも院長ですが、事務長はそのサポートを行い、院長への情報の提供と下された経営判断を実行するための計画立案、実行、進捗を管理し調整する役割を担います。

クリニックの事務長選びで失敗したくないなら

CLIUS・クリニック開業ナビでは、十分な実績のある信頼できる人材会社をご紹介。
「クリニックの事務長選びに失敗して後悔したくない」「どの人材会社に依頼すればいいのかわからない」「今の事務長の動きが遅い」などのお悩みを解消します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

ヒト・モノ・カネの経営資源を最適化する

事務長のもっとも重要な役割は、クリニックのヒト・モノ・カネの経営資源を最適化することといえるでしょう。
院長の経営理念や方針に従い、ヒト・モノ・カネ、情報の経営資源をうまく活用・管理することで、クリニックにとって最善の結果を生み出すことが事務長に求められます。

また、クリニックの成長や存続のためには、院長に代わってシビアな決断をスタッフに迫る場面が少なからずあります。

さらには、院長に対しても誤った方向に進むことを食い止めるご意見番でもあります。
それはクリニックにおいて、医療以外のことすべてに責任を持つ事務長の責務といえるでしょう。
ここに、事務長が院長とともにクリニックを経営するパートナーといわれる所以があります。

(3)クリニック事務長にどのような仕事を任せる?事務長の業務内容

では、実際に事務長を配置する際にはどのような仕事を任せたらよいのか一般的な例を以下にご紹介します。

採用と人事・労務管理、そして教育

事務長は、必要人員、勤務条件、募集スケジュールなどの採用計画を立案したり、ハローワークや就職専門誌、募集サイトなど募集媒体の決定と出稿をしたり、書類選考と面接対応まで一連の採用活動を担います。

また、社会保険や入退職手続き、勤怠、給与管理はもちろん、スタッフの教育とマネジメントなど人材が定着する業務設計と実行も事務長の仕事です。

経理・財務

クリニックは非営利組織ではありますが、患者サービスを維持していくためには利益を上げることが必要となります。そのため財務データの把握、管理が重要となり、当然ながらお金の出し入れは事務長の仕事です。

広報

最近の広報は、集患のためだけでなく、人々の健康や病への関心の高まりを背景に、情報発信として使われ、競合他院との差別化をはかるクリニック経営にとても大事な仕事になっています。

院内掲示、ウェブサイトの構築と運用、さまざまなメディアへの露出といったクリニックの広報活動は事務長の仕事です。

経営企画・総務・庶務

“最も苦労する”のがヒトに関わる仕事であるのに対して、“最も時間を費やす”のが次のような経営企画・総務・庶務的仕事です。

・経営情報分析、戦略提案、業務改善提案等の提案業務
・医師折衝や患者折衝、クレーム対応、リスク管理、業務調整など
・関係業者への交渉
・施設管理、物品管理全般・経営管理業務(未収金管理、金銭管理等含む)、経営指標の数値管理
・その他 施設基準管理 経営企画 行政対応 適時調査・監査対応

事務長を新規に雇用した場合、これまで医師が行っていた膨大かつ煩雑な業務を事務長に任せることで診療以外の業務を格段に減らすことができますし、これが事務長を採用する一番のメリットといえるかもしれません。

(4)クリニック事務長に求められるスキルとは?

一般的にクリニックの事務長は医療行為以外の全てを担うゼネラリストとして、高い能力が必要です。
幅広い知識と高いコミュニケーション能力、いち早く問題をとらえ、果敢に取り組めるモチベーションの高さと実行力が必要です。事務長のスキルがクリニックにマッチすればクリニックの雰囲気が一変するともいわれています。

かつては金融機関出身の方が財務や経理のプロとして採用されるケースが多くありましたが、近年、クリニックの経営環境が厳しくなる中において安定した運営を行うため、医療や経営に関する専門的な知識や企画力、組織マネジメント能力を備えた人材の需要が高まっています。

2.事務長を採用する際に気をつけたいこと

いざ院長をサポートしてくれる事務長の採用を検討しても、「なかなか良い人材に巡り合えない」といった悩みも発生します。
ではどのように事務長を採用すればよいのでしょうか。

生え抜きの優秀な人材を事務長に就任させるのが一番よいのですが、実際は難しいのが現状です。
そのため、多くのケースでは異業種・他職種から人材を求めることになります。製薬企業や医療機器メーカーで「もっと医療の現場で役立ちたい」と考える人、一般企業で財務や経理、総務部門などで鍛えられた人、それぞれに高いモチベーションをもって新しい視点やアイデアをもたらすメリットがあります。

また、人件費を抑えるために非常勤や委託、派遣という手もあります。必要な時に必要な相談ができ、短時間であっても、経営のサポートをしてくれるので院長の時間的余裕が生まれます。
ただ、外部の人材であればだれでもよいということではありません。院長の参謀や女房役となって、クリニックの理念を共有し、経験にとらわれず、謙虚にクリニックの中で学び、スタッフ一人ひとりに目を配れる人材を選ぶことが非常に重要となります。

3.事務長を配置しても失敗する理由

せっかく事務長を配置したのにうまく機能せず結局事務長制を廃止するケースは少なくありません。その背景には、冒頭に挙げた事務長の役割や権限の不明確さが関係していることがほとんどです。

もともと医療の有資格者が集まるクリニックにおいて、事務長の仕事は「非生産的業務」として看護師をはじめ医療スタッフから低く見られる傾向にあります。
業務範囲や権限が曖昧な場合、事務長を任された人は困惑し、周囲もまた「何をしているのか分からない人」と思ってしまうことで事務長制がうまく機能しなくなってしまいます。

事務長はクリニック全体の情報を詳細に把握し、統制し、院長に正確に伝達する役割があります。信用性の高いコミュニケーションをとっていれば、わざわざ院長が全てを掌握する必要はありません。
事務長職を機能させるためには、管理職としての業務範囲や権限を明確にし、院内でも「重要な役割」であることをクリニックのスタッフ全員に理解してもらう必要があります。

4.院長とともにクリニックの経営全体を支える事務長

院長が優秀な事務長を配し、その能力を十分に引き出すことができれば、そのクリニックは素晴らしい組織になります。事務長は院長の得てして弱い部分を補い、経営全体の力量を高めてくれる存在となってくれるでしょう。

今回、ご紹介したクリニック事務長の役割や仕事内容、求めるスキルなどを参考に、円滑なクリニック運営につなげていただければと思います。


【参考】
・CLIUSクリニック開業マガジン「現役・事務長に取材。クリニックの事務長の仕事内容とは?「激務」との噂は本当?
・日経メディカルプロキャリア「病院・クリニックで異なる採用ニーズ。求められる事務長とは?
・CLINICStationPortal「クリニック経営における事務長の役割と重要性
・PHC クリニック開業コラム「診療に集中できる事務長制
・クリニック開業ナビ「クリニックにおける事務長の仕事内容とその役割とは?
・日本経営ウィル税理士法人「診療所の経営・相続Q&A「権限委譲とリーダーシップ」
・Medical Management System「事例3 雑務をせずに診療に集中したい。事務長制の成否のポイントは?」
・M3 Career 病院経営事例集「クリニック事務長のキャリア記事特集

給与明細発行、振込、職員相談、求人対応、助成金申請等々、全て対応いたします

特徴

1. 医療業界での豊富な経験と実績 2. 税法等の他法律に通じた最適な提案が可能 3. 定額料金で人事労務関連の業務を丸投げ可能 4. 超スピーディーな対応

対応業務

給与計算 住民税関連手続き 人事労務相談 社会保険 手続き代行 就業規則策定 給与規定策定・見直し 助成金 人事制度の策定 退職金 パワハラ/セクハラ メンタルヘルス 個別労働関係紛争の解決 年金相談 創業サポート M&A

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
創業から17年、現在70社ほどのクライアントのパートナーとして、人事労務のサポート!

特徴

1.クライアントファースト 東京人事労務ファクトリーは、クライアントのご要望を実現すべく、常に最善の選択を考え続けます。 2.豊富な実戦経験に基づくトラブル対応 当事務所では、特定社労士の資格を持ち、豊富な実戦経験のなかで磨き抜いた高度な法律知識と、決して諦めずに問題解決を目指す執念を持ち、クライアントと二人三脚でトラブルに立ち向かいます。 もちろん、労働契約および諸規程の整備などを通じ、日ごろからのトラブルの予防、リスクの軽減を図ります。 3.フットワークの良い対応 当事務所では、どんなに些細なことでもご質問があれば速やかに対応し、トラブル発生の際やお打ち合わせが必要な時にはすぐに駆けつけます。 電話やメール、チャットやFAXなどクライアントのご都合の良い連絡手段で気軽にご連絡をいただいています。 4.デジタルツールの導入による働き方改革の推進 ここ数年、HRテクノロジーといわれる人事関連システムが技術的・機能的に著しく進歩しており、これまで手間や時間がかかっていたタスクも効率よく処理できるようになりました。 当事務所へ現状の課題をお聞かせいただければ、機能やコストを考慮して適切なシステムを選定し、提案させていただきます。 導入後のサポートも当事務所で責任をもって対応させていただきますので、ご安心ください。 5.グローバル企業の日本進出、グローバル人材の採用支援 当事務所では外国に本社を有し、日本に進出するグローバル企業の労務管理に実績・ノウハウを積んでいます。 外国の文化的背景を理解するスタッフが対応にあたっており、本国への報告の際などに英語によるドキュメントの作成を行うこともあります。 また、日本の企業がグローバル人材を雇用する際の就労ビザの取得支援や社会保険の手続きなども行っています。

対応業務

給与計算 住民税関連手続き 人事労務相談 社会保険 手続き代行 就業規則策定 給与規定策定・見直し 助成金 人事制度の策定 退職金 メンタルヘルス 年金相談 創業サポート M&A

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 CLIUS(クリアス )

クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


他の関連記事はこちら