選定療養費は、紹介状を持たずに大きな病院を受診したとき、3割負担などの自己負担とは別に払う「特別の料金」です。対象の病院では、初診で医科7,000円以上、再診で医科3,000円以上がかかります。
この金額と対象病院は、令和8年度(2026年度)の診療報酬改定でも変わっていません。この記事では、自分が対象になるかを判定し、先にかかりつけ医や近くの診療所を受診するかを決められるように整理します。
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選定療養費は紹介状なしで大病院を受診したときの特別料金
一部の大病院に外来患者が集中すると、待ち時間が延び、重い病気の人の診療に手が回らなくなります。そこで国は、まず地域のクリニックを受診し、必要なときに紹介を受けて大病院へ行く流れをつくるため、紹介状なしの受診に特別料金を設けています。
この料金は保険がききません。病院が独自に決めているのではなく、国の制度として対象病院に徴収が義務づけられているものです。
選定療養費の対象になる病院は3種類
対象は次の3種類の病院です。「大きな病院」かどうかは見た目の規模ではなく、この指定で決まります。
| 対象病院 | どんな病院か |
|---|---|
| 特定機能病院 | 高度な医療を提供する病院。大学病院など |
| 地域医療支援病院(一般病床200床以上) | 救急医療や紹介患者の診療を担い、地域のかかりつけ医を支える病院 |
| 紹介受診重点医療機関(一般病床200床以上) | 紹介患者の外来を基本とする病院として都道府県が公表した病院 |
受診したい病院が対象かどうかは、病院のホームページや受付の掲示で確認できます。対象病院は「紹介状をお持ちでない方は○○円」と案内しているのが一般的です。紹介受診重点医療機関は、都道府県のホームページで一覧が公表されています。
選定療養費の金額は初診7,000円以上・再診3,000円以上
国が決めているのは最低額です。病院はこの額以上で自由に設定できるため、医科の初診で7,700円や1万1,000円とする病院もあります。金額には消費税が含まれます。
| 区分 | 医科 | 歯科 | かかる人 |
|---|---|---|---|
| 初診 | 7,000円以上 | 5,000円以上 | 他の医療機関の紹介状を持たずに受診した人 |
| 再診 | 3,000円以上 | 1,900円以上 | 病院から地域のクリニックへの紹介を申し出られたのに、その病院を受診し続ける人 |
再診の料金は、通院している人すべてにかかるわけではありません。病状が落ち着き、病院から「近くのクリニックで診てもらってください」と紹介の申し出を受けたのに、そのまま通い続けた場合にかかります。
なお令和8年度改定では、大病院で1年間に12回以上外来診療料を算定した患者について、病院側の診療報酬を減らす仕組みが加わりました。専門的な管理が必要で他院へ移せないと医師が認めた人などは除かれますが、病状が安定している人は、これまで以上に地域のクリニックへの紹介を勧められる流れになります。
選定療養費を払っても自己負担は減らない
紹介状なしで受診すると、窓口での支払いは「通常の自己負担(3割など)+特別料金」になります。たとえば初診の医療費が1万円の場合、3割負担で約3,000円に、7,000円以上の特別料金が加わります。
一方、紹介状(診療情報提供書)を書いてもらう費用は、クリニックで3割負担なら750円です。紹介状の頼み方や料金の詳細は「紹介状のもらい方」で解説していますが、特別料金と比べると、先にクリニックを受診したほうが安く済むケースがほとんどです。
選定療養費を請求されない人・請求されないことがある人
特別料金には、病院が「求めてはならない」人と、病院の判断で「求めなくてもよい」人が決められています。前者は必ず免除、後者は病院ごとに扱いが違います。
病院が請求してはならない人
初診・再診とも、次の人には請求できません。
- 救急の患者
- 国の公費負担医療制度の受給対象者(生活保護、難病医療費助成など)
- 地方自治体の公費負担医療の受給者のうち、特定の障害や疾病に着目した制度の対象者
- 無料低額診療事業を行う医療機関で、その制度の対象になる人
- エイズ治療拠点病院を受診するHIV感染者
子ども医療費助成のような、年齢や所得で対象を決める自治体の助成は「特定の障害や疾病に着目した制度」ではないため、この免除には当たりません。
病院の判断で請求されないことがある人
初診では、次のような人は病院が請求しないことがあります。
- 同じ病院の他の診療科から院内紹介された人(医科と歯科の間の院内紹介を含む)
- 特定健診やがん検診の結果で、要精査として受診を指示された人
- 救急医療事業・周産期医療事業などで、休日・夜間に受診した人
- 外来受診からそのまま入院した人
- 地域にその診療科を標榜する医療機関が他になく、その病院が実質的に外来を担っている診療科を受診した人
- 治験に協力している人
- 災害で被害を受けた人
- 労働災害・公務災害・自賠責保険を使う受診・自費診療の人
- その他、病院が直接受診する必要性を特に認めた人
再診では、休日・夜間の救急医療事業での受診、継続入院、災害、労災・自賠責保険を使う受診などが同じく対象です。
ただし、急ぎでない時間外の受診や、単に予約を取って受診しただけの場合など、自己都合の受診は「直接受診する必要性」に当たりません。健診で要精査と言われた人は、結果通知を受付で見せると判断してもらいやすくなります。
救急車で運ばれても選定療養費がかかることがある
救急の患者には請求できないのが原則ですが、救急車で運ばれたことだけで「救急の患者」になるわけではありません。茨城県では2024年12月から、救急車を呼んだ時点で緊急性が認められなかった場合、対象病院で選定療養費を徴収しています。同じ運用を始める地域が出てきているため、軽い症状で救急車を呼ぶと特別料金がかかることがあります。
大病院へ直接行ってよい人・先に診療所へ行く人の境界線
どちらが正しいかではなく、自分の状況がどちらに当たるかで決めます。
| あなたの状況 | 受診先の目安 | 選定療養費 |
|---|---|---|
| 意識がはっきりしない、激しい胸の痛み、急な麻痺など緊急性が高い | 救急(119番、救急外来) | かからない |
| 他の医療機関の紹介状を持っている | 大病院へ直接 | かからない |
| 健診・がん検診で要精査と言われ、結果通知がある | 大病院へ直接でもよい(病院の判断を確認) | かからないことが多い |
| 生活保護や難病医療費助成など、請求できない公費の対象 | 大病院へ直接でもよい | かからない |
| 近所にその診療科がなく、その病院しか選択肢がない | 大病院へ直接でもよい(病院の判断を確認) | かからないことがある |
| 風邪、軽いけが、よくある症状で、緊急性がない | 先に近くのクリニック | 直接行けばかかる |
| 大病院で診てほしいが紹介状がない | 先にかかりつけ医を受診し、必要なら紹介状をもらう | 紹介状があればかからない |
| 大病院に通院中で、病院からクリニックへの紹介を申し出られた | 紹介先のクリニックへ移る | 通い続けると再診でかかる |
| 受診したい病院が3種類の対象病院ではない | どちらでもよい | かからない |
迷ったら、まず受診したい病院が対象病院かを確認し、次に「紹介状」「救急」「公費」「健診の要精査」のどれかに当たるかを見ます。どれにも当たらず緊急性もなければ、先にクリニックを受診するほうが費用も待ち時間も抑えられます。
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選定療養費は医療費控除の対象になるか
紹介状なしの受診でかかる特別料金は、大病院で医師の診察を受けるために払う費用です。医療費控除の対象は「医師の診療又は治療の対価」とされており(所得税法第73条、同法施行令第207条)、この特別料金もその一部として、一般に医療費控除に含めて扱われています。
国税庁は、この特別料金について個別の扱いを明示していません。本人や家族の希望で選んだ個室の差額ベッド代のように対象外とされている保険外の費用もあるため、判断に迷う場合は所轄の税務署に確認してください。
医療費控除に入れる場合は、領収書の「保険外」「自費」欄に記載された特別料金の額を、保険診療の自己負担と合わせて集計します。健康保険から届く医療費通知には保険外の費用が載らないため、領収書から明細書に書き足す必要があります。控除額と還付金の計算方法は「医療費控除の計算方法」で解説しています。
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選定療養費は大病院の特別料金以外にもある
「選定療養」は、患者が自分で選んだ保険外のサービスについて、保険診療と組み合わせて特別料金を払う仕組みの総称です。紹介状なしの大病院受診はその1つで、他にも次のようなものがあります。
- 希望して入った個室などの差額ベッド代
- 診療時間外の受診(急を要しない場合)
- 予約診療
- 後発医薬品がある先発医薬品(長期収載品)を希望したときの差額
薬局や処方箋で見かける選定療養は最後の長期収載品のもので、長期収載品の選定療養で詳しく解説しています。
よくある質問
選定療養費は後から戻ってくるか
戻りません。紹介状なしの受診でかかった特別料金は保険がきかない費用のため、高額療養費や健康保険の払い戻しの対象外です。後日紹介状を持ってきても、すでに支払った初診分は返金されないのが一般的です。
紹介状があれば、発行から何か月でも選定療養費はかからないか
紹介状に法令上の有効期限はありませんが、受診先の病院が発行からの期間を目安に扱いを決めていることがあります。発行から時間がたっている場合は、受診前に病院へ確認してください。
子どもも選定療養費を払う必要があるか
子どもも対象です。子ども医療費助成で自己負担が無料になる地域でも、特別料金は助成の対象外のため、窓口で請求されます。ただし救急の場合や、病院が直接受診の必要を認めた場合は請求されません。
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まとめ
選定療養費は、対象の3種類の病院を紹介状なしで受診したときにかかる特別料金で、初診は医科7,000円以上、再診は医科3,000円以上です。救急・公費の対象者は請求されず、健診の要精査などは病院の判断で免除されることがあります。
どれにも当たらず緊急性がなければ、先にかかりつけ医や近くのクリニックを受診し、大病院での診療が要ると判断されたら紹介状をもらって受診するのが確実です。
参考
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 Ⅱ-4-1 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による大病院の外来患者の逆紹介の推進」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681336.pdf
- 厚生労働省「紹介状を持たずに特定の病院を受診する場合等の『特別の料金』の見直しについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26666.html
- 厚生労働省 制度案内リーフレット「患者のみなさまへ」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000963828.pdf
- 厚生労働省「紹介受診重点医療機関」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123022_00003.html
- 茨城県「救急搬送における選定療養費の徴収について」 https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/iryo/iryo/isei/sentei_ryoyohi.html
- 国税庁 タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1126「医療費控除の対象となる入院費用の具体例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1126.htm
特徴
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オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、時点の情報を元に作成しています。
