疾患別リハビリテーションの算定要件|5区分の点数と標準的算定日数、クリニックで届け出る区分

疾患別リハビリテーション料は、心大血管疾患・脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器の5つの区分で構成されています。どの区分で算定するかは患者の疾患で決まり、算定できる日数(標準的算定日数)も区分ごとに違います。

この記事では、令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)後の点数表と通知に沿って、5区分の点数と日数、施設基準と届出、日数を超えた場合の扱い、記録とレセプトの要件を整理します。整形外科などで中心になる運動器リハビリテーション料の詳細は「運動器リハビリテーション料とは|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと算定日数、クリニックで押さえる要点」で扱っています。

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目次
  1. 疾患別リハビリテーション料の5区分と点数
  2. 疾患別リハビリテーションの標準的算定日数
  3. 疾患別リハビリテーションの施設基準と届出
  4. 標準的算定日数を超えた疾患別リハビリテーションの扱い
  5. 疾患別リハビリテーションの実施計画書とレセプト摘要欄
  6. よくある質問
    1. 1人の患者に2つの区分を同じ日に算定できるか
    2. 廃用症候群リハビリテーション料は別に届け出る必要があるか
    3. 日数を超えた外来の要介護者は、医療保険でリハビリテーションを続けられないのか
  7. まとめ
  8. 参考

疾患別リハビリテーション料の5区分と点数

点数は1単位あたりです。1単位は、患者に対して20分以上個別療法として訓練を行った場合を指します(留意事項通知 第7部 通則5)。

区分 番号 (Ⅰ) (Ⅱ) (Ⅲ)
心大血管疾患リハビリテーション料 H000 205点 125点 ―
脳血管疾患等リハビリテーション料 H001 245点 200点 100点
廃用症候群リハビリテーション料 H001-2 180点 146点 77点
運動器リハビリテーション料 H002 185点 170点 85点
呼吸器リハビリテーション料 H003 175点 85点 ―

令和8年度の点数表では、各区分が理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師(心大血管は看護師・集団療法も)による場合に細分化されていますが、同じ(Ⅰ)〜(Ⅲ)の中では点数は同じです。

点数表の通則4により、5つの区分は「患者の疾患等を勘案し、最も適当な区分1つに限り」算定します。1日に算定できるのは患者1人につき6単位まで(別に定める患者は9単位まで)です。

対象となる患者は区分ごとに決まっています。留意事項通知の例を抜き出すと次のとおりです。

区分 対象となる患者の例
心大血管疾患 急性心筋梗塞、狭心症、開心術後、大血管疾患。慢性心不全は左室駆出率40%以下、BNP 80pg/mL以上等の状態にあるもの
脳血管疾患等 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血、脊髄損傷、パーキンソン病などの神経筋疾患、失語症・高次脳機能障害、難聴等に伴う言語機能の障害
廃用症候群 急性疾患等に伴う安静による廃用症候群で、治療開始時にFIM 115以下、BI 85以下の状態等のもの
運動器 体幹・上下肢の外傷・骨折、切断、関節の変性疾患・炎症性疾患、運動器不安定症、糖尿病足病変等
呼吸器 肺炎、肺腫瘍・胸部外傷、COPD・間質性肺炎等(息切れスケール2以上等の状態)、がん等の手術前後の呼吸機能訓練

心大血管・運動器・呼吸器などの対象患者が廃用症候群を合併し、廃用症候群に関連する症状に対してリハビリテーションを行った場合は、廃用症候群リハビリテーション料で算定します(留意事項通知H001-2(2))。

疾患別リハビリテーションの標準的算定日数

各区分の注1で、所定点数を算定できる日数の上限が決められています。これを標準的算定日数といいます。

区分 標準的算定日数 起算日
心大血管疾患 150日 治療開始日
脳血管疾患等 180日 発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日
廃用症候群 120日 廃用症候群の診断又は急性増悪
運動器 150日 発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日
呼吸器 90日 治療開始日

起算日は区分によって「治療開始日」と「発症日等」に分かれます。レセプトの摘要欄にも起算日を書くため、電子カルテやレセプトコンピュータで区分ごとの起算日を正しく登録しておくことが、日数管理の前提になります。

疾患別リハビリテーションの施設基準と届出

疾患別リハビリテーション料は、区分と(Ⅰ)〜(Ⅲ)ごとに施設基準を満たして地方厚生(支)局に届け出た医療機関だけが算定できます。人員と機能訓練室の要件は、特掲診療料の施設基準等の通知(令和8年3月5日保医発0305第8号)で定められています。診療所が届け出る例の多い区分の要件を抜き出すと、次のとおりです。

区分 医師 療法士 機能訓練室(診療所)
脳血管疾患等(Ⅱ) 専任の常勤医師1名以上 専従の常勤PT1名以上・OT1名以上を含め、PT・OT・STが合わせて4名以上 45㎡以上
脳血管疾患等(Ⅲ) 専任の常勤医師1名以上 専従の常勤PT・OT・STのいずれか1名以上 45㎡以上
運動器(Ⅰ) 運動器リハの経験を有する専任の常勤医師1名以上 専従の常勤PT・OTが合わせて4名以上 45㎡以上
運動器(Ⅱ) 同上 専従の常勤PT・OTが合わせて2名以上 45㎡以上
運動器(Ⅲ) 専任の常勤医師1名以上 専従の常勤PTまたはOTが1名以上 45㎡以上
呼吸器(Ⅱ) 専任の常勤医師1名以上 専従の常勤PT・OT・STのいずれか1名以上 45㎡以上
心大血管疾患(Ⅱ) 循環器内科または心臓血管外科の医師と、心大血管リハの経験を有する医師(非常勤可) 心大血管リハの経験を有する専従のPTまたは看護師1名以上 20㎡以上(運動負荷試験装置、除細動器などの器具も必要)

いずれも、週3日以上かつ週22時間以上勤務する非常勤医師を常勤医師数に算入できる扱いがあります。療法士も、専従の非常勤職員を常勤換算で算入できる場合があります(上限は区分ごとに定め)。

廃用症候群リハビリテーション料は独立した届出がありません。脳血管疾患等リハビリテーション料の(Ⅰ)〜(Ⅲ)を届け出ていれば、同じ区分の廃用症候群リハビリテーション料を算定でき、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅱ)として別に届け出る必要はないとされています。

クリニックがどの区分を届け出るかは、次のような条件で分かれます。

クリニックの状況 届け出を検討する区分
整形外科で、PT・OTを1名採用して始める 運動器(Ⅲ)。人員が増えたら(Ⅱ)(Ⅰ)へ
脳卒中後や神経難病の外来患者を診ていて、PT・OT・STのいずれか1名を置ける 脳血管疾患等(Ⅲ)。あわせて廃用症候群(Ⅲ)も算定できる
呼吸器内科でCOPD・間質性肺炎の外来患者が多い 呼吸器(Ⅱ)
循環器内科で心不全・心筋梗塞後の外来患者が多く、運動負荷試験装置を置ける 心大血管疾患(Ⅱ)
療法士を置けない、または機能訓練室の面積を取れない 疾患別リハビリテーション料は届け出られない。対象患者は届出のある医療機関や介護保険のリハビリテーションにつなぐ

介護保険の通所リハビリテーションを併設する場合の判断は「通所リハビリテーションを併設するかの判断基準」で整理しています。

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標準的算定日数を超えた疾患別リハビリテーションの扱い

標準的算定日数を超えた後も、必要があればリハビリテーションを続けられますが、算定のしかたが変わります。

患者 扱い
治療の継続で状態の改善が期待できると医学的に判断される場合など、別に定める患者・場合 標準的算定日数内と同様に算定できる(月1回以上のFIM測定と実施計画書の作成・交付が必要)
上記以外で、要介護被保険者等以外の患者 1月13単位まで算定できる(各区分の注6)
上記以外で、入院中の要介護被保険者等(脳血管・廃用・運動器) 1月13単位まで、低い点数で算定する(注7。例:運動器(Ⅲ)は51点)
上記以外で、入院していない要介護被保険者等(脳血管・廃用・運動器) 注6・注7のどちらの対象にもならない。介護保険のリハビリテーションへの移行を検討する

心大血管疾患と呼吸器の注6には要介護被保険者等の除外が書かれておらず、日数を超えた患者は1月13単位まで算定できます。月の途中で標準的算定日数を超える場合は、その月のうち超えた日以降に実施した分が13単位以下であることが求められます(留意事項通知H000(13)ほか)。

外来の患者について日数を超えて継続する場合は、介護保険による訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション等の適用を評価し、適用があれば、患者の希望に基づいて介護保険のサービスを受けるための手続きを指導することとされています(留意事項通知 第7部 通則4の2)。

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疾患別リハビリテーションの実施計画書とレセプト摘要欄

留意事項通知の通則で、記録と計画書について次のことが求められています。

項目 要件
実施記録 すべての患者について、機能訓練の内容の要点と実施時刻(開始時刻と終了時刻)を診療録等に記載
実施計画書の作成 別紙様式21またはこれに準じた計画書を、開始後原則7日以内、遅くとも14日以内に作成
説明と交付 作成時とその後3か月に1回以上、患者または家族に説明して交付し、写しを診療録に添付(患者の署名は不要)
計画書作成前の実施 医師が自ら実施する場合か、医師の具体的指示があった場合に限り算定できる
日数を超えて継続する場合 継続することとなった日を診療録に記載し、区分に応じて月1回または3か月に1回以上、実施状況・状態の比較・今後の計画を記載した計画書を作成・交付

レセプトの摘要欄には、診療報酬請求書等の記載要領(別表Ⅰ)により、区分ごとに次の事項を記載します。

記載する場面 記載事項
すべての算定 算定単位数と実施日数(例:運動器リハビリテーション料(Ⅲ)(理学)6単位、実施日数3日)
すべての算定 疾患名と起算日(治療開始日、または発症・手術・急性増悪・最初に診断された日)
標準的算定日数を超えて月13単位を超えて算定する場合 これまでの実施状況、前月との状態の比較、到達目標と改善の見込み期間、FIM・BI等の指標による継続の理由
新たな疾患を発症し、別の疾患別リハビリテーションを要する状態になった場合 新たな疾患名と治療開始日または発症日等

標準的算定日数を超えて月13単位を超えて算定する場合の継続理由は、計画書を作成した月であれば、見込み期間と継続の理由を記載したうえで計画書の写しを添付することでも差し支えないとされています。

よくある質問

1人の患者に2つの区分を同じ日に算定できるか

できません。点数表の通則4で、患者の疾患等を勘案して最も適当な区分1つに限り算定するとされています。別の疾患を新たに発症して別の区分のリハビリテーションが必要になった場合は、レセプトに新たな疾患名と起算日を記載します。

廃用症候群リハビリテーション料は別に届け出る必要があるか

届出は不要です。脳血管疾患等リハビリテーション料の届出があれば、同じ(Ⅰ)〜(Ⅲ)の廃用症候群リハビリテーション料を算定できます。

日数を超えた外来の要介護者は、医療保険でリハビリテーションを続けられないのか

脳血管疾患等・廃用症候群・運動器では、治療の継続で状態の改善が期待できる場合などの例外を除き、入院していない要介護被保険者等は日数を超えた後の算定の対象になりません。介護保険の通所・訪問リハビリテーションの利用を患者と相談します。心大血管疾患と呼吸器は、日数を超えた後も1月13単位まで算定できます。

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まとめ

疾患別リハビリテーション料は5区分あり、最も適当な区分1つで算定します。標準的算定日数は心大血管150日・脳血管等180日・廃用120日・運動器150日・呼吸器90日で、超えた後は原則1月13単位までです。脳血管・廃用・運動器では、要介護被保険者等の外来患者は日数を超えた後の算定の対象から外れます。

診療所で届け出やすいのは、療法士1名と45㎡以上の機能訓練室で始められる各区分の(Ⅲ)または呼吸器(Ⅱ)です。実施計画書は開始後14日以内に作り、3か月に1回以上説明して交付します。レセプトには単位数・実施日数・疾患名・起算日を記載します。

参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
  • 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732104.pdf
  • 厚生労働省「『診療報酬請求書等の記載要領等について』等の一部改正について」(令和8年3月27日保医発0327第2号)別表I https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732129.xlsx
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