死亡診断書の再発行・コピーを頼まれたら|依頼別の対応判定表、原本の代わりになる書類、文書料の決め方

遺族から「死亡診断書をもう一枚ほしい」と頼まれたら、まず確かめることは1つです。死亡届をもう役所に出したかどうかです。出す前に紛失したのなら、作成した医師が書き直します。出した後なら、原本は戻ってきません。遺族が本当に必要としているのは、ほとんどの場合「手続きに使う写し」です。

この記事は、在宅看取りや外来で死亡診断書を書くクリニックの院長・事務の方に向けたものです。依頼のパターン別に何を渡すか、文書料をどう決めるか、受付でどう案内するかを整理します。死因の書き方などの医学的な記載判断は扱いません。

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目次
  1. 死亡診断書の再発行・コピーの依頼は「死亡届を出す前か後か」で対応が分かれる
  2. 死亡届を出す前に死亡診断書をなくしたときは、作成した医師が書き直す
  3. 死亡届に添付した死亡診断書の原本は戻らない。代わりになる3つの書類
    1. 死亡診断書のコピーで足りる手続きは多い
    2. 死亡届の記載事項証明書は、遺族が役所で請求する
    3. 保険会社の所定書式は、新しい文書として受ける
  4. 死亡診断書を再発行できないケースと、そのときの案内
  5. 死亡診断書の文書料は自費で、医療機関ごとに決める
  6. 再発行に備えて、死亡診断書の記載内容を控えておく運用
  7. 死亡診断書を渡すときに遺族へ伝える案内文例
  8. よくある質問
    1. 死亡届を出した後でも、死亡診断書をもう一度書いてもらえますか
    2. 死亡診断書の再発行に期限はありますか
  9. まとめ
  10. 参考

死亡診断書の再発行・コピーの依頼は「死亡届を出す前か後か」で対応が分かれる

遺族の言う「再発行」には、中身の違う3つの依頼があります。受付で次の表に当てはめると、院内でやることが決まります。

依頼のパターン 遺族が本当に必要なもの クリニックの対応
死亡届を出す前に、死亡診断書をなくした・汚した 死亡届に添付する原本 作成した医師が書き直して交付する。届出は死亡を知った日から7日以内なので当日〜翌日に対応する
死亡届を出した後、年金・相続・銀行などの手続きに写しが要る 死亡の事実と死因・日付が分かる書類 原則は再作成しない。遺族が取ったコピー、または役所の「死亡届の記載事項証明書」で足りるか、提出先に確かめてもらう
保険会社などから、所定の書式で別に出すよう求められた 提出先が指定する書式の証明書 新たな文書の作成依頼として受け、文書料を取って作成する

2つ目のパターンが一番多く、ここで院内の手間とトラブルが分かれます。原本が戻らないことと、代わりの書類があることを最初に伝えます。

死亡届を出す前に死亡診断書をなくしたときは、作成した医師が書き直す

死亡届には、医師の診断書または検案書を添付しなければなりません(戸籍法第86条第2項)。届出の期限は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内です(同条第1項)。死亡届が出ないと火葬の許可も出ないため、この依頼は急ぎで受けます。

書き直すのは、元の死亡診断書を作成した医師です。厚生労働省の記入マニュアルでは、氏名欄は医師本人が署名することとされ、記名押印は原則として認められていません。記載内容を訂正できるのも、原則として作成した医師本人だけです。複数の医師がいるクリニックでは、看取った医師の在勤日を確かめてから遺族に受け取り日を伝えます。

元の死亡診断書と同じ内容で作るには、交付時の記載内容が手元に残っている必要があります。控えの残し方は後の「再発行に備えて控えておく運用」で触れます。

死亡届に添付した死亡診断書の原本は戻らない。代わりになる3つの書類

死亡届と死亡診断書は1枚の用紙の左右になっており、多くの用紙では右半分が死亡診断書です。死亡届を出すと、この用紙ごと役所が受理するため、原本は遺族の手元に戻りません。検索で「死亡診断書 コピー 右側だけ」と調べる人が多いのはこのためです。

手続きに写しが要る遺族には、次の3つを案内します。

代わりの書類 どこで手に入るか 向いている場面
死亡診断書のコピー 遺族が死亡届を出す前に取ったもの 提出先が「コピー可」としている手続き。遺族年金の請求など
死亡届の記載事項証明書 役所(届出の日付で窓口が違う) 提出前にコピーを取り忘れた。提出先が公的な証明を求めている
提出先の所定書式 クリニックに作成を依頼 保険会社などが自社の書式を指定している

死亡診断書のコピーで足りる手続きは多い

日本年金機構は、遺族基礎年金・遺族厚生年金の請求に添付する書類として「市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書」を挙げています。公的な手続きでもコピーで受け付けるものがあるということです。

そのため、死亡診断書を渡すときに「役所に出す前に、何枚かコピーを取っておいてください」と一言添えるだけで、後の再発行の依頼はかなり減ります。何枚要るかは手続きの数と提出先によるので、クリニックからは枚数を言い切らず、「年金・保険・相続など、手続きの数だけ」と伝えるのが無難です。

死亡届の記載事項証明書は、遺族が役所で請求する

死亡届を出した後にコピーが無いと分かったときは、「死亡届の記載事項証明書」を役所で請求できます。届書の記載内容を役所が証明する書類で、死亡診断書の部分も含まれます。佐賀市は案内の中で、これを「死亡診断書の写し(正式には『死亡届の記載事項証明書』)」と説明しています。

ただし、誰でも請求できるわけではありません。戸籍法第48条第2項は、利害関係人が特別の事由がある場合に限り請求できると定めています。

  • 請求できる人: 届出の事件本人、届出人、事件本人の親族など(法務局の案内)
  • 特別の事由の例: 遺族年金の請求のように、法令で記載事項証明書の提出が求められている場合など

窓口は届出の日付で変わります。

死亡届を出した日 請求する窓口
2024年(令和6年)3月1日以降 届出を受理した市区町村、または本籍地の市区町村(戸籍法第120条の6)
2024年2月29日以前 本籍地を管轄する法務局。届書が市区町村にある間は市区町村

手数料は窓口で違います。法務局での請求は無料で、市区町村は船橋市の例で1通350円です。必要書類(親族関係の分かる戸籍謄本、本人確認書類、特別の事由の分かる書類など)も窓口ごとに違うため、遺族には「死亡届を出した役所に、事前に問い合わせてください」と案内します。

保険会社の所定書式は、新しい文書として受ける

生命保険などで、提出先が独自の書式(死亡証明書など)を指定してくることがあります。これは死亡診断書の再発行ではなく、別の証明書の作成依頼です。通常の診断書と同じく受け付け、文書料を取って作成します。書式に死因や経過の記載欄がある場合は、交付した死亡診断書の内容と食い違わないよう、控えを見ながら書きます。

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死亡診断書を再発行できないケースと、そのときの案内

医師は、自ら診察しないで診断書を交付することが法律で禁止されています(医師法第20条)。このため、看取った医師が退職した、クリニックを閉院したといった場合に、別の医師が代わりに死亡診断書を書くことはできません。

このときは、記載事項証明書を役所で取るよう案内します。死亡届が受理されていれば、届書の内容は役所側に残っています。

また、時間がたってからの依頼で、診療録が手元に無いこともあります。医師法第24条が定める診療録の保存期間は5年です。保存期間を過ぎて記録を廃棄している場合は、同じ内容を書き直せないため、やはり記載事項証明書を案内します。

死亡診断書の文書料は自費で、医療機関ごとに決める

死亡診断書の作成料は、診療報酬の点数にありません。在宅での看取りに関わる加算と死亡診断書の関係は「看取り加算の算定要件」で整理しています。

厚生労働省の通知「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」は、公的保険給付と関係のない文書の発行に係る費用として「証明書代」を挙げています。このような費用を取るときは、次の3つが求められています。

  • 受付や待合室など見やすい場所に、内容と料金を掲示する
  • 内容と料金を説明し、同意を得てから徴収する
  • 他の費用と区別した、内容の分かる領収証を出す

金額は医療機関ごとに決めます。通知は、社会的にみて妥当な額にするよう求めています。死亡診断書の記入マニュアルも、遺族から取る検案料は実費を勘案して決めるよう求めています。

依頼のパターンが3つあるので、料金表もそれに合わせて分けておくと、受付で迷いません。

料金表の項目 決めておくこと
死亡診断書(初回の交付) 金額。往診・看取りの費用と別に領収証へ載せる
死亡診断書の再作成(届出前の紛失) 初回と同額にするか、減額・無料にするか
保険会社などの所定書式 一般の診断書と同じ料金区分にするか
院内控えの写しの交付(行う場合) 交付するか、するなら手数料と本人確認の方法

レセコンや電子カルテに自費項目として登録しておけば、請求の付け忘れと、担当者による金額の違いを防げます。ORCAを使っている場合の登録手順は「ORCAで自費の項目を登録する方法」にあります。

再発行に備えて、死亡診断書の記載内容を控えておく運用

届出前の紛失にすぐ応じられるか、保険会社の書式を正確に書けるかは、交付した死亡診断書の内容が院内に残っているかで決まります。次のどちらかを院内ルールにしておきます。

  • 交付前に、死亡診断書の部分をスキャンまたはコピーして診療録に保存する
  • 電子的に作成し、作成データを保存する。記入マニュアルは電子カルテ等からの出力や、日本医師会ORCA管理機構が無料で公開している作成ソフトを紹介しています

控えには個人の秘密に関わる事項が載っています。記入マニュアルも、死亡診断書の取扱いには十分な配慮を求めています。院内控えの写しを遺族に渡すかどうかは院内で決め、渡す場合は、依頼者が配偶者・子・父母などの遺族であることを確かめてから交付します。厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」は、遺族を「患者の配偶者、子、父母及びこれに準ずる者」としています。

なお、控えの写しが提出先で受け付けられるかは、提出先次第です。渡す前に、遺族に提出先の指定を確かめてもらいます。

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死亡診断書を渡すときに遺族へ伝える案内文例

再発行の依頼の多くは、交付のときの一言で防げます。受付や訪問看護師が、死亡診断書を渡すときにそのまま使える文例です。

死亡診断書は、死亡届と一緒に役所に出すと返ってきません。年金や保険、相続の手続きで写しを求められることが多いので、役所に出す前に、手続きの数だけコピーを取っておいてください。
提出前になくされた場合は、すぐにご連絡ください。医師が書き直します。
保険会社から専用の書式を渡された場合は、その書式をお持ちください。別に作成します(文書料がかかります)。

死亡届を出した後にコピーが無いと分かった遺族からの電話には、次のように案内します。

役所に出した死亡診断書は、こちらで出し直すことができません。死亡届を出した役所で「死亡届の記載事項証明書」を請求できますので、提出先がそれで受け付けるかを確かめたうえで、役所にお問い合わせください。

よくある質問

死亡届を出した後でも、死亡診断書をもう一度書いてもらえますか

原本は役所から戻りません。手続き用であれば、コピーか死亡届の記載事項証明書で足りるか、まず提出先に確かめてもらいます。提出先が医師の作成した書類を求める場合は、所定の書式があればそれを、無ければどんな書類が要るかを聞いてから依頼してもらうと、作り直しを防げます。

死亡診断書の再発行に期限はありますか

法令で再発行の期限は決まっていません。ただし、同じ内容で書き直すには診療録などの記録が要ります。診療録の保存期間は5年(医師法第24条)なので、それより前の分は書き直せないことがあります。その場合は記載事項証明書を案内します。

まとめ

  • 「再発行」の依頼は、死亡届の提出前か後か、所定書式かの3つに分けて受ける
  • 提出前の紛失は、作成した医師が急いで書き直す。届出は7日以内
  • 提出後は原本が戻らない。コピーか死亡届の記載事項証明書を案内する
  • 文書料は自費で医療機関ごとに決め、掲示・同意・区別した領収証をそろえる
  • 交付前に記載内容を控えておけば、紛失にも所定書式にもすぐ応じられる

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参考

  • 厚生労働省「令和8年度版 死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/
  • e-Gov法令検索「戸籍法」(第48条、第86条、第120条の6) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224
  • 盛岡地方法務局「死亡届の記載事項証明書・届書等情報内容証明について」 https://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/static/99siboutodoke.html
  • 広島法務局「戸籍届書類の記載事項証明書について」 https://houmukyoku.moj.go.jp/hiroshima/page000001_00377.html
  • 船橋市「戸籍届書の記載事項証明書(届書の写し)請求について」 https://www.city.funabashi.lg.jp/kurashi/koseki/004/p071522.html
  • 佐賀市「葬儀後の手続きに関するお知らせ」 https://www.city.saga.lg.jp/material/files/group/41/sougi.pdf
  • 日本年金機構「遺族厚生年金を受けるとき」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/izoku/seikyu/20140617-02.html
  • 厚生労働省「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」(平成17年9月1日 保医発第0901002号) https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000560128.pdf
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