生活保護と社会保険の併用レセプトの書き方|保険者番号・第1公費の欄、難病や自立支援医療と重なるときの順序

社会保険に入ったまま生活保護を受けている患者のレセプトは、1枚の明細書に「医療保険」と「生活保護(法別番号12)」を並べて書く併用レセプトになります。保険者番号欄には社会保険の番号を、公費負担者番号欄には医療券の番号を入れます。医療保険が7割を払い、残りの自己負担分を医療扶助が受け持つ形です。

迷いやすいのは、そもそも併用になる患者かどうかの見分けと、難病や自立支援医療の受給者証も持っている患者の順番です。この記事では、受付とレセプト点検を担当する医療事務の方に向けて、欄ごとの書き方と判断の分かれ目を整理します。根拠は厚生労働省の「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)です。

医療券の受け取り方や、指定医療機関になる手続きは「生活保護の医療費はどうなる? 医療券の流れと、指定医療機関になるための手続き」にまとめています。この記事ではレセプトの記載に絞ります。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

目次
  1. 生活保護と社会保険の併用レセプトになる患者・ならない患者
  2. 併用レセプトの保険者番号欄と公費負担者番号欄の書き方
  3. 生活保護と社会保険の併用で点数・一部負担金額をどう書くか
    1. 本人支払額は医療券の金額を使う
  4. 難病・自立支援医療と生活保護を併用するときの第1公費・第2公費の順序
    1. 結核の適正医療と重なる3種併用は特例
  5. 医療扶助のオンライン資格確認で併用レセプトの作業はどう変わるか
  6. 生活保護と社会保険の併用レセプトで返戻になりやすい箇所
  7. よくある質問
    1. 社会保険と生活保護の併用レセプトは、どこに請求しますか
    2. 医療券が届く前に受診した場合、レセプトはどうしますか
    3. 被保護者が勤め先を辞めて社会保険の資格を失いました
  8. まとめ
  9. 参考

生活保護と社会保険の併用レセプトになる患者・ならない患者

生活保護を受けている人でも、全員が併用になるわけではありません。分かれ目は、生活保護を受けている間も医療保険の資格が残る制度かどうかです。

市町村(都道府県)の国民健康保険は、生活保護を受けている世帯に属する人を被保険者から外します(国民健康保険法第6条第9号)。後期高齢者医療も同じ扱いです(高齢者の医療の確保に関する法律第51条第1号)。一方、健康保険などの被用者保険にはこの除外がないため、勤め先の社会保険に入っている人や、その被扶養者は資格が残ります。

患者の状況 レセプトの形 保険者番号欄
勤め先の健康保険(協会けんぽ・健保組合・共済など)の被保険者で、生活保護を受けている 社会保険と生活保護の併用 社会保険の保険者番号
上の被保険者の被扶養者で、生活保護を受けている 社会保険と生活保護の併用 社会保険の保険者番号
市町村の国民健康保険に入っていたが、生活保護が始まった 生活保護単独(国保の資格は喪失) 生活保護の公費負担者番号
75歳以上で、生活保護を受けている 生活保護単独(後期高齢者医療の対象外) 生活保護の公費負担者番号
生活保護が「停止」中の世帯 医療保険のみ(医療扶助は使わない) 加入している医療保険の番号

医療券に保険の情報が書かれていれば併用、書かれていなければ単独と考えるのが受付での近道です。保険証や資格確認書を持参しているのに医療券に記載がない、またはその逆の場合は、レセプトを作る前に福祉事務所に確かめます。国民健康保険組合の加入者は扱いが市町村国保と異なる場合があるため、同じく福祉事務所に確認してください。

保険者番号や保険の種類の見分け方は「健康保険証の種類一覧」に整理しています。

併用レセプトの保険者番号欄と公費負担者番号欄の書き方

併用レセプトでは、医療保険と生活保護の情報を別々の欄に入れます。生活保護の番号はすべて医療券から写します。

欄 書く内容 写す元
保険種別1 「1 社・国」 —
保険種別2 「2 2併」(医療保険+公費1種) —
本人・家族 社会保険上の本人か家族かと、年齢区分 保険証・資格確認書
保険者番号 社会保険の保険者番号8桁 保険証・資格確認書・オンライン資格確認
被保険者資格に係る記号・番号 社会保険の記号・番号 同上
公費負担者番号① 生活保護の公費負担者番号8桁(12から始まる) 医療券
公費負担医療の受給者番号① 生活保護の受給者番号7桁 医療券

公費負担者番号は、法別番号2桁・都道府県番号2桁・実施機関番号3桁・検証番号1桁の8桁です。生活保護なら先頭が「12」になります。受給者番号は、受給者区分6桁と検証番号1桁の7桁です。

生活保護は毎月医療券が出るため、月ごとに番号を確かめる習慣が要ります。同じ福祉事務所の管内でも、住所変更などで月の途中から公費負担者番号が変わることがあります。保険者番号は変わらず、同じ種類の公費の公費負担者番号だけが住所変更で変わった場合は、変更前の分を第1公費、変更後の分を第2公費として1枚にまとめます。保険者番号そのものが月の途中で変わった場合は、保険者番号ごとに別の明細書を作ります。

「診療開始日」欄は、費用の負担関係にかかわらず、その傷病の初診日を書くよう求めている自治体があります(大阪市の指定医療機関向け手引きなど)。

生活保護と社会保険の併用で点数・一部負担金額をどう書くか

点数の考え方は「全部書いて、生活保護の分を別に示す」です。

  • 「初診」から「入院」までの各欄には、その月の診療内容と点数をすべて書きます
  • 「療養の給付」欄の「請求」の項は、「保険」に医療保険の合計点数を、「公費①」に生活保護の合計点数を書きます
  • 生活保護の点数が医療保険と同じなら、「公費①」の点数は省略できます

ほとんどの外来では、医療保険と生活保護の対象が同じなので、「公費①」は省略されます。点数が分かれるのは、月の途中で医療扶助の開始・廃止があった場合や、医療保険では給付されない部分を医療扶助が見る場合です。そのときは「公費分点数」欄にも生活保護の請求点数を書き、摘要欄の内訳のうち公費の分にアンダーラインを付けます。

本人支払額は医療券の金額を使う

患者から窓口で受け取る額は、医療券の「本人支払額」欄で決まります。この欄は福祉事務所が記入するもので、医療機関が計算するものではありません。収入がある被保護者には本人支払額が書かれていることがあり、その場合は書かれた金額を患者から受け取ります。

レセプトの「療養の給付」欄の「公費①」の「一部負担金額」の項には、医療券に記入された公費負担医療に係る患者の負担額を書きます。本人支払額の記載がない医療券なら、窓口での徴収は発生しません。

医療保険の自己負担(3割など)を患者に請求しないよう、レセコンの保険組合せで生活保護が公費①に入っているかを受付の段階で確かめておくと、会計の取り違えを防げます。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

難病・自立支援医療と生活保護を併用するときの第1公費・第2公費の順序

生活保護の患者が、難病の医療受給者証や自立支援医療(精神通院)の受給者証も持っていることがあります。この場合、医療券は「併用券」として出ます(自治体の手引きでの呼び方)。

公費が2種類あるときは、記載要領の別添2・別表1「法別番号及び制度の略称表」に並ぶ順番で、先に来るものを第1公費、後に来るものを第2公費にします。生活保護(12)はこの表の最後に置かれているため、ほかの公費と重なれば必ず第2公費になります。他の制度で給付される分を先に使い、残りを医療扶助が受け持つ考え方(他法優先)と合っています。

組み合わせ 保険者番号欄 第1公費 第2公費 保険種別2
社会保険+生活保護 社会保険 生活保護(12) — 2併
社会保険+自立支援医療(精神通院・21)+生活保護 社会保険 精神通院(21) 生活保護(12) 3併
社会保険+難病の特定医療(54)+生活保護 社会保険 特定医療(54) 生活保護(12) 3併
医療保険なし+精神通院(21)+生活保護 記載しない 精神通院(21) 生活保護(12) 2併(保険種別1は「2 公費」)

自立支援医療や難病の受給者証の対象は、登録された疾患と医療機関に限られます。同じ患者が対象外の病気で受診したときは、その分は社会保険と生活保護の併用(または生活保護単独)として扱います。このとき医療券は単独券で出されることがあります(大阪市の手引きの例)。受給者証の対象病名と、その日の受診病名を受付で照らし合わせてください。

第1公費・第2公費それぞれの法別番号の意味は「公費負担医療制度の法別番号一覧」で確かめられます。

結核の適正医療と重なる3種併用は特例

生活保護・感染症法による結核患者の適正医療(10)・障害者総合支援法の3種を医療保険なしで併用する場合は、法別番号の順によらない特例があります。生活保護の公費負担者番号を「保険者番号」欄に、受給者番号を「被保険者資格に係る記号・番号」欄に書き、結核を「公費負担者番号①」、障害者総合支援法を「公費負担者番号②」に書きます。クリニックで出会うことは多くありませんが、レセコンの組合せで自動的に並ばない場合があるため、出てきたら記載要領の該当箇所を確かめてください。

スタッフが定着するクリニックの条件

採用と教育にかかる手間は、日々の業務がどれだけ整理されているかで変わります。スタッフの定着に効く打ち手をまとめました。

スタッフ定着の資料を見る

医療扶助のオンライン資格確認で併用レセプトの作業はどう変わるか

医療扶助のオンライン資格確認は、2024年(令和6年)3月に本格運用が始まりました。被保護者がマイナンバーカードを医療券として使う登録をしていれば、カードリーダーで資格情報と医療券の情報を取得できます。

併用レセプトの作業で変わるのは、番号を写す元です。

  • 紙の医療券を目で見て入力していた公費負担者番号・受給者番号を、オンライン資格確認の結果から取り込めます
  • 被保護者にも、カードリーダーで限度額情報の提供可否を選ぶ画面が出ます。社会保険と併用している被保護者は限度額情報が登録されている場合があり、医療扶助のみの被保護者は「提供しない」を押すよう周知されています
  • 福祉事務所から委託を受けていない医療機関では、医療券の情報は表示されず、氏名と担当の福祉事務所名などに限って表示されます

マイナンバーカードを持っていない人や、個人番号が確認できない人には、引き続き紙の医療券が出ます。両方の患者が来院するので、「オンラインで取れたから医療券は見ない」とは決めず、取得した番号を毎月のレセプト点検で確かめる運用が安全です。

また、医療券の情報は月ごとに登録されます。受診後に福祉事務所が医療券情報を登録した場合は、「委託先資格情報の一括取得」で後から取り込めます。

生活保護と社会保険の併用レセプトで返戻になりやすい箇所

併用レセプトで返戻を招きやすいのは、次の4か所です。月末の点検でこの順に確かめると返戻が減ります。

  1. 国保・後期高齢者の資格が残ったまま:生活保護が始まった月に、国保の保険者番号を残して併用にしていないか
  2. 公費負担者番号・受給者番号の写し間違い:8桁・7桁の桁数と、先頭の「12」を確かめる。月の途中で番号が変わっていないか
  3. 第1公費と第2公費の逆転:難病・自立支援医療と重なるとき、生活保護が第2公費になっているか
  4. 保険種別2の選び違い:公費が2種類あるのに「2併」のままになっていないか

返戻されたレセプトの直し方は「レセプトが返戻されたときのベストな対応は?」にまとめています。

クラウド型電子カルテ「CLIUS」

クラウド型電子カルテ「CLIUS」は、予約・問診・オンライン診療・経営分析まで一元化できる機能を備えています。効率化を徹底追求し、直感的にサクサク操作できる「圧倒的な使いやすさ」が、カルテ入力業務のストレスから解放します。

詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。

よくある質問

社会保険と生活保護の併用レセプトは、どこに請求しますか

医療保険の分と生活保護の分を1枚にまとめて、審査支払機関(社会保険の場合は医療情報基盤・診療報酬審査支払機構。2026年10月に支払基金から改組)へ毎月の請求として出します。生活保護の分だけを福祉事務所に別に出すことはしません。

医療券が届く前に受診した場合、レセプトはどうしますか

医療券の番号がないとレセプトの公費欄が書けません。急ぎの受診で医療券が後から届く場合は、福祉事務所に連絡して番号を確かめてから出します。締切までに番号が確定しなければ、保留して翌月以降に月遅れ請求する方法もあります。

被保護者が勤め先を辞めて社会保険の資格を失いました

社会保険の資格を失った日以降は、生活保護単独のレセプトになります。月の途中で保険者番号の有無が変わるため、変わる前と後で明細書を分けます。福祉事務所から新しい医療券が出るので、その内容に合わせます。

まとめ

  • 生活保護と社会保険の併用レセプトになるのは、被用者保険の被保険者・被扶養者。国保と後期高齢者は生活保護が始まると単独になる
  • 保険者番号欄は社会保険、公費負担者番号①欄に生活保護(12から始まる8桁)、受給者番号は7桁を医療券から写す
  • 点数はすべて書き、生活保護の点数が医療保険と同じなら公費①の記載は省略できる。窓口の負担は医療券の本人支払額で決まる
  • 難病や自立支援医療と重なると、生活保護は第2公費になる
  • オンライン資格確認で番号を取り込める患者と、紙の医療券の患者が両方いるため、月ごとに番号を点検する

参考

  • 厚生労働省「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb0188&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省社会・援護局「生活保護を受給されている方の医療券/調剤券の資格確認がオンラインで可能となります」(令和6年9月改訂版) https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001724576.pdf
  • 厚生労働省「オンライン資格確認に関する運用等の整理案(医療扶助版)<医療機関等ベンダ様向け>」 https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001724580.pdf
  • e-Gov法令検索「国民健康保険法」(昭和33年法律第192号)第6条 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192
  • e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律」(昭和57年法律第80号)第51条 https://laws.e-gov.go.jp/law/357AC0000000080
  • 大阪市「第8 診療報酬の請求手続」(生活保護法指定医療機関向け) https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000615/615306/092404iryou.pdf
Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、