クリニックスタッフの退職理由で多いのは?「辞めたい」と思われないためにできること

スタッフからすぐに「辞めたい」と思われるクリニックは、常に人手不足で仕事が回らないだけでなく、新しいスタッフの採用に時間もお金もかかってロスが大きくなりがち。

では、スタッフがすぐに「辞めたい」と思うクリニックにはどんな特徴があるのでしょうか?

反対に、「ここで長く働き続けたい」と思ってもらうためにはどんなことが必要なのでしょうか?

目次
  1. スタッフが「辞めたい」と思うクリニックとは?
    1. 仕事がきつい
    2. ドクターとの関係性がよくない
    3. 患者さんからの評判がよくない
    4. お局が怖い、指導が厳しい
    5. 建物が古くて院内がキレイじゃない、清潔感がない
    6. 検査機器をはじめとする医療機器が古い
    7. 給料が安い、福利厚生が整っていない
    8. やりがいが感じられない
  2. スタッフが辞めないクリニックにするには
    1. 余裕を持って人数を採用する
    2. スタッフとのコミュニケーションを円滑にするための対策を練る
    3. 口コミの点数UPを目指す
    4. 教育制度を整える
    5. 築年数が浅く見た目的にもキレイな建物に入居する、清掃業者と契約するなどして清潔感を保つ
    6. 医療機器を新調する
    7. 給料の額を適正にする、福利厚生を充実させる
    8. やりがいを感じてもらえるにはどうすればいいかを考える
    9. 採用時にクリニックとの相性をよく考える
  3. 【番外編】辞めてもらいたいときはどうする?
    1. 退職勧告による自主退職
    2. 解雇
  4. まとめ

スタッフが「辞めたい」と思うクリニックとは?

まずは、スタッフが「辞めたい」と思うクリニックの特徴を、実際の退職理由の中でも多いものから振り返ってみていきましょう。

仕事がきつい

「残業が多い」「希望通りの休みが取れない」などの仕事の過酷さに関することは、離職率を高めるもっとも大きな要因です。

肉体的にきついというだけでなく、「家族との時間をとれない」「プライベートの予定を全然入れられない」という不満は、精神的なつらさにも関わってきます。

また、仕事がハードで心身ともに疲れが溜まってくると、仕事でのミスが起きやすくなりがち。

さらに、患者とのコミュニケーションが疎かになったり、仕事に必要なホウレンソウが抜けてしまったりといいことはありません。

とはいえもちろん、人手が足りなくてどうしても今いるスタッフを頼りにせざるをえないときもあるでしょう。

その場合は、いつもがんばってくれるスタッフを十分に労うことが大切。

感謝の気持ちを伝えることはもちろん、残業代をはじめとする手当も、双方が納得いく条件に設定することが大事です。

また、「こんなに仕事がきついと思わなかった」との理由から辞められることがないよう、スタッフの募集時点できちんと条件を伝えて、お互い納得のうえで契約を結ぶよう心がけることも大切です。

ドクターとの関係性がよくない

ドクターとスタッフが対立していたり、協力して仕事できていなかったりすると、そこで働く人みんながストレスを抱えてしまうのは当然のこと。

また、スタッフがイライラしながら働いていると、患者からもいい印象を抱いてもらえません。

患者さんからの評判がよくない

Googleの口コミなどを通して、多くの患者が医師やクリニックに対してネガティブな印象を抱いていることを知ったスタッフが、その後もそのクリニックで働き続けたいと思うでしょうか?

特に看護師は医師と患者の間に入って必要なことを伝える役目も担っているため、ギスギスした空気のなかで仕事し続けることに嫌気がさしてしまうでしょう。

お局が怖い、指導が厳しい

厳しすぎる指導や、スタッフ全員の前で怒られたりすることが多いと、精神的に辛く、働き続けるのが難しくなってしまう場合も……。

なかには上司のパワハラやお局看護師の嫌味な発言に耐えられないという声もあります。

建物が古くて院内がキレイじゃない、清潔感がない

「建物の劣化が激しく雨漏りがひどい」「空調の効きが悪い」などの問題があるとそれだけで憂鬱になってしまいます。

特に水周りに年季が感じられたり汚れが目立ったりする場合、その空間に通うこと自体嫌気がさしてしまうもの。

リニューアルや掃除で改善できることは改善したいものです。

検査機器をはじめとする医療機器が古い

検査機器が古いと、結果を読み込むのに時間がかかりがちなため、余計な時間がとられたりミスが増えたりする可能性も。

また、注射器や点滴セットなどが古いと手順が増えるため、準備が面倒だと感じる看護師も多いようです。

給料が安い、福利厚生が整っていない

がんばって仕事しても、そのがんばりにふさわしい給料をもらうことができなければ、「がんばるだけ無駄」と思われて当然です。

同様に、福利厚生が充実していないことも「辞めたい」と思われる要因となり得ます。

やりがいが感じられない

「雑務が多い」「スキルアップする機会がない」など、やりがいを感じられない職場であれば、転職を考えるというスタッフも一定数います。

スタッフが辞めないクリニックにするには

続いては、スタッフに「辞めたい」と思われないためにはどんな工夫が必要かを説明します。

余裕を持って人数を採用する

ギリギリの人数で運営していると、スタッフ一人ひとりの負担が大きくなり、「残業が多い」「なかなか休みが取れない」ということにもなりかねません。

そうした事態に陥らないためにも、多めの人数を採用しておくのが得策。

「うちはそもそもエリア内の居住者が少ないし残業はほとんどないから大丈夫」と思うドクターもいるかもしれません。

しかし、たとえば看護師がひとりしかおらず、その看護士が風邪をひいた場合、ドクターがひとりで業務をこなさなければならないことを考えると、多めの人数を雇っておいたほうが安心なのは明らかでしょう。

また、スタッフ一人ひとりの負担を減らすために、たとえば予約システムを導入するなどして、業務の効率化を図ることもひとつの手段です。

スタッフとのコミュニケーションを円滑にするための対策を練る

スタッフとドクターとの間に大きな壁があると、スタッフは働きづらさを感じます。

ドクター側にその意識がなくても、「雇う側」と「雇われる側」という関係性である以上、「雇われている側」は立場上意見を言いにくいもの。

そうした壁を取り払うためにも、コミュニケーションを活性化させることの大切さに目を向けることは大切です。

ドクターから積極的に話しかけるだけでなく、定期的に1on1の時間を設けたり、面と向かって意見を口にしにくいスタッフがいることも鑑みてLINEグループを作ったりの工夫を凝らしてみることをおすすめします。

口コミの点数UPを目指す

すべての口コミが100%正しいとは限りませんし、なかにはただのクレーマーも存在します。しかし、悪い口コミが付くにはそれなりの理由がある場合がほとんどです。

クリニック側にその意識がなくても、患者側が「パワハラだ」と感じることもありますし、キレイに掃除しているつもりでも、利用者からしたら「掃除が行き届いていない」ということもあります。

一つひとつの口コミを真摯に受け止めて改善していくことで、スタッフにとっても居心地がいいクリニックへと変わっていくことができるでしょう。

教育制度を整える

できないことを怒られてばかりでうんざりしてしまう若手スタッフを減らすためにも、新人の教育制度を整えることが重要です。

わからないことをわからないと言いやすい環境であれば、安心して学ぶことができるだけでなく、医療事故の防止にもなります。

築年数が浅く見た目的にもキレイな建物に入居する、清掃業者と契約するなどして清潔感を保つ

これから開業するのであれば、建物の内観・外観のキレイさも、物件選びの大きな基準にするといいでしょう。

しかし、既に開業済で、かつ築年数が結構経っているビルに入居している場合、新しいビルへ引っ越したいと思っても、一朝一夕で成し得るものではありません。

「新しくてキレイな病院で働きたい」と思っている求職者に選んでもらうためにも、清掃に力を入れて、見た目の美しさを保つことが望ましいでしょう。

空調の効きが悪いなどの問題があるなら、空調機を新しいものに換えるだけでもだいぶ印象が変わるはず。

また、もっとも年季が目立ちやすいトイレだけでもリニューアルすると、見た目だけでなく使い勝手のよさも改善されるでしょう。

医療機器を新調する

医療機器に年季が入っていると、作業効率が落ちたりミスが増えたりするため、スタッフは働きにくさを感じがち。

「まだ使えるからもったいない」という気持ちを抱くのも当然ですが、仕事の効率UPや医療事故予防のためにできることを考えてみると、新調するという選択肢に辿り着くのではないでしょうか。

給料の額を適正にする、福利厚生を充実させる

給料の適正値を知るためには、競合の給料を調べてみることが役立つでしょう。競合がスタッフにいくら出しているかは、検索することでもある程度わかります。

ただし実際のところ、給与の額は、スタッフが離職する大きな要因とはなっていないとされています。転職先を選ぶ際には、給与の額は大きな指標となっている一方、離職を考える際に給与の額が原因となる可能性が低いのは不思議なようにも思われるかもしれませんが、そもそも、その職場に入職したという時点で、給与の額には納得しているということです。

その後、「この業務量に比してこの額では納得できない」ということになる可能性はあるにしても、基本的には、一度入職した後の、働き先の評価基準に関しては、「働いたからこそわかること」に意識が向きやすいといえます。

具体的には、ここまで説明してきた通り、院内の人間関係や機器の使いやすさ、居心地のよさなどが、「この職場で働き続けたいか」の判断基準となりやすいといえます。

また、福利厚生が整っているクリニックも、「働きたい」と思ってもらいやすいでしょう。

特に、子育てや介護をしている人であれば、家族のための時間を捻出できることも大事な条件。

「それなら常駐してくれるスタッフを雇えばいいじゃないか」という考えもあるかもしれませんが、働く人のことを考えていることがわかる雇用条件を提示していれば、それだけで求職者の多くから好印象を抱いてもらえるのも事実です。

ただし、なかには競合以上の給料を用意したり、福利厚生を整えたりすることが難しい場合もあるでしょう。その場合は、正社員にこだわらず、バイトやパートタイムでの採用を考えるのも一手です。

やりがいを感じてもらえるにはどうすればいいかを考える

雑務が多いことに不満を抱いているタイプのスタッフに対しては、掃除やコピー取りなども必要な仕事であることを理解してもらえるまで説明したうえで、それらの業務をこなしてくれることへの感謝の意を示しましょう。

同時に、やりがいを感じられる仕事を任せることもとても大切。

キャリアアップ思考が高いスタッフに対しては、研修や勉強会への参加費をサポートするなどして、応援することも好ましいでしょう。

1on1などの定期的な面談の場で、スタッフ一人ひとりがどんな働き方を望んでいるのか、今後のキャリアの展開をどう考えているのかを確認することも大事です。

採用時にクリニックとの相性をよく考える

働く環境に大きな問題がなくても、クリニックとスタッフとのソリが合わなければすぐ辞められる可能性は高いでしょう。

また、なかには、どのクリニックに勤めても問題を起こしがちなスタッフも存在します。

そうした事態を防ぐためにも、採用面接の際は相手をしっかり見極めるべく、志望理由や前の職場の退職理由などについて質問しましょう。

加えて、客観的な判断をするためにも、適性検査を活用することをお忘れなく!

⇒参照: クリニックのスタッフ採用時に適性検査を実施したほうがいい理由は?

【番外編】辞めてもらいたいときはどうする?

反対に、問題のあるスタッフに辞めてほしいときはどうすればいいかというと、対処法はいくつかあります。 まず、スタッフに退職してもらう方法としては下記の2種類になります。

退職勧告による自主退職

クリニックから該当スタッフに退職をすすめて、本人自ら退職してもらう方法です。

退職を勧告する際には、「がんばってくれたことはよくわかっているけど……」など、スタッフの仕事ぶりを認める前置きを挟むとスムーズに自主退職に持ち込める可能性が高まります。

解雇

クリニックが一方的に労働契約を解除する方法です。

自主退職を促したもののうまくいかなければ解雇……というのがよくある流れです。

しかし、解雇をした場合、解雇されたスタッフが労働基準監督署に駆け込むことも考えられます。

その結果、労働基準監督署から事情聴取が行われたり、助成金の申請に支障をきたしたりすることがありえます。

問題があるスタッフがいる場合、そうした事態にまで発展する可能性を見越して、指導内容や、指導を受けたことでスタッフに変化があったのかなどをしっかりと記録しておくことが大切です。

「しっかり指導したのに改善されなかった」という記録があれば、スタッフから不当解雇だと提訴された場合に、証拠を元に反論することが可能です。

まとめ

人事労務に関しては、開業前~開業まもない院長だけでなく、開業から数年を経ている院長でも悩むことが多いもの。

クリニックと相性のよいスタッフを見つけるためにも、悩んでいる時間を惜しんで早々にプロに相談するのもおすすめですよ!

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執筆 CLIUS(クリアス )

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